ふわふわ巨大餅

作者:氷室凛


 居間に置かれたストーブの前で、幼い少女が真剣な表情で箸を握っていた。
 ストーブの上の網には、焦げ目のついた餅が一個のっている。
 やがて餅はぷくぷく膨張してバックリと割れ、風船のように膨らんでいった。
「うわぁ~、すっごいうまくふくらんだ~!」
 野球ボールのようにまん丸になった餅を見て、少女は朗らかに笑う。
「えっ……えっ、ちょっと……どこまで大きくなるの?」
 餅はなおも膨らみ続け、やがてサッカーボールほどの大きさになった。
「うわわわ、どうしよう……止まらないよ!」
 少女が右往左往しているうちに、餅はどんどん膨張し、いつしか網を完全に覆い尽くすまでになった。
 と、そこでなぜか膨らむペースが急加速した。ぽんっ、と急激に餅が巨大化し、少女は壁際に押しやられていく。視界が餅で真っ白になった。
「うわああああ、おもちに押しつぶされるぅぅぅ~!」

 と、そこで目が覚めた。
 布団で寝ていた少女はガバッと起き上がり、寝ぼけまなこをこする。自分の部屋だ。
「何だ……夢かぁ~」
 ほっと安堵する少女。
 だが、ふと見ると部屋に見知らぬ女性の姿があった。
 その女性――第三の魔女・ケリュネイアは手にした鍵を少女の胸に突き刺す。
 鍵は心臓を貫いたものの、少女はケガもせず死にもしない。これはドリームイーターが人間の夢を得るために行う行為なのだ。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『驚き』はとても新鮮で楽しかったわ」
 ケリュネイアはそう言うと部屋の窓を開けた。
 驚きを奪い取られてしまい、布団にパタリと倒れ込む少女。その体が発光した次の瞬間、窓の外には少女の夢に登場した餅の姿が具現化していた。
 直径二メートルほどの丸い餅の姿をしたドリームイーターは、ふわりと宙を漂いながら夜の街を進んでいく。
 少女は深い眠りに落ちている。ドリームイーターを倒さない限り彼女は永遠に目覚めることはない。

「子供の頃って、あっと驚くような夢をよく見たりしますよね! 理屈は全く通っていないのですが、とにかくビックリして夜中に飛び起きたりとか……そのビックリする夢を見た子供が、ドリームイーターに襲われて『驚き』を奪われてしまう事件が起こっています!」
 ヘリポートに集まったケルベロスたちの前で笹島・ねむ(ウェアライダーのヘリオライダー・en0003)が説明を始める。
「驚きを奪ったドリームイーターは既に姿を消しているようですが、奪われた驚きを元にして具現化されたお餅のドリームイーターが、事件を起こそうとしています。被害が出る前に対象を撃破して下さい!」
 ドリームイーターを撃破すれば驚きを奪われてしまった被害者も目を覚ますだろう。
「なお、敵が使用する技は『ガトリング連射』、および『バレットストーム』に準拠したグラビティです」
 ドリームイーターは相手を驚かせるのが好きなので、指定されたエリアの周辺を歩いていれば向こうから近づいてくるはずだ。
「砂糖醤油をつけていただきたいところですが……相手はドリームイーター。おそらく、倒せば丸ごと消えてしまうでしょう」
 と、立花・吹雪(一姫刀閃・e13677)は難しい顔をしている。
 現場への到着予定時刻は夜になる見込み。夜なので人通りが少ないとはいえ、現場は市街地。何かしら人払いをしておくと安心して戦えるはずだ。
「街の人々を守るため、そして眠っている少女を救うため、ドリームイーターを撃破してください。それでは、よろしくお願いします」
 ねむはぺこりとお辞儀をするのだった。


参加者
ポート・セイダーオン(異形の双腕・e00298)
毒島・漆(咎人狩り・e01815)
ラプチャー・デナイザ(真実の愛を求道する者・e04713)
分福・楽雲(笑うポンポコリン・e08036)
立花・吹雪(一姫刀閃・e13677)
桜森・明麗(妖狐・e29316)
リノ・リンデル(傷跡の羅針盤・e31167)
御足菜・蓮(剣脚娘・e33882)

■リプレイ

「今回の依頼はお餅を食べ……倒すこと! 驚きがない一生なんてきっと悲しいですから……!」
 静かな夜の街を歩きながら、桜森・明麗(妖狐・e29316)が言った。
「(……ほかの人は色んなお餅の食べ方知ってたなぁ……どの食べ方が一番美味しいんだろう?)」
 明麗は周りの仲間をきょろきょろ見回しながら、ひそかに思うのだった。
「お餅、冬の醍醐味ですね。朝食のパターンも増やせますし。もちもち……柔らか……なんだかお腹が空いてしまいます……ふっくら上手に焼けました、を目指して……お覚悟です」
 ポート・セイダーオン(異形の双腕・e00298)は藍色に染まった髪を指先でかきあげながら、歩を進めていく。
「うーん、相手はでかいことを除けば普通の餅か。もし美少女型の餅の夢を見てくれたら……うわ、食べるのもったいねえ!」
 と、分福・楽雲(笑うポンポコリン・e08036)は頭の中で妄想を炸裂させ、身悶えしていた。
「お餅にはバター醤油がよく合うんだよ。みんなで頑張って倒して、お餅パーティしようね」
 中性的な風貌のリノ・リンデル(傷跡の羅針盤・e31167)は、明るい笑顔を浮かべる。
「そうね……そして少女を助ける為にも、しっかりと撃破しないと」
 御足菜・蓮(剣脚娘・e33882)は首を傾けつつ、ドリームイーターの外見――巨大な餅に思いを馳せる。蓮は続けた。
「それにしても、大きな、ふわふわお餅……食べれなくても踏み甲斐がありそう。だって、上手く踏めば、より高く気持ち良く跳べそうよね?」
「いや、餅は踏む物じゃないでござるよ! 砂糖醤油をつけて食べると至高――……ん? そこに何かいるでござる!」
 ラプチャー・デナイザ(真実の愛を求道する者・e04713)は丸眼鏡を上げ、上方を指さす。
 ケルベロスたちが灯りを掲げて上を見上げると、直径二メートルほどの丸い餅が夜空にふわふわ浮いていた。
「ふむ……餅はやはり砂糖醤油がいいですね」
 その姿を見て、毒島・漆(咎人狩り・e01815)は思わずつぶやく。彼はくたびれた白衣を翻し、辺りにキープアウトテープを貼っていく。
「それじゃ、サクッと倒してしまいましょうか」
 人払いを済ませて戦いの準備を整えたのち、漆は仲間たちよりも一歩前に出た。ケルベロスたちは武器を手に取って敵を見据える。
「確かに何も知らずに突然これを見たら驚くかもしれませんね」
 立花・吹雪(一姫刀閃・e13677)は念を入れてもう少しテープを貼ってから、辺りを見渡す。付近から人がいなくなったのを確認したのち、吹雪は絶花を構える。
「まずは少女を救うためにもこの悪夢を打ち払うとしましょう。皆さん油断せずに参りましょう!」

 夜間ではあるものの、街灯もあり、各々が持参した光源もあるため相手の姿はしっかりと視認できる。
「さあ、ケルベロスたちによるお料理の時間だ!」
 楽雲は駆け出して助走をつけ、火の粉をまとった足で蹴りを叩き込む。もちもちの巨大な餅を見るととりあえず焼いてみたくなるものだ。
 そしてポートがガントレットに炎を宿し、灼熱の拳で殴りつける。その一撃を受け、餅の表面がこんがりと焼き上がった。
 ドリームイーターは二人のグラビティを受け止め、持ち前の弾力をいかして弾き飛ばす。楽雲とポートは押し返されてしまった。
 そしてドリームイーターは握りこぶしほどの白い弾丸を大量に飛ばしてきた。ポートは体勢を立て直すのに必死で避ける余裕がない。
 だが漆が彼女の前に立ち、片腕を突き上げ、腕に宿した魂樹を突き伸ばす。ツルクサのように伸びた攻性植物が白い弾丸――よく見たら餅である――を空中で絡め取っていく。
 餅が次々と炎を上げて炸裂し、幾度となく爆発が沸き起こるが、漆は眉をひそめて片腕に力をこめる。うねる植物が爆風を突き抜け、ドリームイーターの体を捉えて縛り上げた。漆は片時も力を緩めることなく、さらに圧をかける。
 続いて吹雪が飛び込み、絶花を打ちおろす。反り返った長い刃がドリームイーターの体をスッパリと真っ二つに切り裂いていった。
「えっ、終わり!?」
 あまりにもあっけない幕切れにケルベロスたちは虚を突かれて驚く。
「キャー! 刃が煌めくぅ!」
 ラプチャーは体をくねくねさせ、わざとらしく黄色い声を上げる。
 だがドリームイーターはすぐにペタンとくっついて元通りになった。どうやらまだ生きていたようだ。
 ドヤ顔で刀を納めていた吹雪はずっこける。
 とはいえダメージは通っているはずだ。フェイントにへこたれずに攻撃を仕掛けていくしかない。
 ドリームイーターは嘲るように体をうねうね動かすと、再び餅の弾丸を次々と飛ばしてきた。爆風が広範囲を焼き、後衛のケルベロスは炎の魔の手に追われ、飲まれていった。
「というか、靴といい、オウガメタルといい、これ借り物なのでござるよな……」
 ラプチャーは冷や汗をかく。餅はベタつくわ、炎に包まれるわ、とんだ災難である。ラプチャーは餅の雨から逃れるために走り回りながら、メタリックバーストを後衛にかけてヒールを施していく。
 このままでは埒が明かないので、リノはナックルガードに青い光を宿して勢いよく振り払った。周囲の空気が氷結し、飛来する餅の雨が凍り付く。
「さあ、今のうちに!」
「は、はいっ……!」
 リノの叫びに、明麗が応えて詠唱を紡ぐ。
『特別な召喚、お見せします……!』
 焼け焦げた衣服の裾を揺らしながら、明麗は、ばっと片手を掲げる。すると炎のように揺らめく独眼黒龍のエネルギー体が現れた。
 黒龍は不気味な色彩を帯びた魔眼を光らせながら、口を大きく開けてドリームイーターへと飛びつく。
 明麗がぐっと拳を握ると、黒龍は牙を立てて噛みつき、敵を丸ごと飲み込んだ。
「悪く思わないでね。くっつくと色々困るから……」
 蓮は大きな紙袋をひっくり返し、餅とり粉をドバーっと敵に浴びせた。驚くドリームイーターをよそに、蓮は体をひねって至近距離からスターゲイザーを叩き込む。星のような閃光が散り、敵はごろんごろんと路地を転がっていた。
 足技を主体として戦う蓮としては、靴が餅まみれになるのは避けたかったのだ。
 
 まん丸の巨大な餅。ずいぶんおいしそうな見た目だが、射程が長く威力の高いグラビティを使ってくるため厄介な相手だ。
 ケルベロスたちは餅の弾丸をかいくぐって反撃し、何度もグラビティを当てて堅実に相手の体力を削っていく。ケルベロスたちも消耗していく一方で、敵のほうにもかなりの累積ダメージを与えていった。
「もちもち……柔らか……夢の主さん、起きたらいっぱいお餅食べてくださいね。焼いておきますので」
 ポートは静かに言った。
『崩れる。壊れる。砕ける。消える。無常の理、其の身に受けて……!』
 ポートは天を仰ぎ、巨大なガントレットに覆われた両腕を広げる。
 その直後、凄まじい破壊の嵐がドリームイーターを襲った。拳の連撃が敵を叩き、打ちのめし、引き裂き、圧砕し、さらにBSを乗せていく。ポートは弾力のある手ごたえを感じながら、容赦なく連打を叩き込んだ。
 ドリームイーターはすっかりボコボコになって形が変わってしまった。普段は大人しい雰囲気のポートであったが、一転して物凄く激しい攻撃である。
 ポートは締めの一撃を放ち、敵を突き飛ばす。
「餅とり粉まみれなので、思いっきり蹴っても大丈夫ですよね?」
 漆は敵の背後に回り込み、体を反転させて旋刃脚を放つ。電光のような蹴りを受け、ドリームイーターは巨大なボールのように跳ねていった。
 漆は肩をすくめる。一応見た目は食べ物なので足蹴にするのは若干罪悪感を感じるが、今はそうも言ってられない。
 ドリームイーターはふわふわ飛びながら、餅の弾丸をひとつ打ち出してきた。
「気をつけてね! さっきのと何か違うよ」
 リノはとっさに叫ぶ。今度の餅は一発だけ。そして少しサイズが大きめだった。見た目から判断すると威力が高めなのだろうか。
 明麗はうなずき、前進して餅の弾丸を回避する。すると背後で大きな爆発が起こった。明麗はその爆風の勢いを背に受けて飛び込み、刀を振り上げる。
 そして明麗は桜の花びらのような光をまとった美麗な刃を一閃させ、斬撃を放った。薄紅色の残光が煌めく。
 ばっくりと切り裂かれたドリームイーターは、苦しげに体をうねらせ、ぷるぷる震えると、大量の餅をやたら滅多に乱射し始めた。
 丸い餅が百個、二百個――大量に飛び出し、地面や空中で弾ける。
 前衛が疲弊している今、可能な限り消耗は避けたい。リノはバトルオーラを全身に宿し、テレビウムと共に味方の前へ躍り出る。
 リノは淡く発光する拳で餅の弾丸を続々と叩き落としていく。絶え間なく炎が弾け、リノは徐々に傷を負っていく。だがテレビウムと共にヒールを施し、かろうじて自身の意識を繋ぎとめた。
 降り注ぐ餅の雨を全て防ぎ切ったリノであったが、すでに限界らしく、その場に片膝をつく。
 それを見たラプチャーはサキュバスミストを発動し、リノの傷を大幅に回復させていった。
「もう少しでござる! もう少しで餅パーティーでござるぅ!」
 ラプチャーはそう叫び、味方を鼓舞する。
「よし、じゃあ一気にいくぜ!」
 楽雲は敵へと駆け寄り、片手を振り上げて『妖気変化』を発動する。
「いくらグラビティとはいえ餅を飛ばすとは罰当たりな奴だな……食い物で遊ぶなって教わらなかったのか!」
 楽雲は自身の妖気を拳に一点集中させ、そのまま殴りかかる。ドリームイーターの体に、ぷにっと拳が食い込んだ。
 弾力によって衝撃が殺されてしまったかのように見えたが、楽雲は微笑む。彼の手から狸のような炎獣が現れ、ドリームイーターへと食らいついた。
 敵は丸焦げになり、辺りに焦げ臭い匂いが漂う。
「ははっ! 煮たり揚げたりの方が好みだったか?」
 と、一旦飛び下がる楽雲。一方、蓮が突っ込んでいく。
 それを見たドリームイーターは餅の弾丸を一発放ってきた。重量のある弾丸が蓮の腹部を直撃した。
「うっ……」
 蓮が声を漏らして仰け反った直後、爆炎が上がった。白い煙が広がり、辺りに立ちこめる。
 数秒後、その煙の中から蓮が飛び出してきた。
『俊脚抜踏――跳兎』
 蓮は滑るように路地を駆け、敵の目の前で高々と跳び上がる。ドリームイーターも必死に応戦し、もう一発丸い餅を飛ばしてきた。だが今度はシャーマンズゴーストが蓮をかばう。
 蓮は自然落下の勢いを片足にのせ、真下の敵に向けて強烈な蹴りを繰り出した。そしてドリームイーターが平べったく潰れた直後、不可視の斬撃を叩き込む。
「うわっ、ちょっ、何これ!? 弾みすぎよ!」
 餅の反発が予想以上に強かったため、蓮はトランポリンの要領で遥か上空へと飛んでいった。ケルベロスたちが見上げる中、蓮の姿はみるみる小さくなり、空の彼方へと消えていった。
 だが今は彼女の行方を心配している場合ではない。敵は今まさに無防備な隙を晒しているのだ。
 吹雪は全身に蒼い稲妻を宿し、絶花の柄を両手で握る。
『雷光一閃……貴方に見切れますか?』
 吹雪は眩しい光をバチバチと光らせながら駆けていく。
「今度こそ決めます!」
 瞬時に距離を詰めると、吹雪は蒼く発光する刃を振り下ろして『雷華』を放った。熱と衝撃で路地に深い穴が穿たれ、ドリームイーターの体が真っ二つに割れた。
 敵の体が『ぷしゅー』と気の抜けた音を立てて溶けていくのを見てから、吹雪は凛々しい表情で刀をおさめる。
 今度こそ本当にドリームイーターを撃破したようだ。
 ケルベロスたちはほっと息をつくと、周囲のヒールを始めた。依頼を終えた後はもちろん餅を食べる予定であった。
 街のヒールを終えた彼らは早速公園へ向かうと、七輪やコンロ、大網などを広げて餅を焼き始めた。
 緑が生い茂った広い公園で、ケルベロスたちはブルーシートに腰をおろして温かい餅にパクつく。
「拙者、女の子にあーんされたいでござるぅ!」
 唐突に切実な叫びを上げるラプチャーに、ポートは冷ややかな視線を向けつつも、手にした餅を差し出す。
「よかったら、あーん、しましょうか? そんなに良いものか分かりませんが……」
「ぜひお願いするでござる!」
「はい、あーん……」
「ん~……実に幸せでござるね」
 ポートに海苔巻き餅を食べさせてもらい、ラプチャーはホクホク顔で微笑むのだった。
「ともかく、皆さんお疲れ様でした。ちなみに俺が焼くと多分、餅が消し炭になってしまうので……すみませんが今回は手伝えそうにありません」
 漆は絶望的に料理が下手なので、自重してひたすら食べ専に徹していた。
「マヒナ、今日も頑張ったね、ありがとうー。……みんなのお餅も、どれも美味しそうだね。僕にも味見させてー」
 リノはテレビウムの頭を撫でながら、仲間から分けて貰ったきな粉餅をほおばる。
「今日は最高に気分がいいので一曲歌いたいと思います。それでは皆さん、聞いてくださ――」
 餅をたくさん食べて上機嫌になった吹雪は、突然マイクを取り出して歌い始めようとした。だがラプチャーが一瞬でマイクを奪い取る。
「危なかった……危うく吹雪殿を歌わせてしまう所だったでござるが、もう安心でござるな! もう何も怖くないでござる!」
 ラプチャーは脂汗をかきながら安堵する。そう、吹雪はどうしようもなく音痴なのであった。
「今日もありがとうございました」
 一方、明麗はシートの上で正座し、笑顔で黒龍をなでなでしていた。
 その時、上から『ヒューッ』と何かが落下してくる音が聞こえてきた。明麗が上を見上げると、ちょうどその瞬間、蓮が落ちてきた。
「ふぎゃっ」
 と、声を漏らす明麗の上に、蓮が覆いかぶさる。
「ごめん……大丈夫? あっ、お餅じゃない! これ食べていいの? いただきまーす!」
 蓮は網の上の餅に手を伸ばすと、パクパク食べ始めた。
「生きてたのか蓮ちゃん……てっきり星になったのかと思ったぜ。……あ。動いて腹減ったし、焼けた餅は俺も頂戴したいぜ!」
 楽雲は小皿に醤油を注ぎ、餅にまんぺんなく絡めてかぶりつく。 
 その後もケルベロスたちは寒空の下での食事会を楽しんだのであった。

作者:氷室凛 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年1月28日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 1/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
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