華麗なるインドカレー屋

作者:木乃

●二大インド要素を混ぜた結果
「なんでだ……」
 横浜市青葉区にあるインドカレー屋が閉店した。
 木彫りの象や幾何学模様のタペストリーが飾られた店内には、ターバンを巻いた色黒い店主がへたりこんでいる。
「カレーを提供するまで踊りまくれば、空腹が増してさらに美味しく食べられる……斬新な発想だと思ったのに!」
 空腹でやってきた客にはいい迷惑だよ!!
 さらに『踊れるカレー屋・マージ☆ハラヘル』という店名が命運を決定づけた。
「うぅ、こんなんじゃ俺……カレーを嫌いになっちまうよ……」
 インドカレーもこれには訴訟したくなるだろう――しかし、代わりにやってきたのはカレーと縁もゆかりもない魔女だ。
「矮小な人間ですね。ですが、その『後悔』は頂いていきます」
 突き出された第十の魔女の鍵は茫然とする店主の背中を捉え、ガクリと倒れこんだ店主の隣にはランプの魔人に似た姿。
『カリー・アンッ・ダンスィング!!』
 
「客が踊り狂うカレー屋、興味は沸きますが入りたいとは思いませんわね」
 オリヴィア・シャゼル(貞淑なヘリオライダー・en0098)の辛口コメントにケルベロス達も苦笑がこぼれる。
「ですが、夢を叶えたのに潰れてしまったことで芽生える『後悔』に今回もドリームイーターが目を付けましたわよ。『後悔』を奪ったドリームイーターは既に姿を消していますが、『後悔』を元にしたドリームイーターが現実化して事件を起こそうとしていますの」
 放っておけばインドカレー屋だと思って入った一般市民が踊りを強要された上に、ドリームイーターの一存で殺されかねない。
「被害が出る前にドリームイーターを撃破してくださいませ。ドリームイーターさえ倒せば、『後悔』を奪われた店主も目を覚ましますわ」
 場所は横浜市青葉区にあるインドカレー屋だ、すでに店は潰れているがドリームイーターが無理やり営業を再開させている。
「ドリームイーターに配下はおりません。店に乗り込んですぐに戦闘を仕掛けることもできますが、客としてサービスを受け、心から楽しんであげればドリームイーターも後悔の念が薄れて弱体化しますわよ」
 ――つまりカレーが出されるまで踊れと。踊り狂えと。
「満足させてから倒せば、意識を取り戻した店主も後悔が薄れて前向きになるでしょうからね。それにカレーも辛さを甘口、中辛、激辛、解脱、涅槃まで選べましてよ」
 解脱と涅槃は明らかにヤバい予感がするので、よっぽどの好きな人以外は避けた方が良いだろう。
「敵はランプの魔人型、といえばいいでしょうか。火を吹いたり、香辛料の煙幕で足止めしたり、極めつけはアツアツのカレーをぶつけて浸食させますわ」
 『辛味一体』となってケルベロスとやり合うカレー愛の強さにいっそ脱帽したくなる。
「空腹は最高のスパイスだと申しますが、顧客側としては困ったサービスですわね。店主は店の奥に寝かせられていますので、終わったら様子も見てあげてくださいませ」


参加者
エイダ・トンプソン(夢見る胡蝶・e00330)
藤・小梢丸(カレーの人・e02656)
霖道・裁一(残機数無限で警備する羽サバト・e04479)
ガラム・マサラ(弱虫くノ一・e08803)
鮫洲・蓮華(白き人魚に執われた少女・e09420)
除・神月(猛拳・e16846)
宇原場・日出武(偽りの天才・e18180)
ティリア・シェラフィールド(木漏れ日の風音・e33397)

■リプレイ

●カレーを求めて徒歩10分
 ケルベロス達はドリームイーターが現れたというインドカレー屋に向かっていた。
 『カレーが出るまで踊り続けなければいけない』という傍迷惑なシステムだが、それ以上にカレーに惹かれて志願した者も少なからず。
「ドリームイーターのおかげでカレー食えるし戦えるんだよナ? 楽しい事づくめじゃねーカ!」
「えぇ、カレーに捧げる踊りならいくらでも踊りますとも」
 ダンスに備えてパンを食べる除・神月(猛拳・e16846)と藤・小梢丸(カレーの人・e02656)は既にカレーに目が眩んで敵の存在を忘れてるんじゃないかと思える。
「華麗なるインドカレー屋さん。華麗忍者としては避けては通れませんね……でも合理的で素晴らしいシステムなのに、なぜお客がこないのでしょう?」
 既にスパイシーな香りが漂っているガラム・マサラ(弱虫くノ一・e08803)が客足が伸びなかったことに疑問を呈す。
「元々腹が減って店に来るのに踊りは余計だと思いますよ、店名は個人的に良いと思いますがね」
 真っ黒い覆面とローブのサバト服に身を包む不審者、もとい霖道・裁一(残機数無限で警備する羽サバト・e04479)の的確な指摘にガラムも合点がいった。
 一般人には体力の消耗が激しくなるが、ケルベロスにしてみればたったの十数分を踊るくらい造作無い。
 だからこそ踊りにこだわる者達は事前にイメージを固めたり練習を重ねてきていた。
「こう、腰使いが独特ね……官能的っていうのかな」
 ティリア・シェラフィールド(木漏れ日の風音・e33397)は携帯電話の操作に四苦八苦しながらインド舞踊の動画を見つけて視聴中、そこに鮫洲・蓮華(白き人魚に執われた少女・e09420)とエイダ・トンプソン(夢見る胡蝶・e00330)も両脇から覗きこむ。
「ティリアちゃんも予習してるの? 蓮華もインド映画のダンスシーンを見て練習してきたんだ♪」
「楽しくてアグレッシブなものが多いですよね!」
 蓮華は衣装も踊り子仕様にしたこだわりっぷり、エイダもミュージックファイターとしての自負もあり万全な状態に整えてきた。
「そうだ、うわらばさんもなんとなくインドっぽい感じするし映画みたいにセンターやっちゃう?」
 蓮華に話を振られた宇原場・日出武(偽りの天才・e18180)はギョッと目を見開いたが、すぐに鼻を鳴らして笑みを浮かべる。
「センターですか、天才のこのわたしにこそ相応しいですね」
 さも当然かつ得意げに言っているが日出武のハートは生まれたての小鹿より震えているぞ!
「見えてきました、あの看板ですね」
 ガラムの指差す先に不穏な看板――踊れるカレー屋・マージ☆ハラヘルの文字。
「いざ! カレーを食しに!」
 ドリームイーターも忘れずにね!

「ハーイ、ラッシャッセー! オー団体サンネー?」
 店のドアを開けば中には満面の笑みのドリームイーター。
 とって付けたような笑顔と半裸の濃ゆいオッサンにしか見えない容姿が不気味だが、その内に秘める『後悔』こそが原動力――入店と同時に戦いは既に始まっている!
 ティリア達は席に着くと早速注文を始める。店内は踊ること前提のためか客席は8席とこじんまりしていた。
「フゥー! カレーの匂いサイッコォー!!」
「カレー何が良いかな~? やっぱりマトン? サグマトンもいいかも~」
「わたしは天才なので当然涅槃と言いたい所だがあえて中辛にしてあげよう、運が良かったな(?)」
 カレーの匂いで色々キマってる小梢丸の叫びを響く中蓮華はメニューを悩ましげに眺める。日出武達が各々の注文を済ませると、ドリームイーターが店のシステムについて説明を始める。
「ナンはオカワリ自由ヨー。カツの代ワリ、タンドリーチキン出スネ? お水、テーブルにアル奴飲ンデネ。コレ大事ナンダケド、モットお腹ペコペコにスル為に」
 伝票に注文をしたためたドリームイーターは設置されていた音響デッキの傍らに立つ。
「ミナサーン――カレーが出ルマデ、死ヌ気で踊ッテネェェェェッ!!」
 狂気を含んだ笑みを見せつけながら、ドリームイーターは再生ボタンに手を伸ばす。

 ――軽快な手拍子と複数の弦楽器が織り成す前奏がスピーカーから流れ始め、裁一達は席を立つ。
「伊達にインドで運動会をこなした俺たちじゃないんですよ」
 流れる男性コーラスに合わせて両手足を上下させる裁一はサバト服姿のせいでどう見ても怪しい儀式にしか見えず。なにかが降臨しかねないぞ!
「華麗魔神のごとく暑苦しいまでに踊ってみせましょう、カレーの為に!」
 その隣の小梢丸もなんか腰をぐねぐねワカメのようにくねらせ、イラッとする仕草を混ぜた踊りがさらに怪しさを際立て、加速度的に腰の動きが早まる……ここだけなにか呼び出そうとしてない!?
「おれを倒せるのはキングの踊り、すなわちマサラムービーだけだ!」
「メッチャワカルゥー!」
 意味不明な発言はさておき、センターで踊る日出武は鍛えた肉体の躍動させるように両手足を回してからターンを決め、全力投球の踊りは不慣れながら厨房にいるドリームイーターから歓声があがる。
 どうやって見てるかだって? こまけぇこたぁいいんだよ!
「こんな感じで良いのでしょうかぁ~!」
 アップテンポなリズムに翻弄されながらガラムもエイダ達の踊りを真似てくるくると回る――さらに、左右に揺れる魅惑の腰つきを披露する蓮華はあることに気づいていた。
「大丈夫! あのダンスってアドリブも入ってるみたいだし、完璧に踊れとは言われてないよ!」
 まさにその通り。
 この店の指定は『カレーが出るまで踊れ』であり、実はかなり雑な指定だ!
「見惚れるんじゃねーゾ!」
「うふふ、楽しいですねっ」
 神月の自信に満ちた表情で踏むステップは現代風の独自のアレンジを加えたもの。軽快な動きに雑技を混ぜて緩急をつけ、エイダも手首を優雅に返しながら腰を振って笑顔で踊り続ける。
「これは演舞と思えば、それなりに出来そうね」
 ティリアも栗色の髪を揺らして、先ほどの動画を思い出しながら滑らかな所作で踊っている――様子を見てしまう男が一人。
(「エイダを始め、女性陣のダンスがこう……目に毒と言いますか」)
 女性が腰をくねっとさせる仕草にドキドキしない男はいない!
 裁一はチラチラ視界に入ってくるティリア達の踊りを直視するのは申し訳ない気がしてそっと目を逸らす紳士対応だが、サバト服効果で不審者感が拭えない。
 ――そんなこんなで15分ほど。

●お待ちカリー
 さすがに踊り続けていると額に汗が滲み始め、喉も乾いてくる。
 厨房から漂う香辛料の香りに一部(主に小梢丸)がヒートアップしている中、ドリームイーターがワゴンにカレーを乗せて戻ってきた。
「デキタヨー! 座ルッテお水飲ムトイイネー」
「待ちに待ったカレー! ひゃっはー!」
 小梢丸が飛び込むように席に着くと神月達も水で喉を潤しながら腰を下ろす。テーブルには人数分のグレイビーボートとふっくら焼けた大量のナンがバスケットに入れられて出てきた。
「イッパイ頑張ッタカラ、イッパイ美味シイ思ウヨー。召シ上ガレ!」
 ドリームイーターも日出武達のダンスにご満悦の様子、ニコニコしながら傍らに立つ。
「まずは基本の中辛から味わう……ん~このスパイシーな香り、堪らん!」
 『もう我慢できなーい!』状態の小梢丸はナンを引っ掴む勢いに反して丁寧にちぎりカレーを掬い上げる。
「んまぁーい! カレーのおかわりはある!?」
「マタ踊ルナラ出スネー」
 謎の効果音を響かせながら再び踊りだす小梢丸をよそに蓮華も口に運んで
「やっぱり聞いてた通りカレーは美味しいね!」
「うーん、最高だね♪」
 垂れてしまいそうな頬を押さえながら歓喜の声を漏らし、ティリアも口の中を僅かに刺激する辛みと濃厚な旨味に手が止まらない。
「えへへ、甘口も美味しいです~♪」
 辛いのは苦手なエイダは甘口にして正解だったようだ、辛さは控えめながらコクを残した味わいに思わず頬が緩むが――。
(「そういえば裁一さん達、涅槃カレーとか大丈夫でしょうか……」)
 まさか『涅槃』に挑む勇者(チャレンジャー)が他に2人もいるとは!
 エイダの心配そうな視線をよそに裁一はフッと余裕の笑みを浮かべている(が覆面で見えていない)
 カレー自体はこげ茶というか、黒みがかっていて既に鼻腔を刺すような香りが漂っている。
「煩悩の炎の吹き消された悟りの世界は、 静やかな安らぎの境地であるといいます。つまり無心になって食べれば普通に美味しく、安らぎの時を味わえるでしょう」
 『涅槃は静寂に満ちている』という裁一のありがたい格言に深く頷いている神月とガラムも期待で胸いっぱいになりながら、ナンにたーっぷりカレー(超級者向け)を絡ませる。
「ヤバそーな雰囲気が伝わって来るけド、辛い物ほど美味いっていうしナ」
「わあい♪ いただきます!」
 一斉に頬張ると美味しそうに咀嚼していたのは、わずか3秒。
「んほぉぉぉぉ! おふひがもえひゃうのほぉぉぉぉぉ!!」
 踊りでしっとり汗ばんだ肌が辛さの引き出す発熱でガラムの頬をより赤く染め、珠のような汗が吹きだし始める。舌を突き出すその表情はなんか色々誤解を招くぞ、気をつけろ!
「何だヨ、意外と辛くネー……!?」
 神月はモグモグと続けざまに頬張っていたが、喉の焼けるような感覚に言葉に詰まり……飲み物で誤魔化したいところを堪えて懸命に食べ続ける。
「……」
 裁一はエイダと目を合うと静かに親指を立て――そのままテーブルにバタリ。満足げな雰囲気はまさに『悟りの世界』を見出したのだろう……合掌。
「涅槃に行ってるうううう?!!」
 エイダが慌てふためきながら水を汲んでいると、事態を察知した日出武がずずいと割り込む。
「どれ、おれが治してやろう。心配するな、おれは天才だ。おれに不可能はない!」
 『治す秘孔はこれだ!』と叫ぶや、日出武はガラムと裁一の脇腹に勢いよく指先を抉り込むように食い込ませる。
「りゃめぇぇ……!」
「ん!? まちがったかな……」
 ガラムもテーブルに倒れ込むと、日出武は顎に手を添えて悪びれもなく言い放つ。どうしてこうなった。
「なんで死屍累々になってるの!?」
「こ、これが涅槃の力……!」
 美味しく頂いていたティリアと蓮華も唖然としている中、狂ったように踊ってはカレーを食べる小梢丸の存在もあって大変賑やかな食事風景が繰り広げられ――。
「ホッホッホー、ミナサン楽シソウネー!」
 ドリームイーターも満足そうにその様子を眺めていた。

「カ、カレー、もっとカレー……」
 テンションが上がるまま食べ続けていた小梢丸だったがさすがに胃が膨れ上がり、そろそろ限界を迎えようとしていたがドリームイーターはまだまだカレーを出してくる。
「モット食ベルイイヨー!」
「ふ、ふふ……カレーのためなら……」
「お前がカレーに食われてどうすんだヨ!?」
 焼けるようにひりつく痛みに耐えながら神月が永続しそうなカレー供給を制止する。
「ナンデ? カレー美味シイデショ?」
「確かに美味かったけどナ、延々と食わせられるのは御免だゼ!」
 神月が啖呵を切るとドリームイーターは残念そうに眉を下げ、懐からお玉を取り出して構えた。
「イイお客サン、思ッタノニネー……オ代は命モラウネェェェェ!!!」
 勢いよく吐き出される火球を神月が避けると同時に、蓮華達も戦闘態勢に移行する。
「華麗忍法・たくさん汗をかいたから蜃気楼とかみえちゃうの術!」
 分身の術による残像の尾を引きながらガラムの超鋼拳がドリームイーターの腹部を捉え、カレーを堪能していた小梢丸もえづきながら自前のグレイビーボートをこすり始めた。
「カレーは美味しかったんだけどねぇ……インド洋に沈め!」
 暑苦しい華麗魔神が姿を現すと、インドっぽい踊り的ななにかを披露し始める。ドリームイーターもイラッとしたのか、お玉からカレーを放ち小梢丸ごとカレーまみれにさせる。
「お洋服がカレー臭くなっちゃいます!?」
「す、すぐに治すからじっとしててね?」
 エイダがギターをつま弾いて蓮華達を鼓舞させ、ティリアも緊急手術を施し手早く傷口を塞いでいく。
「よもや戦闘前から口や胃に大ダメージを負うとは、策士め!」
「自分デ頼ンダジャナイデスカヤダー!」
 蹴りとお玉による応酬を繰り広げながら裁一は振りかぶった一撃をくぐり貫け
「カレーのお返しに痺れカレー注入」
 振り向きざまのドリームイーターめがけて怪しい薬物を叩きつける、顔は見る見るうちに青ざめてプルプルと震えだす。
「けっこう弱ってるみたいだね、一気にいっちゃうよ!」
 歌うように詠唱する蓮華は竜の幻影を放ち、ポーズを決めて金色のにわとり菩薩姿に変身!
「――もう戦わなくて、ええんやで」
 慈愛と赦しの言葉がドリームイーターの『後悔』を刺激するのか、苦しそうな唸り声をあげる。
「なかなかの強さだが、あがきはせんことだ!」
 日本刀を巧みに手繰り、崩れ落ちそうなドリームイーターの膝裏めがけて日出武は一刀斬り込み――。
「新しい秘孔の究明だ」
 そのまま膝をつくドリームイーターの背中を指で一突きすると奇声を発しながら突っ伏し悶絶しはじめた。
「このままぶっ飛ばすゼ!!」
 のた打ち回るドリームイーターを神月が蹴り上げ宙に浮かせると、宣言通り降魔の拳を全力でぶつけて叩き飛ばしたところをガラムがきりもみ回転しながら迫る。
「涅槃の辛さを力に変えて……カレーパワーを、右脚に!」
 燃え上がる右脚は吸い込まれるようにドリームイーターを貫いた――神か悪魔か、華麗忍法が制裁を下しドリームイーターはあっけなく消滅した。
「……少し辛みが効き過ぎたようです」

 店の修理を済ませ、ティリア達は奥で眠っていた店主を起こした。
「またカレーを作ってください」
「……え」
 開口一番、小梢丸のストレートな申し出に店主は目を瞬かせた。
「店長のカレーはとっても美味しかったよ!」
 明るく励ます蓮華の言葉にガラムと神月も笑顔で頷く。
「そうです、ちゃんと客寄せできればきっと人気が出ます」
「頑張りゃ常連も出来んじゃねーノ?」
 困惑する店主の肩にエイダはポンと肩を添え
「踊るのは恥ずかしい方もいますし、お腹が空いたら自然と入ってくると思いますよ」
 諭された店主は気まずそうに頬を掻くが、神月達の励ましもあって納得してくれたようだ。
「またお店が開けたらカレー食べに来るね」
「ああ、ちょっとだけ待っててくれよ」
 ティリアの一言に店主もようやく笑顔を見せると、やっと店に平穏が戻ってきたような気がした。
 美味しいカレーを食べた満足感は何物にも代えがたい。
 裁一の念入りなストレッチも終えて日出武達は店を後にする。

作者:木乃 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年2月5日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 1/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 5
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