『暗夜の宝石』攻略戦

●悪意の鋒（あくいのほこさき）
　デウスエクス同士の乱戦は、ケルベロスの参戦によってさらに混迷の度合いを増しつつあった。
　隙を突き、神造レプリゼンタの戦場を突破したケルベロス達は、ビルシャナ大菩薩を守る三菩薩の１体、悪意の鋒（あくいのほこさき）の軍勢と相対していた。

『我が同胞達よ！　己の内なる悪意を解放せよ！！』

　悪意の鋒の号令と共に、ビルシャナの軍勢は背筋に電流が走ったかのように身を震わせた。ケルベロス達を睨む目を血走らせながら、襲い掛かって来る。
「それぞれに教義も持っていただろうに……」
　星黎殿・ユル（青のタナトス・e00347）は、微かに嫌悪感を抱く。
　悪意の鋒によって、まさしくその矛先を変えられた今、彼らはケルベロスを殺戮せしめんとする悪意に満ち溢れていた。

『ビルシャナ大菩薩によって、地球を滅ぼすのだ。
　宇宙の中心、グラビティ・チェインの発生源たる地球を！！
　それこそは宇宙最大の悪意の発露なり……！』

　己の言葉に恍惚とするかのように宣言する悪意の鋒。
　だが、ユル達は冷静に、怒涛の如きビルシャナの軍勢を捌いていく。
　統制されない無闇な突撃を、ケルベロス達は確実にやがて悪意の鋒への道が開ける。
「星降る覇杖よ……」
　如意棒を手に、ユルはクレーターの淵から身を躍らせた。地球の1/6の重力による、ふわりとしたジャンプ。悪意を籠めた瞳がユルを見下ろした瞬間、急激に伸びた如意棒が、巨大なビルシャナの瞳を強かに打った。
『！？』
　なおも伸ばした如意棒を、そのままに振り下ろす。
　悪意の鋒は、その身を翻すと、配下のビルシャナ達に 「取り逃がしましたか……ですが、次は」
　既に悪意の鋒の配下は、ほぼ撃破できている。
　あとは、本体を撃破するだけだと、ユルは決意と共に頷くのだった。

●ソフィステギア
　分割された宝瓶宮グランドロンを守る螺旋忍軍アブランカ一族の軍勢は、ケルベロスによって完全に排除されつつあった。
　グランドロンの奥へと攻め入った朱藤・環（飼い猫の爪・e22414）は、グランドロンの奥に螺旋忍軍ソフィステギアの姿を見出す。
「こんにちは、ウェアライダーの忍者さん。セントールさんたち、解放してくれません？」
「ケルベロス、ここまで来るとは……！！」
　環の言葉に、ソフィステギアはその花弁の如き唇から、憎悪に満ちた言葉を放つ。
「貴様たちに易々と渡すものなど何一つない！！」
「うん。そう言うと思ってた」
　環は、その拳を強く握った。
「……なら、殴ってでも奪い取りますよ。一之瀬さん、協力してくれる？」
「任せて」
　生き残りの動物型螺旋忍軍が襲い掛かって来るのを迎撃しながら、一之瀬・白が短く応える。
　環は、その答えを聞くや否や床を蹴った。
「小癪な！」
　ソフィステギアの周囲に、花弁が舞い踊った。
　長く伸びた爪が螺旋の力を帯び、それを縦横に振るいながらケルベロス達を貫いていく。動物型や獣人型の螺旋忍軍を従え、大阪城のデウスエクス連合の一翼を担った実力はあるのだろう。
（「でも、勝てない相手じゃない」）
　数多くの強敵と相対して来た環たちケルベロスは、そう冷静に見て取っていた。おそらく、この戦場にいる敵指揮官の中でも、ソフィステギアの実力は何段か劣る。
　それでも、螺旋忍軍としては相当に強力な部類ではあるのだろうが──。
　周囲の敵を全滅させた直後、ケルベロス達は一気にソフィステギアへと集中攻撃を加えていく。

「行くよ！！」
　白が、凍り付いたソフィステギアの腕を掴む。
『気』を振り回され、壁面に激突したソフィステギアが転がるようにケルベロスの攻撃を逃れ、鬼気迫る形相で立ち上がろうとする。
「貴様らに殺された多くの同胞のため、そしてマスター・ビーストのために……！」
「こっちも、負けるわけにはいかないんだ！」
　九十九屋・幻（e50360）の残霊が現れる。環の爪、幻の刀。二つの刃は、螺旋忍軍の肉体に無数の斬撃を刻み付ける。
　断末魔すら残さず崩れ落ちたソフィステギアの体は、間もなく消滅していった。

「これで全部かな？」
　戦いを終えた環たちは、コギトエルゴスムを集めて回っていた。
　グランドロン内で撃破された神造デウスエクスモドキたちからは、おそらく神造するのに使われたコギトエルゴスムが回収されていたのだ。
「妖精８種族『セントール』……どんな人達なのかな？」
　半人半馬の妖精種族は、地球の仲間となってくれるだろうか。彼らとの出会いに、ケルベロス達は思いを馳せるのだった。

●特殊ルール「神造レプリゼンタ」
（4）レプリゼンタ・ギガトラルドンの戦力が500に回復しました。
（10）レプリゼンタ・ジェイダリオンの戦力が500に回復しました。