■第7ターン結果
●ジグラット・ハート
惑星、あるいは十二創神ジュエルジグラットの中枢、ジグラット・ハート。
潜入調査チームのうち、コクマ、碧、昴は、その存在と邂逅していた。
3人がその際に感じたのは、『巨大ではある』『しかし重大な脅威とは思わない』ということだった。
地球に現れたジュエルジグラットの腕も、破壊の規模こそ災害そのものではあったが、戦闘能力自体を見せつけたわけではない。
「まさかと思うけど、ジグラットゼクス(寓話六塔)より弱い……?」
「言うことを聞かず、私利私欲に走る者が出たのも分かりますね。デウスエクスは力を重んじますから」
遠くに見える巨大なジグラット・ハートの力量を、ケルベロス達はそう見て取る。
モザイクに侵され、絶対制御コードを使えなくなった途端、ドリームイーターが好き放題を始めた原因をケルベロス達は納得する。
デウスエクスの間では、強い個の力を持つ者が重んじられる。
社会性を重んじる、地球の定命の者とは色々と違うのだ。
「太陽神アポロンとか、絶対制御コード無しだったら100%反乱されてましたよね」
「まあ、ジュエルジグラットはまだ慕う人がいるようですから、一緒にするのは気の毒かもしれませんが……」
だが、それで中枢での戦いが楽かといえば、無論そうではなかった。
ジグラット・ハートを取り巻くように、モザイク達が集まり、その姿を変えていく。
やがて、現れるのは威厳ある男性、儚げな少女、そして金色の魔神だ。
「『王様』『お姫様』それに『ランプの魔神』か」
フォーチュンテイカーが、奥へ進めば初代ジグラットゼクスに出逢うだろうと言っていた意味を、ケルベロス達は理解した。
フォーチュンテイカーや『継母』ほどには強くはないが、見ているだけでケルベロス達の心は千々に乱れ、敵味方の区別すら定かならざるようになりつつあった。
「……祟り損ねた」
退けられた祟・イミナ(祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟・e10083)が悔し気に言う。
強力な守護者たちに守られたジグラット・ハートを撃破しなくてはならないことを、ケルベロス達は理解していた。
●『鏡の中の愛しいあなた』
「……これかしら?」
城の奥、『継母』の居室と思しき部屋には、巨大な鏡台が置かれていた。
その鏡の表面に触れると、鏡は水であるかのように橘・芍薬(アイアンメイデン・e01125)を受け入れる。
「鬼が出るか蛇が出るか……」
呟きつつ、芍薬たちは、鏡の中へ乗り込んだ。
その向こうに広がっていたのは、もう一つの『継母の城』だ。
「またファンタジーな……」
思わず頭をかいた芍薬をはじめ、城へと乗り込んだケルベロス達は、奇妙な光景に不安を覚えながらも、城の中を進んでいく。
そして、玉座の間に辿り着くと、一人の女性が配下のドリームイーターと共にケルベロス達を待ち受けていた。
「『継母』……じゃ、ないわね。何なの、あんた?」
確かに、彼女は『継母』に似た存在だった。
だが、心をざわめかせるような猜疑心は、彼女からは感じられない。
「ええ、よく似ていますよね。そのために、お母様は私を鏡の中に留めたのですから」
「娘?」
問い返す芍薬。
女性は、継母に似た目を細めた。
手にした鏡の表面が、奇妙な渦を巻いている。
徐々に、女性の顔立ちが変わっていこうとしているのを、芍薬は気付いていた。
「義理のですけどね。自分より美しい存在を望み、同時に自分より美しい存在を憎む。お母様が何を考えていたのかなんて、私にも分かりません」
言ってることが全く信用できないんですもの、と彼女は微笑んだ。
「で、あんたの目的って何なの? 何がしたくて継母を操っていたの?」
「操っていたなんて、そんなつもりはないんですけど。溺愛されて、こんなところに閉じ込められて困っていましたし」
ですから、解放してくださったのは助かります、と『鏡の中の愛しいあなた』は言う。
「『王子様』から私を遠ざけるなんて、お母様ってば本当に意地悪です。力をつけるためだからって、姿までお母様のものに変えさせ。……でも、それももう終わりです」
鏡の渦が速度を増すと、女性の姿もまた変わっていこうとする。
「皆さんがお母様を殺してくれたから、私はもうじき解放されます」
そう言いつつ、『継母』と同様のグラビティを使う彼女は、ケルベロス達を退けはじめる。
その力が『継母』と同等であることを見て、芍薬は確信した。
(「寓話六塔……おそらく、『継母』が育成していた、『次』の候補の一人!!」)
やはり、というべきだろう。『継母』は全く地球侵攻を諦めてなどいなかった。
無限の寿命を持つデウスエクスだ。
いつか再び地球に侵攻しようと企んでいたのだろう。
「寓話特性が使えてない今がチャンスだ! 今すぐにケリをつける!!」
芍薬の叫びに応じ、ケルベロス達はドリームイーター達との交戦を開始する。
「戦うのってはじめてなんです! よろしくお願いします!」
目を爛々と輝かせ、『鏡の中の愛しいあなた』も、グラビティを行使しはじめる。
だが、喜々としてグラビティを使っていたのも束の間だった。
幸いだったのは、鏡の中に足を踏み入れたケルベロスが多勢であったことだろう。
『継母』と同等の力を持ちながら、戦い慣れていない様子の『鏡の中の愛しいあなた』が寓話特性を取り戻す前に、ケルベロス達は彼女を追い詰めていく。
「これで、仕舞いだよ」
芍薬はフェアリーレイピアを構えると、一気に『鏡の中の愛しいあなた』を貫いていく。
「そんな……私は、城の誰より、強いのに」
「油断が過ぎたね」
信じられぬかのような表情で倒れる女性の姿が、美しい黒髪の少女に変わり、そして消えた。
「寓話六塔。代替わりするのは知ってたが。……まさか他に5人いるとか言わないよね……初代まで出て来たのに元祖とかニューウェーブとか言わないでよ」
もっとも、城のいたのは『鏡の中の愛しいあなた』一人だったので、流石にそれは杞憂だったようだ。
残る敵がいないのを確認すると、ケルベロス達は鏡の城を後にするのだった。
→有力敵一覧
→(5)チェシャ猫(1勝0敗/戦力270→220)
→(7)赤の王様(0勝1敗/戦力530→520)
→(10)ゼー・フラクトゥール(7勝1敗/戦力430→70)
→(12)???(19勝5敗/戦力1000→0/制圧完了!)
→(13)ジグラット・ハート(1勝8敗/戦力888→758)
→重傷復活者一覧
→死亡者一覧
■有力敵一覧
戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。