恐怖! たゆんたゆんな巨乳お姉さんの正体は……

作者:質種剰


「さぁ、坊や、お姉さんと一緒にお風呂に入りましょう」
 甘い声に耳朶を擽られ、少年が夢心地で美女の後を追う。
 更衣室も湯桁も定かでない、白く熱い湯気が群れ篭る空間。
 少年は自分が湯船へ浸かるのも忘れて食い入るように美女の上気した肌を見つめていたが、
「早くいらっしゃい」
 呼ばれるや慌ててお湯の中へ——慌て過ぎて頭から突っ込んでしまった。
「大丈夫?」
 どきまぎして目を開けると、湯の中で眩く揺らめく太ももが視界に入る。
 少し視線を上げれば、想像以上の量感で雫を垂らしながら境に浮かぶ乳房も見えた。
「照れちゃって」
 恥ずかしくなって慌てて顔を背ければ、美女は笑って両手で湯を掬い、顔を洗った。
 すると、
「うわぁっ!」
 お湯を被った美女の顔がみるみるうちに爛れ落ち、醜い老婆の顔へと変わってしまった。
「何っ、何で!?」
 少年は信じられない心地で後ずさるも上手くいかない。
 慌てれば慌てるほど、老婆の萎んだ胸や肉の削げて骨と皮だけになった足が見えて驚愕するだけだ。
「触っても良いのよ?」
 嗄れ声の老婆が迫る。
 さっきまでの瑞々しい裸身なら喜んで指を伸ばしたろうが、今の鶏ガラのような肢体は恐怖でしかない。
「ああああああ!」
 絶叫と同時に少年がベッドから飛び起きた時、傍らにはケリュネイアがいた。
「夢……?」
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『驚き』はとても新鮮で楽しかったわ」
 ケリュネイアは、起きたばかりで不思議そうに目を擦る少年の胸を、鍵で一突きする。
 意識を失い倒れた少年の横には、いつの間にか全裸の美女が立っていた……。


「子どもの頃って、ビックリする夢を見たりしませんか?」
 理屈は全く通っていないのですが、とにかく驚いて、夜中に飛び起きたり——小檻・かけら(藍宝石ヘリオライダー・en0031)が、そんな前置きから話し始める。
「そのビックリする夢を見た子どもさんが、ドリームイーターに襲われ、その『驚き』を奪われてしまう事件が起こったでありますよ」
 『驚き』を奪ったドリームイーターは既に姿を消したが、奪われた『驚き』を元に現実化したドリームイーターが、新たに事件を起こそうとしている。
「新たに現れたドリームイーターによる被害が出る前に、そのドリームイーターを撃破して頂きたいのであります」
 このドリームイーターを倒す事ができれば、『驚き』を奪われてしまった被害者も、目を覚ましてくれるでありましょう。
 そうかけらは請け負った。
「皆さんに倒して欲しいドリームイーターは……その、素っ裸の美女が1体のみ。被害者の少年宅のすぐ側の路地に出現するでありますよ」
 美女ドリームイーターは、攻撃する時にだけその身体の一部を皺々の老婆に変化させる性質を持つ。
 それ故、豊かな巨乳を誇示するように突撃をかけてくる『おっぱいタックル』も、一糸纏わぬ姿で足を高々と振り上げる『マッパ回し蹴り』も、実際は命中時に視覚的には有難くない代物へと変わってしまうのだった。
「……ともあれ、おっぱいタックルは近距離の相手1人にだけ当たる破壊攻撃でダメージが大きく、頑健さに満ちてるであります」
 マッパ回し蹴りは、複数人に命中する射程も長い斬撃で、ダメージを与えるだけでなくトラウマまで呼び起こす。敏捷性に優れているようだ。
「ドリームイーターは、自分の驚きが通じなかった相手を優先的に狙って攻撃してくるでありますよ……その性質をうまく利用できれば、有利に戦えるかもしれませんので……が、頑張ってくださいませ?」
 激励するかけらの目は泳いでいたが、
「と、ともあれ、子どもさんの無邪気な夢を奪って、ドリームイーターを作るなんて許せないであります。被害者の子どもさんが、再び目を覚まされますように、ドリームイーター討伐、宜しくお願いしますね♪」
 何とか気を取り直して、説明を締め括った。


参加者
久我・航(誓剣の紋章剣士・e00163)
日柳・蒼眞(落ちる男・e00793)
千里・雉華(爆乳だろうお前乳おいてけなあ・e21087)
オルガ・ヴィヴァルディ(誠の愛はいつも傍にある・e26910)
皆月・アルト(サキュバスの鹵獲術士・e27832)
ジョン・ライバック(魔刀使いの剣士・e29849)
榊原・一騎(銀腕の闘拳士・e34607)
銅螺尾・双麻(不条理世界の探偵紳士・e34665)

■リプレイ


 しんしんと冷え込む夜の路地。
「どんな美女だろうが外でマッパな時点で何かこう、異質なモノにしか見えないもんなぁ……」
 しかも攻撃の瞬間老婆じゃん? うっへぇ……。
 年相応の困惑を表に出して顔を顰めるのは、久我・航(誓剣の紋章剣士・e00163)。
 童顔コンプレックスの裏返しか、敢えて外見通りの立ち居振る舞いを心がけている航だが。
「……というかたゆんたゆんな美女と風呂に入るのは無邪気な夢なのか。ただのマセガキじゃね? って思ってしまう俺が汚れてしまっているのか……」
 時折は年頃の男子っぽい本音も口をつく模様。
「……まぁ、考えてても仕方ないか」
 いつも他人を思いやって控え目にしている航だが、当人曰くの汚れてしまっている内面——潔癖過ぎずに己が欲望を認める正直さが魅力でもあった。
「なんと言えばいいのか分からんが、気の毒だな、被害者が」
 ジョン・ライバック(魔刀使いの剣士・e29849)は、至って冷静に被害者を憐れんでいた。
 頭に巻いた漆黒の布から覗く赤い瞳は眼光鋭く、クールな青年剣士。
 性格は見た目に違わず常に落ち着いているジョンだが、無愛想な為か冷淡に見られる事もしばしば。
 感情を表に出すことは稀だが義理人情を重んじ、武士道精神と兵士や戦士の誇りを併せ持った性格で、内なる熱さも秘めている。
「草臥と裸セーターやら何やらについて話したのを思い出すが、まさか全裸のドリームイーターがいるとはな」
 また、同じ師団の草臥・衣(神棚・en0234)へ我から話しかけるぐらいには、他人への興味や仲間意識も持ち合わせているようだ。
「そうだな……全部脱げば良いって物でも無いだろうにな……」
 いつも通り無表情な衣だが、その声はほとほと呆れていた。
「お、いっぱしに言うねぇ。オタクはどこら辺が好みだい?」
 すると、銅螺尾・双麻(不条理世界の探偵紳士・e34665)が、楽しそうな調子で語りかけてきた。
「今回の敵さんはたゆんたゆんらしいぞ。胸厚だな。いや、身近にもなかなかご立派な持ち主はちらほらいるが……現にヘリオライダーのお嬢ちゃんも……」
 リビドー全開に熱弁を揮う双麻は、黒い帽子とロングコートで渋く決めた青年探偵。
「おっとあまり言うと後ろから刺されそうだ……たゆんたゆんの胸もむちむちした尻もいいものだが、俺は断然うなじが好きだね!」
 そのクールかつ端整な顔立ちからは想像もつかないが、もはやステレオタイプ通り越してギャグまっしぐらのハードボイルドな目に遭いたいという夢を見ていたりする。
「なるほど、うなじも良いな……俺は、脚かな。ぱつんぱつんの太ももが好きだ」
 衣はぼんやりと思案した末に、素直な嗜好を吐露する。
「ほうほう、太ももな……結構結構。とりあえずは真面目にドリームイーター退治と行きますか」
 一方。
「えっ、巨乳の美女で触るとガリガリのモザイク? それどう考えても詐欺……いえ、少年の夢を壊す敵は許しません!」
 辛辣に言い止して尚、きっぱり断言するのは皆月・アルト(サキュバスの鹵獲術士・e27832)。一般人が路地に入って戦闘に巻き込まれないよう、立入禁止テープ貼りに余念がない。
 絹のような銀髪、長い睫毛に縁取られた花紺の瞳が可愛らしいサキュバスの少年で、フード付きの術士服がよく似合う鹵獲術士。
 禁欲する為に魔術の道へ傾倒するも、完全に欲求を抑える事はできず、殊に可愛い物へ目がない。
 それでいて、初心な性格故か周囲の環境に流され易い一面も持つアルト。
 実は、己の中性的な外見や高い声をあまり好ましく思ってないらしい。
「私揺りかごから墓場まで守備範囲なのよね……」
 オルガ・ヴィヴァルディ(誠の愛はいつも傍にある・e26910)は、妙に憂いを帯びた溜め息をついた。
 艶めく漆黒の髪と太く垂れた角、暗い色調で統一された巫女服が目を引く、サキュバスの女性。
 考える事が苦手で理性的に考えんとすれば頭が痛くなるという、派手やかな美しさを持つ人妻である。
 しかし、
「にしても微妙に見えづらいし喋りづらいわね……」
 今のオルガはやたらとしょんぼりして嘆き節だった。
 それというのも、まるで銀行強盗よろしく頭にストッキングをすっぽり被っているからだ。
 当人曰く、夫に依頼へ行くのがバレて美女ドリームイーターの局部等が見えぬよう強引に被せられたとの事。
 オルガ自身が老若男女美味しく頂けると豪語するせいか、夫としては敵が同じ女性であっても気が気で無いのだろう。
「少年の頃から巨乳お姉さんの裸がでる夢を見るなんて、将来有望だね。かけらさんのもそうだけどやっぱり巨乳っていいね!」
 榊原・一騎(銀腕の闘拳士・e34607)の口ぶりは実にあっけらかんとしていて、内容を差し引いても大層爽やかに聞こえる。
「別に巨乳や普乳や貧乳、どれも大好きだよ。ただ大きいならそれに越した事はないと思うんだ。大は小を兼ねるって言うからね」
 そう堂々と言い切れる所が彼の徳であろうか。
 短く整えた黒髪と茶色い瞳が程良く爽やかな、いかにも平凡な学生といった一騎。
 今の悩みも卒業後の進路とどうすれば彼女を作れるかという実に平和で微笑ましいものだ。
 ちなみに甘党で、クッキーやケーキは自分で作って食べるくらい好きだとか。
 さて。
 ——ズシャアッ!
 毎度の如くヘリオンから落下してきたのは、日柳・蒼眞(落ちる男・e00793)。
「……まさかこれ程までに理不尽な相手が存在したとは……」
 などと、機内での彼は様々な無情を思って血涙を流し、口から魂が出ているかの風情でずうっと呆けていた。
 呆けるばかりで現場に着いても自ら降りようとしなかった為、蹴りという名のカタパルトで強制発進させられたと見える。
「仕方ない……何時だって理不尽で残酷な運命に抗ってみるか……」
 のっそりと蒼眞は起き上がるや、路地の両端に立入禁止テープを張り巡らせ、一騎と共に戦場の封鎖を終えた。
 その傍ら。
「……うっわ、街角に立つ素っ裸の女性って痴女どころの話じゃねっスね。普通に犯罪者でスよ犯罪者」
 見てくれだけでもインパクトありまスねェ——と珍しく抑揚の無い声を揺らがせるのは千里・雉華(爆乳だろうお前乳おいてけなあ・e21087)。
 警官らしく眼光の鋭い吊り目が特徴の彼女だが、この日は目つきの悪さが倍増している。
 と言うのも、恐らく己の胸のサイズへコンプレックスを抱いているからだろう、巨乳や爆乳を見る度にメラメラと憎悪を滾らせる雉華なのだ。
「なのでタイホしたのち、是が非でも潰してまな板にしなければ!!!!!!!!」
 それ故、今も隙あらば美女ドリームイーターの乳を磨り潰さんとやる気満々——尤も、徹底した無表情を貫く彼女だから、仲間の目にも沈着冷静としか映らないのだが。
 ちなみに、雉華が手に握り締めている武器もまな板である。
 そして胴を包む防具は寸胴鍋。拗らせたコンプレックスが爆発して表出するとこうなる良い例だ。


 闇夜にぼうっと浮かぶ淡い人影。
 その人影が、待ち構えるケルベロス達に気づかずアスファルトを裸足でぺたぺた歩いて近づいてきた瞬間、雉華は目も眩むような敗北感に襲われた。
(「……負けた!」)
 美女ドリームイーターの白く盛り上がった巨乳は、大きさといい、乳房の形といい、肌のキメ細かさ、張り艶——全てにおいて極上であったのだ。
「くっ……危うく気が遠くなる所でシた。インソムニアも効かないとは……!」
 ギリっと歯噛みして美女ドリームイーターを睨みつける雉華。
 どうやら精神的に巨乳からの攻撃へ耐える為にインソムニアを使ったようだが。
「いやいやインソムニアは眠気にしか効かんだろ!」
 と航にツッコまれていた。
「あら、Fカップを見るのは初めて? もっと驚いて良いのよ……」
 美女ドリームイーターは、内心の動揺を微塵も表情へ出さぬ雉華目掛けて体当たり。
 ぐにょ。
 確かに身体へぶつかった刹那、その瑞々しい双丘は一瞬にして皺々に萎んだのだが、Fカップを自慢された屈辱感でいっぱいになり暴走寸前の雉華は、幸か不幸かそれを目にしていなかった。
「情報として事前に知ってはいたけど、見た目変わりすぎじゃね?!」
 一方、皺々おっぱいをまざまざと見せつけられた航は素で驚いたが、
「うぉっ、こんな路地にでっかいおっぱいが!」
 律儀に驚愕のリアクションを取りつつ、日本刀で斬りかかる。
 緩やかな弧を描く斬撃が、美女ドリームイーターの足の腱を的確に斬り裂いた。
「こちとら、すわ六十路かというオラトリオを見慣れているんだ……」
 蒼眞は平然と嘯くや、斬霊刀を正眼に振り下ろす。
「……何故か言ってて泣けてくるような気もするけど、今更実態無視の若作りや急速老化を見た程度で驚くもんかっての……」
 卓越した技量からなる一太刀を見舞うや、
「攻撃時以外は老婆に変化しない、つまり全力突撃あるのみ……!」
 むにゅっ。
「きゃあっ!? あっ、そんな、いきなり……」
 こちらもまさに達人の指捌きで、美女ドリームイーターのたぷんと揺れる胸を揉みまくった。
「巨乳潰れるべし、慈悲は無い」
 地の底から響くような低い声音で言い放つのは雉華。
 ドラゴニック・パワーを噴射して速度の上がったまな板を、思い切り美女ドリームイーターの胸部へ振り下ろし、宣言通り圧し潰した。
「なるほど、これは驚かざるを得ないな……だが、敵は斬るだけだ。容姿に惑わされるな」
 仲間を諭すジョンは終始冷静な振る舞いを崩さず、陰狼の太刀の黒い刀身を一瞬にして抜き払う。
 そのまま美女ドリームイーターをたちどころに斬り捨て、深い刀傷と激痛を齎した。
「うわっ! な、なんでこんな所におおおんなななのひひとががが」
 他方、とても演技とは思えぬほど盛大に驚愕、動揺しまくっているのはアルト。
 顔を赤らめ恥ずかしがって後退るも、この逃げ腰は作戦だったらしく、
「女性は清潔な身なりで、胸部の包容力……は無くても良いけれど、精神的な意味で母性の高い方が良いです」
 そんな事を呟きつつ全身の装甲から眩いオウガ粒子を放出、前衛陣の超感覚を覚醒させた。
「きゃー巨乳美女が!!」
 オルガの驚き方は余裕のある上手さで、絹を裂いた悲鳴をここぞとばかりに上げている。但し顔面ストッキングで。
 その一方、ゾディアックソードで守護星座を地面へ描き、前衛陣の異常耐性を高めるのも忘れなかった。
「そうねえ、私も触れるチャンスがあれば存分に触ろうかしら」
 隙あらば巨乳を触っている蒼眞を見て、楽しそうに思案するオルガだ。
「うわ……こんなに間近で美人の全裸を見る機会、滅多に無いよね……」
 一騎は、実は好みの外見らしい美女ドリームイーターの裸身をできる限り記憶に刻みつけるべく、その一挙一動に至るまで凝視していたが。
「うっ……」
 女性の裸への耐性の低さ故か、いささか顔が赤かった。
 だが、美女ドリームイーターが雉華へおっぱいタックルをかますのを見て、皺々へ幻滅したお陰で照れが収まる。
「石と化して止めおけ、指天殺!」
 そして、気脈を断つ指一本の突きを下腹部へ繰り出し、美女ドリームイーターを石化同様の状態へ陥れた。
「マジかよ……」
 双麻は双麻で、ハードボイルドなんざすっかり忘却の彼方な風情で目を丸くし、美女ドリームイーターの白く眩しい巨乳へまじまじと見入っていた。
「そう、これは作戦だから仕方ないのだ、こんなたゆんたゆんを見せられたら凝視してもしょうがないじゃないか、探偵は観察力が命なんだ……!」
 ぶつぶつと誰にともなく言い訳する双麻は、
「アンタただ自分がたゆんたゆんを見たいだけだろ!」
 航のツッコミ通り、どう見ても自ずから好きで巨乳鑑賞をしている。
 それでもしっかり礫をばら撒いて制圧射撃を仕掛け、美女の動きを鈍らせる辺りは流石であった。


 美女ドリームイーターは、幾ら巨乳を狙われ潰されようとも、見た目にはモザイクを噴き出すだけで、しつこくタックルや回し蹴りを繰り返してきた。
「『攻撃の命中時に』身体の一部が皺々に変わるなら、当らなければどうという事は無い……! 根性で全て回避すれば変化も無い筈……!」
 蒼眞は、キャスターとしての立ち回りを信じ、美女の攻撃を回避する幸運に全てを懸けた。
 現に、驚かぬジョンと一騎が作戦通り攻撃を耐え抜いた4分間で蒼眞へ一度だけ向かってきたおっぱいタックルを、見事避けたのだが。
「……確かに巨乳は変化しなかったけど、飛び込んでくる美女を避けねばならんのは虚しさを感じる……」
 何故だかふと遠い目になった。
「漢にはやらねばならぬ時がある、いざ、桃源郷!」
 しかし、蒼眞は強かった。
 様々な現実を無視して目の前の快楽にのみ身を委ねんと、めげずに美女ドリームイーターのおっぱいを揉みしだいたのだ。
「あっ、あっ、駄目ぇ、激し……!」
 美女の甘く高い喘ぎ声と、男の荒い息遣いが交じり合い、冬の寒さをも上回る熱が辺りに立ち込める。
 ちなみに、敵でも小檻でも臆せずダイブするおっぱい好きな蒼眞だが、お尻や太股も大好きで、見るのも好きだが触ったり揉んだりするのはもっと好きだそうな。
「……素っ裸でもせめてまな板であったなら、多少はマシであっただろうに。合掌」
 冷めた目の航は蒼眞みたいに欲望だけへは突っ走れず、嫌でも目に入るババアの垂れ乳に辟易している。
「貫け! 流星牙!」
 それでも紋章の力を借りた神速の突きを美女ドリームイーターへ見舞って、下腹の柔肌を容赦なく突き破り、息も絶えるかという程の苦痛を与えた。
「この世の全ての巨乳を削ぎ落としまス!!!」
 もはや暴走していないのが奇跡に思えるぐらいの激昂ぶりで、雉華は己が右腕へ纏わりついた全ての『死の記憶』孕みし影を、あらゆる生命体の影と共に腹へ叩き込む。
 全ての死の記憶と繋がる影達が宇宙中の『死ぬ瞬間の感情と記憶』を流し込む事により、美女ドリームイーターの精神へダイレクトに打撃を齎した。
 アルトは、序盤こそ美女ドリームイーターの巨乳をまっすぐ見られないまま戦っていたが。
「あれは痴女イーターです、変態痴女……と、特に未成年者に対するアレコレが!」
 次第に、巨乳が雉華の攻撃で圧し潰されてモザイクを露出したり、ドリームイーターの繰り出すおっぱいタックルやマッパ回し蹴りの醜さを目の当たりにしてからは、
「ね、そうですよね、うなずき鳥!」
 ようやく開き直れたらしく、アルトはうんうん頷く白インコへ同意を求めつつ、そのまま白インコへ魔力を篭めて射出。
 ——バチィン!
 美女ドリームイーターへうなずき鳥の杖をぶち当てて、その傷口を的確に抉り広げた。
「色々R指定の内容したいけど夫に怒られるのよね……」
 と、被ったストッキングの内側で悩ましげに呟くのはオルガ。
「離さないわテゾーロ、貴方が倒れるまでね!」
 とりあえずは半透明の『御業』をけしかけて、美女ドリームイーターを胸からガバッと鷲掴みにさせてから、
「やっぱりストッキングのせいでハッキリ見えないんだけど……ある意味、感触だけ愉しむのも隠微よね?」
 自分も美女ドリームイーターの白くふっくらとした肌へ指を滑らせ、ゆっくりとその程好い弾力を味わうように揉み出した。
「やれやれ、目に毒だぜ——色んな意味で」
 双麻は、相変わらず美女ドリームイーターの裸体を食い入るように眺めつつも、攻撃時の皺々具合になる瞬間だけは、帽子を深く被って要領良く見ずにいた。
「たゆんたゆんに惑わされてるように見えるかもしれないが、ハードボイルドは忘れないぜ」
 そう今更ながらにカッコつけて放つは、目にも止まらぬ速さの礫。
 礫は美女ドリームイーターの武器である巨乳へ吸い込まれるかの如く着弾。その柔らかな肌を貫いてモザイクを噴き出させた。
「しかし、驚きと言うより……どちらかと言えば、恐怖のほうが合ってる気がする」
 ジョンは日本刀を昂龍へと持ち替えて、刀身に炎と電撃を纏わせる。
「陰狼新陰流、六の型」
 袈裟斬りと返し斬りを交互に見舞うや、焔雷と共に昇り斬りからの兜割りを美女ドリームイーターへ食らわせて、烈しい剣舞を終えた。
「皆する事が大胆だね! お陰でイイものを見せて貰ってるけど」
 一騎は美女の豊満な肢体にも大分慣れたようで、蒼眞やオルガに弄ばれている様を真剣に見つめていた。
「打ち砕け、ブーストナックル!」
 それと同時に、ガントレットに内蔵されたジェットエンジンを吹かして急加速。
 美女ドリームイーターの腹へ高速の重拳撃を繰り出して、ついにトドメを刺したのだった。
「とあるサバイバルホラーに出てきそうな敵だったな」
 ジョンが抑揚のない声で嘆息する。
「いやぁ、服って大事だね……とりあえず、目の保養したい……」
 道路の亀裂をヒールしつつ、航は思わず苦笑い。
「夢=潜在意識、言わば無意識にも似てますし、見た子はきっと疲れていたんですね……」
 ぬいぐるみをモフって、少年を弁護するのはアルト。
「かなり好みな外見だったし、ちょっと残念だな」
 一騎は美女の瑞々しい裸身を——皺々を覗いて思い出している。
「じゃ、被害者の子の無事を確認しに行きましょ」
 あれは夢だったのよーって言ってあげたいけど、怖がらせないか心配ね。
 オルガは笑いながら、頭のストッキングをすぽっと脱いだ。

作者:質種剰 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年2月3日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 3/キャラが大事にされていた 7
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