爆殖核爆砕戦

■第5ターン結果

●シルベスタ
 大阪城のシンボルである天守閣。
 攻性植物の侵略寄生により、大きく地形を変えた大阪城においても、爆殖核の一つ、天守爆殖核を擁する最重要地点の一つとなっていた。
 その天守閣の一角で、シャイターンのシルベスタは、ラタトスクと共に攻め寄せるケルベロスを迎え撃つべく準
備を整えていた。
 ラタトクスが天守閣の西側の防衛に向かった後、東側に残ったシルベスタの元にも、ケルベロス達が駆けつけてくる。
 決して楽観すべき状況では無い筈だが、シルベスタの表情はどこか楽しげだ。

「レプリゼンタ・カンギはやはり話がわかる。この爆殖核を守りきれば、地上から吸い上げたグラビティ・チェインの一部をイグニス様に譲ってくれるというのだからね」
 クククと笑いながら、そうのたまうシルベスタを、オランジェット・カズラヴァ(黎明の戦乙女・e24607)が怜悧な声が遮った。
「イグニスは既に死んでいる……でしょう? それに……、あなたもこの爆殖核を守りきる事はできません……。二重の意味で、あなたの望みは適う事は無い……」
 人馬宮ガイセリウムでの戦いで、エインヘリアルの第五王子イグニスは滅ぼされている。
 死に際に世迷い言を言っていたようだが、死亡したという事実に間違いは無いのだ。
 オランジェットは、その勢いのまま、シルベスタに襲い掛かる。
「このまま押し切ります……」
 シルベスタも決して弱くない。
 だが、爆殖核を守る守護者としては、明らかに力不足だった。
 ラタトスクと2人で1人前といったところか。
「かすみがうらで多くの若者を害したあなたの罪を、今、贖わせてあげましょう……。
 深淵からの声を聞け。其は永久に横たわる死者にあらねど、測り知れざる永劫のもとに死を超ゆるものなり――サラハ・アル・アジフ!」
 オランジェットが声に応えるように、おぞましい闇がシルベスタの足元から噴出し、その体を巻き上げと激しい爆雷の音と共に打ちのめす。
 シルベスタの体は、不出来な人形のように踊り、天守閣の壁に叩きつけられた。
「あなたの悪巧みも、ここまでです……。コギトエルゴスムも残さず消え去りなさい……」
 勝利を確信したオランジェット。
 だが、シルベスタの笑みが崩れる事は無かった。
 シルベスタは、明らかに致命傷を負っている。彼の命は、風前の灯だ。
 であるというのに、
「フフフ、ありがとうケルベロス。実はカンギとの約束は2つあったのさ。万が一、天守爆殖核が爆砕した場合、その爆砕によって発生するグラビティ・チェインを、イグニス様の為に使わせてもらとね。爆ぜろ、爆殖核……!!」
 その言葉と共にシルベスタの体を爆散した。
 爆発を契機とし、天守爆殖核が急激に力が高まっていく。
「まさか……、そんな事が……」
 慌てて、爆殖核の元に向かうオランジェット達であったが、爆殖核の爆砕を止める手立てなど無い。
 ケルベロス達は、目の前で爆殖核が爆砕し、その力の一部がいずこへともなく飛び散っていくのを見送るしかなかった。

「……第五王子イグニス……死んだはず、ですよね……?」
 少しの不安を残しつつも、天守閣の爆殖核も爆砕される。
 爆殖核爆砕戦は、佳境を迎えようとしていた。

●ラタトスク
 大阪城天守閣の西側は、攻性植物とケルベロスの激戦の地となっていた。
 数多くの恐ろしげな外見の攻性植物が闊歩し、それぞれに独自の攻撃方法でケルベロスに戦いを挑む。
 敵の種類も数も多い戦場だったが、しかし、ケルベロス達も負けては居ない。
 ある時は個々の力で、ある時は連携して、攻性植物達に対抗し、その数を減らしていったのだ。

「ダブルディバイド!」
 そんな中、敵攻性植物をグラビティで打ち据えた白銀・ミリア(ピストルスター・e11509)は、戦場に紛れて木の実を投げてくる一体の攻性植物を目視する。
 かつて、かすみがうらで若者達にオーズの種を渡していた攻性植物、ラタトスクだ。
「かわいいリスの姿しててもあたしは騙されないぞ!! ここで核をぶっ飛ばして戦況を傾けてやる」
 ミリアは、そう言うと、ラタトスクを狙って攻撃を仕掛ける事とする。
(「確か、この攻性植物は、イグニス王子配下のシャイターンに協力していたんだぜ。そして、イグニスの拠点『ガイセリウム』には、アスガルド神ヴァナディースも居たじゃん」)
 ミリアは、これが符丁のように感じていた。
「もしかして、レプリゼンタ・カンギとイグニス王子が協力関係にあったんじゃねぇの?
エインヘリアルと攻性植物は仇敵同士だが、あのイグニス王子ならばありうるぜ!」
 それを問いただすべく、ラタトスクに攻撃を仕掛けるミリア。
「答えろ、ラタトスク!」
「きゅい?」
 だが、残念ながらラタトスクに言葉は通じなかったようだ。
 逆に、可愛い姿にミリアが少したじろいでしまう。
「むぅ、やむをえないぜ。どちらにせよ、お前はここで倒さねばいけないんだ」
 そう言うと、ミリアは、心を鬼にして、自らの破壊のイメージを増幅して具象化していく……。
「受け継ぐ力を解き放て!!!」
 その具象化されたイメージは、ミリアの詠唱と同時に、砲撃となりラタトスクに叩きつけられる。
 ラタトスクは、手に持った木の実でその攻撃を受けようとするも、木の実ごと砲撃で貫かれ、その体に風穴が開き……、
「きゅうぃぃん?」
 哀れな鳴き声を残して絶命したのだった。
 その鳴き声に、ミリアは少し罪悪感を感じたが、その罪悪感を降りはらうように、戦う前と同じセリフを口にしたのだった。
「かわいいリスの姿しててもあたしは騙されない……ぞ」

●竜忍爆殖核
 竜忍爆殖核を破壊しようと攻め込んだケルベロス達は、螺旋忍軍と攻性植物に侵食された屍隷兵とを撃破しつつ、戦場を進む。
 目標は当然、竜忍爆殖核の破壊である。
 爆殖核を一つでも残せば、大惨事になる。
 そして、全ての爆殖核を破壊する為には、目の前のデウスエクスを撃破せねばならない。
 近畿地方を崩壊から救おうとするケルベロスは、幾度かの波状攻撃の末についに、竜忍爆殖核を破壊できるポイントまで到達する事に成功したのだった。
「いい加減しつけーな! そろそろ退場の時間だぜ!」
 峰岸・雅也(ご近所ヒーロー・e13147)は、戦場に散らばる屍隷兵や攻性植物、或いは、竜人忍者・羅剛の分身体をかきわけて、戦場を闊歩する。
 そして、遂に、強大な力を感じさせる一体の螺旋忍軍に相対した。
「見つけたぞ、竜人忍者・羅剛! 俺がお前に引導を渡してやるぜ! 」
 雅也は、そう叫ぶと、竜人忍者・羅剛を戦いを挑むと、周囲のケルベロス達も意気軒昂とその後に続いた。
 もはや羅剛の分身も打ち止めなのだろう、増える気配はない。
 だが、羅剛本体は、そのケルベロス達の勢いにもひるまずに、堂々と迎え撃った。
「何度来ても無駄だ、ケルベロス! 何度でも撃退してやろう!」
 羅剛は、得意とするドラゴンの力を利用して生み出した竜人忍法を繰り出して来る。
 その破壊力は、確かに豪語するだけのことはあったろう。だが、ドラゴンにすら恐れず立ち向かうケルベロスが、それを恐れる程の事は無い。
「お前はハクロウキの配下だったな? 安心しろ、ハクロウキも必ず殺してやるからな!」
 だから安心して死ね。そう言って、雅也は愛用の日本刀を鞘に納めた。
 そして納刀したままで、ジリジリと間合いを詰める。
 羅剛もまた、雅也のただならぬ気合に押されるように距離を取った。
 空気が重く感じられるような緊迫感の中、勝負を決めたのは、一閃の斬光だった。
 裂帛の気合と共に放たれた雅也の日本刀は、その間合いから更に斬撃を飛ばし、羅剛の体を深く切り裂いたのだ。
 羅剛は、信じられない様子で深く切り裂かれた自らの体を見下ろした。それが致命傷であるのは、誰の目にも明らかであっただろう。
「くっ、無念……。カンギ殿、すまぬ、俺はここまでのようだ」
 消滅を悟った羅剛は、主である筈のハクロウキでは無く、雇用主であるカンギに対して侘びを言うと、ケルベロス達に向き直った。
「俺を倒したのは見事だ。だが、既に、屍隷兵のデータは仲間の螺旋忍軍に渡っている。つまり、俺の勝利だ」
 そう言うと、羅剛は彼の守護していた爆殖核と共に爆散し、塵となって消えた。
「チッ、最期まで負け惜しみか」
 雅也は、自らの負けを認めずに死んだ羅剛に舌打ちをしつつ、表情を曇らせた。
(「攻性植物によって強化された屍隷兵のデータか、厄介な事にならなければいいが……」
 ケルベロス達は、嫌な予感を感じつつも、今は目の前の戦いに集中しようと、次の戦場へと進むのだった。

●ドロロクイーン
「美しい花ですが……あれが、ドロロの女王?」
 闇に満ちた地下の沼地に咲き誇るドロロクイーン。
 アシュレイ・クラウディ(白翼の騎士・e12781)は、咲き誇るドロロクイーンの姿と、周囲にはびこるドロロ達の醜い姿に著しいギャップを感じていた。
「爆殖核は、あのドロロクイーンの足元ですか!!」
 強い力を感じ、アシュレイはそう看破する。
 馥郁とした香りを漂わせるドロロクイーンを守らんと、泥濘をかき分けて姿を見せるドロロ達。
 ケルベロス達は泥沼の戦いを強いられるかに思われたが、幸いにもドロロ達の数はそれほど多くは無い。
 だが、ドロロクイーンがその身を震わせると同時に、ケルベロス達の動きが止まる。
「くっ……! さすがに、手強いですね……」
 ドロロクイーンのあまりにもかぐわしい香りを受け、ケルベロス達が陶然とした表情のままに動きを止める。
 醜いドロロ達が蔓状の触手を巻き付け、泥中へ引きずり込んでいく。
 その光景の中でも、ドロロクイーンの花は汚れを受けることもなく、ただ美しいままに戦場を見下ろしていた。

 翼と剣を振るい、掴みかかって来るドロロ達を斬り飛ばしたアシュレイは、泥の上を滑るように飛び、ドロロクイーンを目指す。
 泥中から飛び出してくる蔓触手。アシュレイは翼を一打ちして横へと回転しながら、斬霊刀『朧夜』を振るった。
 白く澄んだような輝きと共に、ドロロホステスの触手が切り裂かれる。

 ドロロ、ドロロン、ドロロロン、ドロロ魔人と、倒すたびに強化版が出現し続けていた奇怪な攻性植物群。
 事件と関わり続けたケルベロス達ですら、その存在した理由も、出現の意図も分からないままだった。
 だが、ついに現れたドロロクイーンの姿、そしてその周囲に侍る新種のドロロの姿に、アシュレイはふと思う。ドロロ達は、人間の姿を得ようとしていたのではないかと。
「ですが、私達も、ここで立ち止まるわけにはいかないのです……!!」
 翼を一打ち、ドロロクイーンの前で急激な減速をしたアシュレイの前で、泥をはね上げるようにして触手が現れる。
 その時既に、アシュレイはドロロクイーンを見下ろす位置にいた。
 背の翼が神々しく光り耀き、白光の粒子が朧夜に宿る。
「光の力が宿りし剣よ……その力を解き放ち、我が力ここに示せ……!」
 大上段から振り下ろされた朧夜は、一直線にドロロクイーンの巨体を両断した。

『DRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRR!!!』

 泥濘の上に着地したアシュレイは、響き渡る悲鳴を聞きながら、さらに朧夜を手にドロロクイーンの足元付近の泥濘へと踏み込んだ。
「泥泥爆殖核……爆砕します!!」
 突き刺すと共に確かな手ごたえが返る。
 次の瞬間、生じた爆発はドロロクイーンの全身を消し飛ばしていた。

→有力敵一覧

→(3)純なる愛の師団(1勝1敗/戦力1740→1630)

→(4)竜忍爆殖核(26勝4敗/戦力1340→0/制圧完了!)

→(6)人形部隊(1勝0敗/戦力1500→1450)

→(7)スポアローカスト隊(1勝0敗/戦力1500→1450)

→(9)パティシエール洋菓子隊(1勝0敗/戦力1310→1260)

→(10)蠱中天忍軍(1勝0敗/戦力1330→1280)

→(11)火怨樹林隊(0勝2敗/戦力1100→1080)

→(14)天守爆殖核(24勝5敗/戦力1088→0/制圧完了!)

→(16)怪竜大森林(1勝1敗/戦力1650→1590)

→(18)落とし子の巣(1勝0敗/戦力1450→1400)

→(19)泥泥爆殖核(14勝4敗/戦力580→0/制圧完了!)

→重傷復活者一覧

→死亡者一覧

■有力敵一覧

有力敵 戦功点 現状

竜人忍者「羅剛」
900
(4)竜忍爆殖核:Battle1にて、峰岸・雅也(ご近所ヒーロー・e13147)に倒される。

シルベスタ
660
(14)天守爆殖核:Battle1にて、オランジェット・カズラヴァ(黎明の戦乙女・e24607)に倒される。

ラタトスク
540
(14)天守爆殖核:Battle2にて、白銀・ミリア(ピストルスター・e11509)に倒される。

ドロロクイーン
1600
(19)泥泥爆殖核:Battle1にて、アシュレイ・クラウディ(白翼の騎士・e12781)に倒される。

戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。

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