鎌倉奪還戦

■第2ターン結果

●クリムヒルト
「敵に死をもたらす、地獄の番犬ケルベロス……! 何とも恐ろしい者達よ。このクリムヒルトが相手をしよう!!」
 魔力を帯びたルビーで出来たルーンアックスを、クリムヒルトと名乗ったヴァルキュリアは光谷・皇輝(地球人の降魔拳士・e04819)へと振り下ろして来る。
 彼女に向けて、皇輝は言葉を投げかける。
「ねぇ、君達は今のままで良いと思ってるの? 人間上がりの存在に支配される事に本当に満足してるのかい?」
「お前達、人間が自分達をそこまで下に見ているとは驚きだな。私達は、エインヘリアルに敗北した。強い者が弱い者を支配する……そこに、何の不思議があろうか」
 斧を振り回すクリムヒルト。皇輝は、やむなく彼女へとバトルガントレットを向けた。
 光り輝く左手が彼女を引き寄せる。
 間近に顔を近付け、皇輝はなおも問うた。
「でも、シャドウエルフもドワーフも……エインヘリアルに支配されていた種族でも、地球の仲間になった人達はいるでしょ?」
「何故……?」
 その呼び掛けに、立ちくらみでも覚えたかのように、クリムヒルトは一瞬表情を喪った。だが、一瞬の後に、その虚脱は消え、斧を振り回さんとする。
 やむなく、漆黒を纏う右手で彼女を打ち据えると、ヴァルキュリアは翼を広げ、飛び退った。
「ケルベロスめ。人を、惑わすようなことを……!」
 憎々しげに皇輝を睨みながら、戦場を飛び去るクリムヒルト。
「何か、不自然だよね……」
 その態度に、ケルベロス達は不自然なものを感じていた。

●斧闘士イグアレス
「これが貴方達の正義? ……これ以上被害を出させるわけに行かないの」
 アリス・アポカリプス(深海に溺れる赤蝶・e00248)はヴァルキュリア達に呼び掛けながら戦っていた。
「……貴方達はこれでいいと思っているの? その力、正しいことに使うべきだと思うのだけど」
「おいおい、人の部下達を変なことに誘わないでくれよ」
 そう言いながら現れたのは、斧をぶらされたエインヘリアルだ。
 女性ばかりのヴァルキュリア達の中、斧を手にした巨躯は嫌でも目立った。
「指揮官……?」
 アリス達の姿を認めると、護衛についていたヴァルキュリア達を邪魔だと言わんばかりに押しのけ、その斧持つ戦士は自ら突進して来る。
「突破して来てくれて嬉しいぜケルベロスども! ヴァルキュリア如きにやられるような弱輩が相手じゃあ、つまらねえと思っていたところだ!!」
 斧が振り下ろされ、轟音と共に森の地面が割れた。
「貴方達が、彼女達に働かせているの……?」
「知らねぇっての。じゃあ殺すのがいいってのか? さすが地獄の番犬様は怖いったらないぜ」
 怖ぇ怖ぇ、といいながら、イグアレスは斧を振るって来る。
 だが、アリスの伸ばした攻性植物が、捕食形態をとるとイグアレスの腕を大きく引き裂く。
 ルーンの力で守られた肌に血がしぶき、イグアレスが凄絶な笑みを浮かべる。
「攻性植物か……! 女だてらにやるもんだぜ! 地球で封印から逃れた者達を倒した実力、偽りじゃないようだな!」
 呵呵大笑し、なおも戦いを続けようとするイグアレスを、他の戦場から救援に駆け付けたヴァルキュリア達が、イグアレスを掴んで無理やり後退させていく。
「おい、邪魔すんな……」
 言葉と共に、イグアレスの姿が木々の向こうへ消えていく。
 追おうとする動きは、残存するヴァルキュリア達に阻まれた。
「あれも、何かに従わされているというの……?」
 その姿を見送り、アリスは疑問を口に載せるのだった。

●虹色の冥灯
 鎌倉市城塞を進むケルベロス達は、由比ヶ浜冥海へと足を踏み入れた。
「迷宮なのに海がある光景は、不思議ですわね」
 レプリフォースの面々を率いて戦場に現れたレーン・レーン(蒼鱗水龍・e02990)は、感心したようにそう呟いた。
 勿論、その海は、湘南の青い海では無く、死神が跳梁する青黒い冥府の海『冥海』であったのだけれど。
 レーンは、その冥海の前に広がる砂浜をギュっつ踏みしめる。
 すると、砂浜のスナが七色に輝き、歌うようにキュッと泣いた。
 青黒い海と虹色に輝き泣く砂浜。
 それは、ある意味幻想的な光景であったろう。
「死神の海と虹の城ビフレストの影響ですね、このまま残せれば、観光名所になるかもしれないのですけれど」
 そう言いつつ、油断なく武器をかまえるレーンは、その冥界の中に虹色に輝く死神の姿を発見した。
 幻想的な虹色の死神は、青黒い冥界の中咲く一輪の花のようで、それが死神でさえなければ、幸せをもたらすものだと言われても納得できそうな美しさを周囲に示していた。
 その美しさに魅せられたのか、鎌倉市城塞の戦場から、デウスエクスの魂のようなものが吸い寄せられている。
 おそらく、これが、死神が死したデウスエクスを回収する方法の一つなのだろう。
「死せる魂が美しさに惹かれるのは自然の摂理かもしれませ。ですがが、あなた達死神は、摂理を乱すものです。許すことはできませんわね」
 ケルベロス達はレーンを先頭に、冥海の海へと足を踏み入れる。
 冥海の水は冷たくザラリとした肌触りであり、触れている装甲から死という概念が染み込んでくるような不吉さがゾワリゾワリと這い上がってくるように感じさせる。
 いや、これが、冥海の海である以上、錯覚では無いのかもしれない。
 が、その程度の事で、死神を滅すると決めたレーンとレプリフォース達、そして周囲のケルベロス達の足を鈍らせることはできなかった。
 冥海の海に体の半分を浸からせながらの死闘。
 冥海を泳ぎ、空を跳ね、空を泳ぐ死神との戦いに、ケルベロス達は、時に苦戦しつつも、仲間と助け合い少しづつ戦場を制圧していった。
 そして、
「残りはあなただけですわっ!」
 レーンが、虹色に光り輝く死神、虹色の冥灯へと駆け寄り、肘のモーターを高速回転させ、その回転力を威力へと変換すると、必殺のスパイラルアームを撃ち込んだ。
 虹色の冥灯は、ピカピカと明滅を繰り返し、そして、その光を失い、砂となって冥海の海へと消え、周囲に集っていたデウスエクスの魂もまた、拠り所を失い霧散していったのだった。

●ザルバルク集合体
 由比ヶ浜冥海に足を踏み入れたケルベロス達は、勇敢に、冥海の海へと突撃を敢行する。
 しかし、死神達もそれを座視するだけでは無い。
 無数の深海魚型の死神が冥海から駆け上がるように砂浜にあがり、侵攻するケルベロス達の横腹をついて上陸してきたのだ。
「このままでは分断されるっ!」
 ブラウ・シュテル(水縹の竜騎を継ぐもの・e02055)は、死神の狙いを看破すると、死神の横撃を正面から受け止める事を選択する。
「死した者は大人しく眠っていろ。ここは俺たち今を生きる者の場所だ。さぁ、地獄へと案内してやろう」
 ブラウの言葉に、賛同する雄叫びがあがり、幾人ものケルベロスが砂浜の上で、防衛戦を築く。
 こうして、死神とケルベロスの正面からの撃ち合いが始まった。
 戦いは、次第にケルベロスが優勢となる。
 この戦いに参加するケルベロスは最精鋭であり、更に、全世界のバックアップがついている。
 下級の死神などに遅れをとってなるものか。
 その意気込みが、ケルベロス達の勢いにつながったのかもしれない。
 不利を悟ったのか、死神達が一点に集中し始める。
 密集して防衛にまわるのか?
 ケルベロス達は、そう考えたが、だが、死神達は信じられない動きをした。
 密集した10体の死神、ザルバルグがその存在を凝縮し、巨大なザルバルクへと変容していったのだ。
 その戦闘力は、推定で通常のザルバルクの10倍。
 下級の死神の力を遥かに凌駕する、強力な個体へと変化したのだった。
 思わず、半歩後ずさるケルベロス達。
 だが、ブラウは敢えて一歩前に出た。
「俺たちは、ドラゴンや巨大ダモクレスとも戦ってきたんだぜ! 今更、死神がでかくなったからなんだってんだ!」
 合体したのは確かに驚嘆すべきことだろう。
 更に、合体前と合体後の戦闘力は段違いだろう。
 が、しかしそれは、比較対象が下級死神であるからである。
 ドラゴンなどの強敵と比較すれば、合体したうえでやっと同レベルになっただけなのだ。
 ブラウの激に勢いを取り戻したケルベロスは再び死神に向かって攻勢をかける。
 巨大化という最後のカードを切った死神達に、再びのケルベロスの攻勢を凌ぐ術はすでになかった。
「神裏切りし13竜騎――水縹の竜騎の名の下に、お前を滅する」
 最後に残った合体死神、ザルバルク集合体に、ブラウは勢い良く突進し、その炎を纏った蹴りにより、その命脈を断ち切り、この戦場の戦いを終結させたのだった。

→有力敵一覧

→(6)御霊神社神殿(36勝4敗/戦力2000→200)

→(7)由比ヶ浜冥海(48勝9敗/戦力1500→0/制圧完了!)

→重傷復活者一覧

→死亡者一覧

■有力敵一覧

有力敵 戦功点 現状

クリムヒルト
320
(6)御霊神社神殿:Battle8にて、光谷・皇輝(地球人の降魔拳士・e04819)に死の宿命を付与される。

斧闘士イグアレス
400
(6)御霊神社神殿:Battle40にて、アリス・アポカリプス(深海に溺れる赤蝶・e00248)に死の宿命を付与される。

ザルバルク集合体
200
(7)由比ヶ浜冥海:Battle2にて、ブラウ・シュテル(水縹の竜騎を継ぐもの・e02055)に倒される。

虹色の冥灯
500
(7)由比ヶ浜冥海:Battle7にて、レーン・レーン(蒼鱗水龍・e02990)に倒される。

戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。

戦闘結果を取得しています。しばらくお待ちください。