■第8ターン結果
●漆剋竜アマデウス
日本列島防衛戦の戦いも最後の時を迎えようとしていた。
死神勢力が全滅し、攻性植物勢力とダモクレス勢力が撤退した今、残る敵はドラゴンのみ。
そして、その残存ドラゴンの戦力も、ケルベロスによって残り僅かと追い込まれていたのだ。
だが、それでも、竜業合体ドラゴンは最後まで諦めはしない。
ケルベロスが戦場では圧倒的優勢であったが、竜業合体ドラゴンも、その勝利に手をかけているのだ。
「怒憎厭悪呪憤怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒」
漆剋竜アマデウスは、憤怒の激情でドス黒く濁った竜鱗を逆立て、周囲の全てを憎悪するように、戦場に屹立していた。
あと少し、あと少しだけ敗北を免れれば、地球を完全に破壊する事ができる。この憎悪を解き放つ事が出来る。
しかし、その一歩は、限りなく遠かった。
「世界がピンチだなんて、俺達にとっては日常みたいなもんだ」
渡羽・数汰(勇者候補生・e15313)が、-Feather-の仲間と共に立ち塞がったのだ。
「作戦通り、高レベル勢は壁になるんだ。敵を取り囲むぞ!」
僅かな希望に縋りつつ憤怒の激情のみで暴れるアマデウスを、まるで、一つの生き物のように連携して動くケルベロス達。
この2者の戦う姿勢は、戦力比以上に、勝敗に大きく影響する……。
「この確かなこの想いと共に!」
まずは、紅翼装『フェネクス-Feather-』を纏った、幸・鳳琴が電光石火の速度で宙を舞う。
紅の装束が鳳凰の翼のごとく閃き、次の瞬間には、漆剋竜アマデウスの急所を蹴り貫いていた。
「怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒!!」
痛みと憎悪でアマデウスが吠え、鳳琴を嚙み砕こうと牙を向ける。
だが、それを許すケルベロスでは無い。
「我らの攻撃は、まだ終わりではないよ!」
鳳琴と同じく鳳凰を象った赤銀戦靴『フェネクス・シューズ』を装備した、アンゼリカ・アーベントロートが、小柄な体躯で疾走し、音速を超える拳を突き出した。
鳳琴を嚙み砕こうと迫っていたアマデウスの顎は、このアンゼリカの拳に邪魔され空を噛むと、攻撃を避ける為に身をひねった。
「そうだろう、そこに逃げる……。だが、その動きは、私達の想定通りだ!」
アンゼリカは、自身の攻撃がかわされたにも関わらず、勝利の笑みを浮かべる。
何故ならば、アンゼリカの目の前には、身をひねったアマデウスの頭部を捉えて、既に宙を舞っている、数汰の姿が映っていたのだ。
「俺達の絆の力、見せてやるぜ!」
鳳琴の攻撃で急所を貫かれ、アンゼリカの攻撃によって動きを誘導されたアマデウスに、数汰の攻撃が突き刺さる。
「俺達、-Feather-の勝利だ!」
数汰の勝利の宣言と共に、アマデウスは断末魔の憤怒を道連れに海中へと没していった。
●竜業竜十字島
竜業竜十字島から現れるドラゴンの勢いは、明らかに衰えつつあった。
だが、時間の経過と共に、竜業竜十字島の鳴動は明らかに大きくなりつつあった。
『剣』により、動きを停止できる時間が終わろうとしているのだ。
戦場の空を明るく染めるのは、ケルベロス達の灯す、無数の剣型の光だ。この「光源発生機能」もまた、ケルベロスブレイドの機能の一環であった。大きさは自在で、ケルベロスに自動的に追随するので両手も空く。
「地味だが役に立つな、こういう機能は」
ちなみにそんな機能の提案者は、日頃豪快そのものな相馬・泰地(マッスル拳士・e00550)であったりする。
夜の空では、飛ぶのに慣れないせいもあってか、ケルベロスの平衡感覚も次第に怪しくなってくる。
普段のヘリオライダーの苦労を少し思いつつ、ハル・エーヴィヒカイト(閃花の剣精・e11231)は眼下の竜業竜十字島を見下ろす。
「今度こそ、奴を仕留めねばな」
そこにある巨大な影は、虚無王アバドンのものだ。
ケルベロス達との戦いの中で、深い傷を受けながらも、いまだその生命を果てさせず、日本を目指そうとしている。
「ここまで来たら、あとは全力で立ち向かうだけだ」
ハルは他のケルベロス達と共に、一挙にアバドンの元へと飛んだ。
無数の剣を内包する領域が、ハルの周囲に展開される。繰り出される剣が、飛来したドラゴンの1体をまずは薙ぎ払った。
「続け!」
視界を覆い尽くすかのような巨大さで現れるドラゴンたちを、ケルベロス達はグラビティを以て打ち破っていく。
ハルもまた、次々と剣を入れ替えながら、ドラゴン達を切り裂いていった。
『あと、僅かというところで……!!』
「これは生存競争、我らが生き延びるためにお前たちの妄念、ここで祓わせてもらう」
切っ先までが己の一部になったような感覚を得つつ、ハルは己の剣を振るう。
「我が内なる剣よ……!!」
圧倒的な体躯を持つ虚無王アバドン。その首筋を、ハルは異なる色彩と形状の剣達を入れ替えながら切り裂き、駆け下りていく。
剣戟が終わり、ハルはアバドンの首を蹴り、艦載機上へと戻る。
「さよならだ」
最後の言葉を投げると同時、アバドンは虚無の中へと消えていった。
それを見送ると、ハルはケルベロス達へと合図を送る。
「仕上げといくぞ!」
ケルベロス達のグラビティ、そしてケルベロスブレイドからの雷神砲の連射が、竜業竜十字島の形を変えていく。
夜の闇に染まる海へと沈みゆく竜十字島。そこから『剣(ブレイド)』がケルベロスブレイドからの魔力で自動的に浮かびあがり、元の位置へと回収されていく。
「もう止めておく必要がなくなったか」
ケルベロスブレイドに『剣』が再び収まる光景は、洋上の戦いを見守る地球上の全ての人々に、ケルベロスの勝利を伝えるものであった。
→有力敵一覧
→(2)漆剋竜アマデウス(5勝5敗/戦力215→0/制圧完了!)
→(9)竜業竜十字島(16勝8敗/戦力390→0/制圧完了!)
→重傷復活者一覧
→死亡者一覧
■有力敵一覧
戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。