■第3ターン結果
●(12)恵縁耶悌菩薩
もふもっふもふもふ。
もふもっふもふもふもふぅ。
戦場にひしめくデラックスひよこ明王の魅力に、一部のケルベロス達がほんわりしている中、ピジョン・ブラッド(銀糸の鹵獲術士・e02542)は、ひときわ大きなもっふもふたる、恵縁耶悌菩薩を射程に捉えていた。
全てのビルシャナのお母さんだといわれても納得できそうな包容力。
ふくよかなその肢体に詰まった羽毛は、触るまでもなく温かさまで想像できてしまう。
「自分、わてを殺しにきたんかいな?」
そんな恵縁耶悌菩薩から放たれた問い掛けに、ピジョンは、頷きを返す。
「菩薩累乗会は止めなくてはならない。そのためには、マンダラマンダラを制圧しなければならず、マンダラマンダラに攻め込む為には、この戦場を制圧する必要があるのだよ。それに……マヒナがそばにいる。マヒナには、情けない姿は見せられない……」
謂れのない罪の意識を感じたのか、ピジョンが、早口で理由を喋り続けていると、恵縁耶悌菩薩は、慈悲のオーラをまとって、頷き、そして一言、
「ええんやで」
とだけ、言葉を発した。
その一言で、
「ええんやで……いい響きだ」
ピジョンの心に芽生えかけていた罪悪感が失われていく。
その罪が赦されるという心地よい快楽に身をゆだね、自らももっふもふの『ひよこ』になりたいと願……。
「いや、願ってはだめなんだよ!」
あぶない、もう少しで誘惑されるところだったと、ピジョンは、強くファミリアロッドを握りなおして叫び、息を荒くする。
さすがはビルシャナの菩薩。攻撃の種類は微妙だが、とにかく凄い威力であった。
「ええんやで?」
ふたたび、小首を傾げてピジョンを覗き込むように囁く恵縁耶悌菩薩。その愛らしい姿は計算され尽くされた、まさに菩薩の慈悲の体現であった。
だが、ええんやでの誘惑に耐えきったピジョンは、荒い息を吐きながらも菩薩の魅力に耐え、なんとか戦闘態勢を整える。
「くっ、凄い精神攻撃だねぇ。だが、どんなもふもふでも、仕事ならば殺してやるさ」
ピジョンはそう叫ぶと、掌に握るファミリアロッドに意識を向ける。
主の言葉にこたえるようにファミリアロッドがヤモリに姿を変えていく。
「頼んだんだよ、チョロ! ファミリアシュート!!」
そのピジョンの言葉と共に打ち出されたチョロは、爬虫類であるからなのか、恵縁耶悌菩薩の慈愛のオーラを寄せ付けなかった。柔らかく温かい恵縁耶悌菩薩の体に突き刺さり、ぽわぽわした肉をえぐりとり、その命を刈り取ったのだった。
「恵縁耶悌菩薩……。ある意味、恐ろしい敵であったな」
ピジョンは、そう言い残すと、ぽわぽわ成分が全て消え去った戦場を、チョロと共に後にしたのだった。
●(26)輝ける誓約の果て
かつて『輝ける誓約』というダモクレスが存在した。
さらに発展し『輝ける軍勢』の指揮官機となるはずだったこの機体は、ケルベロスとの交戦で破れたが、ダモクレス勢力は時間をかけ、その代替機であり完成形となる機体を用意して来た。
それが、『輝ける誓約の果て』である。
開戦からおよそ4時間。ケルベロス達は『輝ける軍勢』の守りを残り僅かとなるまでに撃破し終え、『輝ける誓約の果て』へと迫っていた。
「まるで彫像のようですね」
月宮・シオン(聖魔・e56555)は、『輝ける誓約の果て』の姿にそう感想を抱く。
機械天使の軍勢を率いる指揮官機は、神像を思わせる姿をして、ケルベロス達の前にそびえ立っていた。多数の腕と翼は、そのそれぞれが兵器だ。
『迎撃行動を開始する』
宣言と共に、腕部の武装が展開される。
「速ッ……!?」
瞬間的な加速から繰り出された数々の腕部武装が、ケルベロス達を確実に戦闘不能に陥れていく。機械である輝きの軍勢に恐れは無い。配下達もまた、その最後の瞬間まで、己の役割を全うすべく、ケルベロス達へとその身に搭載した機能を解き放っていく。
「他を圧倒する強さですね……ですが、これだけ強ければ……」
一つの判断を下したシオンは、サキュバスの魔眼と妖精弓で、輝ける誓約の果てを狙っていく。狙いは単純。
「私では勝てないなら、自傷してもらいます!!」
機械天使『輝ける軍勢』を率いる『輝ける誓約の果て』は、さらなる発展型である『輝ける仔』にいずれ指揮を引き継ぐべき存在である。
『輝ける仔』の兄であり、親の代わりだ。
『輝ける仔を守護する。それが我が存在意義である』
故に、『輝ける誓約の果て』の存在が、『輝ける仔』の存在意義を脅かすとの論理矛盾が突如として機械頭脳の中に生じたとき、その判断は迅速だった。
「上手く行きました!!」
シオンが快哉を上げる。
輝ける誓約の果てが、突然の腕部武装で突然に自らを解体し始めたのを、シオンを除くケルベロス達は唖然としながら見つめた。機能を喪失するまで、その動きは止まらない。
「長丁場の戦いにならずに済みましたね」
あれだけの強敵だ。
長期戦となれば、戦闘不能者がどれだけ出たか知れたものではない。
輝ける誓約の果ての機能停止と同時に、『輝ける仔』を守っていたバリアーの消失が確認される。
『累乗曼荼羅』を乗っ取ろうとしているダモクレス勢力を止めねば、マンダラマンダラを止めたところで人類は勝利を得られない。
輝きの仔を止めるため、ケルベロス達は次なる戦いに向かう。
→有力敵一覧
→(1)衆合無ビルシャナ(2勝1敗/戦力620→510)
→(4)衆合無ビルシャナ(0勝1敗/戦力780→770)
→(5)衆合無ビルシャナ(0勝1敗/戦力700→690)
→(7)衆合無ビルシャナ(1勝0敗/戦力730→680)
→(8)衆合無ビルシャナ(0勝1敗/戦力740→730)
→(9)衆合無ビルシャナ(1勝0敗/戦力740→690)
→(12)恵縁耶悌菩薩(15勝3敗/戦力730→0/制圧完了!)
→(13)天輪浄王(0勝1敗/戦力940→930)
→(14)衆合無ビルシャナ(0勝1敗/戦力780→770)
→(16)天輪浄王(1勝0敗/戦力900→850)
→(17)天輪浄王(0勝1敗/戦力900→890)
→(20)衆合無ビルシャナ(0勝1敗/戦力700→690)
→(22)救世明王(1勝0敗/戦力1200→1150)
→(23)トリヴィシャ(1勝1敗/戦力1080→1020)
→(24)芸夢主菩薩(14勝2敗/戦力830→110)
→(26)輝ける誓約の果て(6勝3敗/戦力110→0/制圧完了!)
→(29)衆合無ビルシャナ(1勝0敗/戦力700→650)
→(32)衆合無ビルシャナ(0勝1敗/戦力740→730)
→(33)ヴィゾフニル明王(9勝1敗/戦力1200→740)
→(37)天輪浄王(0勝1敗/戦力900→890)
→(38)幻花衆首領『金盞花』(0勝1敗/戦力1240→1230)
→(40)衆合無ビルシャナ(0勝1敗/戦力700→690)
→(43)天輪浄王(1勝0敗/戦力980→930)
→(44)天輪浄王(1勝0敗/戦力900→850)
→(46)衆合無ビルシャナ(0勝1敗/戦力700→690)
→(47)天輪浄王(0勝1敗/戦力900→890)
→(48)自愛菩薩(16勝4敗/戦力1550→710)
→(51)衆合無ビルシャナ(1勝0敗/戦力700→650)
→(52)衆合無ビルシャナ(1勝0敗/戦力700→650)
→(53)衆合無ビルシャナ(1勝0敗/戦力740→690)
→(55)衆合無ビルシャナ(1勝0敗/戦力740→690)
→(56)衆合無ビルシャナ(1勝0敗/戦力740→690)
→(58)衆合無ビルシャナ(1勝0敗/戦力700→650)
→(59)衆合無ビルシャナ(1勝0敗/戦力780→730)
→(61)衆合無ビルシャナ(1勝0敗/戦力700→650)
→(62)衆合無ビルシャナ(1勝0敗/戦力770→720)
→重傷復活者一覧
→死亡者一覧
■有力敵一覧
戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。