スパイラル・ウォー

■第3ターン結果

●天地殲滅龍
 螺旋大伽藍でも最大の大きさを誇る中央の楼閣群。
 そこを貫くように走る大螺旋階段は、ケルベロスと『天地殲滅龍』に従う竜牙兵達との激戦の場となっていた。
「雑魚はお呼びじゃないわ、用があるのは親玉だけ!」
 稲垣・晴香(伝説の後継者・e00734)をはじめ、天地殲滅龍の元を目指すケルベロス達は、螺旋階段をいちいち走って降りたりはしなかった。
「それじゃさっさと、一番大物を仕留めに行きますか!
 迎撃に飛んで来る竜牙兵の守りを突破しながら、ケルベロス達は巨大かつねじまがった螺旋階段を、次々と飛び降りていく。
 ケルベロス達が降りるにつれてそれにつれて階段の一段は大きくなり、螺旋の半径も広がっていく。
 やがて底に辿り着く。そこに広がるのは、赤き炎に包まれた広大な空間だ。
 足の痛みを堪えながら立ち上がったケルベロス達は、眼前に巨大な存在を見る。

「なかなかの大物ね……」
 晴香が見上げる先にあるのは、黒い鱗に包まれた多頭龍だ。
 その体からは見ている間にも首が幾度も生えては転移し続けている。おそらくは螺旋階段の上での戦いに加わり、これ以上のケルベロス達が合流するのを阻止しているのだろう。
『ケルベロス、その迅速な攻めは褒め称えるべきであろう。
 ただ一度の勝利を得ることすら容易ではない。
 吾もまた、己の全力をもって、汝らの存在を叩き潰そう』

 地鳴りと震動を伴って、天地殲滅龍の巨体が動き始める。
『山脈級』という言葉は嘘ではない。
 これ以上の大きさを誇るデウスエクスは、ドレッドノートぐらいではないだろうか。
 そう疑わせるほどの巨体が、全力をケルベロス達の迎撃に向けて来ている。
 無数の首が、竜牙兵達が現れ、ケルベロス達を迎撃にかかった。
 戦場を分断するように無数の巨大なブレスが乱舞し、螺旋大伽藍を染め上げる。分断されたケルベロス達は、それぞれに天地殲滅龍へと攻撃を繰り出していった。
「みんな、行くわよ。練習での成果を出し切れば……いけるわ!!」
 火竜焔神洞での三十万回を上回る首の迎撃は、同数の交戦経験をケルベロス達に与えている。晴香の言葉の通り、ケルベロス達は怖じることなく天地殲滅龍の軍勢を切り崩していった。
 巨大極まりない天地殲滅龍の体の表面でグラビティが爆発、黒い鱗が剥げていく。
 圧倒的な巨体は、しかしケルベロス達の前に厳然と屹立していた。

『汝ら定命の者、その力誇るべし。だが、地球への降臨は妨げさせるわけにはいかぬ』
 こうしてこの戦場に姿を現していること自体が、天地殲滅龍もまた今回の作戦に賭けていることをケルベロス達に教えていた。
 天地殲滅龍は首だけを送り込んでいれば事実上無敵で滅びることはない。
 だが、ドラゴンによる幾多の計画をケルベロス達が阻止し、竜十字島のドラゴン達……重鎮である智龍ゲドムガサラまでをも滅ぼしたことは、天地殲滅龍に自らの出撃を決意させるに至ったのだろう。

 敵もまた決死の覚悟でこの場にいる。
「だからこそ、戦い甲斐があるってものよ!!」
 自らを鼓舞するように叫ぶと、晴香は拳を一度打ち合わせた。ブレスを回避し、そのまま数kmを疾走、胴の後ろに回り込んだ晴香は、天地殲滅龍に組み付く。
『背後を取ったつもりか? 無駄なことだ』
 多頭を持つ天地殲滅龍の首が、容赦なく晴香へとブレスを吐きつける。
 炎に体を焼かれながらも、彼女は不敵に笑った。
「どんな巨体でも、非実体でも知ったことじゃないわ!」
 その宣言の通り、彼女は両の腕に力を篭め始めた。
 たとえ炎が、氷が身を傷付けようと、そのまま力を篭め続ける。
『む……!?』
 晴香の様子に危険なものを感じ取ったのか、天地殲滅龍が首を集め、集中ブレスを浴びせんとする。だが、それを阻止するのは他のケルベロス達だ。
「いけ!!」
「やっちまえ!!」
 仲間達の鼓舞する声に一層の力を入れると、晴香は天地殲滅龍を『持ち上げた』。
「山脈級だろうが超弩級だろうが、私の投げから逃げられると思ったら、大間違いよ!」
 目を疑うような光景も一瞬のこと、そのまま反転して地面に叩きつけられた天地殲滅龍は、一瞬、体本体から生える首の動きを封じられる。
「今よ!!」
 晴香の声に、天地殲滅龍を目掛けてケルベロス達の攻撃が集中した。
 黒い鱗が貫かれ、ケルベロスの死の力は、竜の心臓へと至る。
『やはり、危険だ。魔竜王様が視られた未来は、吾に変えられはせぬのか……』
 その言葉を残し、天地殲滅龍は消滅した。
 同時に、戦場となっていた空間も揺らぎ始める。
 螺旋大伽藍の力だけでなく、天地殲滅龍の力も合わせて、この空間は形勢されていたのだろう。
「これで、あとはイグニスを倒せれば、ドラゴンの召喚は完全に阻止できるわけね。でも、後顧の憂いを断つのも重要、と……。ひかりねーちゃんを倒す前に、ちょっくら世界を、守らなきゃね!」
 螺旋階段を駆け上りながら、晴香は次なる戦場を思い描くのだった。

→有力敵一覧

→(4)ペンプ・オグ&ナウ・ソーン(3勝2敗/戦力670→500)

→(7)最上・幻夢&ダウ・ガル(3勝2敗/戦力1200→1030)

→(9)星喰いのアグダ(13勝2敗/戦力1200→530)

→(10)天地殲滅龍(49勝9敗/戦力2200→0/制圧完了!)

→重傷復活者一覧

→死亡者一覧

■有力敵一覧

有力敵 戦功点 現状

天地殲滅龍
2700
(10)天地殲滅龍:Battle1にて、稲垣・晴香(伝説の後継者・e00734)に倒される。

戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。

戦闘結果を取得しています。しばらくお待ちください。