■第6ターン結果
●ギガンティック・スター・ピルグリム統率体
ドラゴン達にも匹敵する、あるいは上回るような巨体を誇るギガンティック・スター・ピルグリム。
『暗夜の宝石』の表面は、ケルベロス達とギガンティック・スター・ピルグリムとの度重なる戦いの影響で激しくひび割れていた。
「あれが、『統率体』。こいつらを指揮してるんデスカ」
レプリゼンタ・クルウルクの精鋭たるギガンティック・スター・ピルグリム達の中で、ひときわ大きな個体に目をやり、シィカ・セィカ(デッドオアライブ・e00612)は口の中でつぶやいた。
本来ならば、星々を侵略し、攻性植物の版図を広げる役割を持つ生命体だ。
「ここで一気に殲滅できれバ……!!」
シィカは、バイオレンスギターをつま弾いた。
「ボクの歌を聞くデスよー!」
真空に響く、グラビティの音色。
その音色に惹かれるように、統率体は一気にシィカへと迫り、そしてその巨大な尾を叩き付けて来る。
シィカは、その下を潜り抜けると、尾を蹴り、その頭部へと身を跳ねさせる。
「このまま地球に降り立たせるわけにはいかないデスからね!」
振り抜いた足が、炎を帯びて巨大なビルグリムへと叩き込まれた。
攻性植物の粘菌を焼きながら、グラビティの炎は灰緑色の巨体を覆っていく。
やがて、震動と共に『統率体』が消え去った時、侵略生命体ギガンティック・スター・ピルグリムの姿は、月面から消えていた。
●マスター・ビースト
ケルベロスによる攻撃は、マスター・ビーストの手勢を追い込みつつあった。
「ああ、もう全く大誤算ですよ……!! なんですか、あのバカデカい剣は! あんなものを地球にあるなんてこと、聞いていませんよ!!」
マスター・ビーストは、その巨大な触手を力強く振り抜く。
直撃を受けたケルベロス達が、低重力の影響で遥か彼方まで吹き飛ばされていく。
今のマスター・ビーストの姿は、遺跡の内部で目撃されたものを遥かに上回る巨大さだった。
「やっぱり、あの月面遺跡自体が本体って本当だったのかな……」
シル・ウィンディア(蒼風の精霊術士・e00695)は、遺跡での戦いを思い出す。
遺跡内部の空気が排出されているのか、一時のことだろうが、有毒な空気が周囲には漂っている。
「といっても、月面に潜って引きこもってたらピルグリムを植え付けられて大変なことになっちゃってたでしょうから、出て来ないといけなかったんですけどねぇ!!」
マスター・ビーストの巨体には、幾つもの死体がぶら下がっていた。
触手の一本でそれを掴むと、マスター・ビーストはシル達に与えられた傷口へと押し込む。傷口に歯が生え、肉を噛み千切り咀嚼すると、その傷は消えている。
「うーんデリシャス!! 実験体の死体も、時には役立ちますね! 創造主孝行ですよ、あなた達と違ってね!!」
戦うウェアライダーのケルベロスたちは、マスター・ビーストから漂う怒りの念を感じていた。
「創造主に逆らう被造物というのは、自分が創造主になってみると苛立たしいものですね。まあ他人のことは言えませんね! 私やクルウルクも、ネルガルスの思い通りになるようなヤワな根性はしていませんでしたからね!」
月面を震わせる、強烈な咆哮が、ケルベロス達を吹き飛ばし、その肉体を翻弄する。
だが、耐え切ったケルベロス達は、すぐさま反撃に転じた。
シルは白銀戦靴『シルフィード・シューズ』を蹴り上げて触手の一本を断つと、すぐさま降り注ぐ触手から触手へと次々に飛び移っていく。
「全く、定命化してしまうと『絶対制御コード』も効かないとは! まあ、私が地球で本気を出せば、定命化したウェアライダーは絶滅するでしょうがね!」
「……えっ?」
シルは驚きに思わず足を止めそうになった。
「おやおや『狂月病』を御存知ない? 私が月に居てすら狂気に陥るんです。私が地球に行けば、そりゃあ死にますよ。死にまくりますよ!」
ケラケラと愉しそうに笑うマスター・ビースト。直接つながらない会話だが、これまでの内容から、シルは一つの結論を導き出す。
「まさか『狂月病』って、『絶対制御コード』の影響なの……!?」
マスター・ビーストは、ウェアライダーという種族の創造主。
そして、種族の創造主は一つの能力を有する。
己の創造した種族に対し、命令を強制する『絶対制御コード』だ。
ソフィステギアのように何らかの形でデウスエクスとしての力を保っていたウェアライダーに対し、月光に乗せて放たれた『絶対制御コード』は、その命令に従うことを強制させた。
一方で、定命化し、デウスエクスでなくなった地球のほぼ全てのウェアライダーに、『絶対制御コード』による命令は強制力を持っていない。
だが、種の創造主たるマスター・ビーストの命令は、稀に地球に生きる定命のウェアライダーの精神を蝕み、時にその正気を脅かす。
それこそが、『狂月病』の正体なのだ。
「私を求め、そして私を『暗夜の宝石』から解き放つ!
それこそが、私がウェアライダー全てに与えた使命!
ソフィステギアとか言いましたっけ? 彼女は良い立場に収まってくれました!
攻性植物の拠点に入って、クルウルクの情報もある程度抜いてくれましたからね!」
ケルベロスは思い出す。
当初、妖精8種族『セントール』を己の戦力にしようと試みていたソフィステギアの活動方針は、一時期を境として明確に変わっていた。
狂月病の病魔……つまりは『絶対制御コード』とセントールのコギトエルゴスムを組み合わせ、神造デウスエクスモドキを創り出す。
ソフィステギアが、そのような常識から掛け離れたデウスエクスの誕生実験を行おうとしたのも、そして、そのような行為を思いついたことすらも、マスター・ビーストが彼女に目を付けたが故なのだろう。
「そういえば、月の遺跡でいろいろ言ってたけど……月の鍵と暗夜の宝石を使って何をしようとしているの? あ、答えられなかったら答えなくていいよ? どうせ大した計画じゃないんだろうし」
「む、ク、そう言われると答えたくなりますねぇ!」
そう言いながらも、マスター・ビーストはケルベロス達からの攻撃を縦横に触手を振るって退けようとする。
だが、その間にも、
「『聖王女』が定命化を防いでいた理屈、そして『巻き戻し』の方法!! それを知るための『ハッキング』ですよ!!」
大きく力を籠め、再びマスター・ビーストは破壊を伴う咆哮を挙げた。
『暗夜の宝石』の地面が音を立てて崩れていく。
だが、それを耐え抜いたケルベロス達は、戦いに決着をつけるべく疾走した。
「そういえば、あなたは『月の鍵』を持っていましたね。あれを渡すなら、ウェアライダー達を助けてやってもいいですよ?」
「お生憎様、『月の鍵』は今日は持って来ていないから渡せないよ。なにより……」
振り下ろされた触手へとシルは足を振り上げた。
鋭い音を立てて、触手が切断される。
「あなたは、ここで滅ぼすからっ!」
覚悟を決めろ。
無言のままに、全てのケルベロスが視線だけでマスター・ビーストに告げる。
紫黒色の巨体が、かすかに怯んだかのように後ずさった。
攻撃が緩んだ瞬間、ケルベロス達の攻撃が一気にその巨体へと叩き込まれていく。
「なんということでしょう! 苦節数百年、私が、このような形で!!」
「龍の気よ、六芒に集いし精霊達と共に、我が腕に集いて撃ち砕きし力となれ!」
シルの腕から魔力砲が解き放たれた。
魔力は、黄金の龍の形を取りながら、マスター・ビーストへと突き刺さる。
「龍よ、全てを喰らい尽くせっ!!」
マスター・ビーストの巨体がくずおれる。
「神造レプリゼンタ! 私の最高傑作……! あなた達だけは、逃げなさい。誰の物にも、ならぬように……!! ああ、それともケルベロスと成り得たウェアライダーこそが、私の……?」
その言葉を最後に、ウェアライダーの創造主は滅び去るのだった。
●特殊ルール「神造レプリゼンタ」
(4)レプリゼンタ・ギガトラルドンの戦力が500に回復しました。
(10)レプリゼンタ・ジェイダリオンの戦力が500に回復しました。
→有力敵一覧
→(4)レプリゼンタ・ギガトラルドン(0勝1敗/戦力500→490)
→(5)ギガンティック・スター・ピルグリム(2勝1敗/戦力100→0/制圧完了!)
→(8)レプリゼンタ・パントファルドス(1勝0敗/戦力600→550)
→(10)レプリゼンタ・ジェイダリオン(0勝1敗/戦力500→490)
→(12)クルウルク(7勝2敗/戦力1340→970)
→(13)ネカルギャハタ(1勝0敗/戦力950→900)
→(14)マスター・ビースト(12勝1敗/戦力430→0/制圧完了!)
→(15)ビルシャナ大菩薩(16勝3敗/戦力1800→970)
→重傷復活者一覧
→死亡者一覧
■有力敵一覧
戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。