■第3ターン結果
●(7)江東マキナクロス
「このまま一気にマキナクロスをぶち抜く!」
浦安マキナクロスを制圧した勢いに任せ、江東マキナクロスに攻め込んだエリシエル・モノファイユ(銀閃華・e03672)達は、一気呵成に江東マキナクロスの敵戦力を掃討し、敵の首魁の一体、『終末機巧』アルマゲドンの姿を求めて殺到していた。
変幻自在の奇抜剣で、防備を固めるダモクレスの堅陣を斬り裂いて、先へ先へと進んだエリシエルは、封印された巨大な水晶と、その中で揺蕩う少女ダモクレスに真っ先に邂逅を果たす。
「最終戦争(アルマゲドン)ね、御大層な名前だけど……これで積みだよ。私の奇剣の錆になるんだね!」
そういって振るわれた二代孫六兼元真打はアルマゲドンの水晶に亀裂を入れ、封じている鎖を断ち切ってみせる。
破壊され砕けたクリスタルの中から現れた少女は、水色の瞳を半眼にして周囲のエリシエル達ケルベロスを睥睨し、眦を開いて問いかけてきた。
「あなた達は、私の枷を解き放って、なお、恐れないのですね。最終戦争が恐ろしくは無いのですか?」
そのアルマゲドンの問いかけをエリシエルは、不敵な笑みで返す。
「敵はまだまだ山ほどいるんだ、最終戦争如きで、いちいち止まってらんないんだよ!」
アルマゲドンは、そのエリシエルの言葉に小さく頷いた。
「でも、止まってもらいますよ。何人も、最終戦争からは逃れられないのです。私を倒したいのならば、最終戦争の準備をして、出直してくるのです」
そのアルマゲドンの言葉と共に、破壊された水晶が激しい閃光を放つと、轟音と共に大爆発を起こし……爆発が収まった時には、戦場からアルマゲドンの姿は消え去っていた。
「足止めを喰らったか……。だが、次こそは必ず」
エリシエル達は、あと少しで掴めた筈の勝利を逃した悔しさと共に、戦場から一時後退したのだった。
●剛竜騎士レティア
「そんな……団長がやられるなんて」
木更津ジャンクションを守る剛竜騎士レティアは、尊敬して来た巨人殺しのレイラトゥーの死の報に愕然とした。
だが、彼女に呆然としている時間は与えられていなかった。
ケルベロスは、彼女を討ち取るべく再びの攻撃を開始していたのだ。
「かちこみ、行きましょう」
エルム・ウィスタリア(好奇心の塊・e35594)がメタリックバーストを発動、オウガメタルの輝きがケルベロス達を覆う。
「迎撃!」
即座に意識を切り替え、部下達に指示を出せたのは、長きに渡って戦い続けてきたエインヘリアルとしての経験の賜物なのだろう。
だが、黒猫師団の奇襲から四度目となるケルベロス達の攻撃は、今度こそこの地の守りを噛み砕いていく。
「団長の無念を晴らす!」
次々と部下達が倒れる中、一人気を吐いていたレティア。その剛剣の勢いも、ケルベロス達に包囲され、次第に鈍っていく。
「終わらせましょう!」
エルムは魔導書のページを開いた。
招来された『混沌なる緑色の粘菌』が、足元からレティアの体を駆け上り、その心を侵していく。「うわぁああああッ!! ボクは、クルウルクの一部になんて、ならない……!!」
何を見ているのか、闇雲に剣を振り回すレティア。
その隙は、ケルベロス達がトドメを刺すには充分過ぎるものだった。
倒れたレティアの剣が、刻まれたルーンと共に砕け散る。
●妖黒術士セイート
横須賀米海軍施設のエインヘリアル達は、ファーストアタックに始まるケルベロス達の攻撃によって、既に壊滅寸前の状態だった。
「困ったわねぇ……逃げる、とはいきそうにないわ」
ルーンの所有者に任ぜられた妖黒術士セイートは、そう呟きため息をつく。
既に、エインヘリアル達も満身創痍で、指揮所へ追い詰められている。
敵の篭絡などを得意とするセイートにとって、あまり自分向きの状況でないのは確かだった。
「ハイレイン様から、ユミルの子でも預かっておけばよかったかしらね」
だが、人類側の軍隊の設備などをなるべく傷つけずに確保する役目もあった以上、ありえない話であっただろう。
プラン・クラリス(愛玩の紫水晶・e28432)をはじめとするケルベロスが、セイートのいる指揮所へと飛び込んで来たのはその時だった。
「もう来たの!?」
「元サキュバス……魅了の力で負けるわけにはいかないよね」
即座に魔眼を向け、魅了の力を発動させるセイートに、プランと共に戦場に飛び込んだケルベロス達の目が一瞬虚ろに染まる。
それを免れたプランは、セイートへと一気に距離を詰め、そっと指先で触れてやる。
「すごいことしてあげるね。咲き乱れて果ててこわれちゃえ」
「くっ、これは……!?」
プランの指先は、セイートへと過剰なまでの快楽の記憶を流し込む。
繊細な指先と、流し込まれる記憶との相乗効果に朦朧としながらも、なお魔眼の力を向けて来るセイートへと、プランは振動刀『永夜』を構えた。
「刻んであげる」
宣言と共に、プランは動きを鈍らせたセイートへと『永夜』を振り下ろす。
セイート自身の快楽エネルギーを注ぎ込まれ、その力を増した刃は、妖黒術士の体をエンジン音も高く叩き切った。
セイートの持っていた球体に刻まれた、結界のルーンが砕け散る。
●側姫ハイレイン
横浜港、山下埠頭でのケルベロスとユミルの子の争いは、その終わりを迎えようとしていた。
「ドーモ、側妃ハイレイン殿。御命、頂戴御座候!」
「ケルベロス! 番犬如きが、私達の邪魔を……!」
岩櫃・風太郎(閃光螺旋の紅き鞘たる猿忍・e29164)の挨拶に、ハイレインは即座に杖を向けた。ルーンが輝くと共に、凄まじい氷が周囲一帯を覆った。
近くにあった倉庫の壁を蹴り、その寒波をやり過ごした風太郎にハイレインは静かに杖を向けた。表情は平静を装っているが、凄まじい怒気を風太郎は感じとる。
「私はここで死ぬわけにはいかない。星霊甲冑オーディンの力、そして最終生存体(レプリゼンタ)を滅ぼすという功績。その両方があれば、もはや誰であろうと私の娘がシグムンド様の後継者たることを否定できはしないわ」
「最終生存体を倒す、でござるか?」
「そのための武器は、あなた達の前にある」
ハイレインの言葉が意味するところを、風太郎は即座に理解した。
「『ユミルの子』? やはり、あの巨人はエインヘリアルではないのでござるな?」
「最終生存体であれ、不滅の特性さえなければ私達ならばどうとでも出来る。そのためにも、『巨人を増やして最終生存体でなくす』のよ。攻性植物は全ての生命を侵食する。……ケルベロス。大阪を脅かされているあなた達も、最終生存体への対策は、他人事ではないはず」
種族最後の個体にして、不滅の幸運を持つ奇妙な存在、最終生存体(レプリゼンタ)。
攻性植物の将となっている彼らの『滅びを免れる』運命力は、ロキやカンギを相手にしたケルベロス達もよく理解している。もし、それが『同族を増やす』ことによって解除できるなら、ハイレイン達の計画にも意味は出て来る。
だが、その計画には、レプリゼンタと幾度も交戦していない風太郎でさえ指摘できる部分があった。
「……いや、それならなぜ、エインヘリアルはまだスルトを倒せておらぬ?」
「……」
問われ、ハイレインは押し黙った。スルトが前線に出て来ていないのか、この方法ではレプリゼンタの生存力を解除できていないのか。
「鶏が先か、タマゴが先か……という感じでござるなぁ」
『最後の個体になったから滅びを免れる力を得た』のか、『滅びを免れられるからレプリゼンタになった』のか。
少なくともスルトについては後者であろうことが、神奈川県や千葉県に現在展開されている、ユミルの子の数を考えれば分かる。
千を超えるユミルの子を作ってもなお、エインヘリアル達はスルトの最終生存体としての力を解除できていない。
「それに、仮にスルトを討てる可能性であったとしても、お主を見逃す理由にはならぬでござる」
ユミルの子によって荒らされた唐津市、そして横浜港。
ユミルの子の矛先が向くのは、攻性植物ばかりではない。力なき地球の人々なのだ。
「そして何より、番犬がユミルの子に辛酸を舐めさせられた、御礼参りでござる! 刮目せよ! 煌めけ、我が閃光螺旋!」
強烈な螺旋の力が、風太郎の如意棒……奇しくも、レプリゼンタを追うための武器へと宿る。
「ニルヴァーナッ! アミダ・スパイラルッ! イヤーッ!」
地を蹴った風太郎。その手にした如意棒を虹色を帯びる。
「凍りつき、死に果てなさい!!」
ハイレインがすかさず杖を振り下ろす。
だが、神苑・紫姫(白き剣の吸血姫伝説・e36718)と共に編み出したワイルドグラビティは、繰り出された氷嵐を突き破り、側妃ハイレインを貫いた。
「ハイレイン、王妃の覚悟見届けたり!」
如意棒の輝きが収まると共に、ハイレインはルーンと共に消滅していく。
そして風太郎は、横浜港沖に浮かぶ宝瓶宮グランドロンを覆っていた、見えざる結界が消えるのを見届けた。
「さて、ようやく敵の本丸に乗り込めるでござるか……」
宝瓶宮グランドロン。そこでケルベロス達を待ち受けるものは……。
→有力敵一覧
→(2)築地城壁(1勝0敗/戦力880→830)
→(3)月島城壁(1勝0敗/戦力940→890)
→(5)汐留城壁(0勝1敗/戦力1180→1170)
→(7)江東マキナクロス(28勝4敗/戦力1500→60)
→(11)京葉工業地域(1勝0敗/戦力980→930)
→(12)品川城壁(1勝0敗/戦力900→850)
→(13)石油化学コンビナート群(1勝0敗/戦力940→890)
→(19)東京湾アクアブリッジ(1勝0敗/戦力800→750)
→(20)木更津ジャンクション(4勝2敗/戦力160→0/制圧完了!)
→(21)川崎港(0勝1敗/戦力730→720)
→(24)横浜港(8勝1敗/戦力380→0/制圧完了!)
→(28)富津岬(1勝0敗/戦力780→730)
→(29)横須賀米海軍施設(3勝1敗/戦力80→0/制圧完了!)
→(32)新舞子海水浴場(0勝1敗/戦力580→570)
→(37)三浦海岸海水浴場(0勝1敗/戦力1180→1170)
→(38)金谷港(1勝0敗/戦力900→850)
→(41)宮川湾(0勝1敗/戦力1480→1470)
→(42)大房岬(0勝1敗/戦力1090→1080)
→重傷復活者一覧
→死亡者一覧
■有力敵一覧
戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。