■第4ターン結果
鎌倉市城塞の中枢を抑えたドラゴン「メギドラス」。
城塞下部に多数の戦力を展開したドラゴンの喉元へと、ケルベロス達は辿り着いていた。
ドラゴンズネストと天空鶴岡八幡宮。
2つの戦場で、ケルベロス達はドラゴン「メギドラス」の軍勢との正面対決に挑む。
●第一の牙ザンニーニ
「兄弟たちよ、メギドラス様のために、命を賭して戦え!
この城塞を喰らえば、メギドラス様はさらに多くの力を得られる。
そうすれば、新たな兄弟もさらに生まれ、我らが勝者となるのだ!!」
第一の牙ザンニーニの声を受け、剣を手にした竜牙兵達が一斉に突撃して来る。
「そういう狙いか……!」
吉杜・有司(スピリトーゾ・e00240)達は、メギドラスの狙いを理解する。
超進化生命体デウスエクス「ドラゴン」。
メギドラスの狙いは、虹の城ビフレスト、そして鎌倉市城塞そのものを喰らって進化することであり、その目的のために城塞の中枢部を抑えたのだろう。
「まあ、現実的には実際は不可能だろうけど」
有司はそう思いながら、刀を手に向かって来るオークを斬り裂いた。
予知能力など無い以上、無理のないことだが、エインヘリアルの増援が現れれば、メギドラスとて太刀打ちできないだろう。
そして、何よりも。
「僕達ケルベロスがいるからな」
「ならば、お前達の力、勝って証明するがいい!!」
静かな誇りを籠めて言う。
ザンニーニが手を天にかざすと、魔力を帯びた鱗状の刃が大量に生まれた。
一瞬の後、その刃はケルベロス達へと降り注ぐ。
その間にも、有司は、慎重にザンニーニの動きを見定めていた。
「無理せず、しかし確実に……すり潰す!」
飛び出した有司の刀が、緩やかな弧を描きながらオークを斬り裂いた。ケルベロス達の攻撃は、周囲にいた他のドラゴンの軍勢を、まずはすり減らしていく。
やがて、守りを喪ったザンニーニへと、有司は静かに近付き、その一刀を持って彼との戦いに決着をつける。
「まあ、少しは満足いく戦果かな」
ドラゴンズネストの向こうで、響く破壊音を聞きながら、彼は小さく息を吐いた。
●竜語魔法士エヴェリー
破壊され尽くした龍口明神社の、階段前に当たる場所で、ケルベロス達が交戦しているのは、女性のドラグナーの率いる部隊だった。
「メギドラス様の力が、完全であったなら、イザークやヴァシュカ達だけでなく、私にもドラゴンへと変じる力を授けられたでしょうに……!」
守備隊の一員であるドラグナー、エヴェリーの呪文は、稲妻となってケルベロス達を貫いて来る。その言葉は、確かに真実であるのだろう。
「あなたにも覚悟はあるのだろうけれど……此処を通らなければ、鎌倉は奪還できないから……」
白藤・織夜(この花を君と・e04812)は、縛霊手に包まれた拳を握りしめる。
「だから御免なさい、此処を通させてもらいます……!」
ドラゴンズネストは、まだ戦いの途中に過ぎない。
虹の城ビフレストにいるエインヘリアル第一王子ザイフリートを倒し、決着をつける。
それが、ケルベロス達の目指すところだ。
全世界決戦体制(ケルベロス・ウォー)を発動しての戦いに勝利を収めるため、ここで退いてはいられない。
矢継ぎ早に竜語魔法を放って来るドラグナー達を、ケルベロス達の攻撃が切り崩していく。
「これはまずいかしら……」
エヴェリーが逃げ腰になったところを、織夜は見逃さなかった。織夜は杖の先端をエヴェリーに向け、古代語を詠唱。放たれる呪文は、
「ペトリフィケーション」
「ひっ、あ……」
石化したエヴェリーは、一瞬の後に破裂する。
それが、階段前を巡る戦いの決着となった。
●メギドラス
ドラゴンズネストを制圧しているドラゴン、『メギドラス』。
ケルベロス達は、その軍勢を切り崩し、メギドラスへと迫っていた。
一般人であれば、近付くだけでも焼死しそうなほどの熱がケルベロス達を襲う。
『我が兵どもを、定命の者が破るとはな……!!
封印されている間に、地球の情勢も大きく変わったと見える』
たった一体であっても、力を取り戻せば軍勢を生み出し得る。それもまた、ドラゴンという存在の恐ろしさであろう。
迫るケルベロス達をみすえ、メギドラスは
『貴様らを倒し、虹の城ビフレストを取り込んだならば、手始めに地球のオラトリオを喰らい尽くしてくれよう! 魔竜王様を滅ぼした者達を滅ぼし、我は最強のドラゴンとなるのだ!』
かつて地球を滅亡に追いやったドラゴンの王『魔竜王』。
ケルベロスの眼前にいるメギドラスもまた、その軍勢の一員に間違いないだろう。
「魔竜王の配下、か……」
ヴェルナー・ブラウン(オラトリオの鹵獲術士・e00155)は、改めてメギドラスを見上げた。
「オラトリオの一人として、ドラゴンを見過ごすわけにはいかないよね!」
『ほざけ! 定命の羽虫に堕した貴様らに、何が出来る!!』
放つ言葉にオラトリオとしての矜持を乗せ、ヴェルナーは腕を一振りした。
マインドリングが反応し、彼の周囲に光を生み出すと、居並ぶケルベロス達もそれに続く。
滅びをもたらした者達に、再び地球を好きなようにさせるわけにはいかない。その決意と共に、ケルベロス達は強大なドラゴンへと立ち向かう。
メギドラスの翼から炎がジェット機のアフターバーナーのように噴出し、その巨体を猛進させる。ただ高速の往復を繰り返すだけで、巨体に触れたケルベロス達が薙ぎ払われた。
『羽虫ごときが!』
「そういうのはローカストにでも言って!!」
メギドラスの、そして配下達の攻撃が、仲間を庇ったディフェンダー達を包み込む。
その守りが生んだ貴重な時間を使い、ケルベロス達は、メギドラスの軍勢を一気に切り崩していった。
配下を殺されたメギドラスの目に宿る赤い色が示す感情は、怒りよりも屈辱のそれだ。
『定命の者共! 貴様らは、グラビティ・チェインの糧となる運命! 甘んじて受け入れよ!』
「そんな運命、認めないよ……!」
崩れ落ち、斜めに倒れた鳥居を蹴って、ヴェルナーは跳んだ。
メギドラスの残したジェット気流に乗り、空中を舞う彼の視界を、ドラゴンズネストで戦うケルベロス達の姿が流れていく。
「……!!」
奮闘するケルベロス達の姿、そして再度こちらへと戻ってくるメギドラスをしっかりと視界に収め、ヴェルナーは光を呼び寄せる。
「天に遍く星々の煌きよ! ここに集いて、彼の者を打ち砕け!!」
メギドラスの突撃を待ち受けるようにして展開された光球の群れ。
それを焼き払わんとメギドラスが顎を開いた瞬間だった。
「弥終の檻(イクスプリズン)!!」
ヴェルナーの声と共に、恒星を思わせる高密度のエネルギー体が、一斉に爆発した。勢いを殺されたドラゴンへと、ケルベロス達の攻撃が集中。
そして、ヴェルナーの光球が生んだ最後の爆発が、メギドラスを地表へ叩き付ける。
「僕にできること……それは、みんなの笑顔を守ることだよ」
石畳を割り砕きながら地面にめり込んだ巨体は、轟音と共に爆発、四散した。
ドラゴンズネストを揺らす、その轟音は、ケルベロス達が強大なドラゴンに勝利したことを告げるものだった。
鎌倉市城塞に漂っていたドラゴンの熱が、次第に引いていく。
→有力敵一覧
→(8)天空鶴岡八幡宮(9勝6敗/戦力1000→550)
→(10)『ドラゴンズネスト』(61勝14敗/戦力2500→0/制圧完了!)
→重傷復活者一覧
→死亡者一覧
■有力敵一覧
戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。