■第1ターン結果
●(7)星砕帝龍スターブレイカー
かつては、ザルバルクで満たされていたデスバレス。
ザルバルク剣化波動によって海が失われた戦場は、海水の代わりに、影で満たされていた。
満ち満ちる影の陰の正体は、星砕帝龍スターブレイカー。
監獄王デイヴィ・ジョーンズにサルベージされた、強大なドラゴンと、その同胞たちであった。
「フフフ。永劫の宇宙を渡る為に力尽きた我が、お前達と戦う機会を得られるとは、死神とやらには感謝しかない」
影の海の底で、スターブレイカーはそう嘯くと、天矢・和(幸福蒐集家・e01780)達ケルベロスを睥睨した。
「お前達がドラゴン種族を滅ぼした事は知っている。だが、そのドラゴンの軍勢には、我は存在していなかった」
このスターブレイカーの言葉に、和が穏やかに笑みながらも反論する。
「スターブレイカーくん、スターブレイカーくん。まさか、君がいれば、ドラゴンがケルベロスに勝利できたとでも勘違いしているのかな?」
その和の言に、スターブレイカーは怒気を込めて流星轟衝を放つ。
一瞬後、流星轟衝の爆発が戦場に轟いた。
「ふー。どうやら勘違いしていたみたいだね。でもね、図星を刺されたからとってコレは、ちょっとみっともないよ、スターブレイカーくん」
和は、ふわふわした口調で窘めると、ビハインドの『愛し君』と共に、ふんわりとした笑顔のまま、スターブレイカーに対峙する。
「これまでに戦ったドラゴンくん達はみんな強敵だったよ。死神にサルベージされて利用されている君に比べたらね」
そして、そのまま、スターブレイカーに向かって恋の弾丸を発射する。
「強敵だと? 我らの力を奪って竜業合体したというのに、お前等ごときに敗れ去った奴らが、我よりも強いというのかっ!」
スターブレイカーは、雄たけびを上げるようにスターブレイクランページで迎え撃つ。
和は、その攻撃に耐えると、そのまま『愛し君』と共に影の海を渡り、スターブレイカーの背後をとらえた。
「強さだけで言えば、君も強いのかもしれないね。でも、君には絶対に守りたい者への愛がない。死神にサルベージされて、喜んで走狗として戦いに身を投じただけなんじゃないかな。そんな君は、僕の『愛し君』にはかなわない」
その言葉と共に、凪の背後からビハインド『愛し君』があらわれると、スターブレイカーに攻撃の照準を合わせ、影からの一撃により、スターブレイカーに致命の一撃を浴びせかけた。
崩れ落ちるスターブレイカーの姿を、『愛し君』と手を繋いで見送った凪は、周囲に満ちる影の密度が薄らいでいく事を感じ取っていた。
「影が晴れていくようだね。まるで、僕たちの未来を祝福するように」
そして、和と『愛し君』は、踊るような足取りで、影が晴れた戦場を後にした。
●(8)太陽神アポロン
「朕の臣民(ローカスト)よ。
再び、朕の為に戦える栄誉を得て、喜び勇んでいる事だろう。
朕は汝らに宣言しよう。
このデスバレスこそ、朕達の約束の地!!
太陽の光の刺さぬ、この海底で、朕は太陽となり、世界の中心となるのだ。
デスバレスの海は、グラビティ・チェインに溢れている。
1年。ただの1年があれば、我らは死神をも駆逐し、デスバレスを手に入れる事ができるのだ。
臣民(ローカスト)よ、ローカスト・ウォーが再び始まる!!
朕に従え!! そして全てを喰らい尽くすのだ!!」
太陽神アポロンの堂々とした演説。
だが、それを耳にしたサルベージされたローカスト達は、不満げにかつての王を見上げるのみだった。
サルベージされたローカスト達は、アポロンの持つ『絶対制御コード』の影響を受けつけない。
であれば、太陽神アポロンなど、力が強いだけの暴君に過ぎないのだ。
この太陽神アポロンの醜態に、アウレリア・ノーチェ(夜の指先・e12921)は、
「ぶざまね」
と言葉を漏らすと、配下のローカスト達に向けて声を張り上げた。
「死神にサルベージされたローカストの民よ。
あなた達は、なんの為にケルベロスと戦うのかしら?
太陽神アポロンの為? ならば、ケルベロスと戦う必要はない。
そこにいる愚物に、そのような価値などないのだから。
ローカスト種族の為? ならば、ケルベロスと戦う必要はない。
生き残ったローカストは地球の民として既に受け入れられているのだから。
貴方達の同族は地球で命を繋ぎ種と歴史を継承していくでしょう」
ローカスト達は、アウレリアの言葉に聞き入り、その言葉に同意を示す。
だが、その心に反して、ローカスト達は戦いをやめようとはしなかった。
「なるほど、サルベージされた死神に逆らえないのですね。
ならば、私たちが、あなた達を、その死神の呪いから解放してあげましょう」
アウレリアは、相対するローカストにそう言葉をかけリボルバー銃『Thanatos』を撃ち放つ。
ローカスト達は、アウレリア達ケルベロスに感謝の心を捧げつつ、戦場に散っていった。
彼らは、サルベージなどされたくなかったし、ケルベロスと戦う理由も無かったのだ。
ただただ、死神が悪辣であり、太陽神アポロンが愚かであっただけ。
「もはや、あなたは裸の太陽神よ。臣民に見捨てられた王に価値などありませんから」
太陽神アポロンは、臣民達がまともに戦う事もせず、たった数分でケルベロスに駆逐された事実に、わなわなと震え慄いた。
「朕が臣民(ローカスト)に見捨てられた……だと。まさか、朕の『絶対制御コード』が、効いていない……だと」
愕然とするアポロン。
「今更、そこに気付くのですか……」
アウレリアは心底呆れながら、狼狽するアポロンに『Thanatos』を向けた。
「待つのだ。朕は、いずれはこのデスバレスをも統治する太陽神なるぞ。不敬である、待て!」
「ここまで待つ必要を全く感じない命乞いだと、いっそすがすがしいですね」
クイックドロウを撃ち放つ。
その弾丸はアポロンの外骨格を貫くと、そのまま体内を進み、その心臓を砕き、愚かなる太陽神を死滅させたのだった。
「あのまま命乞いを聞いていたら、デスバレスの半分をお前にやるとか言い出したのかしらね?」
アポロンを撃破したアウレリア名は、死にゆくアポロンにそう言葉をかけると、肩をすくめて戦場を後にした。
●(10)レプリゼンタ・ロキ
「ケルベロスどもが、あんな艦を建造できるとはな……! それでこそ奪う価値もあるってもんだ」
ニヤリと笑ったレプリゼンタ・ロキは、『猿の手』の準備にかかっていた。
かつては螺旋大伽藍すらも手中に収めんとした、ロキの大技の一つだ。
それが万能戦艦ケルベロスブレイドに届けば、神殿や機能の一つも奪われていたかも知れない。
だが、その望みが実現することはなかった。
攻性植物の群れの奥で守られていたロキに向け、万能戦艦ケルベロスブレイドから小剣型艦載機が急降下して来たのだ。
「流石に戦艦があると勢いが違うね、どんどん突撃させてもらうよ!」
葛城・唯奈(銃弾と共に舞う・e02093)の声と共に、アームドフォートから続けざまに砲弾が放たれる。
上昇せんとしていた攻性植物が、撃ち抜かれ、冥府の海に霧散していった。
蘇生(サルベージ)されたデウスエクスだ。
後には屍すら残らない。
「万能戦艦ケルベロスブレイドが欲しいらしいけど、そういうのをこっちじゃ『捕らぬ狸の皮算用』っていうんだよ!」
攻性植物の守りを突破し、ロキの姿を捉えたケルベロス達は、次々とロキを妨害にかかる。彼らを甘く見ることなど、ロキにできようはずもなかった。
「チッ……蘇生(サルベージ)されたからって、連中の相手なんぞしていられるか! 俺は逃げ……なんだ? 逃げられない、だと?」
猿の手を伸ばし、空間の外へと逃げようとしたロキだが、その逃走の動きが不意に止まった。逃走の意志を、死神によって課せられた縛りが上回ったのだ。
「無理やりにでも戦わせるってことかよ。死神どもめ、やってくれるな」
やむなくケルベロス達と交戦を開始するロキは、如意宝珠から数々の術を放ち、ケルベロス達を打倒せんとする。
だが、もはやケルベロス達の力は、ロキですら抗し切れるものではなかった。
降り注ぐ雷神砲の輝きの中、唯奈はロキへと狙いを定める。
「変幻自在の”魔法の弾丸”……避けるのはちーっと骨だぜ?」
唯奈の双銃から放たれた弾丸が、魔法のようにロキの心臓へと吸い込まれていく。
「……やるねぇ」
「あの戦艦は、あんたの懐に入るようなちゃちなものじゃないってこと」
「言ってくれるぜ」
唯奈の言葉に肩をすくめると、ロキの姿は消滅していった。
●(11)青ひげ
「ぶわっはっはっは!! なんという大きさだ! 地球にあんな技術があったとは!」
万能戦艦ケルベロスブレイドの威容を目にし、寓話六塔『青ひげ』は驚きに目をギョロつかせた。
「だが、余のヒゲがあれば、あの巨艦とて食い止めることは不可能ではないぞ!
あの艦を捉え、余の新たな居城としてくれよう!」
どこかの白猿神のようなことを言いながら、自信に満ちた宣言を放つ青ひげ。
だが、万能戦艦ケルベロスブレイドへ向けて伸び始めたヒゲと交錯するように、幾つもの小剣型艦載機が空間を駆け抜けてくる。
「来おったか、ケルベロスめ!!」
青ひげのヒゲが、飛来する小剣型艦載機を次々に撃ち落とさんとする。
櫟・千梨(踊る狛鼠・e23597)は小剣型艦載機の軌道を僅かにそらすと、こちらを包み込まんとしたヒゲと刀で切り散らしていく。
「遠距離戦は不利だ、突っ込め!」
青ひげと同じく、蘇生(サルベージ)されたドリームイーターの軍勢がケルベロス達を阻止にかかる。その憎悪の念は、空間を揺らす程だ。
「ハンドコレクターから聞いているぞ。ジュエルジグラットを滅びに追いやったケルベロス……許すものか!」
死神に従うことを選んだドリームイーター達を経由して、彼らにも現状は伝わっているのだろう。
「すまんな」
そう口にしつつ、千梨は『緋護』を振るっていく。
「俺は、叶うなら誰もが……本星に残ったドリームイーターも生きられれば良いと思うよ」
「ジュエルジグラットを滅ぼした者達が、綺麗事を抜かすな!!」
ケルベロス達の憎悪をたぎらせ、襲い掛かって来るドリームイーター達。
だが、青ひげの感想は異なるようだった。
「ぶわっはっはっは!! ジュエルジグラットが死んだとなれば、もうあの牢獄に閉じ込められている必要もない! せっかく蘇生(サルベージ)されたのだ、余はここを生き延び、地球に新たな領土を得てみせるぞ!!」
「定命化すれば歓迎できるんだがな」
「既に死者の国の住人となった身だ。定命化を恐れることもなかろう!」
青ひげが仮に生存していたとしても、そうする意志は無いことは明白だった。
鍵束を振るい、ケルベロスの心を破壊せんとする青ひげ。
その攻撃と伸びてくるヒゲを突破した小剣型艦載機。その上に立つ千梨の刀が、青ひげへ向け一閃される。
「お前のような奴は、倒さなくてはな」
すれ違いざまの一刀が、青ひげの首筋を深々と傷つける。
「おお……このような連中に、余が再び敗れるというのか!」
血の代わりに溢れ出すモザイクの中に溺れるように、青ひげの姿は消滅していった。
既にドリームイーター達も、その姿を消している。
「無責任かも知れないが、努力をすると、約束しよう」
消えた者達にそう告げると、千梨は万能戦艦ケルベロスブレイドへと帰還していくのであった。
→有力敵一覧
→(7)星砕龍帝スターブレイカー(7勝1敗/戦力900→0/制圧完了!)
→(8)太陽神アポロン(6勝0敗/戦力300→0/制圧完了!)
→(9)第4次防衛ライン主戦場(2勝1敗/戦力1000→730)
→(10)レプリゼンタ・ロキ(8勝0敗/戦力800→0/制圧完了!)
→(11)青ひげ(6勝1敗/戦力700→0/制圧完了!)
→重傷復活者一覧
→死亡者一覧
■有力敵一覧
戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。