■第4ターン結果
●六花の女王
ケルベロス達が、瓦礫となり果てつつある六花の王国の最深部に辿り着いた時、その中に佇む蜂型ローカスト『六花の女王』は、静かにその光景を眺めていた。
「なんだか、悲しそう、です」
虫の表情は分かり辛いが、雪白・メルル(雪月華・e19180)はそう思う。
緋色蜂師団の奇襲攻撃に始まり、ケルベロス達の攻撃を受けた六花の王国は荒れ果てている。既に、この場に集っていた百花部隊も、そのほとんどが撃破されていた。
『……私の子供達が、私の王国が……こうも無残に……』
呟く六花の女王の周囲に、群体型デウスエクス、『百花部隊』が彼女を慰めるように群れ集う。彼らはすぐに飛翔すると、ケルベロス達との戦闘を開始していた。
『ですが、我が子らよ……。あなた達の弟妹たちに、豊穣たるグラビティ・チェインに満ちた地球を与えるため……どうか、最後まで頑張って下さい』
そこに自らのグラビティ・チェインを分けた子を失った母としての悲しみはあれど、戦いを躊躇する様子は無い。生き延びる未来があれば、さらなる子供達を産むことができることを確信しているのだ。
「そんな、ことって……!」
メルルはライトニングロッドから放つ雷によって、蜂の群れを焼きながらその顔をしかめた。
ちなみに百花部隊の『父』はといえば、適当な下級ローカストである。
元々枯渇気味のグラビティ・チェインをさらに子供を作るために使わされた夫(だった下級ローカスト)の中には知性を喪失する者もいたが、それは彼女と、彼女の王国にとって必要な犠牲であった。
六花の女王は母であり、だが同時に、女王でもある。
『太陽神アポロンの命令に背くことなどできましょうか。その必要がありましょうか』
本来的に命を失うということのないデウスエクスだ。
地球環境における理性の喪失を克服した六花の女王には、命を惜しむという観念すらないのかも知れない。
「だとしても……!!」
メルルの手にしたライトニングロッドに、光が宿る。
「あなたを、逃がすことは、できません……!」
命を育むべき母が子を戦力として使い捨てる。その事実に極大の違和感を抱きながら撃ち出された雷光は、六花の女王を貫き王国に終焉をもたらすのであった。
●傭蜂集団
傭蜂集団は、ケルベロス達の攻撃によって壊滅しつつあった。
『十分に仕事はした。生き残りの者は、レギオンレイドに帰還しろ!』
先ほど受けた手傷が癒えぬ中で、ケルベロス達を倒した次代の女王が、生き残った僅かな傭蜂集団のローカスト達にそう命令を下す。
ケルベロス達との戦いで成長した彼女は、確実に女王への成長を果たそうとしていた。
もしもレギオンレイドに帰還したならば、新たな女王を得た傭蜂集団は、再び隆盛の時を迎えることができたかも知れない。
だが、自らもガンナー兵の一体を押して撤退しようとした彼女は、その背後で起き上がった九道・十至(七天八刀・e01587)に気付かない。
「ちょいと付き合ってもらうぜ。何、一分とは言わねぇ、一太刀だ……!!」
十至の翼が六枚に増える。
次代の女王が振り返った瞬間、彼の体は一気に加速した。
肉体の限界を超えた速度で繰り出された四天の刃は、次代の女王を捉え、そして貫き通す。
そのまま次代の女王を巻き込むようにして倒れ込んだ十至の下で、次代の女王となるはずだったランサー兵の体が消滅していく。
「へっ……なんともしまらねぇな」
もはや『ソーシャル・ネスト・シグナル(SNS)』から情報を回収する力もなく、倒れ込んだ十至は、そのまま目を閉じ、気を失った。
●ナイト・シーカー
「生きている者は、返事をしろ……」
そう言って、ナイト・シーカーは戦場を振り返る。だが、返事をする者はいない。
先の戦いが終わった段階で、統合王ジューダスから彼に預けられていた戦力は僅かとなり、いまや彼一人となっていた。
炎に包まれた体で立ち上がり、ナイト・シーカーはケルベロスとの戦いで散っていった仲間達の為に瞑目した。
その前方に、一人のケルベロスが立ちはだかる。
満身創痍の螺堂・セイヤ(螺旋竜・e05343)だ。
彼は静かに力を振り絞り、その身に漆黒のオーラを纏った。
「お前は……いつか、地球に来た時に戦った事があるような気がするな。我らの戦いに最後まで付き合ってくれた事に感謝しよう」
「礼には及ばない」
構えを取ったセイヤのオーラが、利き腕に黒き龍を象る。
対するナイト・シーカーは無言のままに槍状の右腕を引くようにして構えた。
互いに、今は戦うべき時だと理解している。
一瞬の静寂。鋭い呼気が響き、
「打ち貫け! 魔龍の双牙ッッ!!」
「ナイト・ランスッ!!」
両者の繰り出した超高速の突撃は、互いの身体を貫く。
両者が血を撒き散らして倒れ、そして、立ち上がったのはセイヤだった。
魂の力だけで立ち上がったような状態のセイヤの足元で、ナイト・シーカーは消滅していく。
死に行くローカストの瞳には、全力を尽くして戦い戦いの中に死ぬ事が出来る歓喜のようなものが確かにあった。
「ジューダス、先に行くぞ。お前も悔いの無い戦いを……」
死にゆく古代戦闘部族の姿を、セイヤは無言のままに見送った。
●特務戦隊インセクター
その戦場に足を踏み入れたケルベロス達を、歓迎するかのように4つの爆発音が響いた。
爆発音と共に、4つの煙幕が戦場にたちのぼる。
戦場に振りまかれた赤、青、黒、白の煙幕の色こそ、特務部隊インセクターのシンボルカラーなのだ。それに続けて、色とりどりの煙幕が立ち上る。インセクターに従う、なんかヒーローっぽいローカスト達が真似をしてあげたらしい。
「やはり来たな、ケルベロス!! 今こそ、我が友、イエローシケイダの仇を取らせて貰おう!!」
筋骨隆々とした深紅のローカスト、レッドホッパーが、真っ赤な煙幕を背景にポーズを決める。
周囲を固める、特務戦隊達も皆、ひと癖もふた癖ある不敵な面構えで、おのおの、得意なポーズでケルベロスを迎え撃った。
「あんた、まるで一昔前のヒーローみたいねぇ」
最初にレッドホッパーの前に立ちふさがったのは、幻影・奇譚。
だが、
「問答無用、レェェェッド、キィィィィック!!!」
の一言と共に、致命の一撃が降りかかる。
「あぶないっ!」
奇譚の危機を体を張って守った柳・優示は、だが、
「その程度の護りで、我が筋肉の躍動は止められぬ!」
「くっ…こんなところで…!」
レッドホッパーに蹴り飛ばされ戦場に倒れることとなった。
すかさず、レミ・ライードがレッドホッパーに攻撃を入れるが、その攻撃はパプルシケーダに阻まれる。
続く、ネロ・ディアブロの攻撃と、レミ・ライードの次の攻撃も、レッドホッパーは華麗に回避してしまった。
そして、完全にレッドホッパーを捕えたかに見えた、エレファ・トーンのエレファント・ヒップドロップもまた、配下のブラックマンティスがレッドホッパーを庇った為に有効打とはならなかったのだ。
「今、必殺のレェェェッド、キィィィィック!!!」
自分を庇ったブラックマンティスに筋肉を躍動させる事で礼に代えると、レッドホッパーは幻影・奇譚に華麗なキックをお見舞いする。
その致命的な攻撃は、獺川・祭のミミック、十九箱・七四三号が庇ったが、十九箱・七四三号は、その圧倒的な破壊力により消し飛ぶこととなった。
その後も、レッドホッパーの勢いはとまらず。
ケルベロスの攻撃は華麗に避け、そして、彼の一撃は確実にケルベロスを撃破し続けていく。
「不覚…ッ! おのれ…!!」
篁・鷹兵が戦場に倒れ、
「ば、ばたんきゅうっす……」
白野威・桜花もくるくると3回まわって地面に伏せた。
更に、
「ごめん……」
「あべし!」
「すまない、ここまでみたいだな……」
葛籠折・伊月、菊池・ウリエル、香雪・鈴、阿久根・麻、実は、月枷・澄佳、レックス・エクハルトといったケルベロス達が、レッドトルネードに巻き込まれて次々に戦場に倒れたのだった。
更に、レッドホッパーのレッドスモークが特務部隊の隊員達を回復する事で、戦場は確実にケルベロスの不利となっていき……、
「とどめだ、レェェェッド、キィィィィック!!!」
レッドホッパー会心の蹴りが、最後に残ったアクライム・サンダークラップに襲い掛かり、戦場の勝敗が決した。
「むっ……! インセクター隊員たちの危機を知らせる声が聞こえる! 皆、待っていろ!! うおおおおおおっっっ!!!」
その後、ケルベロス達に倒されそうになったところをレッドホッパーによって救出される他の3色の隊員たちの姿があったという。
→有力敵一覧
→(3)ヘラルド先遣隊(2勝5敗/戦力600→500)
→(5)傭蜂集団(3勝5敗/戦力50→0/制圧完了!)
→(6)ヘルクレスト侵略部隊(1勝1敗/戦力1300→1250)
→(7)ストリックラー・キラー(1勝3敗/戦力1350→1300)
→(8)ナイト・シーカー(2勝5敗/戦力100→0/制圧完了!)
→(9)狂愛母帝アリア(3勝1敗/戦力1800→1650)
→(10)特務戦隊インセクター(35勝6敗/戦力2000→250)
→(12)狂愛のポリリャエラ(1勝1敗/戦力2000→1900)
→(13)六花の王国(21勝3敗/戦力550→0/制圧完了!)
→重傷復活者一覧
→死亡者一覧
■有力敵一覧
戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。