■第2ターン結果
●ゼルクルウル
全くもって唐突な話であるが、八点鐘・あこ(にゃージックファイター・e36004)の最近のマイブームはオトモごっこであった。
「ご主人様、回復ブラッドスターの術なのです!」
などと言いつつ、他のケルベロスの後を補助して回りながら、あこは第4次防衛ラインの主戦場の中心となっている巨大要塞へと近付いていく。
その巨大な要塞こそは、万能戦艦ケルベロスブレイドを襲った要塞型死神、『ゼルクルウル』だった。
地上で万能戦艦ケルベロスブレイドを護るケルベロス達と交戦した後、この巨大な死神がどこに消えたかと思えば、冥府の海(デスバレス)に戻って来ていたらしい。
ダモクレスを蘇生(サルベージ)し、一体化したゼルクルウル。
その装甲板が開き、次々とミサイルが放たれる。
ケルベロスや小剣型艦載機が、ミサイルの爆発に巻き込まれて吹き飛ぶ中、あこはゼルクルウルへと接近していく。
「こ、こんな戦場で採取とかぶんどりとか……」
いくら海とはいえ、冥府の海で採れるものといえば、空間の下方に大量に溜まっているザルバルクブレイドぐらいである。
「となれば、ここは大物狙いなのです!」
目をつけたのは、前方に控える巨大要塞ゼルクルウル。
あそこなら、採取できるものも色々ありそうだ。
ゼルクルウルを守る死神達に目掛け、「幻影のリコレクション」を歌い上げる。
真空の戦場にグラビティのメロディは響き渡り、そしてゼルクルウルまでをも消滅させたのであった。
「……あれ、やっちゃったのですか?」
あこは思わず首をかしげる。
なんだかんだいって、オトモの攻撃でとどめとなるのもよくあること……なのかも知れない。
●監獄王デイヴィ・ジョーンズ
要塞型死神『ゼルクルウル』の中で防衛ラインの指揮を執っていた監獄王デイヴィ・ジョーンズは、思わぬ形で外に放り出された。
「ゼルクルウルがやられたか!」
ボロボロになったケルベロスコートを揺らし、監獄王は残存する死神や、蘇生(サルベージ)された者達を纏め上げ、なおもケルベロスに抵抗せんとする。
意気軒昂に指示を出すデイヴィだが、既に劣勢は隠せない。それでも、彼は退こうとはしなかった。
「カラミティが健在な限り、蘇生(サルベージ)がある! 一歩たりとも退くな!」
「『王』の名を持つだけのことはあるようですね」
敵指揮官の意志を受け、シア・ベクルクス(花虎の尾・e10131)は感嘆の息を吐いた。
「ここでお前達を通せば、デスバレスの存亡にも関わろう。ならば、一秒でも長く足止めさせてもらう!」
「勝てないと分かっていても、抗うのですか」
自分達にとっても緊急作戦だったが、この、敵にとっての防衛戦は、前々から予定されていたようなものではない。その中で、監獄王は万能戦艦ケルベロスブレイドを阻止するために最善を尽くしているのだろう。
「貴方がサルベージした方々に我々は一度は勝利している……足止め要員ですか」
「蘇って機会を得れば、お前達に勝利しうる者もいただろう。もっとも可能性の話で、実際に俺が蘇生(サルベージ)させた中にはいなかったようだがな」
監獄王の放った鉾が、強烈な勢いでケルベロスを貫いていく。
個々の実力でいえば、ケルベロス達を上回っているデウスエクスも多かった。
必ずしも、勝てるとは限らない。だが、
「だとしても、負けられません。私達は、今この場では勝つと決めているのです」
確固たる意志で、シアは告げる。
「そうする他に無かったとは言え、彼らの命を奪ってきた事は事実……けれど、だからこそ、この先へ進まなければいけないのです」
シアの目に宿るのは、先へと進もうとする意志だ。
一瞬、監獄王デイヴィ・ジョーンズの軟体の顔が、気圧されたように歪んだ。
「ならば、力を示すがいい!」
突進し、鉾を繰り出さんとする監獄王へと、ケルベロス達のグラビティが集中する。
なおも鉾を振り回す監獄王へと、シアは視線を向けた。
「さあ、芽吹きましょう」
「むっ!?」
監獄王の足元に、魔法の菫が芽吹く。
一瞬のうちに咲き、散った花びらは魔法陣を描き、監獄王を包み込んだ。
強烈な魔力が迸り、監獄王の全身を貫く。
力を失った監獄王の体は、シアの見る前で消滅していった。
●魔竜王の予知
第4次防衛ラインの敵戦力は、完全に殲滅することが出来た。
万能戦艦ケルベロスブレイドに戻ろうとするシア達の元に、泡のようなものが飛んで来る。
「なんでしょう、これは……?」
力を宿した泡のようなものから感じる気配は、ドラゴンのものに似ていた。
危険性は無さそうだが……と、シア達が考えている間に、泡は弾けて消えた。
だが、その瞬間、幾つもの情報が、ケルベロス達の頭の中に流れ込む!
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泡の正体は、先程打倒した、『星砕龍帝スターブレイカー』と共に竜業合体ドラゴンと化した、ドラゴン達の記憶の欠片であった。
竜業合体され、スターブレイカーだけが蘇生(サルベージ)された際、巻き込まれる形で具現化されたのだ。
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「魔竜王の予知の内容を知らねばならない」
その行為は、竜業合体ドラゴンの統一された意志の元に行われた。
なぜ、自分達は滅びるに至ったのか。
魔竜王はなぜ、地球を敵視したのか。
滅びに至る原因を探るため、ドラゴン達は地球に至る宇宙飛行の中で、『巻き戻り』によって狂った記憶の中から真実をつなぎ合わせていったのだ。
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そうして竜業合体ドラゴン達は、魔竜王の見た予知を突き止めた。
それは、ケルベロス達の知るものとは異なる『破滅の歴史』だ。
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デウスエクス達が気付いた時には、全てが手遅れだった。
地球の守り手が現れることもないまま、デウスエクスの刈り取り場となり続ける地球の海が、全て冥府の海(デスバレス)へと入れ替わったのだ。
地球で生ずるグラビティ・チェインの全てはザルバルクの増殖を促すためにのみ浪費され、宇宙に新たな生命が生まれることはなくなった。
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それから僅かな時を経て、死の星と化した地球の表面に『地獄』が燃え始める。
『地獄』は、やがて三つ首の獣の姿を取り、宇宙に咆哮を上げた。
そこに満ちる感情は、ただ一つ。
すなわち滅びをもたらしたデウスエクスへの『怒り』だ。
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獣は、破壊された地球をも上回る大きさに至り、宇宙を駆け巡っていく。
これまでにケルベロスが戦ったことのあるデウスエクス。
これまで、ケルベロス達が一度も見たことのないデウスエクス。
不死不滅であるはずのデウスエクスは、『死』をもたらす獣によって、その住まう星ごと喰らわれていく。
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何度殺されようと、死神に蘇生(サルベージ)される獣は、やがて魔竜王や聖王女、他の十二創神などの全てすら食い破った。
やがて獣によって死に絶えた宇宙を、地球から溢れ出た『冥府の海』が満たしていく。
かくして宇宙の全ての生命、衆生の一切合切は無へと帰し、宇宙は静寂に沈んだ。
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「ケルベロスはひとたび出現すれば、宇宙を滅ぼす」
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「魔竜王はケルベロスの出現を防ぐために、膨大な数の作戦を考え、それによって変化する予知の全てにおいて敗北した。
『三つ首の滅びの獣』は必ず現れ、宇宙を破滅させる。
魔竜王に残された手段は、地球を破壊することであった」
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「……今のが、魔竜王の見た予知?」
シアは呆然と呟く。
時代の差こそあれ、魔竜王が予知した未来はつい最近にも現実になろうとしていたことにケルベロスは気付いた。
もしも、冥府の海を溢れ出させようとした死神に敗れていたのなら。
おそらく地球は、たったいま見せられた予知に近い状況に陥っていたに違いない。
「ですが、実際の歴史は……私達が経て来た歴史は、魔竜王の予知とは異なりますわ」
何より、ケルベロスという存在は、宇宙を滅ぼすものではない。
そのはずだ。
そして、ケルベロス達を回収すると、万能戦艦ケルベロスブレイドは、さらに冥府の海を潜っていく。残る防衛ラインは3つ。ケルベロス達の戦いは、さらに熾烈なものになろうとしていた。
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→(9)第4次防衛ライン主戦場(29勝3敗/戦力730→0/制圧完了!)
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戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。