爆殖核爆砕戦

■第8ターン結果

●禍つ月のハクロウキ
 大阪城追手門。
 螺旋忍軍「禍つ月のハクロウキ」が、手駒とする屍隷兵と立てこもる城門は既に陥落寸前であった。
 6つの爆殖核のうち5つを爆散し、レプリゼンタ・カンギの守る象神爆殖核の破壊にも目処がついた今、ハクロウキに遺恨を持つケルベロス達が、この追手門へと集まっていた。

「ハクロウキ、貴方は此処で倒します」
 京極・夕雨(時雨れ狼・e00440)の言葉に、多くのケルベロスが同意するようにときの声を上げる。
 今ここでハクロウキを倒す事が、この場に集まったケルベロスの総意だった。
 その証拠に、追手門はケルベロスにより完全に封鎖されており、逃亡する余地は残されていなかった。
 この状況に観念したのか、戦場に、ハクロウキが姿を見せる。
「まさか、レプリゼンタが軍を動かして、これほど一方的な敗北を喫するとは想定外じゃった」
 レプリゼンタの傍ほど、安全な場所は無いはずであったのじゃが……と、吐き捨てるようにそう口にしたハクロウキは、供回りの屍隷兵と共に、無謀にも城門から出て吶喊を開始する。
「何のつもりです、ハクロウキ。観念して討ち死にに来たのですか?」
 突撃してくる屍隷兵を魔力のオーラを背に退けつつ、夕雨は、ハクロウキを挑発する。
 だが、ハクロウキは邪悪な表情のまま、ケルベロスの包囲網を抜けようと突撃を繰り返した。
「この戦いは負けよ。ならば、こんな門を守っても先は無い。生き延びようと思えば、突破するしかなかろうて」
 ケルベロスに完全に包囲された状況、圧倒的な戦力差。
 しかし、それでも、ハクロウキは逃げ延びる事ができる最後の1%の可能性に賭けたのだ。
 城を枕に討ち死にするような潔さなど、ハクロウキに望むべくもない。

「こうしてお会いするのは初めましてなのですが、貴方の事はよく知っています。悪い意味で、命を大切にしていらっしゃるのですよね」
「ほざけ、儂が逃げ出した暁には、ケルベロスの死体で屍隷兵を作る研究をしてやろう。お前達の強さが宿った屍隷兵ならば、どの組織にも引く手あまたじゃ」
 ハクロウキの前に立ちふさがる夕雨。
 そこを潜り抜けて逃げ出そうとするハクロウキ。
 2者の戦いは、巨虚実々の駆け引きと共に白熱していく。
 しかし、それも長くは続かない。
 ケルベロス達が、周囲の屍隷兵を撃破して包囲網を狭めてくるのに対して、配下を失って孤立していくハクロウキは、徐々に追い詰められていったのだ。
 そして、遂に、夕雨のグラビティがハクロウキに届く……。
「この一撃で、撃ち抜きます!」
 夕雨のオーラが弾丸となってハクロウキを撃ち貫く。急所を穿たれたハクロウキは爆散し、木っ端微塵となり四散して飛び散った……。
 そして、飛び散ったハクロウキの首は、地面を転がり、転々と転がり……そして、転がり続けて、そのまま逃走を始めた。
「いやいや……どんな悪あがきですか、それは」
 首になっても逃げ出そうとするとは、その根性だけは評価できるだろう。
「待ちなさい、ハクロウキ!」
 勿論ケルベロス達が、それを放っておくはずもない。
 逃がすものかと慌てて首を追いかけ、その行く手を塞ぐと、今度こそ間違いなく止めを刺すべく、ハクロウキの首を踏み潰した。
「ぐぇげぇぇ!!」
 汚い断末魔の声と共に、ハクロウキの存在はこの世から消え去った。
「貴方が起こした事件に苦しめられもしました。それも今日で終わりです。滅びぬ悪などありはしないのですから」
 こうして、ハクロウキを撃破したケルベロスたちは、追手門から撤退を開始した。


●アダムス男爵
「私は、アダムス男爵だぞ! わかってるのか、私こそがアダムス男爵だ!」
 螺旋忍軍のアダムス男爵は紳士ぶった振る舞いをかなぐり捨て、迫り来るケルベロスの群れに残り少ない屍隷兵を叩きつけながら、必死の形相で檄を飛ばす。
 もっとも屍隷兵は、特に感情をみせる事も無く、ケルベロスに戦いを挑み、そして撃破されていくばかりだ。
「やはりだ! やはり、ケルベロスは危険なのだ。暗殺してでもケルベロスを殺すという私の作戦は正しかったのだ!」
 死の恐怖に慄くアダムス男爵は、見苦しくも喚き続ける。
 確かに、宿敵を使ってケルベロスを一人一人各個撃破する作戦は確かに阻止された。
 しかし、その目的は正しかったのだから、そのまま自分に指揮を取らせ続けるべきだったのだと。
「この私に、螺旋忍軍の全権があれば、どれほどの犠牲が出たとしても、ケルベロスを確実に殺し続けただろう。そうしていれば、今頃はっ!」
 もはや、狂騒とも言えるアダムス男爵の言葉は、それ自体は決して間違ってはいなかったかもしれない。
 だが、立て続けに失態を演じたアダムス男爵の言葉に信を置くデウスエクスが皆無であることは、それ以上に確実な事実であった。

「貴殿はもう終わりだ、アダムス男爵。あの時、逃げずに死んでいれば、晩節を汚す事も無かったろうに」
 片桐・与市(墨染・e26979)は、見苦しく騒ぐアダムス男爵の姿に眉をひそめつつ最終通告を下す。
 屍隷兵をあらかた片付けたケルベロス達は、アダムス男爵を取り囲んでおり、もはやアダムス男爵の命運は尽きている。
「あぁ、あぁああ……」
 アダムス男爵は、生き残る事を諦め、ガックリと膝を付いた。
「私は、どこで間違えたのだ? こんな筈では無かったのに……」
 ブツブツとそう呟くアダムス男爵に、与市は螺旋の力を射ち放った。
「どこで間違えたか……だと? 私達ケルベロスの居る地球に攻めてきたのが最大の間違いだ。私達ケルベロスが在る限り、この地球は必ず護り抜く。
 つまり、お前の敗北はデウスエクスとして地球に攻め込んだ時点で決まっていたのだ」
 アダムス男爵の末期を看取った与市は、消えゆく彼の死体にそう告げると、ロングコートを翻して、戦場を立ち去るのだった。

●レプリゼンタ・カンギ
 先程の戦いで負傷したカンギだが、その負傷をおして前線に再び姿を見せていた。
 自ら先陣を切って敵と戦う。それこそが、カンギの将としての姿勢なのだろう。
 それが将として勇猛果敢とも言えるカンギの姿には、陸野・梅太郎(ゴールデンサン・e04516)も内心で感嘆する。

「けどな、死なないってんなら、何度でも倒すまでだ!!」
 黄金に輝く闘気を纏った梅太郎の拳は、カンギを守らんとする攻性植物を貫く。
 鼻を鞭のように自在に振るい、ケルベロス達とカンギに、梅太郎は告げた。
「出しな……てめーの雷を……! この俺の雷が、喰い破ってやる!」
「大言壮語か、はたまた死にに来たか。ならば、受けるがいい、私の雷を!!」
 カンギが独鈷杵を振りかざす。
 その
「歓喜天聖雷衝!!」
 強烈な稲妻が、ケルベロス達を貫いた。
 攻性植物に対してかけるものとは異なる、破壊をもたらす雷の嵐。
「耐え切ったぞ……そして、聞きな!! 聞こえた時にゃあ、もう手遅れだ」
 雷を帯びた梅太郎の指向性の咆哮が、カンギの大きな耳へと突き刺さる。
 カンギがそれを認識した瞬間、咆哮は雷と化してカンギの体内を駆け抜けた。
 外部からの音撃と電撃の内部破壊による二段構えの必殺技、梅太郎の咆電哮(ハウリングディスチャージ)!!
「どうだ……!! そのデカい耳なら、よく聞こえただろうが!!」
「ぐ……む……」
 激戦にも耐えぬいていたカンギの体が、大きくよろめき、そして地に崩れ落ちる。
 梅太郎がカンギにとどめを刺そうとした、その時だった。
 突如として、巨大な爆発が梅太郎たちを襲った。
「な、なんだぁ!?」
 爆風に煽られ、数度転がった梅太郎が目を瞬かせる。
 その爆風は、戦場にあった象神爆殖核が、攻性植物とケルベロス達の戦いの余波を受けて爆発した時に生じたものだった。
 もうもうと上がっていた土煙が晴れた時、倒れていたはずのカンギの姿は既になかった。
「あいつはまだ死んじゃいねぇな。……けど、偶然にも程があるぞ。これが『殺せない』ってことなのか」
 デウスエクスの魂を喰らう降魔拳士である梅太郎は、カンギが死んでいないことをはっきりと感じ取っていた。
 ケルベロスの力は、デウスエクスにすら死を与えるが、『レプリゼンタ』の力はそれすらも避けて来る。
「他のレプリゼンタもいるっつったな……」
『はじまりの萌芽』は迫っている。
 ユグドラシルの萌芽に呑み込まれる前に、ケルベロス達はユグドラシルからの脱出を果たした。

●はじまりの萌芽
 そしてケルベロス達が脱出して間もなく、『はじまりの萌芽』は開始された。
 動き出したユグドラシルは、しかし爆殖核全ての爆砕によって成長を妨げられ、その被害範囲は最小限に留まる。
 だが、大阪城は今もなお、攻性植物によって支配されている。
 攻性植物のゲート破壊成功率は「18%」という低さからは、既に交戦したカンギ率いる精鋭部隊以上の何かがゲート周辺に潜んでいることが予想された。
「けど、これで終わりじゃねぇぞ」
 既にゲートの位置は割れた。
 遠くない未来、ユグドラシルゲートを破壊し、この地を人類の手に取り戻すのだ。
 ケルベロス達は決意を新たに、戦いの傷を癒すのだった。

→有力敵一覧

→(3)純なる愛の師団(0勝1敗/戦力1520→1510)

→(5)追手門(8勝1敗/戦力120→0/制圧完了!)

→(6)人形部隊(0勝1敗/戦力1350→1340)

→(7)スポアローカスト隊(0勝1敗/戦力1390→1380)

→(9)パティシエール洋菓子隊(0勝1敗/戦力1240→1230)

→(10)蠱中天忍軍(0勝1敗/戦力1260→1250)

→(11)火怨樹林隊(1勝1敗/戦力980→920)

→(16)怪竜大森林(1勝1敗/戦力1480→1420)

→(18)落とし子の巣(1勝0敗/戦力1300→1250)

→(21)エルムト(2勝0敗/戦力1360→1260)

→(22)象神爆殖核(37勝36敗/戦力1250→0/制圧完了!)

→重傷復活者一覧

→死亡者一覧

■有力敵一覧

有力敵 戦功点 現状

禍つ月のハクロウキ
750
(5)追手門:Battle1にて、京極・夕雨(時雨れ狼・e00440)に倒される。

アダムス男爵
780
(5)追手門:Battle2にて、片桐・与市(墨染・e26979)に倒される。

レプリゼンタ・カンギ
2000
(22)象神爆殖核:Battle1にて、陸野・梅太郎(ゴールデンサン・e04516)に倒される。

戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。

戦闘結果を取得しています。しばらくお待ちください。