■第6ターン結果
●ケルムト
地球の北欧に伝わる神話において、アスガルドの神々がユグドラシルに辿り着くには二つの川を越える必要があったと伝えられる。
一つは、ケルムト、もう一つはエルムトだ。
今、地下深くに隠されたユグドラシルゲートへ向かうケルベロス達の道行は、地下を流れる川によって阻まれていた。
その2つの川も、神話の2河川と同じ名を与えられていることが、ヘリオライダーの予知により判明している。
「まあ現実には川を渡るのはアスガルド神じゃなく俺達で、ついでに川を守っているのは死神率いる攻性植物群だけどね。……はぁ……」
盛大に溜息をつく二藤・樹(不動の仕事人・e03613)に、御子神・宵一(御先稲荷・e02829)が髪の下から視線を向けて来る。
「今更何を言っているんですか」
「寒いし暗いし、来るには泥沼を通って来ないといけないし、ケルムトはエルムトと違って橋が無いから濡れるし冷たいし寒いし、早く家に帰って休みたいというのは、全自宅警備員の願望だと思うんだ」
「寒い2回言ってますよ。……早く帰るためにも戦うしか」
「いや、でもこの戦争、早く終わるってことなくね……!?」
「……おっと、敵です」
誤魔化すように言って、宵一は斬霊刀『若宮』を手に前線へと向かっていく。
それを援護するべく両手に持った爆破スイッチをポチポチしたり、時折連打の練習をしたりリズミカルに押したりしていた樹は、水面の上を滑るように飛ぶ青い影を捕捉して爆破スイッチをポチった。
「あいつは……!?」
突如として生じる爆炎を軽々とかわしたのは死神チルチル。
童話の登場人物のような名を持つ、人魚型死神にしてこの川を守る守備隊の指揮官だ。
その翼とも、熱帯魚のヒレにも思えるような腕が空を薙ぐたび、青い羽根状の魔力塊がケルベロス達へと降り注ぎ、痛打を与えて来ている。
「上の爆殖核はみんな破壊されちゃったみたいだね。でも、カンギのとこには行かせないよ!」
身震いしながら自分を見上げる樹の姿に、チルチルは宙に浮いたまま彼を見下ろす。
「へえ、どうしたのお兄さん。ボクが怖いの?」
「なんて露出度だ……寒くないわけ!? 別の意味で怖い!!」
言いながらも爆破スイッチをぽちっと押すが、チルチルはその爆風を空中でひらりとかわしてのけた。そのまま空中を泳ぐように、樹へと降下して来る。
「冥府の海はもっと冷たくて寒いんだよ。お兄さんも行ってみるといいよ!」
降下して来るチルチルの腕に、凍てつくような冷気が宿る。
逃げるように距離を取りつつ、樹は叫んだ。
「いまだ宵一!!」
叫び声と共に、横合いから飛び込んで来た宵一がチルチルへと斬りかかる。
だが、チルチルはあざけるような表情でそれをかわした。
「奇襲するのに叫んだらバレバレじゃん!」
「いや、それでいいんだよ。足元……いやヒレ元にお気をつけくださいっと」
「え?」
樹がサッカーボールを蹴り飛ばすような動作をした次の瞬間、透明な何かがチルチルに当たり、爆炎が彼女を呑み込んだ。
勢いを失い墜落したチルチルに、宵一が刃を突き立てる。
「とどめを!!」
「はいよ!!」
爆破スイッチの固い部分にグラビティチェインを篭め、樹は徹底的に少女の顔を持つ死神を叩きのめした。
「犯罪的な絵面だけど、これもケルベロスの活動なので問題は無い……はず」
実際に問題は無かった。
「まあ、あんたとカンギとの友情より、こっちの連携の方が上だったってことで」
消えゆくチルチルにそう告げると、樹達は川を渡り、その先を目指す。
そしてケルベロス達は、レプリゼンタ・カンギの元へと辿り着く。
ケルムト守備隊からの増援も減じている。
最後の爆殖核の爆砕を為せるか、爆殖核爆砕戦最後の攻防が始まろうとしていた。
→有力敵一覧
→(3)純なる愛の師団(0勝1敗/戦力1630→1620)
→(5)追手門(7勝2敗/戦力800→430)
→(6)人形部隊(1勝0敗/戦力1450→1400)
→(7)スポアローカスト隊(1勝0敗/戦力1450→1400)
→(9)パティシエール洋菓子隊(0勝1敗/戦力1260→1250)
→(10)蠱中天忍軍(0勝1敗/戦力1280→1270)
→(11)火怨樹林隊(1勝0敗/戦力1080→1030)
→(16)怪竜大森林(1勝1敗/戦力1590→1530)
→(18)落とし子の巣(1勝0敗/戦力1400→1350)
→(20)ケルムト(46勝13敗/戦力2000→0/制圧完了!)
→(21)エルムト(10勝3敗/戦力2000→1470)
→重傷復活者一覧
→死亡者一覧
■有力敵一覧
戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。