東京防衛戦

■第4ターン結果

●血揃将アグリム
 動力炉アル・ナスルの心臓の鼓動のような駆動音が、戦場に響いていた。
 動力炉を守る敵精鋭部隊を退け、動力炉そのものを破壊せんとグラビティを繰り出していくケルベロス達だが、完全な停止を与えるには、いまだ及ばない。
 アル・ナスルの中枢部を破壊しなくてはならない。
 そう確信を抱きながら、ケルベロス達は奥を目指す。
 だが、その歩みは真紅の将に率いられた一団によって止められた。
「こうして会うのは初めてだね。はじめまして、アグリム」
 銃に手をかけて言うティクリコティク・キロ(リトルガンメイジ・e00128)に、アグリムは髑髏のついた杖をゆっくりと手にとった。
 杖の先端から、オーラの刃が伸びる。
「よもや、ここまで攻め入られるとはな……。集めた連中も、どうやら死んだか」
「近距離戦闘は危険です! 注意して!」
 祖の仇とアグリムを狙う写譜麗春・在宅聖生救世主(何が為に麗春の花は歌を唄う・e00309)をはじめ、アグリムと直接交戦したことのあるケルベロス達が警戒を促す。
 四百年前の地球でも暴れ回った、真紅の鎧のアグリム軍団。
 その悪名とその粗暴さ、悪逆ぶりは、同族たるエインヘリアル達にすら嫌悪されるものだ。
 だが、第五王子イグニスの供として現れたアグリム軍団の被害は、ケルベロス達によって皆無というべきまでに抑え込まれている。
 それはヘリオライダーの存在や戦いに挑んだケルベロス達の為した成果だが、かつての時代を考えれば、それは間違いなくありえない事態であった。

「これも時代の変化という奴か。ザイフリート王子やイグニス王子のように妙なエインヘリアルも現れている……だが、変化など知ったことか!」

 傲慢さと己の力への自信に満ちた叫びと共に、鮮血の如きオーラがアグリムの全身を覆った。
「時代の変化が貴様らケルベロスを誕生させ、俺達の力を阻もうとするならば、その時代ごと打ち砕いてやろう!!」
「黙れ、ケルベロスとして、お前をあの世へ送ってやる。逃げられると思うなよ……悪党ッ!!」
 ティクリコティクの言葉と共に、血揃将アグリムとの戦闘は開始された。
 これまでに相手をして来たアグリム軍団の精鋭達は個の力では、ケルベロス達よりも遥かに上を行く。
 そして、その精鋭達を力で従えていたアグリムの実力は、さらにその上だ。
「有象無象が、この俺に指一本でも触れられると思うな!」
 杖を振るうと共に、そのオーラが展開し、彼の周囲の機械群が音を立てて陥没する。
 アル・ナスルの防衛という任務など、もはやアグリムの脳裏から消え去っているかのようだ。
「このアグリムを討ち取る栄誉を欲しければかかって来るがいい! ただし、生半可な攻撃ならば、死を得るのは貴様らだと思え!!」
 オーラを広げるアグリムに、前衛にいたケルベロスやサーヴァントが次々と逃げ場を失い、押しつぶされるようにして戦闘不能に陥っていく。
 その間にもアグリムの配下は次々に死んでいくが、それを一向に気にせず攻撃を繰り出して来るアグリムは、一歩間違えば全滅に結び付くような、恐るべき相手であった。
 ケルベロス達からの一斉攻撃を浴びながらも、前進して来るアグリムの姿は、デウスエクスの恐怖そのものだ。
 だが、その勢いが不意に止まった。
「クッ、またしてもか……」
 身に走る痺れに、アグリムが舌打ちする。
 ケルベロス達が積み重ねて来た攻撃が、アグリムの動きを封じたのだ。
「今だ……決める!」
 前進して来る赤い鎧へと、ティクリコティクは一気に距離を詰めた。
「.357マグナム弾、全部持っていけっ!!」
 ティクリコティクの手にした銃が銃声をアル・ナスルに響かせる。
 銃声がわずか一度に聞こえるほどの速度で連射された弾丸は、アグリムの兜を貫き、内部にまで達する。
 アグリムの手から彼の力を篭めた杖がこぼれ、砕け散ると、やがて赤い鎧が次第に砂のように崩れ落ちていく。
「おおお……!!」
 断末魔の叫びと共に振るわれた拳は、しかし何も捉えることはなく空を切る。
 アグリム軍団は、ここに壊滅したのだ。

●アグリム軍団参謀コルメリオ
 アグリム、撃破。
 イグニスを上回る実力を持つ強将の死の報にアル・ナスルを守るエインヘリアル達に動揺が走る。
 そんな中、通路を一人走るエインヘリアルがいた。
 アグリム軍団の参謀、コルメリオである。
「くそっ、くそっ! アグリムめ役に立たん!」
 その声には、死んだ上司への敬意など欠片もなかった。
「あの脳筋どもを利用して、私が栄華を得ようというのに! このまま殺されるなんて御免だ、さっさとトンズラさせて……」
 言いかけた言葉は、通路の先に現れた人影を見て止まった。
「動力炉を破壊しようかと思ってたら、何か変なのがいるな?」
「ま、待て! 話し合おうじゃないか。私をここで殺しても良いことはないぞ!」
「へぇ?」
 篠川・尊(黒の狙撃手・e08859)の実力が、自分よりも遥かに下だと見て、コルメリオは顔にごまかし笑いを浮かべると密かに斧を握る手に力を篭める。
「そうだ、せいぜい何人か殺す程度だ! いずれ死ぬ者達の命など、私が奪ったところで何の問題もあるまい! ……最初はお前だがな!!」
 だが、その斧の切っ先が尊に届かんとした時、ディフェンダー達が現れ、彼を庇う。
 自分が包囲されていることに気付いたコルメリオは再び誤魔化し笑いを浮かべると、
「ま、待て、話し」
「……響け、死の銃声」
 あきれたような声と共に、アグリム軍団参謀の脱出は彼の消滅という形で阻まれたのだった。

 動力炉アル・ナスルを制圧し、中枢部を破壊したことで、人馬宮ガイセリウムの移動は完全に停止した。
「……なんで機能が完全に止まらないんだ?」
 疑問を口にするケルベロス達の頭上から、声が響く。

『アグリムを倒したか。流石だ、ケルベロス。
 だが、人馬宮ガイセリウムは私の命とグラビティ・チェインを糧に動いている。
 自爆するのを防ぎたければ、時が来るまでに私を殺すことだ』

 エインヘリアル第五王子イグニスの声は、戦いがまだ完全な決着を迎えていないことを改めてケルベロス達に教えていた。

→有力敵一覧

→(10)フォールクヴァング(16勝0敗/戦力1400→600)

→(12)動力炉アル・ナスル(53勝16敗/戦力2500→0/制圧完了!)

→(14)カウス・アウストラリス(3勝1敗/戦力1800→1650)

→(17)イグニスのハーレム(7勝0敗/戦力1300→950)

→(18)霊廟宮ヌンキ(5勝0敗/戦力1400→1150)

→重傷復活者一覧

→死亡者一覧

■有力敵一覧

有力敵 戦功点 現状

血揃将アグリム
2400
(12)動力炉アル・ナスル:Battle12にて、ティクリコティク・キロ(リトルガンメイジ・e00128)に倒される。

アグリム軍団参謀コルメリオ
440
(12)動力炉アル・ナスル:Battle69にて、篠川・尊(黒の狙撃手・e08859)に倒される。

戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。

戦闘結果を取得しています。しばらくお待ちください。