■第5ターン結果
●楽園竜パラディシカ
楽園竜の名を持つ竜業合体ドラゴン、パラディシカ。
ゲートを喪失したドラゴニアから飛来した彼女にとって、グラビティ・チェインを得られる可能性のある地球は、最後の楽園となりうる場所であった。
だが、その望みは、ケルベロスの力の前に絶たれたと言って良い。
『何千という同胞を犠牲にし、辿り着いたこの惑星を、破壊しなくてはならないとは。
嗚呼、私は悲しい……』
絶望しながら、しかしパラディシカの広げる『楽園』は、ケルベロスの精神を蝕み、幸福の中に沈めようとする。
『降伏する者には、幸福な夢を……。
滅びの現実など見ず、夢を見ながら終わりを迎えなさい』
小剣型艦載機から転落するケルベロス達をドラゴン達が死に誘わんとする。
だが、ケルベロス達はその偽りの幸福を受け入れようとはしなかった。
幸・鳳琴(精霊翼の龍拳士・e00039)の体から立ち上る紅翼の闘魂が、鳳凰の翼の如く広がり、楽園の魔力を振り払う。
「こんなところで、負けるわけにはいきません!」
ドラゴンたちが、竜業合体の礎となった者達の思いを背負っているのなら。
ケルベロス達もまた、地球の人々の想いを背負っているのだ。
「互いの使命と信念のもとに! 勝負!!」
絶望の中、死へ突き進まんとする楽園竜。
展開される楽園に対し、鳳琴は跳ぶことで応じた。
高速の剣から足を離し、遥か後方から突っ込んできた別の艦載機へと降り立つ。
楽園竜を見下ろす位置へと上がった艦載機から、小さな体が矢のように跳んだ。
『楽園なき世界など、滅びればいい!』
「いいえ、守ってみせます!」
展開される魔力を突き破った鳳琴の蹴りが、楽園竜の頭蓋を打ち貫く。
力を失った楽園竜の巨体は、桃色の花の如く散りながら竜十字島へと落下していった。
●レスタシア
竜業竜十字島を守護していたエネルギー結晶も、度重なるケルベロスの攻撃によりボロボロに崩れ、レスタシア配下の残存戦力も数えるほどに打ち減らされていた。
だが、レスタシアは、その深淵なる智謀を頼みに、ケルベロスの前に立ちふさがり続けていた。
『我は敗北するわけにはいかぬ。魔竜王の遺志を継ぎ、宇宙の滅亡を防ぐ役目を持つ我に、志半ばで倒れる事は許されぬ』
それは、レスタシアの強固な意志の表れであったのだろうか?
ギュネヴィア・イリオン(ドミクシルの妖精・e32996)は、自らの役割を必ずや果たさんとする意志の強さに敬意を払いつつも、攻撃の手を緩める事は無かった。
「彼我の戦力差は、徐々に拡大しています。計算上、このまま、押し切る事が可能です」
ギュネヴィアは、戦場の全ての要素を勘案し、その結果を仲間達に伝える。
こういった戦闘時の管制は、ギュネヴィアの得意とする所なのだ。
彼女の言葉通り、ケルベロス達はレスタシアを包囲し、確実に追い詰め、その命脈を絶とうとしていた。
そして、勝利が確実になったと判断したギュネヴィアは、管制を離れて、レスタシアのいる前線へと向かう。
彼女には、どうしても聞いてみたいことがあったのだ。
『何度問うたところで、ケルベロスが宇宙のあらゆる生命を滅亡へと導くという我の言葉は変わらぬぞ』
何かを問いたげなギュネヴィアの様子に気づいたのかレスタシアは、満身創痍の体で、そう応える。
だが、ギュネヴィアの問いたい内容は、それでは無かった。
「ドラゴニア十盟主なる存在が主星には存在したそうですが、彼らはどうなったのですか? それに、ドラゴン・ウォーで地球に到達せんとしたドラゴンの姿を見ていないのですが?」
このギュネヴィアの問いに、レスタシアは呆れたように息を吐く。
『何かと思えば、そのような事か。我らは、多くの同胞を犠牲に星の海を越え、地球に辿り着いたのだ。この場に来れなかったものは、竜業合体の犠牲となった』
辺境伯と呼ばれていたレスタシアも、いまや立場は他のドラゴン達と同じ。
多くのドラゴンが犠牲にしたからこそ、必ずや地球を破壊せねばならぬのだと、最後の力を振り絞って攻撃を仕掛けようとする。
だが、
「質問に答えてくれたこと、感謝します。そのお礼に、私があなたを倒して見せましょう。竜業合体が、究極の進化の形であろうとも、その可能性を奪ってしまえば、全ては停止し、そして凍結する……」
ギュネヴィアが、ドラゴンたるレスタシアへの敬意と共に、ドラゴニック・パワーを込めたハンマーによる、超重の一撃を振り下ろす方が先であった。
「アイスエイジインパクト!」
ギュネヴィアの一撃が、進化の可能性を奪い尽くす。
レスタシアは全てを諦めたかのように目を瞑り、死を受け入れたのだった。
●魔竜アストラ・ワイズ
「魔だの王だの楽園だのと、竜には色々と大層な名が多いものだな」
神門・柧魅(孤高のかどみうむ缶・e00898)は、そう嘯きながら眼前を飛翔する魔竜アストラ・ワイズを見やる。
かつて、熊本に出現した魔竜達の中でもひときわ老いた容姿を持ち、そして知恵者としての働きをして来たアストラ・ワイズ。
魔竜結界を展開し、ケルベロスの侵攻を阻んで来た彼は、十分にその働きを為したと言えるだろう。
生き残ったドラゴン達は、文字通り命を捨ててケルベロスを食い止めようとする。
柧魅は、迫るドラゴン達の隙間に身を躍らせた。
「複合式忍殺術・黒雷閃華!」
艦載機と艦載機を繋ぐように、空に張り巡らされた鋼糸を通じ、黒き雷霆が迸り、ドラゴン達を灼く。
ケルベロス達の勢いは、確実にドラゴンを上回っていた。
『恐るべきはケルベロス。
魔竜王の見た未来は、正しかったのだと、今は思わざるを得ぬ』
ケルベロスと交戦しながらも、アストラ・ワイズは改めて戦慄を覚えていた。
熊本での戦いから、わずかに数年。
ゲートを破壊され、最後のドラゴン達までもが、こうして滅びようとしている。
(『いや、ドラゴン自体は滅びはせぬか……』)
既にケルベロスに与し、彼らと共に戦い続けて来た小竜達はいるのだ。
それはデウスエクスの求めるべき強さを捨てた恥ずべき在り方か、あるいは地球で生きるための新たな進化なのか……。
『いずれの在り方が正しいか、定めるのは時だけであろう』
「ならば、今のドラゴンの在り方、その全てをオレ達が淘汰しよう!!」
艦載機に乗った柧魅の体が、朱初月に仕込まれた駆動器によってさらに加速。
我が身を省みぬかのような猛烈な加速と共に柧魅はアストラ・ワイズへと突っ込んだ。幾重にも展開される魔力障壁を次々に打ち砕き、その破壊の一撃が魔竜の顔面へと届く。
「我が一撃を持って、最後の魔竜を葬り去る!!」
轟音と共に、ブーストナックルがアストラ・ワイズの顔面を叩き割る。
それが、熊本以来の魔竜とケルベロス達との、長き因縁に決着がついた瞬間であった。
●大罪竜王シン・バビロン
『おのれ、ケルベロス! 我がこのような屈辱を……』
竜十字島の反対側。
ケルベロス達は、魔竜結界を形成する、もう一つの地点を制圧していた。
だが、戦場における最大戦力、大罪竜王シン・バビロンは、その戦場を脱していた。
『このような無様を晒し、魔竜王を越えるなどと言えようか。否、否だ!!』
シン・バビロンの巨躯は、海中へと消えていく。
魔竜王を越えんとする意志、そしてケルベロスへの憎悪は、破滅主義を越えた領域へと、このドラゴンを導こうとしていた。
→有力敵一覧
→(2)漆剋竜アマデウス(0勝1敗/戦力1120→1110)
→(4)楽園竜パラディシカ(5勝2敗/戦力605→0/制圧完了!)
→(5)レスタシア(2勝2敗/戦力35→0/制圧完了!)
→(6)大罪竜王シン・バビロン(9勝3敗/戦力325→0/制圧完了!)
→(7)暴風竜ボレアス(0勝1敗/戦力990→980)
→(8)魔竜アストラ・ワイズ(4勝2敗/戦力190→0/制圧完了!)
→(11)空中戦艦レナト・クエリア(1勝0敗/戦力700→575)
→(14)光世蝕仏(0勝1敗/戦力700→690)
→(16)『森の女神』メデイン(1勝0敗/戦力800→675)
→重傷復活者一覧
→死亡者一覧
■有力敵一覧
戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。