熊本滅竜戦

●熊本港

　熊本港にて『大海嘯』発動のための準備を進めているドラゴン『大禍瑠璃』の目にも、熊本城跡に降り注いでいた雷が止んだのは見えていた。届いた配下からの連絡で、覇空竜アストライオスがケルベロスに敗れたことは確認できている。

「勝負は水物とは言いますが、よもやアストライオスが敗れるとは。
　今のわたくしでは、敗北の可能性も否めますまい」

　だが、それでも為さねばならない。
　魔竜王の遺産『ドラゴンオーブ』がケルベロスによって失われた今、『魔竜の血族』を生存させることが次善の策だ。
　熊本県をドラゴンの拠点とすることが出来れば、『魔竜の血族』がより強力になるまでの時間も稼ぎやすくなるだろう。

　あるいは自らを的として、彼らが生き延びる時間を稼がねばならない。

●『魔竜の血族』を撃て

「随分とこちらの狙いも散ったようだ」
　魔竜カラレーヴァ・メルトフレイムの戦場。
　オークを倒したばかりの鳳・小鳥（オラトリオの螺旋忍者・e35487）は、各戦場の状況に、そう思う。

　覇空竜アストライオスを倒したことで多くの戦場を狙うことが出来るようになった。
　だが、魔竜達の護衛を務める敵の数も、容易に撃破しきれるほど少なくもない。
　確実な撃破を求めるならば、ある程度は狙いを絞る必要がある。

「大禍瑠璃が敗れれば、敵は勝機無しと見做して逃走するだろう。
　熊本は取り戻せるが、魔竜を残しただけ、後の禍根を残すこととなる」

　どの魔竜を撃破するべきか。個々のケルベロスの判断が重要となっていくだろう。