ドレッドノート攻略戦

■第6ターン結果

 載霊機ドレッドノートは 岩手県奥州市へと入った。
 仙台市までの距離は、100kmを切った。
 避難が済み、無人となった街を踏み潰しながら、ただひたすらにグラビティ・チェインを求めて載霊機ドレッドノートは仙台市へと進行していく。

 全世界の人々が、その破壊を伴う侵攻をかたずをのんで見守る中、載霊機ドレッドノートの体内ではケルベロス達の戦いが進んでいた。

●踏破王クビアラ
『性懲リモナク、マタ来タカ、ケルベロス』
 戦場の奥で巨体のダモクレスがケルベロスを恫喝するように合成音声のような声を発した。
 前回の戦いで撃破されたダモクレスの残骸が散らばる戦場に、巨体のダモクレス踏破王クビアラが轟然と立ちふさがる。
 戦力的に追い詰められて尚、その堂々とした体躯は他を圧する圧倒的な存在感を放っていた。
 それも当然であろう。
 このクビアラこそは、長き歴史を戦い抜き、最も多くの敵性デウスエクスに恐れられた最古参のダモクレスの指揮官の一人なのだ。
 実際、彼の最大の特徴である魔障の力の影響を受けないケルベロスにとっても、ヘリオンを撃墜する砲台の開発、2体連携でケルベロスをかく乱する作戦の実行など、決して無視することが出来ない指揮官だった。
 これまではヘリオライダーの予知と、作戦に参加したケルベロス達の活躍により、作戦の阻止には成功している。だが、これ以上、クビアラにケルベロスとの戦闘を経験させる事は危険すぎるだろう。
 そう考えた神宮寺・純恋(陽だまりに咲く柔らかな紫花・e22273)達が、指揮官ダモクレスの中でもクビアラを優先して狙う作戦に出たのは当然だった。

「踏破王なんて言われているあなたを放置はできないですからね。ここできっちり落とさせてもらいますよ」
 純恋は、気合の乗りまくったサーヴァントのテレ蔵君と並んで、クビアラに対して慎重に距離を測る。
 戦況的には優勢といえど、もし、クビアラが何らかの策をもっていたならば、容易に引っくり返る程度の戦力差でしかない。
 ここは、慎重に動かざるを得ないだろう。
「チェックメイト……と言いたいところですが、まだ何かあるのよね?」
 純恋が、確認するようにクビアラに問いかけると、クビアラは、
『カカカ』
 と笑うような声を上げた。剛腕を振りかぶり、
『余リ切リタクハ無カッタガ、事ココニ至レバ止ムヲ得マイ。コノ戦況デ卑怯トハ言ウマイナ!』
 振りぬいた。
 剛腕の一撃は雷雲さえも呼びよせ、轟雷の音を戦場に響かせる。
 その音を合図として、クビアラの残存戦力とケルベロス達の戦いが開始された。

『オ前達ハ、戦闘不能ト成ッタケルベロスヲ狙エ!』
 戦いが始まって数分。クビアラは精鋭部隊と共にケルベロスと正面から戦いながら、雑魚ダモクレス達には、戦闘不能となったケルベロスへの攻撃を命じた。
 クビアラの用意した隠し札であった。
 クビアラは、これまでの戦いで、ケルベロス達が口では命を惜しまないような事を言うが、実際には、仲間の死を受け入れられない弱者の集まりであると洞察していた。
 永遠の命を持つダモクレスであっても、その永遠の命をかけて戦っているというのに、いずれ確実に死が訪れる価値の低い命を大事に守ろうとする。そのような意味不明な行動を取るのがケルベロスだと、クビアラは推理し推測したのだ。
 であるならば、戦場で戦闘不能となったケルベロスを殺そうとすれば、そのケルベロスを救出する事を優先してしまう筈だ。
 多数の戦力がぶつかりあう戦場において、この動きは致命的な隙を作るだろうと考えたのだ。
 だが、純恋達ケルベロス達は、そのクビアラの策略をあざ笑うように、真っ直ぐに敵に向かって攻撃を重ねてきた。
 まるで、倒れた仲間達が死ぬことなどないと信じきっているように。
『何故ダ? オ前達ハ、仲間ノ死ガ怖イノデハ無カッタノカ?』
 そう疑問を口にする踏破王クビアラ。
 彼はいまだ全世界決戦体制(ケルベロス・ウォー)を経験していなかった。
 その効果により、ケルベロス達が死を恐れる必要は薄い。
 もし、クビアラが既に全世界決戦体制を経験していたならば、ダモクレス達は別の作戦をとっていただろう。
 だが、その未来は純恋と、そしてテレ蔵の手により永遠に失われる事になる。
「テレ蔵くん、やっちゃってください!」
 純恋がそう頼むと、元気良く飛び出したテレ蔵くんが手に持つ凶器をクビアラの巨体にねじり込むように突き立てクビアラのコアを刺し貫いた。
 テレ蔵くんによってコアを破壊されたクビアラの巨体は、轟音と共に戦場に倒れ込む。
「あなたの敗因は情報不足かしらね? でもこれで、完全にチェックメイトよ!」
 最後の力を振り絞るように両腕を地について立ち上がろうとするクビアラに、純恋は、勝利宣言を決める。
『ケルベロス、オ前達ハ……マサカ……。伝エ……ナケレ……バ……バ……バ……』
 死に瀕したクビアラは、最後には壊れたレコードのように意味不明の言葉を繰り返しながら、自重を支えきれずに崩壊し崩れ去っていった。
「踏破王クビアラ……。彼を倒せたのは、この戦争の一番の成果かもしれませんね。彼が、この戦争を生き延びていたら、きっと恐ろしい策略を生み出していたでしょう」
 純恋達は、そう胸をなでおろしたのだった。

●ザ・サン
「まさか、この戦場を攻めてくるとは思いませんでしたよ」
 プラネットフォースの統率者、ザ・サンは、呆れたように戦場のケルベロス達に声をかけた。
「イマジネイターを利用して、生きて動くドレッドノートのデータを手に入れられればそれで良かったのですがね。しょうがない、ケルベロスとの実戦データも追加で持ち帰らせてもらいましょう」
 ザ・サンはケルベロスに向けて赤いマントをひらめかせると、電磁サーベルを油断無く構えて戦闘態勢を取った。

「あらら、見た目は紳士的ですのに、随分と残念な方なのですね?」
 共に戦場を駆け抜けたアーニャと共にザ・サンの間近まで迫った旋堂・竜華(竜蛇の姫・e12108)は、ザ・サンの性質をそう評価してみせた。
 イマジネイター配下は敵とは言え、強い絆で結ばれているものが多く、その絆だけは尊敬できるところもあったのに、この男のせいで台無しである。そういう気持ちもあったのかもしれない。

「ふむ、見解の相違ですね。が、汚らわしい定命の者と意見が合わない事は喜ぶべきことでしょう」
 そう言って、ザ・サンが剣を振るう。それにあわせるように、竜巻が戦場を踊り、多くのケルベロス達を巻き込んで打ち据えた。
「確かに、その強さは、指揮官型ダモクレスに匹敵するというのは嘘では無いようですね」
 その戦闘力を認めつつも、竜華は竜縛鎖・百華大蛇を八岐の大蛇のようにゆらめかせザ・サンと正対した。
「ですが、ただ強いだけでは私には物足りないのです。心の強さが無いのならば、その強さはただ強いだけ。私の敵としては不足なのですよ」
 その竜華の言葉を合図とするように、多くのケルベロスが、ザ・サンに向けてグラビティを放った。
 その攻撃の一部をザ・サンは赤いマントを閃かせて避けるが、少なくない打撃を受け、表情を険しいものとする。
「下等生物が……。この私を傷つけるなど、赦される事では無いぞ!」
 そう激昂するザ・サン。
 しかし、竜縛鎖・百華大蛇が深紅の炎をまとい自分に向かってくるのを見て、その顔を恐怖に引きつらせざるを得なかった。
「本気か? オレを殺せば、プラネットフォース本隊が地球に押し寄せるぞ?
そうなれば、この戦いに勝利したとしても地球は終わる。お前達前線の兵如きに、そんな判断がつけられるのか?」
 ザ・サンは、そう言って自分を逃がすように竜華に交渉しようとしたが……、
『炎の華と散りなさい…!』
 詠唱の言葉と共に8本の鎖に貫かれ、物言わぬ死体と成り果てた。

「プラネットフォース……ね。もし、あなた様の仇討ちに来るというのならば相手になるだけです。強敵と闘えるのは、私の望む所ですから」
 竜華はにこりと微笑んでそう言うと、ザ・サンの躯を乗り越えて戦場を先へと進んでいく。
 この先は、イマジネーターの戦場へと繋がっている。

 ドレッドノートの戦いの、最後の決戦が始まろうとしていた。

●(27)レイナGGG07
 かたや、ドレッドノートの太腿部。
 既にケルベロス達は、両足で動作を担当しているディザスター・キングとジュモー・エレクトリシアンを撃破することのできない状況となっていた。
 両足の防衛を担当する『ディザスター軍団』、そして『GGGシリーズ』は、この戦場で与えられた役割を完遂したのだ。
 その状況下において四度攻め込んで来たケルベロス達の姿に、レイナGGG07は、うんざりとしたような表情を見せた。
「ま、また来たの……」
 だが、それも一瞬のこと。
 彼女は手を口元に当て、ケルベロス達を苛立たせるような高笑いをあげる。
「おーっほっほっほっほっほ!! またしつこくやって来ましたわね、ケルベロス! このレイナGGG07の目が黒いうちは、このエリアの制圧などさせはしませ……」
「うおおぉぉぉぉ!! ここはどこなんだぁぁぁぁぁ!!!」
「え、何あれ?!」
 目の前に落下してきたヴェルム・アスダロス(サキュバスの鎧装騎兵・e25579)の姿に、レイナGGG07は驚きと恐怖の入り混じったような声を上げた。
 圧倒的な巨躯。
 絶対飛べないだろうマッスルな翼。
 そして天を突かんばかりに捻れて伸びるドリルの如き二本角。
 頭部の後ろに存在を示す巨大なねじくれた物体は、もしや髪の毛なのか。
「定義が崩れる……まさか私が恐怖を感じているとでもいうの!?」
 鳥形ドローンをけしかけ、ヴェルムの周囲に爆炎を巻き上げる。ヴェルムはうっとおしいと言わんばかりの様子で、レイナGGG07を見た。
「なんだァ、貴様ァ……? 姉者の元へ行くのを邪魔するならばぁぁあ……討つのみよォォォ!!」
 くわっと目を見開いたヴェルムの目が邪悪……もとい正義の意志に満ちた輝きを放ち、熾炎業炎砲がレイナを包み込む。
「けほっけほっ……な、何なのよもう……こんな危険なところにいられるものですか、私は防衛ラインの奥に帰らせてもらうわ!!」
 全身を焦がされたレイナは、盛大に死亡フラグを立てつつも、命からがらその場から逃げだすのだった。

→有力敵一覧

→(6)あずさ実験部隊(0勝1敗/戦力1340→1330)

→(8)シュヴァロイド・ゼブル(1勝0敗/戦力1070→1020)

→(10)智の門番アゾート(1勝0敗/戦力1390→1340)

→(12)英霊機タロマティア(2勝0敗/戦力1970→1870)

→(14)十界天魔(3勝1敗/戦力1140→980)

→(16)踏破王クビアラ(17勝3敗/戦力700→0/制圧完了!)

→(17)ザ・サン(55勝6敗/戦力1870→0/制圧完了!)

→(21)メタルガールソルジャー・タイプS(0勝1敗/戦力1250→1240)

→(27)レイナGGG07(3勝2敗/戦力190→20)

→(28)マルミGGG03(1勝0敗/戦力360→310)

→(29)レイジGGG02(1勝0敗/戦力1240→1190)

→重傷復活者一覧

→死亡者一覧

■有力敵一覧

有力敵 戦功点 現状

踏破王クビアラ
1920
(16)踏破王クビアラ:Battle1にて、テレ蔵くん(神宮寺・純恋のサーヴァント)に倒される。

ザ・サン
1200
(17)ザ・サン:Battle1にて、旋堂・竜華(竜蛇の姫・e12108)に倒される。

レイナGGG07
750
(27)レイナGGG07:Battle1にて、ヴェルム・アスダロス(サキュバスの鎧装騎兵・e25579)に死の宿命を付与される。

戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。

戦闘結果を取得しています。しばらくお待ちください。