ドラゴン・ウォー

　ついにドラゴニアゲートへの攻撃を開始したケルベロス。
　対するドラゴン勢力も、最強種族と言われた者達としての最後の意地を見せていた。

「これで、どうだ！！」
　火口からの熱に赤熱するオウガメタルに包まれた拳を、アンセルム・ビドー（蔦に鎖す・e34762）は振り抜いた。
　戦術超鋼拳は、魔竜ディザスター・エンドの外皮を貫き痛打を与える。
　しかし、命を奪うかに思われた一撃に魔竜は耐えきると、咆哮を挙げた。
『耐えよ。そうすれば、我らに勝利は訪れる──！！』
「我らが創造主、ドラゴンに勝利を！！」
「ドラゴニアに栄えあれ！」
　ディザスター・エンドの咆哮に、火口周辺に集ったドラゴン勢力のデウスエクス達が武器を掲げて絶叫する。
「くっ……！？」
　文字通りに命を捨ててケルベロス達へと挑みかかって来る敵の勢いに、アンセルムらも撤退を余儀なくされる。

　魔竜の指揮の元、魔空回廊を通じて集った配下種族は頑強な抵抗を続けていた。
　その大半が命を落としながらも、仲間達の死を受けてドラゴン勢力はいっそう猛り狂う。
「敵も本気ってわけだね」
　一旦退き、最後の攻撃に向けて態勢を立て直す中、戦場にいたケルベロスは『予兆』を垣間見た。ゲートの向こうから荒れ狂う風と共に現れた存在が、戦場を蹂躙していく様を──。
「あれが、『大いなる破局』？」
　あるいは、その皮切りに過ぎないのか。
　だが、アンセルムは迫る破局を見据えて口を開く。
「ついにここまで来たんだ……人類の悲願が目の前にあるって、すごいことだよね。あのゲートを壊せば戦争も終わるんだ。ああ、その後で何が来ても構わない。どんな災厄が来ようと、ボク達はその全てを終わらせてみせる！」

　ケルベロスが勝つか、ドラゴンが勝つか。
　竜十字島に決着の時は間近に迫っていた。