■第7ターン結果
●黒牙卿・ヴォーダン
ドラゴンオーブの封印を解くため、多数の熊本市民を手にかけた竜牙兵の一団を率いる竜牙兵、黒牙卿・ヴォーダンは、今もなお健在であった。
黒牙騎兵団の戦力は既にすり減り、壊滅に追いやられようとしている。
そのヴォーダン達の前に現れたのは、御足菜・蓮(剣脚のヴァルキュリア・e33882)をはじめとするケルベロスだった。
「名のある竜牙兵、これでも剣士だから「剣」を交えたいものね」
『剣など持っていないようだが』
「己が脚を剣とし、その歩みは全て斬り祓う、それが私の霊剣術よ」
言うが早いが、鋭い音と共に、御足菜・蓮(剣脚のヴァルキュリア・e33882)の体は宙を舞った。
空中で振り回すように繰り出された足は熱を帯びてヴォーダンへと突き刺さらんとする。
『成る程──』
大剣を振るい、蓮を振り払ったヴォーダンは即座に配下達に命じ、隊列を整えさせた。
『突撃、蹂躙せよ』
号令と共に、一斉の突撃が敢行される。
焼けたアスファルトを踏みしだきながら迫る騎馬部隊を前に、蓮の光の翼が紅く輝きながら展開された。
「光の翼は紅く燃えて 微風に漂い煌く さあ、緋緋色の欠片よ いま一度、生まれ咲いて――数多に舞い、咲き凍てるもの」
夜闇に染まりゆく街を、蓮の周囲に生じた光の粒子が照らし出す。
その冷たい輝きに、危機を感じ止まることが出来た者は僅か。
解き放たれた粒子は蓮華の花の如く広がり、咲き乱れ、触れた竜牙兵達をことごとく凍てつかせていく。
『分が悪いな』
「逃げるつもり?」
『我らに関わった分だけ、魔竜の血族の生き延びる数が増えよう。
ならば幾らでも生き恥を晒させていただく』
言い置いて、騎馬ごと飛翔体に変形したヴォーダンは、生き残った配下を引き連れその場を飛び去っていく。
その体は、紅い粒子を帯びて半ば凍り付いていた。
「自分の分を弁えている敵というのは……厄介なものね」
●龍母艦【龍宮】
闇夜の向こうで、巨大な鳴動が起きつつあった。
有明海から島原湾にかけて、海水がうねり、轟轟と渦を巻いている。
言うまでもなく、自然界にはありえざる異常な現象だった。
「きっと、『大海嘯』発動の前兆ね」
大禍瑠璃による最大のグラビティ、その発動が迫っていることを、七星・さくら(日溜まりのキルシェ・e04235)は改めて認識する。
さくらをはじめとしたケルベロス達は、その大禍瑠璃の元へと増援部隊を送り込んでいる巨大なドラゴン、【龍宮】の元へと挑んでいた。
様々な配下種族が、ケルベロス達の行く手を阻もうと、廃墟のあちこちから現れ、襲撃を仕掛けて来る。
「べるちゃんには指一本触れさせないわよ! 死にたいやつだけかかってきなさいっ!」
『春の鍵』を手に気勢をあげるさくらの耳に、それまでと異なる音が響いた。
瓦礫が崩れる音、そして巨大な物体が飛来する音!
「散開!! 瓦礫を盾にして!!」
その音源が闇の向こうで動く巨影であることを悟り、さくらはベラドンナ・ヤズトロモ(はらぺこミニョン・e22544)達に咄嗟に指示を出していた。
数秒の後に着弾した砲弾は、潮の匂いをぶちまけながら、巻き込まれたケルベロス達に痛打を与える。
「これって、まさか……」
「【龍宮】が撃っているようね」
さすがに普段は光すらない深海で活動しているだけあって、闇などまるで苦にせず遠距離からの砲撃を叩き込んで来ている。
だが、相手からの砲撃が届く距離まで来た以上、こちらからも相手にグラビティをぶつけていくことは出来る。
「ここからは時間との勝負ね。行きましょ!」
言うが早いがさくらは【龍宮】へ向けて駆け出した。
周囲で爆音が響き、着弾のたびに巻き込まれたケルベロス達が脱落していくが、
「見えた……!!」
【龍宮】の頭部を狙える位置へと、ほどなくしてさくら達は辿り着いていた。
「ヴァルカンさん、一気に行くわよ!例のアレ……ラブラブアタックで!」
(「……流石にそれは勘弁してくれ」)
ヴァルカン・ソル(龍侠・e22558)の残霊を呼び出すと、さくらは【龍宮】の頭部へ向け翼を広げ跳んだ。
さくらの雷とヴァルカンの振るう紅蓮の刃。両者は攻撃を交差させながら、【龍宮】の甲羅を駆け上り、背部の砲を次々と破壊していく。
「これで、おしまい!!」
そして一際強い雷が、【龍宮】の頭部へと突き刺さる。
海亀型ドラゴンの巨体がぐらりと揺れ、首が力なく地面に叩きつけられる。
震動に背中から弾き飛ばされたさくらは翼を広げ、【龍宮】が消滅する様を眺めながら、ゆっくりと地面に降り立つ。
「これで、大禍瑠璃を倒す上での障害はなくなったわね……」
熊本県を九州から切り離す【大海嘯】の前兆たる渦の音は、夜を迎えた港に響き続けていた。
●魔竜アンティクトン・ネガ
『――Rrroaar!!』
魔竜アンティクトン・ネガの巨体が唸りをあげる。
鉱物のような、しかし地球上に存在するあらゆる鉱物をも凌駕する硬度を持つ白き外皮が、圧倒的な質量をもって、ケルベロスへと迫ってくる。
巨大な魔竜の中でさえも、一二を争う巨躯のアンティクトン・ネガは、ただ歩行するだけでも、周囲に地響きと揺れを巻き起こす。
そして、白い装甲の奥に光る瞳に殺意が充ちる時、超重力の一敵がケルベロスを押しつぶした。
攻撃範囲こそ狭いが、一撃必殺の力を秘めた一撃が、朧・遊鬼(火車・e36891)を襲うが、その攻撃はテレサ・コールのサーヴァントのテレーゼが庇い九死に一生を得る。
「良し、この調子だよ。仲間は絶対に守る!」
ゼレフ・スティガル(雲・e00179)は、互いにかばい合いながら戦い続ける皆の姿を誇らしく思いながら、戦場を進む。
孤立しないように互いに背中を預けあい、戦場に倒れても決して見捨てる事が無いように。それは、戦場におけるゼレフの矜持であった。
そのゼリフの願い通り、アンティクトン・ネガとの戦いは最小限の被害のまま、終局を迎える。
「行くぞ、化け物」
『――Rrroaar!!』
ほぼ戦力を温存して、包囲に成功したケルベロス達の攻撃が、アンティクトン・ネガを襲う。
対するアンティクトン・ネガは、執拗に遊鬼を狙い続けたが、そのたびに、遊鬼は、仲間の助けで何度も九死に一生を得て、戦場に踏みとどまり続けた。
一撃必殺の攻撃が何度も防がれた事は、アンティクトン・ネガにとって、大きな計算違いだったであろう。
『――Rrroaar!!』
やがて遊鬼を撃破する事に成功したアンティクトン・ネガは、その達成感からか咆哮をあげる。だが、魔竜の攻撃の半数を引き受けてみせた遊鬼の貢献は、あまりにも大きかった。
歓喜の咆哮は、ケルベロス達の攻撃を受け、すぐに苦しみのそれへと変わる。
『――Rrroaar!!』
自分よりも圧倒的に弱い脆弱な敵が何度も何度も立ち上がり、自分を追い詰める。
虫けらのようなケルベロスを、簡単に踏みつぶせるだけの攻撃を耐え抜いて、小賢しい攻撃を繰り返してくる。
まるで、蟻に集られて殺されようとしている象であるかのように、アンティクトン・ネガは、その状況を認める事ができないでいた。
「渡さないさ――何も。ここは番犬の護る星だ」
ゼレフが、アンティクトン・ネガの意志を奪い取るべく、冬浪の凍てつく刀身を閃かせた。
『――Roar!』
果たして、その鏡像と化した惨殺ナイフに、何を見たのだろうか?
アンティクトン・ネガが、ひときわ大きく絶叫すると、コギトエルゴスムが凍り付いたようにひび割れ、砕け散り、巨大な魔竜の死骸が消え去っていく……。
また一体、魔竜を倒したゼレフ達ケルベロスは、最後の戦いに赴くべく戦場を走り去っていった。
→有力敵一覧
→(2)黒牙卿・ヴォーダン(3勝2敗/戦力230→60)
→(3)竜闘姫リファイア・レンブランド(2勝1敗/戦力380→270)
→(4)害蟲竜バルグガロン(1勝0敗/戦力1280→1230)
→(7)龍母艦【龍宮】(19勝2敗/戦力650→0/制圧完了!)
→(8)喪亡竜エウロス(1勝0敗/戦力980→930)
→(10)貪食竜ボレアース(1勝1敗/戦力850→790)
→(11)大禍瑠璃(8勝4敗/戦力1635→836)
→(13)魔竜アストラ・ワイズ(0勝1敗/戦力1280→1270)
→(14)魔竜デス・グランデリオン(2勝0敗/戦力1250→1150)
→(23)魔竜ニフカルマ・グリード(1勝0敗/戦力1300→1250)
→(24)魔竜クリエイション・ダーク(1勝0敗/戦力1350→1300)
→(27)魔竜フォーマルハウト・グラビティ(0勝1敗/戦力1340→1330)
→(28)魔竜ワード・ブレイカー(0勝1敗/戦力1320→1310)
→(30)魔竜アンティクトン・ネガ(23勝3敗/戦力790→0/制圧完了!)
→重傷復活者一覧
→死亡者一覧
■有力敵一覧
戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。