●ティネコロカムイ色に染まり
「ねえ、そろそろあなたに動いてもらっていいかしら?」
「ティネコロカムイ様のご命令であれば、喜んでお引き受け致します」
獣毛のフードを被った死神『ティネコロカムイ』の前で純白のドレスの裾を広げて頭を下げるのは、儚げな表情をした少女……但し、左胸の部分はモザイクで覆われている。
「嬉しいわ。あなたのモザイクが生前に晴れることは無かったけれど、こうして私の力になってくれるのだもの……縁とは不思議なものね」
「モザイクは晴れずとも、ティネコロカムイ様のお力になれることが私の今の喜び。それでは、ティネコロカムイ様の御心のままに釧路の街を破壊して参ります」
純白のドレスを翻し、釧路市街へと歩いて行く少女。
「……あなた達。あの子に着いて行ってあげなさい」
ティネコロカムイが首を軽く動かすと、ティネコロカムイの周りを泳いでいた怪魚達は、純白のドレスを纏った少女の後を着いて行くのだった。
●釧路の地で花嫁を撃破せよ!
「みんなー! ティネコロカムイの動きが予知された。説明次第、釧路に飛ぶから、防寒準備をしてヘリオンに乗ってくれな」
大淀・雄大(太陽の花のヘリオライダー・en0056)は、ヘリオンから降りて来るとすぐに依頼内容の説明を始める。
「釧路湿原で活動が確認されている『ティネコロカムイ』だけど、彼女の作戦は、第二次侵略期以前に死亡したデウスエクスを強化サルベージし、釧路市街を襲撃しようとするものだ。本人は既に行方をくらましているから、みんなには、釧路市街地を襲撃しようとしている、サルベージ体の撃破をお願いしたい」
幸い、予知により侵攻経路が判明している為、湿原の入り口辺りでの迎撃が可能とのことだが、いまだにティネコロカムイに決定的な打撃を与えられていない事は雄大としても悔しいらしく、表情は渋い。
「今回の撃破対象は、変異強化されたドリームイーターの女性体。一見すると、純白のウェディングドレスを来た花嫁さんと言う外見をしていて、左胸の辺りがモザイクで覆われている」
このドリームイーターに着き従う様に、ティネコロカムイの部下である、怪魚型死神も3体居るとのことだ。
「ドリームイーターの攻撃方法は、手にしたブーケの花を散弾の様に打ち出す攻撃、白を基調とした巨大なモザイクで広範囲の敵を覆う攻撃、ウェディングケーキカットに使う様な巨大なナイフでの斬撃になる。サルベージ体の為、意識は希薄だけど、かなり動きが身軽なタイプみたいだな」
3体の怪魚型死神は、ドリームイーターを護る様に動くとのことだ。
「ウェディングドレスを着ている事、モザイクの位置から察するに、結婚や花嫁への夢から生まれたドリームイーターだと推測されるけど、ティネコロカムイの手先になった以上、彼女の目的はティネコロカムイの願いを叶えることだけだ。ドリームイーター自体が淡い夢から生まれたモノでも、今はただの殺戮者だ。釧路の街を護る為に、確実な撃破を頼むぜ、みんな!」
そう言うと、雄大は強く拳を握り前へと突き出した。
参加者 | |
---|---|
白神・楓(魔術管理人・e01132) |
エリヤ・シャルトリュー(籠越しの太陽・e01913) |
琴宮・淡雪(淫蕩サキュバス・e02774) |
華輪・灯(幻灯の鳥・e04881) |
狐村・楓(闊達自在な螺旋演舞・e07283) |
コール・タール(多色夢幻のマホウ使い・e10649) |
マイヤ・マルヴァレフ(オラトリオのブレイズキャリバー・e18289) |
デニス・ドレヴァンツ(シャドウエルフのガンスリンガー・e26865) |
●美しき花嫁
「また、死神っすね! ティネコロカムイ……こんな寒い所で一体何をしてるんすかね?」
元気な笑顔に疑問の表情を浮かべながら、狐村・楓(闊達自在な螺旋演舞・e07283)が首を捻る。
雪降る釧路、ここで何度も確認されている、ティネコロカムイの暗躍。
ティネコロカムイの足取りを掴むことも出来ず、ケルベロス達はティネコロカムイが散発的に起こす、サルベージしたデウスエクスの破壊活動を未然に防ぐと言ったことしか出来ていない現状……。
ティネコロカムイが何を思って釧路を襲撃しているかも分からない。
それでも……。
「楓さんは、強い敵と戦えれば、それでいいっすけど。でも、蘇ったドリームイーターが元々は戦うことが好きじゃなかったのなら、悲しいっすねー」
自分の役目は考えることでは無く、力一杯戦うことだと、狐村楓は拳を頭上に掲げてポーズを決める。
「死神への決定打が無くとも、少しずつ出来る事をしなくては、ね」
紫のエリカの花を咲かせた金の髪を指先で軽く弄びながら穏やかに言うのは、エリヤ・シャルトリュー(籠越しの太陽・e01913)。
静かに微笑むエリヤとは対照的に、猛る元気を身体中から溢れさせ、そわそわしているのは、華輪・灯(幻灯の鳥・e04881)だ。
「どうなされたの……灯様? まさかスイカの仮面が欲しいとか言わないわよね……?」
ゆったりと灯に尋ねるのは、琴宮・淡雪(淫蕩サキュバス・e02774)。
その言葉を聞くと、灯は『ハッ』とした表情を見せ、何とも言えず口ごもる。
「ごめんなさいね……アレは昨年、灯様が割られたので最後……夏限定なのよ……でもどうしても欲しいって言うのなら……あの後に作った最後の1個よ……大切にしてね♪」
人の顔以上の大きさのスイカマスクを灯に差し出す淡雪は、唇こそ笑みの形を作っているが瞳の底は笑っていない。
「!! こんな極寒の地でまた、スイカガールに……装着!!」
淡雪からスイカマスクを受け取ると、喜々としてスイカマスクを被る灯……だが。
「あれ? スイカの仮面ってこんなに視界狭かったですかね? それに一面雪だから、何が何だか分かんないですー! 雪に月光が反射して目が目がー!?」
一通り慌てふためき、大騒ぎすると、色々悟ったのか、灯はスイカマスクから顔を出す。
「やっぱりスイカの旬は夏です! こんなんじゃ駄目です!」
思わず雪にスイカマスクを叩きつけようとした灯だったが、淡雪の真っ直ぐな視線を感じ、慌てて丁寧にスイカマスクの雪をはらうとケルベロスコートの中へしまう。
「……それにしても……死人は死人として眠らせておけば良いものを」
不快気な表情を隠さずそう言うのは、コール・タール(多色夢幻のマホウ使い・e10649)だ。
(「……死神はいっつも厄介だ。殺したデウスエクスを蘇らせ、まったく……面倒で嫌になる。兎にも角にも、1つずつ確実に仕事をこなそう。……何、いつも通りだ」)
心の中で呟きながら、コールは普段と同じ『勝利』だけを誓う。
その時、降り注ぐ雪の合間から、雪から生まれた様な花嫁が無粋な怪魚の介添えを連れて歩いてくるのが、白神・楓(魔術管理人・e01132)の視界に入る。
「……雪夜の花嫁……か。……いいね、とても綺麗だ」
それは、白神楓の本心だった。
雪降りしきる雪原を厳かに歩く純白のドレスに包まれた花嫁……。
「月明かりに照らされて、君のそのドレスの白さが、より一層際立っているよ。……しかし残念だなぁ。君がデウスエクスでなければ、戦わずに済んだのに。仕方ないと思って、倒されてくれるかい?」
爽やかに凛々しく、笑みを絶やさず、心から残念だと言葉に気持ちを乗せつつ、白神楓は妖精弓を手にする。
「……左胸のモザイク」
思わず漏れ出た言葉に、マイヤ・マルヴァレフ(オラトリオのブレイズキャリバー・e18289)の信頼する相棒『ラーシュ』はマイヤの顔を覗き見る。
(「……聞いてはいたけど……心を……ハートを取られちゃったみたい」)
自身の『心』が『想い』が奪われたとしたら……その想像にマイヤは胸が苦しくなり、目の前の花嫁を見ていると心が締め付けられる。
『ザシュ』と雪を踏みしめる小さな足音で、マイヤは相棒の心配する様なそれでいて『大丈夫?』と伝わって来る、つぶらな瞳に気付く。
その気持ちが熱く自身の心に明かりを灯してくれた様な気がして、マイヤは桃色のドレッドを揺らしながら首を振ると、一度笑みを浮かべる。
「大丈夫だよ、ラーシュ。みんなを支える為に、わたしは此処に居るんだから。ラーシュも一緒に頑張ろうね!」
マイヤの言葉にラーシュは一鳴きすると、前を見据える。
「……白い世界だね。月と、雪と、花嫁の白。こんな時でもなければ眺めていたいものだが……」
魔法の木の葉を空に舞わせながら、デニス・ドレヴァンツ(シャドウエルフのガンスリンガー・e26865)がそう口にする。
怪魚達が花嫁を護る様に前に出ると、獰猛な歯を剥き出しにして声を挙げる。
『――さぁ、始めようか』
デニスの言葉で、ケルベロス達は一斉に動いた。
●花嫁は笑う
「悪いけど、市街地へは行かせないよ」
時をも凍らせる弾丸を死神に放ちながら、エリヤが黒いフードの下で柔らかな笑顔を湛えつつ瞳には死神への拒絶を浮かべ、ハッキリとそう言う。
「さあ行きなよ。私の可愛い寂しがり屋。こんな寒い夜は温もりが欲しいだろう? ……死神が温もりを持っているかは、私には分からないけれどね」
白神楓が言葉を口にすると、雪原に首の無い黒い女性の上半身が現れ、釧路の寒さにも劣らない冷気を全身に纏い、死神の温もりを……グラビティ・チェインを奪い去り、死神を氷結させていく。
「私の瞳を御覧なさい。美しい花嫁の前では霞むかもしれませんけれど……私の藍の瞳は、きっと満足して頂けると思いますわ」
艶やかな瞳にグラビティを込め、淡雪は死神達を淫魔の虜にしようとする。
「釧路の地より冷たい冷気がお前等にはお似合いだぜ……サルベージなんて悪趣味なんだよ、死神!」
コールの冷気の光線が戦場を走ったのとほぼ同じ時、前を固めるケルベロス達に向かって、花嫁の白いヴェールの様なモノクロのモザイクが襲いかかった。
だが、そのヴェールに包まれたのは、灯とラーシュだけ……狐村楓とコールは庇われる形で、傷を受けずに済む。
「本物の花嫁のヴェールには敵わないかもしれないけど、仮初めのヴェールでの攻撃なら、わたしのヴェールで癒してみせるよ!」
雪夜に美しく輝く、オーロラのヴェールを仲間達に届けながら、マイヤが元気に言う。
「癒しの守護天使は、マイヤさんだけじゃないんですよ! アナスタシア、私達も力の限りに頑張りますよ!」
身に纏った白銀の生命体から仲間達の力を引き出す粒子を放つ灯の言葉に、素直に『にゃー』と答えるアナスタシア。
アナスタシアは、桃色のふわふわな毛並みを揺らすと柔らかな翼を動かし、邪気を祓う清廉な羽ばたきを起こす。
「死神さんに遠慮してあげる気は無いっすからね。ドーンっとやっつけちゃうっすよ!」
螺旋の力を込めて創った『楓さん特製すぺしゃるうるとらでらっくすはんまー』を力の限り振り上げると、狐村楓は弾ける笑顔で思いっきり死神に渾身の一撃を与える。
「この好機――逃がしはしない。さあ、行っておいで」
風に靡く鬣を銀色に輝かせ、デニスが呼び出した銀狼は、餓えた獣となって死神を喰らっていく。
……それに気付いたのは、エリヤだけだったかもしれない。
死神が喰われていくのを見ながら確かに薄く笑みを零したのだ。
……美しき花嫁が……寒気すら覚える様な笑みを。
●花嫁の見た夢は
「庇ってもらっても全然構わないっすよ。どうせ、死神さんには全滅してもらわないといけないっすから!」
刀に月光を映し、狐村楓が横に刀を一閃させれば、最後の死神も地に落ちる。
既にケルベロス達は、攻撃目標を花嫁へと移していた。
花嫁を護る死神が全てディフェンダーと言う事もあり、死神が一匹になった時点で花嫁に狙いを変えたのだ。
死神から花嫁へと、ヒールグラビティが飛ぶこともあったが、それもケルベロス達の集中攻撃の前では誤差の範囲だった。
花嫁のブーケから放たれる、花々の散弾でのダメージもマイヤが逐一回復する事で大きなダメージを残さずにいる。
「……花嫁の夢って、元はどれだけ素敵なものだったのかしらねぇ……どうせなら素敵な戦いがしたかったわねぇ……それにしても」
「どうかしたんですか? 淡雪さん?」
編んだ御業を縄とし、花嫁を捕縛しつつ、花嫁と灯を交互に見る淡雪に、灯が疑問の声をかける。
「あ、分かったです! 花嫁さん、素敵ですもんね! 私も憧れます! ウェディングケーキって、すっごくおっきいんですもの! 綺麗ですし……ああ、一度食べてみたい!」
「……いえ。……胸の辺りがモザイクって事は……実は結婚前夜まで貧乳に悩んでいたとか……そんなことは無いよわね……? どう思います? 貧乳ケルベロス代表の灯様?」
灯の言葉を否定して、灯のぺったんな胸を注視しながら淡雪が答えれば、灯は顔を真っ赤にする。
「ケルベロス代表! そんな代表じゃないです! ……それに、胸なんて別にいらないです! 邪魔ですー! 胸なんて飾りなんですよー!」
叫びながらも灯は雪夜に美しいオーロラを広げていく。
「花嫁衣装も綺麗だけど、動きにくそうだし……私はいーです!」
そう言い切ってしまう灯に、羽ばたき続けるアナスタシアも呆れ顔である。
「――狙いは外さないさ。止めるよ、必ずね」
ハンマーを砲撃形態……いや、手に馴染んだハンドガンの形に形成すると、デニスは花嫁の右肩を撃ち抜く。
花嫁のウェディングドレスが朱色に染まっていく。
「その純白に、紅が散っても素敵だね。良く似合っているよ」
束ねた二本の弓で強烈な矢を放ちがら、白神楓が笑みを見せる。
「本心で言っているんだよ。美しく綺麗な子は好きだからね。だから、残念で仕方ない……」
「白は何にも染められていない、純粋な色だと言うけれど……この花嫁さんはすっかり死神色だね」
黒き布の裏に織り込まれている文様魔術を展開させながら、エリヤが呟く。
「《我が邪眼》《影を縫う魔女》《仇なす者の躰を穿て、影を穿て。重ねて命ず、突き刺せ、引き裂け》」
エリヤが1つ詠唱する毎に、魔術回路が起動する。
普段はエリヤを護る術式を攻撃の力へと反転させていく。
「綺麗な色は、綺麗なままで残っていて。汚されちゃいけないんだよ」
悲哀に満ちたエリヤの言葉と同時に、無数の影で出来た針が花嫁の頭上から降り、ウェディングドレスに無数の穴を空けていく。
「わたしも1度攻撃を混ぜるね」
手にした杖を使い魔の姿に戻し、グラビティを込めてマイヤが撃ち放てば、そのファミリアは花嫁のグラビティの歪みを更に広げていく。
「ドリームイーター。お前には最後に夢を見せてやる……自分の欠落、己の理想……しっかりと思い出す事だな」
鹵獲した技術と知識の全てを使用して、コールが創り上げた地球を模した青い星は、グラビティ・チェインのみで構成された擬似天体。
「―――重力の根源―――生命の母体―――伝承の起点―――我が至るべき終焉―――万能の願望機―――」
コールの見せる都合のいい夢は、花嫁の内側から花嫁を構成する、グラビティ・チェインを壊していく。
白神楓の空を断ずる斬撃が、デニスの呼び出した銀朗が、エリヤの翼から放たれる罪を浮き上がらせる輝きが花嫁を襲ってなお、花嫁は巨大なナイフで狐村楓の横腹を切り裂く。
だがすぐに、マイヤの生命エネルギーが癒しの力となり狐村楓に降り注ぐと、傷を塞ぐ。
「強い敵と戦えるのは楓さんの喜びっす! それでもそろそろ、終わりにするっすよ。避けられるなら! 当たるまで! 降り注げ!」
自身を影と同化させ、戦場のいくつものの影に狐村楓自身を模した分身を生み出すと、狐村楓の影は四方八方から、花嫁を襲う。
そのタイミングで、コールは黒き鋭い槍を、花嫁の右胸に突き刺す。
「増えすぎた困ったちゃん。さぁ……花嫁様に可愛がって貰うのですよ……」
淡雪が大量のピンクスライムを花嫁に投げつければ、ピンクスライムは花嫁を蹂躙していく。
「綺麗な花嫁さん。これでバイバイです!」
手にした星剣に幻惑の光を宿し、灯は高らかに宣言する。
「とにかく私の勝ちですっ!」
花嫁に一気に駆けよると、根拠など無い強い言葉と共に振り斬った灯の剣は、死神が与えた花嫁の命を夢が弾ける様に、切り離した。
白いヴェールが雪空を舞っていた……。
●未来の花嫁
「ゆっくりお休み、綺麗なドレスの花嫁さん。どうかその白が、ずっと汚されませんように」
淡く微笑みながら、エリヤは雪上に残った純白のヴェールに軽く呟く。
「白く、煌めいて……綺麗だったよ。……お休み」
綺麗な夢のままでいられたら、あの花嫁が二度目の眠りを迎えることは無かったかもしれないと、デニスは思う。
「綺麗な子は好きだし、敵じゃなければ仲良くしたかったんだけどなぁ」
それが夢として消えてしまった事を理解しながらも、白神楓はそう口にする。
「やっぱり、花嫁さんって、ちょっと憧れちゃうな……わたしも、いつか……」
ラーシュを胸に抱き、女の子の純粋な夢を語るマイヤ。
だが、ラーシュに視線を移せば彼が『えー、花嫁?』と目で言っているのがすぐに分かる。
「むー。わたしだって、なれるよ! ……いつかなれるとは思うんだよ、本当に。でもね、今は誰かの笑顔の方が見たいかな」
ラーシュに見せる心からの笑顔は、それがマイヤの本心の言葉だとラーシュにも伝わる。
「……花嫁……うう……いいですわねぇ。……私もいつか……きっと。けど、まずは恋愛しないといけないわよねぇ……あのホストにいつか振り向いてもらえるかしらねぇ」
呟きながら淡雪は、優しい笑顔を簡単に向けるくせに、どこか鈍感な金髪の大男を思い浮かべる。
「?? どうしましたス……琴宮さん? 振り向かせ、たい? なら、おっきな声で呼びましょう! ダメなら回り込んじゃえばいーです!」
(「そう言う事では無いんですけどねえ……」)
灯の言葉を聞き心の中で呟きながらも、淡雪は笑顔を作る。
「そうですわね。取り合えず、帰りましたら、あの方に『お帰り』って言ってもらいますわ。行きましょう、灯さん」
淡雪は灯の手を引きヘリオンへと駆け出す。
止まない雪は、花嫁のヴェールを真白の雪で包み隠し始めていた。
花嫁の夢が、今度こそ幸せな色で彩られるのを祈るかの様に……。
作者:陸野蛍 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2017年2月5日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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