熊本滅竜戦

■第6ターン結果

●魔竜アヴニール・リフレクタ

 人間戦車と化したマーク・ナイン(取り残された戦闘マシン・e21176)が残弾を撃ち尽くす勢いで面制圧を行いながら、戦場を前進する。
 彼に続くケルベロス達もまた、容赦なく戦いの場を蹂躙していった。
 魔竜アヴニール・リフレクタの戦場には、残り僅かな戦力しか残されていない。
 彼我の戦力差を考えれば、強大な魔竜といえども、戦況を逆転させる力はありはしないだろう。
 かつては、青銀に輝いていたアヴニールの竜鱗も、今は色褪せた銀色を経て、鈍くくすんだ色へと変わっている。
 それでも、アブニールの双眸に宿る憎悪は、追い詰められて尚高まり、この世界の全てを憎み拒絶するように爛々と輝いていた。

「動くものがなくなるまで撃ちまくる!」
 マークは、その戦力差を確実な結果に結びつけるべく、情け容赦なく銃弾を叩きこんでいった。
 バスターライフル『DMR-164C』が火を噴き、アームドフォート『XMAF-17A/9』の主砲が三連斉射され、多弾頭のミサイルが攻撃ドローンと共に平石、レーザー攻撃が敵を打ち抜いていく。
 アヴニールは、更に猛狂ったように憎悪とグラビティとを向けるが、マークが動じる事は無い。マークとケルベロス達は、落ち着いて配下のオークと竜牙兵を撃滅すると、流れるようにアブニールを包囲すると、集中砲火を浴びせかけた。

「敵を木端微塵として戦場を焦土にする。これこそが戦争だ」
 マークは機械的に呟くと、DMR-164C下部のパイルバンカーをセットし、その身をアヴニールへと突撃させる。
「この戦い、全ての弾丸を撃ち尽くすと言ったはずだ。そして、この俺も弾丸の一つなのだ! MODE ASSAULT READY!」
 その言葉通り、黒鉄の弾丸となったマークがアブニールに迫る。
 アヴニールは、そのマークが迫る様を憎悪の瞳で見続けるが、

「どうした、俺の攻撃を拒絶しないのか?」
 マークは、パイルバンカーでアヴニールのを貫くと、その体内に残る弾丸を全て発射してみせる。
 もはや、その攻撃を拒絶する力は、アヴニールには既に残されていなかった。
 致命の一撃を受けたアヴニールは、その持てる憎悪の全てを解き放ち、そして鏡のごとく煌めく粒子となって舞い消える。
 戦場に満ちていた魔竜の憎悪と拒絶もまた消え去ったのだった。

●魔竜カラレーヴァ・メルトフレイム

 その魔竜の姿は、死に瀕したドラゴンといっても良い外見であった。
 強大な熱と毒により溶解され、汚されきった肉体。
 定命化によって、最悪の死を迎えようとしたドラゴンであっても、これほど酷い姿とはならないだろう。
 眼球を失った眼窩には炎が燃え、鱗は剥がれ落ち骨は軋み、臓腑は腐り落ちている。
 だが、だからこそ、魔竜カラレーヴァ・メルトフレイムは、最悪の魔竜の一体となりえているのだ。
 牙や胸骨の合間から零れ落ちる紫炎の溶岩は大地を殺し尽くす強大な毒であり、その毒の滴りを受ければ、一昼夜を経ずして都市一つを滅ぼし尽くすであろう。
 魔竜であり、ドラゴンであるカラレーヴァ・メルトフレイムが耐えきれずに体を崩壊させるほどの毒に、耐えられるものなどあるものか。

「本当に、悍ましい外見だぜ」
 アルメイア・ナイトウィンド(星空の奏者・e01610)は隠せない嫌悪に眉を顰めた。
 ドラゴンは強大な敵であり邪悪でもあるが、どこか美しさを感じさせる者も多くいた。
 悪逆非道を行った八竜であっても、それは変わらなかった。
 だが、カラレーヴァ・メルトフレイムには、そういった偉容は感じられない。
 長い上顎の牙、頭や背中にねじくれた角や突起、バランスを歪に狂わせた体躯。
 その全てが、言い知れぬ不安と忌まわしさをケルベロスに与えてやまない。

「さあて、派手に行くかね!」
 その忌まわしさをぬぐうように、アルメイア達ケルベロスは、総力戦で敵を粉砕すべく動き出す。
 配下を撃破してから集中攻撃というのが魔竜のような強敵と戦う際のセオリーではあるが、アルメイア達は、正面から撃ち合っての派手な撃滅を選択したのだ。
 強敵との戦いでは珍しい短期決戦は、ケルベロス達の卓越した個人戦技によりケルベロスの優位に進んでいく。
 巨大な魔竜を包囲しつつ砲撃を加えるもの。
 ヒットアンドアウェーでダメージを与え続けるもの。
 無理を承知で、カラレーヴァ・メルトフレイムの懐に入り込み、肋骨の合間から攻撃をその臓腑へと届かせるもの。
 その合間に、配下のオークやドラグナーを刈り取っていく者。
 ケルベロスの勇戦は、物語として語り継がれるに相応しいものだったろう。
「これが、お前の力の源……魔力炉だな! 穢れた力を垂れ流す前に、この私が鉄槌を下す。ラストダンスを踊れ! 貴様の幕を引いてやるぜ!」
 そして遂に、肋骨の間から更に体内へと踏み入ったアルメイアが、バイオレンスギターを振り被り、的確にカラレーヴァ・メルトフレイムの魔力炉へと突き入れる。
 この一撃により、カラレーヴァ・メルトフレイムの纏った炎が断末魔のように暴れ狂い、滴る毒が滝のように流れ蒸発し、アルメイアの体を焼き尽くす。
 しかし、それも長くは続かず、魔力炉とコギトエルゴスムを破壊されたカラレーヴァ・メルトフレイムは息絶えたのだった。

「フィナーレだ! アンコールはいらないぜ!」」
 アルメイアは、毒と炎に侵された体をヒールで癒しながら、恐ろしい魔竜の一体を屠った事を誇るように、Starlight Himmelをかき鳴らしたのだった。

●魔竜ラセン・トガノオロチ

 何本もの巨大な竜の首が絡まり合ったような異形。
 魔竜ラセン・トガノオロチは、そのような存在であった。
 尾も何本もあるので、どこか大きな体から首が何本も生えた多頭竜というわけではなく、和風の龍のような形状のドラゴンが何体も絡まり合い、1つのデウスエクスを形成しているようだ。
 その事実に、ルト・ファルーク(千一夜の紡ぎ手・e28924)はドラゴンというデウルエクスの多様性を感じざるをえない。

 ラセン・トガノオロチが振り回す尾は、手裏剣のような形に変化しながら、地面ごとケルベロス達を薙ぎ払っていた。
「あれも、ドラゴンの『進化』による姿……?」
 螺旋忍軍でも喰らえばああもなろうのだろうかと、ルトはしばし思う。
 もっともドラゴンオーブの影響で現れた彼ら『魔竜』達に、そのような時間も、遭遇の機会もあったはずもない。
 尋常なドラゴンの『進化』に沿っているかは甚だ疑問だった。
「けど、だからこそ、危険だよな!」
 ルトは腰に携えたジャンビーアを引き抜いた。
『魔竜の血族』の出現が常識的なドラゴンの進化によらないのならば、今後の成長の可能性も、また尋常ならざるものとなる可能性はある。
「ここでお前達を見逃せば、魔竜の内のどれかが第二のアストライオスになり得る危険だってある……」
 ルトの脳裏を、彼の故郷を襲った悲劇の光景が過ぎる。
 あの悲劇を、二度と繰り返させてはいけない。
「皆の未来を守るために、お前達は今日ここで討たせてもらう!!」
 ルトの戦意に応じるように、トガノオロチの首が一斉に伸びた。
 一度に幾つもの首で噛みつき、引きちぎる──ケルベロス達ですらも一撃の元に戦闘不能に陥れる、『引き裂き刑』のような攻撃。その前兆だ。喰らえばそれまでと、これまでの戦闘から判断しながら、ルトは翼を広げた。
 ジャンビーアを頭上へと掲げ、瓦礫の隙間を縫って後退するルトを、トガノオロチの首が追って伸びる。
 巨躯の敵の速度は圧倒的だ。
 数百メートルは離れていたドラゴンとの距離は瞬く間に縮まり、巨大な頭部がルトの視界を覆い尽くす。  その瞳が嗜虐的な色に染まるのをルトは見た。だが、彼は恐怖の色すら見せず、鍵を捻るようにトガノオロチに抗するにはあまりにも小さな短剣を振るった。
 ルトの誘導に、伸ばされた首が一直線になっていることをトガノオロチが気付くよりも速く、叫びが響く。
「燃やし尽くせ! 未来を閉ざす、その全てを!」
 現れたのは一つの扉。
 開かれた扉から現れた地獄の炎は瞬時にトガノオロチの頭部を焼きながら、一本の槍を形作った。
「貫け! 竜よりも速く──!!」
 人々の未来を守る。ルトの決意を示すように突き進んだ槍の速度は、トガノオロチが首を引き戻す速度を遥かに上回る加速と共に、その頭部から尾までを貫通した。遅れるようにして肉を穿つ音が響き、衝撃と共にトガノオロチが内から弾ける破砕の音が続く。
 それに連鎖するようにして、他の首も同時に砕け散っていった。
「これで、4体──!」
 魔竜の撃破を告げるルト。
 全世界決戦体制を維持できる時間は残り僅か。
 熊本市を舞台としたケルベロス達の戦いは、終局へと突入していく。

→有力敵一覧

→(2)黒牙卿・ヴォーダン(2勝1敗/戦力340→230)

→(3)竜闘姫リファイア・レンブランド(2勝1敗/戦力490→380)

→(4)害蟲竜バルグガロン(0勝1敗/戦力1290→1280)

→(7)龍母艦【龍宮】(4勝1敗/戦力860→650)

→(8)喪亡竜エウロス(1勝0敗/戦力1030→980)

→(10)貪食竜ボレアース(1勝1敗/戦力910→850)

→(11)大禍瑠璃(2勝1敗/戦力1745→1635)

→(13)魔竜アストラ・ワイズ(1勝1敗/戦力1340→1280)

→(14)魔竜デス・グランデリオン(1勝0敗/戦力1300→1250)

→(23)魔竜ニフカルマ・グリード(1勝0敗/戦力1350→1300)

→(25)魔竜カラレーヴァ・メルトフレイム(11勝1敗/戦力370→0/制圧完了!)

→(26)魔竜ラセン・トガノオロチ(25勝3敗/戦力1240→0/制圧完了!)

→(27)魔竜フォーマルハウト・グラビティ(0勝1敗/戦力1350→1340)

→(28)魔竜ワード・ブレイカー(0勝1敗/戦力1330→1320)

→(30)魔竜アンティクトン・ネガ(7勝1敗/戦力1150→790)

→(31)魔竜アヴニール・リフレクタ(4勝2敗/戦力60→0/制圧完了!)

→重傷復活者一覧

→死亡者一覧

■有力敵一覧

有力敵 戦功点 現状

魔竜カラレーヴァ・メルトフレイム
3000
(25)魔竜カラレーヴァ・メルトフレイム:Battle1にて、アルメイア・ナイトウィンド(星空の奏者・e01610)に倒される。

魔竜ラセン・トガノオロチ
3000
(26)魔竜ラセン・トガノオロチ:Battle1にて、ルト・ファルーク(千一夜の紡ぎ手・e28924)に倒される。

魔竜アヴニール・リフレクタ
3000
(31)魔竜アヴニール・リフレクタ:Battle1にて、マーク・ナイン(取り残された戦闘マシン・e21176)に倒される。

戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。

戦闘結果を取得しています。しばらくお待ちください。