■第6ターン結果
ケルベロス達の攻勢は、ついに暴殖要塞アポルオンの最深部、ローカスト達によって鉄壁の守備を敷かれたローカストゲートの守備隊に手を届かせるまでに至った。
イェフーダーや植体のディクトデア達『ストリックラー・キラー』が増援を送り込んではいるが、もはやその増援も焼け石に水だ。
だが、その劣勢にも怖じることなくローカスト達は戦い続ける。
彼らを支えているのは、彼らの指揮官たる『統合王ジューダス』その人の存在だ。
「聞け、勇敢なる我が同胞(ローカスト)よ!!
ケルベロスどもを鏖殺せしめ、ゲートを守り切るのだ!!」
オウガメタル『烈火』の遺した剣を手にし、ジューダスはそう号令する。
その守りを挫くべく、ケルベロス達もまた、果敢な攻撃を仕掛けていった。
●ヘラルド先遣隊
一方、暴殖要塞アポルオンの下層では、いまだに甲殻列車を駆るヘラルド先遣隊の蟻型ローカスト達と、ケルベロス達との戦いが繰り広げられていた。
甲殻列車を駆使した機動戦を仕掛ける隊長の『ヘラルド』。
そして、彼と同じく太陽神アポロンに仕える蟻型ローカスト「イクソス・アーミー」の司令塔たる『イクソス・カーネル』。
ケルベロス達の再三に渡る攻撃によって、大きく戦力を削られながらも、彼らはいまだ列車を走らせ続けていた。
「アポロン様からの命令は無いデスカ?」
「無い。このまま前線に留まり暴殖を続けろということだ」
イクソス・カーネルの言葉に、ヘラルドはそう応じる。
両者の視線が交錯した。
「ということは……何も考えてないデスナ、あの神!!」
「だろうな。だが、ならばこそ俺達にもやりようがある。しつこく食い下がって来る敵もいるが、撤収の準備はしておけ」
甲殻列車のレバーを『飛行モード』に入れる準備をしつつ、ヘラルドはそう告げる。
暴殖要塞アポルオンを巡る戦いは、最終局面へと差し掛かっていた。
●さらば、特務戦隊インセクター
特務戦隊インセクター。
それは、ローカストであれば知らぬものの方が少ないヒーロー部隊の名称である。
彼らは、その名に恥じない戦いを繰り広げた。
ローカストゲートを破壊すべく押し寄せるケルベロスの猛攻を、最初の戦いでは隊長たるレッドホッパーの無双によって跳ね返し。
2度目の戦いでは、死を覚悟したレッドホッパーを、ブラックアントとブルーホーネットが間一髪で救い出すという激的な展開によって、撃退してのけたのだ。
「俺達が戦い続ける事が、ローカストゲートを引いては、統合王ジューダスの助けとなるのだ!」
レッドホッパーは、残存する特務戦隊の仲間達に、戦いぬく意志を示す。
遠からず自分達は全滅するだろう。
もはや、生きて帰る望みは無い。
だが、それでも、退けぬ戦いが、ここにある。
既に、残存している戦力も、開戦当初の20分の1に過ぎず、その戦力は形骸に過ぎなかった。
敢えていえば、残りカスであったろう。
だからといって、この戦場を無視する事はケルベロスにはできなかった。この特務戦隊を残しておけば、戦後に大きな禍根を残してしまう可能性があるのだ。
そう考えたケルベロス達は、残敵を相当する為に、この戦場へと足を踏み入れたのだ。
だが、数は大きく減らしても、特務戦隊の士気は決して低くない。
その証拠に、ケルベロス達を、迎え撃つべく4つの爆発音が響きわたる。
爆発音も赤、青、黒、白の煙幕も、最初の頃に比べれば、かなり小規模に元気が無くなっていたが、それでも、特務戦隊の戦意を高揚させる効果が発揮された。
『ローカストの興亡、この一戦にあり!』
4色の煙幕が示すは、その覚悟なのだ。
「さぁ、もう一度勝負だ、ケルベロス! 俺は……いや、俺達は、絶対に負けない!」
そのレッドホッパーの言葉に、レッドホッパーと共に戦場の中央でポーズを取っていた、ブルーホーネットが、ブラックアントが、ホワイトモスが頷いて、それぞれの残り少ない配下を引き連れて戦場に散っていった。
その場に残った、深紅のローカスト、レッドホッパーに相対したのは、チャールストン・ダニエルソン(グレイゴースト・e03596)であった。
「あなた達こそ、熱き魂を持つ特務戦隊です。レッドホッパー、アナタと小細工なしの真っ向勝負を挑みます!」
チャールストンは、そう言いつつ、レッドホッパーの周りを油断無くまわりつつ、戦機をうかがった。
対するレッドホッパーはチャールストンの動きを警戒しつつも勇猛果敢に攻めに打って出る。
「この戦力で勝利すれば、それは奇跡だろう。だがな、奇跡は何度でも繰り返す、いっけー!! レェェェッド、キィィィィック!!」
このレッドホッパー回転とび蹴りを合図に、ケルベロスと特務戦隊インセクターの最終血戦の幕が切って落とされたのだ。
ケルベロスと特務戦隊インセクターの最終血戦で、最初に決着したのは、ホワイトモスの戦場であった。
「何ていうか…どの星にも居るんだね、キミみたいなの。なんだか…調子狂うって言うかやりにくくなっちゃうな」
そう困ったようにつぶやきつつ、雨月・シエラ(ファントムペイン・e00749)がエアシューズを駆って、ホワイトモスに肉薄する。
そこから繰り出されるのは、華麗にして必殺のスターゲイザー。
多くのケルベロスの攻撃により、動きが阻害され甲殻に皹が入っていたホワイトモスに防げるものでは無い。
流星の煌きのように舞いおりたシエラの足の下で、ホワイトモスは、その命を失わんとしていた。
「納得できませんわ! やり直しを要求します!」
ホワイトモスは、シエラの足下に踏みつけられながらも、最後まで諦めずにやり直しを要求した。
自分ひとりだけ見せ場も無く倒される事も、誰かに踏みつけられて倒される事も、納得いかないのだろう。
勿論、それをケルベロス達が認める筈も無い。
「確かに少し不遇だと思うよ。でもね、私たちも、この星の命運がかかった戦いをしているんだから。絶対に手は抜かないよ……!」
シエラはそう言うと、ホワイトモスに鉄塊剣を突き立てて止めを刺す。
ホワイトモスは最後まで納得できないという表情でシエラを見たが、最後の力を振り絞り、足下から抜け出すと、少しでも格好良いポーズを取ろうともがくのだった。
「私は、ホワイトモス……。最後まで華麗に……」
そして、かろうじて取る事ができたポーズと共に、彼女の背後で白い爆煙がごく微量発生し、その爆煙と共に、彼女の死体は白い爆煙となり、空へと登っていった。
それこそが、彼女の選んだ死に様であるかのように……。
ホワイトモスが白き爆炎と共に命を散らした後も、戦いは続く。
次の決着がついたのは、意外にもレッドホッパーの戦場であった。
「皆、良く戦ってくれている」
特務戦隊という群れが、ケルベロスの前に全滅するという近い未来を予想しつつ、レッドホッパーは、強い意志で戦い続ける。
「俺達は望んで、ローカストゲートを守護する為の捨石となる事を選んだのだ。今ここで、全滅したとしても、後悔は無い」
レッドホッパーの言葉には強い意志が宿っており、その意志はチャールストンにも伝わっていた。
「互いが互いの大切な物を守るための戦い……さすがのアタシも胸熱です」
「ふん、俺の魂は最初から震えていたぞ」
チャールストンの言葉に、レッドホッパーは魂の震えを伝えるように筋肉の躍動させて応えた。
2人は顔を見合わせて、そして、頷きあう。
次が最後の攻撃であるのが、互いにわかったからだ。
「今必殺の、レェェェッド、キィィィィック!!」
「させません。世界は舞台。神々は観客。生者は演者。人生は花道……アナタは登場する。見る。歩む。そして今……『退場』する。
Ruler of the World!」
レッドホッパーの必殺キックが炸裂する直前、チャールストンのルーラー・ザ・ワールドが完成する。
チャールストンの体内で練り上げられたグラビティチェインが凝縮し弾丸となる。
弾丸は必殺のキックを放とうと肉薄したレッドホッパーに向けて撃ち放たれた。
レッドホッパーは空中で撃墜され、地に墜ちた。
「うむ、見事だ」
チャールストンが放った弾丸は、狙いあやまたずレッドホッパーの胸郭を貫きとおしていたのだ。
レッドホッパーは、どうと音を立てて地面に激突しつつも、立ち上がり、そして、最期の力で得意のポーズをとると、その姿勢のまま死亡したのだった。
その死に様は、特務戦隊としての意地であったのだろう。
「どちらの思いが上とか下ではない。……いい戦いでした」
特務戦隊の勇敢な戦いに敬意を感じたチャールストンは、そう言いのこすと、立ったまま死んでいるレッドホッパーを残して、戦場を去るのだった。
隊長たるレッドホッパーが倒れた後、特務戦隊の生き残りを指揮するのは、副隊長のブルーホーネットの仕事であった。
だが、その彼もまた、チェリー・ブロッサム(桜花爛漫・e17323)の猛攻の前に力尽きようとしていた。
「窮鼠猫噛……油断したね?」
桜色のオーラから放たれた暴食拳聖の凝血大牙が、ブルーホーネットを食い破る。
既に満身創痍となっていたブルーホーネットは、元気いっぱいに動き回る桜色のうさぎのウェアライダー、チェリーの動きについていくことはできなかったのだ。
「やはり勝てなかったか。だが、俺を倒したのがオウガメタルに認められたケルベロスであるのならば、悔いは無い」
戦場に倒れたブルーホーネットは、今わの際に、自らに止めを差したチェリーの手を取った。
「どうか、お前達は、オウガメタルと共に誇り高く生きてくれ。それが、敗れ去った俺達の最後の望みだ」
そのブルーホーネットの最期の言葉に、チェリーは頷いて答えた。
「わかったよ。ボク達に任せて、きっと、オウガメタルに恥じない戦いをしていくから」
そのチェリーの言葉に、ブルーホーネットは安心したように微かにうなずくと、抜け殻のようになって死亡した。
そして、戦場に立っているのは、ブラックモス一体のみとなった。
特務戦隊インセクターの盾役として戦い抜いた彼が、最後の最後まで生き延びたのは、盾役の面目躍如といったところだろう。
だが、何事にも終わり……滅びはある。
「あなたは良く戦いました。ですが、ここまでです」
重傷を押して戦場に出ていた美城・冥がブラックアントに必殺の月光斬を放った。
その弧を描く斬撃は、吸い込まれるようにブラックアントを切り裂き、ブラックアントの命を刈り取ろうとする。
ブラックアントは、死を象徴するようなその斬撃をもはや避けられないと悟ったのだろう。抵抗を諦め、そして死を受け入れた。
「どうやら、俺が最後のようだ。だから、もうここらで終わりとするよ。最後に、礼を言おう、ケルベロス。最後の最後に納得できる戦いができたのだから……」
「礼を言われる事ではありません。ですが……、私もあなた達と戦えた事を誇りに思います」
冥は、死にゆく敵将に敬意を払いつつ、戦場を後にする。
そして、特務戦隊インセクターは最後の一体まで全て戦いの中に散っていった。
さらば、特務戦隊インセクター。
君たちの勇姿は、きっと、ケルベロス達の記憶に残ることだろう。
→有力敵一覧
→(3)ヘラルド先遣隊(2勝7敗/戦力400→300)
→(6)ヘルクレスト侵略部隊(1勝0敗/戦力1200→1150)
→(7)ストリックラー・キラー(7勝4敗/戦力1250→900)
→(9)狂愛母帝アリア(2勝1敗/戦力1650→1550)
→(10)特務戦隊インセクター(4勝3敗/戦力100→0/制圧完了!)
→(11)スコルピア・ヴェノム(10勝2敗/戦力1600→1100)
→(12)狂愛のポリリャエラ(0勝1敗/戦力1800→1800)
→(14)阿修羅クワガタさん(6勝2敗/戦力1700→1400)
→(17)ローカストゲート(30勝13敗/戦力2250→750)
→重傷復活者一覧
→死亡者一覧
■有力敵一覧
戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。