龍髭街の真ん中、八蟹大通りにある不思議な骨董品屋。
このお店に集まるのはただの骨董品では御座いません。
やれ持ち主を呪い殺すだの
やれ周りに居る人間を不幸にするだの
やれ捨てたのにいつの間にやら手元に戻ってくるだの
そういった類の曰わく付きの品々が集まるお店。
其れがこのカラコロ堂でした。
店主は大変な物好きで、人の手に負えないほど
穢れを吸ってしまった呪物を買い取って、
夜な夜な彼らとの会話に花を咲かせます。
怨嗟にまみれた品々の声を聞き、少しずつ癒しては
世に居る己と同じような物好きに流して往くのです。
そんなことを続けているうち、この店にはいつの間にか
“呪物の駆け込み寺”と異名が付けられ、
呪物の怒りに触れてしまった人間が尋ねてくるようになりました。
今日も1人、闇を飲み干した人間が曇り硝子の戸口を叩きます。
さあさあ皆さんお手を拝借、奇奇怪怪の不気味な逸話に
ひとつ耳を傾けては如何でしょう。