誰がための誓い

作者:黒塚婁

●祈るもの
 深夜――人気の無い駐車場に浮かぶは、黒金と赤金を綯い交ぜにしたような人影。
 鋼色の翼を背に、胸の前で祈るように両手を重ね、微笑を湛えた銀色の仮面は見下ろすものを憐れむように。
 彼女を一言で称するならば『鋼の天使』――ただし、祈るように組んだ一対とは裏腹に、もう一対ある腕の先は巨大な丸鋸――更には、真新しい鮮血で濡れていた。
「コマンダー・レジーナへの手土産はこれでよいでしょう」
 その言葉の先にあるのは青年達の死体。
 今し方、彼女が解体したそれらへ、感情のない視線を向ける。
「しかし安心なさい……その思い――果たすための誓約を、私は違えません」
 
●砕くものたち
 指揮官型ダモクレスの地球侵略が始まったようだ、と雁金・辰砂(ドラゴニアンのヘリオライダー・en0077)はケルベロス達へ告げる。
「指揮官型の一体『コマンダー・レジーナ』は、既に多くの配下ダモクレスを地球に送り込んでいたようだ。奴が着任すると同時、潜伏していた配下が撤退しているらしい」
 多くのダモクレスは指示通り撤退するようなのだが――その一部に、人々を殺し、グラビティ・チェインを手土産とばかり略奪していくものも少なくない。
 ここで予知された、そんな一体の名は。
「此度、予知されたのは『輝ける誓約』と呼ばれるダモクレスだ」
 辰砂は目を細めると、これから起こる事件の説明を始めた。
 曰く、輝ける誓約が現れるのは深夜。
 非行少年達が集うと有名な駐車場に現れるという。彼らは五人ほどの若者で、周囲の似たようなグループと衝突しあっているらしい。
「件のダモクレスは、どうやら復讐心や向上心に応え、改造することで力を与える――という性格をしているらしい。彼らを殺害することでグラビティ・チェインを得、同時に後々改造する素体と見なしているのだろう」
 ゆえに彼らは目をつけられることになるということだ。
 場所柄、時間帯も含め、周囲に近づく一般人はほぼないと見てよいが、先に推定被害者達を追い払うわけにはいかぬのが頭の痛いことではある――だが、ひとたび開戦してしまえば、ダモクレス側も交戦しつつグラビティ・チェインの回収を行う、などという発想は捨てるだろう、とは辰砂の言だ。
 輝ける誓約は飛行能力を擁し、空よりやってくる。戦闘開始前に、その姿を捉えることは容易であろう。
 戦闘突入直前に巧く避難させてやることだ、と辰砂は淡々と告げた。
 さて、その戦闘能力であるが――。
 背に備えた巨大な砲塔、腰のミサイルポッドからの砲撃。
 二対あるうち一対の腕は先端が巨大な丸鋸も間違いなく凶悪な一撃を予想させる。
 遠近、複数の相手であっても遅れはとらぬ装備構成で、機転の利く性格をしている。一体だからと油断ならぬ相手だ。
「コマンダー・レジーナに情報を渡すわけにはいかぬこともあるが……単純に、奴の凶行を見逃すわけにはいかぬ。ここで確りと討ち取れ」
 辰砂はケルベロス達にそう告げたのだった。


参加者
木戸・ケイ(流浪のキッド・e02634)
ヴェルセア・エイムハーツ(ブージャム・e03134)
丹羽・秀久(水が如し・e04266)
機理原・真理(フォートレスガール・e08508)
翡翠・風音(森と水を謳う者・e15525)
マルレーネ・ユングフラオ(純真無表情・e26685)

■リプレイ

●宵闇
 冷える夜であった。曇天で重く澱んだ闇が、陰鬱な気分を誘う。肌を刺す冷気はかなり厳しいが、若者達は予知通り駐車場に集っていた。
 ケルベロス達は物陰に身を潜め、若者達と、真っ暗な空、それぞれに注意を向けていた。
 何も遮るものがない場所だ。異変があればすぐにわかりそうだが――機理原・真理(フォートレスガール・e08508)の赤い瞳は、一時も変わらず、ずっと天へと向けられていた。
 表情そのものはいつもと変わらぬ――だが、纏う空気はいつもと違う――様々な思いを胸に、マルレーネ・ユングフラオ(純真無表情・e26685)は、そっと彼女の手に触れる。
 彼女の過去を知っている。彼女の苦しみも知っている。そしてそれはマルレーネの痛みでもあると。
 私も一緒に戦うから、とぬくもりで伝える。真理は視線を返さなかったが、軽く力の籠もった指先に、マルレーネは小さく頷いた。
 翡翠・風音(森と水を謳う者・e15525)はそんな二人の姿を見て、目を細める。大事なものが失われる悲しみと、そこから派生した皆を護りたい、という強い願い――彼女にも憶えがある。
 そんな彼女の気持ちが伝わったのか、シャティレがするりと身を寄せてきた。
 真理が事前に仲間達に告げた覚悟は、かなり重く――彼女の心情を汲んだケルベロス達は、その覚悟へ同意しつつも、そうはさせぬ、という決意を固めていた。
「犠牲を出さない。勿論今回だけでなく。機理原さんの誓いを守りましょう」
 そう、囁くように零したのは、アリエータ・イルオート(戦藤・e00199)である。
「ああ……誰よりも機理原が、もう二度と奴の被害者になってはならない」
 レッドレーク・レッドレッド(赤熊手・e04650)が重く発すれば、丹羽・秀久(水が如し・e04266)も頷いた。
「絶対に誰も欠けずに依頼を達成しましょう」
 そんな仲間達の様子を一瞥し――辛気くせえナ、ヴェルセア・エイムハーツ(ブージャム・e03134)は嗤う。
 おいおいと、木戸・ケイ(流浪のキッド・e02634)は諫める。その傍でポヨンがふよふよと浮かび――おそらく同調しているようだが、迫力はあまりない。もっとも、主の言葉にも然程の覇気はなかったが。
 何せ、ヴェルセアの青い瞳は愉しそうに輝いている。
 人には人の考え方がある――かつて自分が行ってきた『人助け』の結末の中、稀に起こった望まぬものを思い出しながら――ケイは溜息にも似た吐息を零し、その時を待った。

●飛来
 若者達が何を話し合っているかはケルベロス達の興味の対象外であったが、白熱しているのか、どんどんと声が荒くなっていく。
 そんな彼らの頭上へ、それは突然降り立った。
 直前、闇夜に濃い影が浮かんだのを、真理の赤い瞳は捉えていた。
「力が欲しい……そう望んでいますね?」
 赤金と黒金を混ぜたような独特の外装――祈る天使のような姿をしたダモクレスは若者達へ問いかける。
 その声音は実に落ち着いており、この先の凶行など微塵も感じられぬほど、清らかであった。
 答えが返るよりも先、ケルベロス達は一斉に飛び出す。
 二振りのチェーンソー剣が唸り、金属とぶつかり火花を散らした。滑る刃との摩擦で炎が生まれ、ダモクレスを僅かに退ける。
「早く……早く逃げて下さい!」
 祈るように真理が叫び、続けて風音が黄金の果実を手に凛と声を張る。
「これから戦闘になります……さあ、早く」
「オラ、邪魔ダ! パンピーの雑魚は退いてナ!」
 更にヴェルセアの乱暴な声音が背後より響く。
「……見物したいなら止めないがネ。なにせ一世一代の復讐劇! 憎悪と悔恨の入り交じる最高の晴れ舞台ダ! 命を捨てる覚悟のあるやつは鑑賞していきナ!」
 彼らしい言い回しにレッドレークは苦笑いを浮かべつつ、安全な方角を指さし叫ぶ。
「俺達の後ろは安全だ! 考える前に走れ!」
「さあ、こちらへ!」
 秀久が促すと、面食らっている若者達も漸く動き出す。状況が飲み込めたならば、こんな場所に一秒たりともいられぬと、我先に逃げ出した。
 供物が逃げていくのを見送りつつ、ダモクレスは目の前に現れたケルベロス達をゆっくりと見渡す。その視線に憾みなどは感じない。
「まあ……別の場所で仕入れれば良いだけのこと」
 独りごちたダモクレスは、正面でじっと強い視線を向けてくる真理を見た。
「やっと見つけた……輝ける誓約」
 微笑みを浮かべた仮面は、その強い感情を受け止めても凪いだまま。
「我が名を知るものですか……さて、憶えのない瑣事の関係者といったところでしょうか」
 それが諳んじた言葉は更に真理の怒りを煽るものであっただろう。
 だが、それを行動に移したのは、別の人間――。
 しゃらん、鎖が甲高い音を立てて空を走る。
 それはそっと持ち上がったもうひとつの腕に巻き付いた。
「お前がいると真理が安心して眠れない。だから……ここで壊れろ」
 無表情のマルレーネは、淡々とした声音に僅かな感情を籠め言い放つ。
 対峙する彼女たちへ、ヴェルセアはにやりと口元を歪める。
「さァ、お前の因縁を果たすときだぜシンリ! 乗りかかったからには存分に力を貸してやル。一緒に劇的な最後を飾ろうゼ!」
 ――そして見せろ、その憎悪の行く末を。

●誓約
 急速に伸びた蔓草が、誓約の丸鋸の腕を捕らえる。その影を追うように駆けたヴェルセアは内に入り込み、ナイフを垂直に振るう。
 強烈な一撃であったが、鋼の身体に一筋の疵を残しただけで、ダモクレスは冷静に身体に備わる無数のミサイルを放ち、レッドレークの植物ともども退ける。
 戦場に雨のように降り注ぐそのひとつを秀久は軽く叩き落としたが、腕に伝わる痺れに眉を上げる。
「Nebel von Barmherzigkeit」
 淡々としたマルレーネの詠唱の後、桃色の霧が広範囲に広がり仲間を包みこむ。
 同時、立ち止まらず戦い続ける者達の歌を奏で――風音が傷を癒やし、鼓舞する。
(「――冷静に、冷静に、ですよ」)
 守りの力を纏った真理は自分にそう言い聞かせながら、マルチプルミサイルをそれへと放つ。
 合わせ、炎を纏いプライドワンがミサイルで逃げ場を奪われたそれの足下へと飛び込む。
 更に迫るは、雷纏う白刃。
「誓約ねえ……何だか意味深な名前だが、誓いを口にするだなんてこっぱずかしい事はしないぞ。俺から誓いを聞き出したきゃかかってこい!」
 雷の霊力を纏わせたシラヌイを繰り、ケイが踏み込む。
 鮮やかな一閃は鋼に弾かれるが、その表面を少しでも削れるならば、問題は無い。
「そっち頼めるか、ポヨン!」
 相棒の名を呼ぶ。心得たといわんばかり、赤いスカートがひらりと舞う。風音のシャティレと共に、各個に呪いに対する守りを皆に与えていく。
 砲撃の音が戦場に轟く。
 フォートレスキャノンの反動に、淡紅藤の髪が揺れる――アリエータの一撃は、誓約の翼を一部破壊する。
 薄い金属がぱらぱらをアスファルトに落ちていく。
「やりますね……しかし」
 どうとも感じていないように誓約は呟くと、背負う主砲をケルベロス達へ向けた。そのターゲットもわからぬ間に、真理は駆け出す。
「もう誰も、お前の犠牲にさせない! 私の目の前で誰も死なせない!」
「ならばご希望通りに……」
 両の主砲を真っ直ぐ近づいてくる真理へ突きつけ、それは不均等な翼で、軽く羽ばたいた。
 飛翔するのでは無く反動をつけ、発射する砲弾を更に加速させた。
 轟音と同時に衝撃、地を抉り周囲に土煙を巻き起こす。
 それが収まれば――赤熊手を薙いだ姿勢のレッドレークが、真理の前に立っていた。
「機理原の気持ちはわかってる……だが、焦るな」
 見ての通り、易易とやられはせん――焦げたような臭いを漂わせながら、彼は告げる。
 そうです――風音がオーラを彼へと向けて放ち、その傷を癒やしながら、
「心穏やかに、とはいかないでしょうが。簡単に倒れませんし、倒れさせません」
 力強く請け負った。
「皆で帰りましょう……機理原さんも、ですよ」
 アリエータの言葉の向こう側、マルレーネの視線とぶつかると、彼女は同意するように深く頷いた。
 刀に乗った土埃を軽く振り落としつつ、ケイは軽い調子で声を掛けた。
「因縁ってもんは、どちらかが本調子じゃなかったり、不意討ちとか納得行かない結果で終わると、一生残っちまうもんなんだ。ここで綺麗さっぱり晴らすんだな」
 ――果たせよ、と。最後に重い声音で彼は告げ。
「皆さん、次が来ますよ」
 ヒールドローンを飛ばしながら秀久が注意を促す。

●暁闇
 輝ける誓約は数多の弾幕を降らせつつ、ケルベロス達は数で押す――秀久とレッドレークが攻撃の展開を観察し、射線を塞いで庇いつつ、後方からアリエータやケイが動きを制限するよう狙って仕掛ける。
 サーヴァント達と共に風音の皆を癒やす曲を奏で、マルレーネが相手を縛る呪いを重ねる。
 そして積極的に仕掛けるのがヴェルセアと真理だ。手数は圧倒している。時間が経てば経つほど、ケルベロス達にとって優位になっていく状況であることは、間違いなかった。
「大丈夫、押してる」
 マルレーネが真理へ声を掛けると、彼女は頷く。
 少し落ち着いた彼女と対照的に、戦況に焦れ始めたのはダモクレス。
 ケルベロス達の不意を打つように急加速し、風音の背後まで回り込むと、丸鋸を振り下ろす――。
 ガツ、という鈍い音。
 細かな刃と、赤熊手の歯が噛み合い火花を散らした。
 誓約の一撃の下へ潜り込んだレッドレークはゴーグルの下、銀の瞳で睨め付けながら問うた。
「随分長く潜んでいたようだが……それでも未だ、わからないのか!? 復讐心や向上心を理解できていて、何故だ、……」
「狂った不良品の戯言は、理解の範疇を超えていますね」
 返る誓約の淡々とした声音――それがすべての応えなのだろう。
 眼前にひときわ大きな火花が爆ぜて、互いに大きく弾かれる。主砲を解放しながら次の攻撃に備えるそれの姿に、じっと黙り込むレッドレークに、無駄ダとヴェルセアは嘲る。
 でたらめに放たれた恐ろしい一撃を、受け止めたのはプライドワンだ。だがこれは大きな隙となる。
「焦って仕損じル――ハッ、間抜けな奴ダ」
 喩えそれを喰らっていたところで、彼は気に掛けることもなかっただろう。
 どうせ返して貰うのだ。
「急ゲ、急ゲ、急いで返セ――その身が未だ動くうチ」
 金貨の眼をした女神の口吻。痛みを貸し付け生命を奪う――。
 バンカーの徴収、そう名付けた一撃は誓約の身体に備わるミサイルポッドをいくつか破壊した。
 だが、それで終わりではない。
「参ります」
 アリエータが腕を伸ばせば、アームドフォートの砲身をグラビティ・チェインの光で包まれ――光の剣となる。
 地を軽く蹴って、彼女は距離を詰める。
 高速演算で最適された動作は流れるように――それは鮮やかな剣舞。
 一閃、二閃――眩い軌跡で片方の丸鋸を斬り落とす。
 主砲を展開したまま、動けぬそれの直ぐ傍に、黒い影が踊る。
「その太刀筋、水の如し…」
 心得を言葉に乗せ、放たれた秘剣【如水】――刀身を指で挟み力を溜めたところから、一気に解放する。正面から跳ねるように加えた力をもって、更にもう一方の丸鋸を秀久が斬り落とす。
 無防備になったそれへと、納刀した状態のケイが、柄に指を掛けつつ迫る。
「成敗!」
 気合いと共に放たれた鮮やかな居合い。
 ――どこからともなく現れた桜吹雪が誓約を包み、斬られた、と認識した時には、既に後方で鍔鳴りが小さく響く。
 同時、突如吹いた風で舞い上がった桜吹雪が一斉に燃え上がる。
「念仏を唱えな。それとも、辞世の句でも詠んでみるかい?」
 誓約がその燃え上がる桜吹雪に何を見るのか、彼にも解らない。
 随分と不格好な姿になっていくダモクレスを見つめ、深く息を吐き出し、風音は歌を紡ぐ。
「響け、我が歌声。彼の者へと届くまで。」
 木霊の独唱曲――いつも彼女が感じるすべての何か思いに加え、曾て護っていた森、失われてしまったすべてを重ね。
 真理が此処で目標を果たせれば、自分の思いも少しだけ、昇華されるであろうか。
 歌は如何に響いたか、誓約は苦しそうに翼を振るわせる。
 逃げるつもりか、苦しさを逃すための行動か――どちらにせよ、ケルベロス達は畳みかけるのみ。
「根を張り、奪い、爆ぜろ!」
 レッドレークの言葉で、それの腕から顔まで赤い根が張り巡らされる。
 YIELD-FIELD:B――先に植え付けておいた攻性植物の胞子が、彼の命令で花を咲かせる。それは真っ赤な地獄の炎を纏う花冠。
 それはいかなる花か、解らぬまま、すぐさま爆ぜた。
 仮面の中心に罅が入り――流石に怯んだそれを、脇より半透明の御業が掴み捕らえる。
 御業を制御しつつマルレーネは真理を見つめ、短く言葉をかけた。
「決着を」
 頷き、真理は駆ける。最短で最良の、構造的弱点を突く一撃を。
「私は、お前の誓いなんか認めない、許さない!」
 体内に巡るグラビティ・チェインを籠め、身体能力の限界まで力を引き上げ、拳を振るう。
 風を唸らせ、祈る腕へ、真っ直ぐに貫いた。
 堅い金属が砕ける音が闇夜に韻と染みる。
 真理の拳は、輝ける誓約の両腕を粉砕し、胸まで貫通していた。その疵から細かな罅が全身に走っていく。
 彼女の感覚ではゆっくりと感じたが現実には一瞬――それは言葉も発せぬまま、地に落ち粉々に砕け散った。
 赤金と黒金の破片舞い散る中で、彼女はいつか見た父の背を思い出していた――。

 見事にただの屑鉄となったそれを踏みつけ、ヴェルセアはひとつ問いを投げた。
「どうだイ、長年の因縁に決着をつけた気分ハ?」
 真理はぼんやりと掌を見つめる。
「未だ良く……実感が湧かないですね」
 悪い癖で彼女が握るものが何なのか、少しだけ興味があったが。
「アンタがこの先、どんな生き方を選ぶのか見ものだナ」
 隠してそんな言葉を投げた――ただ、彼が面白いと思う方向にはいかぬかもしれぬ。
 彼女にそっと寄り添うマルレーネがいる限り。
 穏やかな彼女達の様子に、アリエータは安堵の息を吐き。
「仇討ちに良い悪いがあるかは解らないが、少なくとも今回は良い方だったと思いたいな」
 ケイはポヨンを労いながら、ぽつりと零す。
 ひとつ運命が変わっていたらあちら側には自分が居たかも知れない――戦いの最中、ずっとそんな感情を抱えていたレッドレークも。
 かつて全てを失った風音も。
 そうであったら良い――と、今後の彼女を案じる。
「皆さんで記念撮影しませんか」
 そんな彼らへ、秀久がカメラを手にそう声をかけたのだった。

作者:黒塚婁 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年2月13日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 6/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
 あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。