■第3ターン結果
●ジュエルジグラットゲート~寓話六塔(ジグラットゼクス)ウルフクラウド
『ギュバラギュバラギュバラギュバラギュバラギュバラギュバラギュバラギュバラギュバラギュバラギュバラギュバラギュバラギュバラギュバラギュバラギュバラギュバラギュバラギュバラギュバラギュバラギュバラギュバラギュバラギュバラギュバラギュバラ!』
あいさつ代わりの巨大な咆哮が、ケルベロス達の耳朶を打つ。
先刻はケルベロスを退けたジュエルジグラットゲートを守るウルフクラウドの軍勢だが、戦力を支えていた戦場をケルベロス達が制圧するにつれて、その勢いは衰えていた。
それでも、ジグラットゼクスが一塔『ウルフクラウド』は、意気軒高に狂気の咆哮を撒き散らし続けている。
巨大な頭部と、不釣り合いに小さな体。
その姿が視界に入るだけで、ケルベロス達は己の中に狂暴な思考が首をもたげて来るのを感じていた。
「……これは……なかなか」
シマツ・ロクドウ(ナイトバード・e24895)もまた、己の中で荒々しいものが目覚めるのを感じる。あるいはそれは、螺旋忍軍に受けた改造によって起伏が乏しくなったはずの感情の動きなのかもしれなかった。
「ですが、それで我を失っている場合ではありませんね」
静かに敵を見据え、シマツはゲートへと向かう。
たちまち、ワイルドスペースを泳ぐようにしてゲートを守る防衛部隊のドリームイーター達が現れ、グラビティを撃ち出してくる。
ケルベロス達はそれを防ぎながら反撃を繰り出していった。
ゲート周辺に広がるワイルドスペースに、無数のモザイクが飛び散っていく。
ドリームイーターの攻撃は、明らかに理力と魔法に偏っていた。
「どうも、ウルフクラウドさん。シマツです」
ウルフクラウドの前に出たシマツは、礼儀正しくぺこりとひとつお辞儀をした。
「では、破壊しますね」
『ギュバラ!!』
破壊するのは自分だと言わんばかりの勢いで、ウルフクラウドの頭部がその大きさを増した。
顎が圧倒的な巨大さへと広がり、牙が振動。
周囲のもの全てをかみ砕かんとする勢いで、ケルベロス達へと突っ込んで来る。
さながら狼ならぬ鮫のように、巨大な狼顔が突っ込んで来ていた。
「おっと、これは驚きましたね」
あまり驚いた様子もなく言いながら、シマツはその軌道をなんとかかわす。
鋭い剛毛に巻き込まれたケルベロスの血がワイルドスペースを染める。
巨大化する頭部へとケルベロス達は攻撃を繰り出していくが、敵の勢いは止まろうとしない。
次々とケルベロスをその牙にかけていくウルフクラウドの暴虐ぶりを見ていたシマツは、ふとあることに気付いた。
「首から下は、あんまり変わってないですね」
ウルフクラウドの手足は、その巨大な頭部に似合わない、あからさまに細いものだ。
今は頭部の勢いに引きずられるようにして、動いているが、
「ひょっとして弱点はあちらなのでは」
思いつくや否や、シマツは動き出した。
ケルベロス達の一斉攻撃を受け、速度を落としたウルフクラウドへ向け、シマツは跳んだ。剣呑な名を持つ武器、コロスマッシャーが、無数の釘を生やしながらウルフクラウドの手に突き刺さる。
『ギュバラ!?』
「よし、通じますね」
痛みを覚えてる様子こそないが、その軌道がぶれた。
ケルベロス達も、シマツに続いてウルフクラウドの貧弱な腕、足、胴体と、攻撃を加えていく。それと共に、巨大化していた頭部は次第にその大きさを元の状態へと戻していった。
「荒れさせていただきます」
シマツのコロスマッシャーを螺旋の力が覆う。
ウルフクラウドの力がもたらす狂暴な心をそのまま叩き付けるように、シマツはそれを振るった。ウルフクラウドの剛毛が突き刺さり、痛みを与えて来るが、彼女はそれを黙殺した。素早く、激しく、反撃の暇も与えないほどに徹底的に殴り抜き続ける。
『ギュバラギュバラギュバラギュバラギュバラギュバラギュバラギュバラギュバラギュバラギュ……バ……ラ……』
ウルフクラウドの全身から力が抜けていく。
「やりましたね」
ほっと安堵したようにシマツは言う。
それは、ケルベロス達がゲートを制圧したことを示していた。
→有力敵一覧
→(5)チェシャ猫(3勝1敗/戦力790→630)
→(6)ジュエルジグラットゲート(28勝5敗/戦力798→0/制圧完了!)
→(7)赤の王様(2勝1敗/戦力840→730)
→重傷復活者一覧
→死亡者一覧
■有力敵一覧
戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。