東京防衛戦

■第2ターン結果

●明暗深紅のアグリム兵
 左右で色合いの異なる鎧を身に着けた、『明暗真紅のアグリム兵』の姿は戦場でも嫌でも目に付いた。
 多摩川防衛戦で、8人のケルベロス達を退ける功績をあげた彼は、アグリム軍団の長であるアグリムから、アルカブの守備隊の指揮をゆだねられている。
 だが今、その顔は怒りに染まっていた。
 その怒りの矛先は、敵であるケルベロスではなく味方の兵士達に向かう。
「おいおい、テメェら、手ェ抜いてんじゃねぇぞ! アグリムの旦那のとこまで通すわけにゃいかねぇ。地球のカスどもに負けたカス王子のところの兵と一緒にされたかねぇだろうが!!」
 言葉と共に、壁を殴りつける明暗真紅のアグリム兵。
「地球のカスどもに殺された連中、まとめてカス以下だ! テメェらもそうなりたくなかったら、精々気合入れやがれ!!」
 配下の顔が怒りに染まるが、言っていることに間違いがないのは確かである。何より、明暗真紅のアグリム兵は軍団中でも精鋭だ。

 だが、その激励、あるいは罵声も、再び攻め寄せるケルベロス達の前には無力だった。次々と倒される兵士達の先頭に立ってケルベロス達を切り倒さんとする明暗真紅のアグリム兵に、椿・火蘭(業火の女子高生・e03884)が切り込んでいく。
「さあさあ、かかってきやがれ!」
「ほざけ、小娘だからと容赦はしねぇぞ!!」
 兵の手にしたルーンアックスが、戦場の空気を震わせる。
「アグリム軍団のギリアムは悪党だったけど、強くて正面からぶつかってくる勇者だったわよ! あんたはどう!?」
「ギリアムゥ……? ハッ、結局テメェらより弱かったってこったろうがよ!! ……うぉラァァァ!!」
 救い上げるようにして振るわれた斧の切っ先を、火蘭は剣の腹で受け止める。
 そのまま軽々と弾き飛ばされた彼女は翼を一打ち、空中で態勢を立て直した。
 壁に叩きつけられる直前に足を曲げ、衝撃を抑え込むと、明暗真紅のアグリム兵に視線を向けた。
「動き出せ、わたしの心臓! ぶん回せ、わたしの炎! もっと速く! もっと強く!」
 壁面を蹴りつけて飛んだ火蘭の体は導かれるように明暗真紅の懐へと飛び込んだ。
 拳の連打が、明暗真紅の顎をかち上げ、その勢いのまま拳を叩きこんでいく。
「勇者なら、前のめりに死ね! わたしたちは全員その覚悟できてるわよ!」
 言い捨てる火蘭の下で、敵指揮官は絶命、消滅していった。

●威厳翁イヴァレール
「また来たのか、ケルベロス。脆弱な癖に諦めが悪い愚か者よのう」
 右後脚アルカブの戦場へ再侵攻したケルベロス達を前に、右後脚アルカブの指揮官、威厳翁イヴァレールは、蔑む様にそう言うと、ケルベロス達に向かって口を開いた。
 先の戦闘により戦力が激減した状況でも、全く慌てるそぶりも無い、その姿は、虚勢とは思えない程に堂々としていた。

「ザイフリートなんぞを倒したぐらいで浮かれて、身の程知らずにも人馬宮に攻め込んだお調子者共よ。イグニスの若造に代わって、このイヴァレールが直々に、真の絶望を教えてやろう」
 そして、その言葉の通りに、ケルベロスに向けてその魔力を解放したのだった。
「この攻撃はっ! どういうことだ?」
 その攻撃を受けたケルベロス達は、蒙ったダメージの量に疑問を持たざるをえなかった。
 なぜなら、
「確かに、弱くは無い。だが、決して強くもないぞ……?」
 弱くは無い、弱くは無いのだ。
 だが、先ほどの口上から想定される威力には遠く及ばないのだった。
 イグニスを若造よばわりするどシャイターンの地位は高いはず。ならば、イグニスに勝るとも劣らない攻撃力があっても不思議では無い筈なのだが……。
「イグニスを若造呼ばわりしてこの威力とは……、もしや、イグニスの戦闘力は低いのか?」
 大首・領(秘密結社オリュンポスの大首領・e05082)は、組織を率いる見地から、イグニスの戦闘能力について考察する。
 が、このの言葉に、イヴァレールは愚者を見下すような視線と共に答えを返した。
「ふふふ、驚いたか。この私は、この程度の戦闘力しか持たぬが、大スルタンやイグニス様に対しても上から目線で偉そうに振る舞うことが許されているのだ。それこそが、我が威厳翁の特権よ」
(「……イグニス様になったな」)
 どこに威張れる要素があるのかわからないが、イヴァレールは至極真面目にそう威張りあげる。
(「宮中道化師のような役割なのか? だが、道化師役は弱そうに見えて実は最強というのが大首領的にお約束なのだが……。デウスエクスの世界では、違うのかも知れぬ」)
 とりあえずそう理解した領は、イヴァレールの前に立つと、背後に控えるケルベロスの軍勢に攻撃を指示した。
「想定よりも攻略が遅れている。面倒だ、さっさと始末するのだ」
 その指示に従ったわけでもないが、ケルベロスからの集中砲火を受けたイヴァレールは、数分もしないうちに、ズタズタにされていく。
 そして、
「フハハハ……我が名は、世界征服を企む悪の秘密結社オリュンポスが大首領!!我がオリュンポスの威光の為、糧となって貰おう!」
 最後は領のグラビティブレイクに粉砕されて消滅して果てたのだった。
「たかが、わし風情に、集中攻撃せねばならんとは、やはり、ケルベロスとは大した事ないのう。はっはっはー」
「むぅ……敵ながら最期まで威張りくさっているとは天晴れな奴」
 その消滅の間際、ケルベロスを見下すセリフを言い切って消滅する姿に、悪の大首領は見事とうなずくのだった。

●星剣士ギギル
 星剣士ギギルが守る右前脚ルクバトには、敵戦力を大幅に上回る人数が押し寄せていた。
 多摩川防衛戦でケルベロス達を退けた星剣士ギギルをはじめとして、金糸雀師団の奇襲で戦力を漸減させられていた守備隊は、これには一たまりも無い。
「アルカブを落としたからと調子に乗りやがって、うざってぇ連中だぜ!」
 次々と攻め寄せるケルベロス達に応戦するべく、はき捨てるようにして、自ら前線に現れる星剣士ギギル。その前に進み出たのは、トレイシス・トレイズ(未明の徒・e00027)をはじめとするケルベロス達だ。
「これ以上、進ませるわけにはいかない。その命、貰い受ける」
 二刀を手にトレイシスがギギルに告げると、エインヘリアルの表情が歪んだ。
「言いやがる! テメェを八つ裂きにして、地球の連中の目の前に晒してやるぜ!」
 ギギルの手にしたゾディアックソードが唸り、ゾディアックミラージュが次々とケルベロス達を襲う。
「クズどもが! テメェらを退けりゃぁ、俺様の武勲もさらに増すってもんだ! オラ、お前ら俺に続きやがれ!!」
 続けて使われる攻撃は、『見切ったところでかわせない』という精々デウスエクスとの隔絶した実力差をケルベロス達に実感させた。
 だが、ギギル一人が気を吐いたところで、この戦力差は左右できるものではなかった。
 彼に続いて攻撃をするべき配下達は、次々に倒れていく。
「チィィッッ……! 地球の定命の連中は、震えて殺されるのを待ってりゃいいんだよ!!」
 叫びと共に、獅子座のオーラを撃ち放つ。
 だが、孤軍奮闘もそこまでだ。ギギルは次第に動きを封じられていく。
「この程度、痛くもかゆくもねぇ……!!」
「その命、貰い受ける」
 トレイシスの両手の斬霊刀から、十字の衝撃波がギギルを貫く。
 霊を斬り裂かれた真紅の鎧の星剣士は、無念の形相のままに消滅していった。
 トレイシスはそれを見届けると、ギギルが守っていた脚部関節の前に立つ。
「刃が断つのは邪の心。光を以て実行する」
 凍曇と朝虹、二刀の斬撃が赫灼の奔流として通路に輝きを一瞬もたらし、それと共に制御装置が大きく斬り裂かれる。
 右前脚足の動きが急激に衰え、それと共にガイセリウムの速度が大きく低下したのが内部にいるトレイシス達にも分かった。さらに、下部の制圧に伴って、ガイセリウムが大きく傾き、高さを下げる。上層部への容易な侵攻も、可能となったのだ。
「よし……急ごう」
 仲間達に告げるトレイシス。
 既にガイセリウムは、最大の被害を生むであろう地点の半ばを過ぎている。
 ケルベロス達の戦いは、いまだ予断を許さない状況であった。

→有力敵一覧

→(2)左後脚アルカブ(6勝3敗/戦力250→0/制圧完了!)

→(3)左後脚ルクバト(7勝2敗/戦力1200→850)

→(5)左前脚ルクバト(21勝0敗/戦力1200→150)

→(7)右前脚ルクバト(34勝3敗/戦力1000→0/制圧完了!)

→(8)右後脚アルカブ(6勝3敗/戦力250→0/制圧完了!)

→(9)右後脚ルクバト(13勝1敗/戦力1000→350)

→重傷復活者一覧

→死亡者一覧

■有力敵一覧

有力敵 戦功点 現状

明暗深紅のアグリム兵
600
(2)左後脚アルカブ:Battle9にて、椿・火蘭(業火の女子高生・e03884)に倒される。

星剣士ギギル
600
(7)右前脚ルクバト:Battle5にて、トレイシス・トレイズ(未明の徒・e00027)に倒される。

威厳翁イヴァレール
400
(8)右後脚アルカブ:Battle9にて、大首・領(秘密結社オリュンポスの大首領・e05082)に倒される。

戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。

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