■第5ターン結果
●暴食餓竜
「……思ったより苦戦しているような……各個体の能力が高いのに加えて多方面作戦を余儀なくされてるからですよね……」
御子神・宵一(御先稲荷・e02829)は、戦況を鑑みて呟いた。
覇空竜アストライオスこそ早期に撃破することが出来たものの、魔竜達の討伐はあまり進んでいない。
『魔竜』の戦場は数が多く、配下種族も決して弱敵ではない。
ケルベロス達も狙いを絞り切れない部分があった。
「一か所に集中すれば撃破は容易だろうが、かといって、過剰な戦力の投入は無駄が多いからな」
二藤・樹(不動の仕事人・e03613)が両手の爆破スイッチを連打しながら言う。
全世界決戦体制(ケルベロス・ウォー)を維持できる時間にも制限がある。
ケルベロス達にしても、どの『魔竜』を撃破するかは判断に悩むところだ。
「ともあれ、まずはここの連中を倒して、後顧の憂いを減らしておきましょうか」
「りょーかい」
2人が目にしている大型の『暴食餓竜』が、どうやらあの種のドラゴンの統率者のようだった。
熊本市の大地を貪り続けていたドラゴンは、ケルベロス達へとその牙を剥き出しにする。近接攻撃しかまともな攻撃方法を持たない『暴食餓竜』。
『進化』を求めるドラゴンの本能のまま、外部にあるものを暴食し、己の一部にし続ける。それ以外をすることもないようなドラゴンだが、その単純さはときに脅威となりうるものだ。
「ですが、そろそろ見飽きましたね……!」
『餓餓餓餓餓餓ッッッ!!』
その足裏で大地を噛みしめながら迫るドラゴンは、宵一を目掛け、その腕を振り下ろした。鋏のような形状となった手は、それ自体が『口』でもある。
開かれた『口』の内へと宵一の体は呑み込まれ……その直後、口は内部からの爆発に吹き飛ばされる。
宵一が励起した半透明の「御業」が炎弾を放ったのだ。
「……捉えました」
なおもその食欲を満たさんと腕を振り回す暴食餓竜だが、そのあまりにも大きな隙は、ケルベロス達の攻撃を招く。
斬霊刀「若宮」をひっさげてドラゴンの体へと飛び乗った宵一は、次々に急所へとその切っ先を突き刺していく。
『餓……餓……餓……』
音を立てて地面に倒れ込む暴食餓竜の全身の口は、なお地面をかじり続けていたが、やがてそれも止まった。
「凄まじいまでの諦めの悪さに貪欲ぶり……これもドラゴンの性質なのでしょうか」
ドラゴンが最強の種族と呼ばれるに至った一因を、宵一は垣間見たように思った。
●魔竜シュネー・ヴァイス
覇空竜アストライオスを屠ったケルベロスだが、その後の魔竜との戦いでは苦戦を強いられていた。
強大な魔竜の前に一度は軍を引かざるを得なかったケルベロス達。
しかし、捲土重来を期した彼らは、魔竜の前に辿り着いていた。
「散々大暴れされた分、ここできっちり返させてもらおうかい」
ソロ・ドレンテ(胡蝶の夢・e01399)は、魔竜シュネー・ヴァイスから放たれる威圧を跳ね返すように姿勢を正すと、滑空する魔竜を見上げた。
シュネー・ヴァイスは、眼下のケルベロスを見下だすように睥睨すると、灼熱のオーラをまとった凶悪な爪を、ソロを含むShangri-Laの皆に振り下ろした。
爪より放たれた灼熱のオーラは魔の炎と変わり、戦場を焼き尽くす。
「なんて力だ。この力はアストライオスに勝るとも劣らないな」
攻撃を何とか凌ぎ切ったソロは、仲間の安否を確認しつつも、その炎の力に戦慄した。
このような強大な力を持つ魔竜が、竜十字島のドラゴン勢力に大挙して加わってしまえば、どんな災厄が起こるかわかったものではない。
シュネー・ヴァイスは、更に中空に留まり、衝撃波を放ってくる。
対するケルベロスは、シュネー・ヴァイスを牽制しつつも、戦場のオークや竜牙兵を駆逐していった。
巨大で強力な敵を倒す為には、集中攻撃による弱体化が有効。
その為にも、先に配下を掃討するのは重要となる。
シュネー・ヴァイスの攻撃でケルベロスが打ち倒される前に、周辺の配下を撃破して、包囲を完成させる事が出来るか。
それが、戦闘の帰趨を決めるだろう。
「Shangri-Laの皆で活路を開く!」
ソロが、双龍百節棍竜牙で竜牙サムライの一体を撃破すると、草火部・あぽろが、竜牙猟兵に太陽を思わせる超ビームで大ダメージを与える。
その後、残り僅かの敵を一掃したケルベロス達は、シュネー・ヴァイスを完全に包囲下においた。
「今回は人数も力も揃っている、存分にやらせてもらう!」
ソロの鼓舞に応えるように、Shangri-Laの仲間達や他のケルベロス達が、力を合わせてダメージを与え続ける。
シュネー・ヴァイスは、その攻撃をかいくぐり反撃を浴びせると、ドラゴンスフィアで体力を大きく回復すると、バッドステータスの多くを解除する。
しかし、それでもなお食い下がるケルベロス達が遮二無二攻撃を続けたことで、魔竜シュネー・ヴァイスの圧倒的な力にも陰りが見えてきた。
炎のオーラは尽きかけ、鋭利だった鱗は剥がれ、強大な爪の幾本化は叩き折られている。
そして遂に動きを止めたシュネー・ヴァイスの命脈を絶つべく、ソロは機械仕掛けの漆黒の杖を大きく振りかぶった。
「胡蝶の技と鍛えた身体、そして新しい武器でぶっ倒す!!」
その一撃は、狙いたがわずシュネー・ヴァイスの顎の下を打ち抜く。
『グォォォォォオォォォ!』
怒りか或いは痛みか、或いは、死への恐怖なのか、シュネー・ヴァイスが紫炎の咆哮をあげる。
炎の魔力が、まるで、全てを滅ぼさんばかりに高まっていく。
だが、その紫炎は、シュネー・ヴァイスの喉の奥で膨張すると、ソロへと放たれる事無く止まり、自らの体を焼き尽くしていく。
「最後の攻撃は不発か? いや自分で自分を火葬したのか?」
焼き尽くされ塵となったシュネー・ヴァイスの姿を目に焼き付け、ソロは仲間と共に戦場を後にする。
19体の魔竜、その最初の1体を、ケルベロス達は撃破することに成功したのだ。
●魔竜アヴニール・リフレクタ
純粋な憎悪が、銀色の輝きをもって戦場を支配する。
魔竜王の遺産、ドラゴンオーブを破壊された事への憎悪であろうか?
それとも、自分達に力を齎した覇空竜アストライオスを屠ったケルベロスへの憎悪であろうか?
「どちらにしても、逆恨みだだねぇ」
レオン・ヴァーミリオン(火の無い灰・e19411)は、その憎悪の波動に怯むことなく、蒼銀の魔竜を銀の瞳で睨み返す。
地球を一旦は滅ぼした魔竜王、『巻き戻され』て無かったことにされたとしても、地球を滅ぼしたという罪は残るのだ。
故にその魔竜王の遺産の力によって現れた魔竜は、地球にとって不倶戴天の敵といって間違いはない。
「配下をドラゴンで固められなかったのが、お前達の敗因さ。個として無類の強さをもっていたとしても、たった一体では何もできなはしない!」
レオンはそう宣言すると、魔竜との戦いのセオリーに従って、配下となるオークとドラグナーの掃討を行っていく……。
ケルベロス達に、個としての強さは無い。
魔竜と一対一で戦って勝てるケルベロスなど居はしないだろう。
しかし、ケルベロスには互いに背中を預けられる仲間がおり、連携して戦う戦術があり、そして、貫くべき正義がある。
たった一体の魔竜を屠れぬ理由などありはしないのだ。
そして、行われるアヴニールへの猛攻。
絶え間ないグラビティの攻撃と積み重ねられるバッドステータス。
青銀に輝いていたアヴニールの竜鱗がくすみ、鋭く雄々しく空を斬り裂く翼は折れ曲がる。
そして、行動を封じられたアヴニールに降り注ぐ、更なる攻撃の数々。
アヴニールは、自分を攻撃する矮小な存在の群れに憎悪と拒絶に満ちた目を向ける。
それは、アヴニールの持つ唯一の感情であっただろうか。
「憎悪と拒絶? それは強者が持つものじゃないよ。そういうのは弱者の方が強烈なんだってことを教えてやろう」
レオンは、その唯一の感情を傲然と否定し、自律水銀“鏖殺殲鬼”と一体化した鬼神の如き斬撃で、アヴニールの体をズタズタに引き裂いた。
「やったか!?」
レオンは思わず口にしたが、致命の一撃を受け瀕死のアヴニールは、爆発的な憎悪をその身に宿し立ち上がった、その憎悪は、まるで質量があるかのようにレオン達ケルベロスの追撃を阻んだのだ。
残っていた配下種族もまた集まり、アヴニールの退路を守る。
「残念、一手届かなかったようだねぇ。だけど、アヴニールに戦力は残っていない。次で終わらせるよ」
止めを刺す事こそ出来なかったが、レオンは次なる魔竜の撃破が近いことを確信していた。
→有力敵一覧
→(2)黒牙卿・ヴォーダン(2勝1敗/戦力450→340)
→(3)竜闘姫リファイア・レンブランド(2勝0敗/戦力590→490)
→(4)害蟲竜バルグガロン(1勝0敗/戦力1340→1290)
→(5)暴食餓竜(8勝1敗/戦力310→0/制圧完了!)
→(7)龍母艦【龍宮】(2勝1敗/戦力970→860)
→(8)喪亡竜エウロス(0勝1敗/戦力1040→1030)
→(10)貪食竜ボレアース(1勝1敗/戦力970→910)
→(11)大禍瑠璃(2勝1敗/戦力2603→1745)
→(13)魔竜アストラ・ワイズ(0勝1敗/戦力1350→1340)
→(14)魔竜デス・グランデリオン(1勝0敗/戦力1350→1300)
→(25)魔竜カラレーヴァ・メルトフレイム(11勝2敗/戦力940→370)
→(26)魔竜ラセン・トガノオロチ(1勝0敗/戦力1290→1240)
→(28)魔竜ワード・ブレイカー(0勝1敗/戦力1340→1330)
→(29)魔竜シュネー・ヴァイス(14勝3敗/戦力670→0/制圧完了!)
→(30)魔竜アンティクトン・ネガ(2勝0敗/戦力1250→1150)
→(31)魔竜アヴニール・リフレクタ(13勝3敗/戦力740→60)
→重傷復活者一覧
→死亡者一覧
■有力敵一覧
戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。