ジグラット・ウォー

■第4ターン結果

 ゲートを制圧したケルベロス達は、渦巻く空間を潜り抜けた。
 一瞬、奇怪な光景──魔石獣ジュエルジグラットの全身を垣間見たかと思うと、ケルベロス達はジュエルジグラットのゲートの先にいた。
 地球側の『腕』と変わらない迷宮を辿り、『腕』を抜けると、その先には、幾つもの都市化された区域が見えて来る。
 ドリームイーター達が住まう『嚢胞都市』だ。
 その間を抜け、中枢部を目指すケルベロス達を、ドリームイーター達は迎え撃とうとしていた。

●植田・碧
 無数のモザイクと、自らのワイルドハントに満たされた戦場の中心で、植田・碧(e27093)は、両手のマシンガンを攻め寄せるケルベロスに向けると、その引き金を引いた。
 タタタタタという軽い音が響くと、銃口から放たれた魔法の弾丸が、シル・ウィンディア(蒼風の精霊術士・e00695)達ケルベロスを襲う。
 その傍では、影纏う翼猫が漆黒の翼を広げて、主人のワイルドハント達に癒しを送るが、質量共に揃ったケルベロス達の猛攻の前に、その戦力は確実に削がれていった。

「やはり、聖王女は見捨てませんでした。迎えに来ましたよ、碧さん!」
 朝比奈・昴は、共にジュエルジグラットの調査に携わった、ティアン、梓、マヒナと共に、碧の姿を見て駆け寄ろうとする。
 彼らは、ジュエルジグラット中枢で自分達を逃がす為に暴走した緑の姿に、忸怩たる思いを感じていた。
 任務の為に仕方なかったとは言え、碧達を救えなかったらと考えたら、気が気では無かったのだ。

「碧さん、あなたの大切な人が、あなたの無事をこんなに祈ってたんだよ! モザイクなんかに負けないで、こっちに戻ってきてっ!」
 危地に陥った自分を救う為に助けに来てくれる仲間の存在は、命を懸けてデウスエクスと戦い続けるケルベロスにとって、何物にも代えがたい宝なのだから。

 シルは、碧と彼らの間に、確かなつながりを感じ、碧を暴走から救い出す為にと、自らの夢の力を高め龍の気として解き放った。
(「夢の力……ドリームエナジーをぶつければ、きっと戻ってこれるよね!」)
 その攻撃は、黄龍の形をとり碧に喰らいつくも、黒い影に掻き消され、致命打とはなりえない。

 手を伸ばせば届く距離。
 しかし、後、一歩、届かない心……。

「お願い、話を聞いて!」
「聞く必要はありません。黙って、撃ち殺されない」
 叫ぶシル。だが、黒いオーラで覆われた碧の闇を振り払う事は出来ず、悪夢のような弾丸が、ケルベロス達を襲う。

「あと少し、あと少し、切っ掛けがあれば、碧さんの心が取り戻せるのに……」
 シルは、ギリと奥歯を噛みしめる。
 このまま説得は不可能なのか?
 焦りを浮かべるシルに、諦めるなと、暴走した碧と御揃いの服と装備をしたケルベロス、橘・芍薬が駆け寄り、ドラゴニックスマッシュで、碧の足を止めた……。
「碧は、私らの仲間だからね。助けたい気持ちは一緒なのよ」
 芍薬は、そう言うと、碧に向かって「Shangri-Laで、共に戦い切磋琢磨した絆を思い出すのよ!」と、訴えかける。
 碧と芍薬の瞳が合わさる。
 まるで鏡写しのような2人は、互いに見つめ合い、そして、その瞳の強さに負けたのか目を伏せた。
 同時に、碧の動きが弱まっていく。
 それは、千載一遇のチャンスであったろう。

「今なら、手が届く……! 皆さんの気持ち、わたしに貸してっ!」
 シルは、芍薬の、ティアンの、梓の、昴の、マヒナの心を黄龍の心魂に乗せ、その思いを束ねて、碧に向けて解き放った。

『龍の気よ、六芒に集いし精霊達と共に、我が腕に集いて撃ち砕きし力となれ!…龍よ、全てを喰らい尽くせっ!!』
 解き放たれたシルの魔力砲は、碧を包み込み……そして、その中で我を取り戻した碧は、差し伸べられた仲間の手をしっかりと握る事が出来たのだった。
「助けてくれるって信じてたよ」
 暴走から救出された碧は、自分を迎えに来てくれた仲間達に、そう言って微笑んだ。

●ワイルドハント
 念のためと銀狐師団の救護拠点に運ばれる最中、碧は彼女が暴走した後で得た情報を語る。
 碧たち3人は、他の潜入調査チームの面々を逃がすために抵抗した。
 だが、その後に捕らえられ、そして『継母』にモザイクを与えられたという。
 それと同時に、彼女達の姿を模した『ワイルドハント』のモデルにされたらしい。

「そこまでは良いんですが、なんであんなに大量のワイルドハントが沸いてたんです?」
「ワイルドハントの『外側』……あれモザイクで出来てるみたいね」
「モザイク……ですか?」
 オウム返しに問い返すケルベロス。
 碧の説明によれば、精巧なCGテクスチャのようなもので、体表面を覆う無数のモザイクが暴走したケルベロスと同じ外観を造り出しているらしい。
「ドリームイーター本来の肉体を捨てて、全身の体表面に広げたモザイクで『最強の定命種』……つまり暴走したケルベロスの姿と力を得る。そういう理屈らしいわ」
 なぜ定命種のみという縛りがあるのかは不明だが、
「……単に、この技術を作ったドリームイーターが自分の姿を真似られたくなかったのかも」
 と、碧は推測していた。
「でも、ドリームイーターってモザイクに蝕まれているんですよね? 聞くからに危険そうなんですが……」
「ええ。力は増すけれど、二度と元のドリームイーターには戻れない。全身も、心も、肉体を覆うモザイクに蝕まれていって、最後にはモザイクの塊になる」
「それは……確かに覚悟が要りますね」
 二度と戻れない危険な変身を為してまで地球に侵攻した、『王子様』配下の覚悟が分かろうというものだ。

「そういえば、今回は、碧さん達の姿だけを模しているようですが、前はもっと沢山種類がいましたよね?」
「前は『赤ずきん』が何かしたらしいわ」
 かつては、『赤ずきん』が地球人が好意の裏返しとして無意識に抱く『ケルベロスが敵に回ることへの恐怖』を無作為に抽出し、志願したドリームイーターに与えていたらしい。
 そのため、誰がどのような姿になるかは完全にランダムであったらしい。

 ともあれ、ワイルドハントが大量に出現している理屈は判明した。
 残る2人の救出、そして『継母』と『ジグラット・ハート』との決着。
 全てを為すべく、ケルベロス達はさらにジュエルジグラットを進んでいく。

→有力敵一覧

→(5)チェシャ猫(3勝1敗/戦力630→470)

→(7)赤の王様(2勝0敗/戦力730→630)

→(8)植田・碧(28勝5敗/戦力1300→0/制圧完了!)

→重傷復活者一覧

→死亡者一覧

■有力敵一覧

有力敵 戦功点 現状

植田・碧
2970
(8)植田・碧:Battle1にて、シル・ウィンディア(蒼風の精霊術士・e00695)に倒される。

戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。

戦闘結果を取得しています。しばらくお待ちください。