■第1ターン結果
●エクスガンナー・アルファ
『アルファ』の名を持つ彼女は、エクスガンナー・ゼロと同時期に作られた、計画最初期の機体である。
レプリカントに擬態して地球に潜伏し、計画拠点『グランネロス』壊滅から難を逃れたアルファは、コマンダー・レジーナの招集に応えて量産型ガンドロイド達と共にダモクレス軍団に合流した。
だが、より優れた性能を持つエクスガンナー・クリムの敗北を受け、本星の出したエクスガンナー計画に対する解は、計画を打ち切るというものであった。
その判断に対する感慨は、ダモクレスたるエクスガンナー達には無い。
計画によって得られた情報は、次のダモクレスに結び付いていくことだろう。
残る製造済みの機体が行うべきは、ただ己の性能を発揮することだ。
「ケルベロス、只今参上なの! 貴方達を斬りに来たよ!」
だが卜部・サナ(仔兎剣士・e25183)が宣言するや否や、手持ちの小型火器を使うガンドロイド達は、全世界の人々による『全世界決戦体制(ケルベロス・ウォー)』の後援を受けたケルベロスによって、易々と破壊されていく。
「流石に強いですね~」
朗らかな表情を浮かべたままに、アルファは盾を兼ねた十字架型の運搬ケースから幾つもの拳銃を取りだすと、それらの弾丸を次々と発射した。
初期型のエクスガンナーだけあり、火力面はさほど高くは無い。
「指揮官機……まずは周りから片付けてこう!」
その二つ名の通り、兎の如く飛び回りながら、サナは手にした刀を振るった。
手にした銃を断ち、返す刀で首を断つ。
人間同様の身体構造を持つガンドロイド達は、それで動きを停止する。
板張りの床を蹴り、ケルベロス達は一挙に前へと進み出た。
エクスガンナー・アルファが遮蔽とした十字架型ケースの表面に大量のグラビティが叩き込まれ、爆発。
その爆風から白いシスター服を翻し、転がりながら飛んだアルファの反撃の銃弾が、ケルベロス達に突き刺さる。
だが、反撃もそこまでだ。
アルファの着地に合わせて振るわれた刀が、アルファの損傷部をさらに貫く。
「ごめんね、手加減してる暇はないの。バイバイ!」
抉り抜くように切り払ったアルファのボディが、爆風と共に四散する。
エクスガンナー計画も潰えたが、それに感慨を抱く暇は、今のケルベロス達には与えられていなかった。
●シスターエイル
エクスガンナー・アルファと同様にシスターの姿を取り、地球に潜伏していたダモクレス『シスターエイル』。
エクスガンナー達とは異なり、一般人を密かにダモクレスを改造することに積極的に取り組んでいた彼女も、螺旋大伽藍での戦闘に参戦している。
「星喰いのアグダさんも先に行ってしまいましたが、彼が生存してゲートに辿り着けば、破壊は実行可能でしょう。その障害となるケルベロスを妨害するのが私達の役目です」
シスターエイルのスカートがまくれ上がり、隠されていた機械の六脚が展開される。
彼女の足は単なる移動のための機関ではなく、アームドフォートのような多種の装備を備えた複合移動砲台だ。
「では量産型の皆さん、一緒にがんばりましょうね♪」
白い腹部を晒しながら、装着されたミサイルランチャーから即座に放たれたミサイルの爆発が、螺旋大伽藍の内部を赤く染める。
それでも易々と破壊されない耐久性は、流石に螺旋忍軍が秘蔵していた要塞だけのことはあるだろう。
立て続けに量産型ガンドロイド達がケルベロス達へ向け銃を放つが、その銃弾の雨を掻い潜り、あるいは防ぎながら、ケルベロス達も前進して来る。
「銃弾如きで、私達を止められると思うな!!」
サラ・エクレール(銀雷閃・e05901)の刀の一振りが、飛来した銃弾を弾き飛ばし、弾かれた銃弾が置かれていた屏風に穴を開ける。
「やはり銃弾程度では、デウスエクスやケルベロス相手ではストッピングパワーに欠けますね」
そのあたりはエクスガンナー計画の課題でもあったのだろうが、それを省みる必要性はシスターエイルにはなかった。
「戦線を維持しつつ後退、狭いところに引きずり込んでいきましょうね」
シスターを装って孤児院の子供達に語り掛けていた時のように穏やかに配下達に命じると、損傷を負ったシスターエイルは弾幕を展開し、徐々に後退していく。
だが、ケルベロス達はそれを許さなかった。
「逃げる気ですか!」
いち早く気付いたサラが、シスターエイルを追って走り出す。
板張りの床を踏む強烈な音。ミサイルとビーム砲、そしてそれらの間を埋める機関砲。それら全てを掻い潜って一瞬にして距離を詰めたサラは、抜刀の構えから刀を振るう。
「我が閃光、逃れる事叶わず!」
シスターエイルの上半身と下半身の複合移動砲台が泣き別れし、生体部品を維持する循環液を撒き散らしながら爆発する。
「残敵を掃討しましょう。こちらにも、あまり余裕はありません」
刀を収めると、サラは仲間達にそう呼びかけるのだった。
●ペデル・ケイン
浮遊要塞『螺旋大伽藍』へと攻め込んだケルベロス達は、ダンジョン化した複雑怪奇な回廊を駆け抜け、奥へ奥へと進み続ける。
既に十数枚目の障子を乱暴に開け放った神宮・翼(聖翼光震・e15906)は、そこが通路では無く、広間である事に見取って、武器に手を掛けた。
「ユネク、お客さんだ。お前は向こうを頼むぜ」
「了解だ、武運を祈る」
翼達とほぼ同時に、別の襖からもケルベロスがなだれ込む。
これこそ、空間がでたらめに繋がっている証左であろうか。
「残念だが、ここは通行止めだぜ」
ユネクという同僚に、反対側の防衛を任せたペデル・ケインは、翼達の前に立ちふさがった。
勿論、それで侵攻を諦めるケルベロスでは無い。
「そんな堅くしないで、リラックスリラックス」
私のメロディを聞けーとばかりに、翼はバイオレンスギターをかき鳴らし、その音色に導かれるようにケルベロス達の猛攻が始まった。
「さぁ、ステージの始まりよ♪」
翼が奏でる「ブラッドスター」の演奏が戦場に流れ、戦場のエインヘリアル達は次々に撃ち減らされていく。ペデル・ケインは、苦しげに見やると、もはやこれまでと思ったのか、最後の力を振り絞ってケルベロスに攻撃を行う。
「このペデル・ケイン、唯では殺されぬ。ぐぉぉぉぉ」
渾身の力をこめたゾディアックブレイク!、だが、その攻撃はコンスタンツァ・キルシェによって阻まれる。
そこを好機と見て、ケルベロス達が一斉攻撃を仕掛け、ペデル・ケインを追い込んでいく。
そして、
「それじゃ、あたしもいくよー。えーい!」
翼の『ポコン』という効果音が似合いそうな一撃により、ペデル・ケインの命運は尽きたのだった。
「あれれ? これ、私が倒したってことで良いのよね?」
翼は、可愛らしく小首を傾げると、ペデル・ケインの顔を覗き込む。
その翼の顔を誰かに見間違えたのか、ペデル・ケインは翼に向かって手を伸ばす。
「……無念。すまぬ、カトリーヌ、そして、まだ見ぬ娘たちよ……」
そのペデル・ケインの呟きを聞いた翼は、思わずというように、崩れ落ちるペデル・ケインを豊かな胸で支えてしまう。
「愛する家族がいるの? なら、なんで、こんな所に来たのよ……」
翼の声を聞いて、カトリーヌで無いと気づいたのか、ペデル・ケインは、「許してくれ」と、力なく微笑むと、そのまま息を引き取ったのだった。
●ユネク・シザリス
浮遊要塞『螺旋大伽藍』に侵攻したケルベロス達は、76枚の襖が続く襖回廊を突破して大広間へと到達する。
大広間で待っていたのは、伯母子岳で戦ったエインヘリアルの兵団であった。
図らずも別方面からの戦力も戦場に到達したらしく、敵エインヘリアルは、戦力を半分にわけて、対応してくる。
こちらに向かってくるのは、軽装で赤色の大剣を装備した騎士エインヘリアルである。
「我ら、ハオウ私兵団。我が王子の仇を討つ為ならば命などいらぬ!」
鬼気迫る勢いで攻め寄せる、ユネク・シザリスと配下のエインヘリアル達の前に、さしものケルベロス達も気圧される。
だが、無理な攻勢がそうそう続くものでは無い。
「なかなか数が多いわ、ね……でも、だからこそ、当てやすいものよ」
攻勢が限界点となる地点を見極めた、ルベウス・アルマンド(紅卿・e27820)が、宝石より生み出した霊的生物が敵を穿つ。
この攻撃を契機に、無理な攻勢で息切れをしたエインヘリアルの軍勢にケルベロス達の攻撃が降り注ぐ。
「どうやら勝ったようですね、アルタクリエ、行きましょう」
ルベルスは、隣に居たアルタクリエに声をかけると前進し、戦場の制圧を始める。
前進するケルベロスの攻撃に、次々に撃破されるハオウ私兵団のエインヘリアル。
しかし、一人として、逃げ出そうとするエインヘリアルはいなかった。
命絶える時まで、マン・ハオウの仇を討とうと戦い続ける彼らの姿に、ルベウスは、忠義のなんたるかを感じ取る。
「あのような王子でも、士心を得ていたという事なのかしら……」
これまでのハオウ私兵団への印象を払拭するように、戦いに没頭するルベウスとアルタクリエは、遂に、ユネク・シザリスを射程に収めた。
ユネク・シザリスはケルベロスの血で赤黒く塗りなおした大剣を振り回し戦場で暴れまわっていたが、既に限界を超えていただろう。
だが、その戦意と気迫は衰えず、血涙を流しながら咆哮する。
「マン・ハオウ王子は、俺達のような下級の戦士を認めて私兵団として厚遇してくれた。そして、更なる強さを得る秘術を、自分だけでなく私兵団全員で分かち合おうとしてくれたのだ。
だから、そのマン・ハオウ王子を殺した、お前達を……」
ルベウスは、悲しげな目でユネク・シザリスを見て、これ以上聞く必要は無いと、アルタクリエに目線で合図をする。
それに頷き返したアルタクリエのパイルバンカーを唸らせてユネク・シザリスに隙をつくると、
「昼でなく、夜でなく……生であり、死であり……石膏のように、雨露のように……気丈に羽ばたき、無邪気に爪を剥く……。もし、生まれ変わるならば……今度は、まともになれるのですよ」
ルベウスのエメラルドホークの2連激によって、ユネク・シザリスは、敬愛するマン・ハオウの元へと旅立ったのだった。
→有力敵一覧
→(2)エクスガンナー・アルファ&シスターエイル(47勝7敗/戦力1000→0/制圧完了!)
→(3)ペデル・ケイン&ユネク・シザリス(26勝5敗/戦力1000→0/制圧完了!)
→重傷復活者一覧
→死亡者一覧
■有力敵一覧
戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。