憤怒の惨殺メイド

作者:なちゅい

●破壊の憤怒メイド
 夜闇の中、破壊された街。
 広島県某市の中心を襲ったのは、金髪ポニーテールが特徴的なメイド服姿の女性ダモクレスだ。
 『クラリッサ・ザ・マンティス』と名乗ったこの女性は、眉を吊り上げ、太ももから伸びるアームの先の刃を一般人へと振り下ろす。
 飛び散る鮮血。それに、クラリッサが捕らえた人々が悲鳴を上げた。
「……遅すぎるわね」
 クラリッサは『C』という文字が煌くアーム付きの刃を操り、人々を駒切れになるほど切り刻む。叫び声を、鳴き声を上げる人々の数が1人、また1人と減っていく。
 眉にしわを寄せるクラリッサはピクリとも表情を動かさずに、新たな一般人を背中から切り裂いて肉の塊へと変えた。
「ダメね、こんなのじゃ、ぜんっぜん満たされない……」
 道路につばを吐き捨てたクラリッサは、空に向けて呼びかける。
「早く来なさいよ、ケルベロス。あたしがこの刃でかっ捌いてあげるわ!」
 破壊されて交差点にまで転がっていたコンクリートの壁に腰掛けたクラリッサ。
 自身が捕まえた一般人全ての命を摘み取ったそいつはなおも怒りをむき出し、この場にはいないケルベロスに向けて叫びかけるのだった……。
 
 ヘリポートへと駆けつけたケルベロス。そこでケルベロスを待っていたリーゼリット・クローナ(ほんわかヘリオライダー・en0039)はすまなさそうにケルベロスへと頭を下げた。
「ごめんね。もう少し、ボクの予知が早かったら……」
 一体何事かと気になり、問いかけるケルベロス達。
 聞くところによると、すでに人々がダモクレスによって人質にとられた状態になっているのだと言う。予知では、すでに人々が殺された光景だったそうだ。
 その前にと、リーゼリットは順を追って状況の説明を始める。
「ついに、指揮官型ダモクレスの地球侵略が始まってしまったようだよ」
 指揮官型の一体『踏破王クビアラ』は自分と配下のパワーアップの為、ケルベロスとの戦闘経験を得ようと配下を送り込んできた。
 クビアラ配下のダモクレスはケルベロスの全ての力を引き出して戦う事で、より正確なケルベロスの戦闘データを引き出そうとする。その為ならば人質を取ったり、一般人を惨たらしく殺したりなどする行為も平気で行なってくるようだ。
 そんな行いを見過ごすわけには行かない。取り急ぎ、現場へと急行したいと彼女は告げる。
「場所は、広島県某所。日の入りからしばらくして現れた女性型のダモクレスが現地の人々を人質にとって、ケルベロスとの本気での戦いを待ち望んでいるようだね」
 現場は、繁華街中心にある交差点の中央だ。
 到着地点ですでにダモクレスの来襲から一定時間が経っており、敵は10数人を人質にとった状況にある。時間が経ってもケルベロスが現れぬ場合など、敵は癇癪を起こして人々を1人ずつ惨殺してしまうようだ。
「現れる踏破王クビアラの配下は、『クラリッサ・ザ・マンティス』と名乗っているよ」
 クラリッサの獲物は左右の太ももから伸びた各2本、計4本のアーム、その尖端に取り付けられた刃だ。その刃の根元には『C』という文字が象られている。
 刃は3パターン、広範囲への斬撃、近距離単体への斬撃、そして、敵を逃がさぬよう囲ってからの斬撃とある。いずれも強力な攻撃である為、油断は禁物だ。
「敵の狙いは、皆のデータを取ること。その阻止の為には、可能な限り短い時間で敵を撃破する事が有効だと思われるよ」
 それは、交戦時間が短いほど、敵が取得するデータは少なくなるからだ。
 敢えて手を抜いて戦い、データの信憑性を下げるという手段もあるだろうが、それでクラリッサに敗北してしまえば元も子もないし、敵に気取られれば、癇癪を起こしたクラリッサによって犠牲者が生まれてしまいかねない。こちらの作戦を取るなら、細心の注意が必要だろう。
「あるいは、皆が普段とらないような戦略で、戦うといいかもしれないね……」
 斬新な戦法を用いることで、敵が得られるデータの信憑性を下げると同時に、ケルベロス側も様々な戦術の実験を行なう事が可能となる。
 勿論、敗北したら元も子もないのは同じなので、行うならば戦術について充分な検討が必要となるだろう。
 説明を終え、リーゼリットは急いで現場に向かいたいとケルベロス達に告げる。
「まだ、人々を救える。面倒な敵だけれど、事件を阻止することができれば……」
 情報を集めようと動くダモクレス、『踏破王クビアラ』。その目論見を止める為、事件を1つずつ解決していきたい。
「行こう。ダモクレスを倒しに」
 彼女は改めて、ヘリオンに乗るようケルベロスへと促すのである。


参加者
平・和(平和を愛する脳筋哲学徒・e00547)
ミルフィ・ホワイトラヴィット(ナイトオブホワイトラビット・e01584)
テレサ・コール(ジャイロフラフーパー・e04242)
十守・千文(二重人格の機工巫女・e07601)
ケーシィ・リガルジィ(黒の造形絵師・e15521)
カッツェ・スフィル(黒猫忍者いもうとー死竜ー・e19121)
フィーユ・アルプトラオム(愛を求める少女・e27101)
嶋田・麻代(レッサーデーモン・e28437)

■リプレイ

●怒りをむき出すダモクレス
 現場を目指すヘリオン。ケルベロス達に緊張が走る。
「既に被害が出てますか……!」
 特徴的な髪型をした十守・千文(二重人格の機工巫女・e07601)は状況を耳にし、今か今かと到着を待つ。
「人質とは、面倒なことをしてくれますね……。間に合うのが不幸中の幸いですか」
 嶋田・麻代(レッサーデーモン・e28437)も外を眺めて呟く。間に合うと言われても、焦りは募ってしまう。
 それにしてもと、ミルフィ・ホワイトラヴィット(ナイトオブホワイトラビット・e01584)が話題を変える。
「ダモクレスも……、随分と多勢を引き連れて来たものですわね……」
「ダモクレスめ、侵略とはいい度胸だ!」
 拳を強く握る平・和(平和を愛する脳筋哲学徒・e00547)が熱く語る。
 今回の討伐対象はその1体に過ぎない。怒涛のダモクレス軍団……。他の場所でも、別のケルベロスがその対処を行っているはずだ。
「しかし、如何に大軍団であろうとも、好き勝手蹂躙させる訳には参りませんわ」
「その軍団の奴らに、相手にしているのは子犬などではなく、獅子だということを叩きこんでやるぜ!」
 ミルフィと和が並んで意気込むと、女の子2人が可愛らしく叫ぶように見えるが、和は男の子である。
「いいねえ! いいねえ! 分かり易い! 敵意むき出し、そういうの大好き!」
「真っ向勝負を仕掛け、早々に戦闘を終わらせたいと思っていますわ」
 カッツェ・スフィル(黒猫忍者いもうとー死竜ー・e19121)は嬉しそうに、ダモクレスとの手合わせを待ちわびている。同い年のフィーユ・アルプトラオム(愛を求める少女・e27101)もそう考えているのか、同意していたようだ。
「……まだ、残ってる人が居る。これ以上の被害を出す前に止めてみせるのです!」
 千文の言葉に頷くメンバー達。ようやく、ヘリオンは現場上空へと差し掛かったようだった。

 広島県某所。
 現場到着した頃には日が沈み、辺りが暗くなっていた。
「遅すぎるわね」
 苛立ちげに、アームの刃を一閃させるクラリッサ・ザ・マンティス。植え込みの草が刈られたのに、その後ろで捕らえられた人々が悲鳴を上げる。
「……早く来なさいよ、ケルベロス」
「呼ばれて飛び出てどんがらがっしゃーん! にゃ!」
 敵の言葉に応じるように、ケーシィ・リガルジィ(黒の造形絵師・e15521)がその場に飛び出した。捕らえられた一般人の数は15人。まだ、犠牲者が出ていないことに、彼は安堵の息を漏らす。
「やい、この殺戮メイド! お望み通り、ケルベロスが来てやったぞ!」
「クラリッサ様! わたくし達ケルベロスは此処におりますわよ!」
 またも、和とミルフィが息を合わせて接敵し、ダモクレスへと叫びかける。
「望み通りに来たのです。ですが、それもここまでです! だよ」
「力の無い者を一方的に傷つけるより……。私達と心行くまで踊りましょう」
 さらに、『私』から『ボク』にスイッチした千文と、一行で最も大人びた雰囲気を持つフィーユが呼びかける。
「待ちくたびれたわ」
(「何か武器が似てる感じがして、気に入らないなぁ」)
 立ち上がり、4枚の刃を広げてくるクラリッサ。それが少し自分に被るようで、カッツェは眉を顰めつつ2枚の大鎌を構えた。
「初めて会うダモクレスに怒られる理由がわかんないにゃ」
 睨みつけてくるそいつにケーシィは悪態づき、ミミックのぼっくんを投げ飛ばす。クラリッサは刃を振るうが、ぼっくんはくるりと宙で反転し、それを避けてみせた。
「あなたが、クラリッサ・ザ・マンティス……」
 テレサ・コール(ジャイロフラフーパー・e04242)は目の前の人物を初めて見たようだったが、彼女の中で縁のある人物だと感じたらしい。
 一方のクラリッサは、ケルベロスへと殺意を向けてくる。
「根性!」
 彼女が攻めるよりも先に、地獄の炎を掌に集めた麻代が敵を平手で叩く。パシィッと響く高い音に、頬を腫らしたクラリッサは鋭い眼光を向けてくる。
「緊縛プレイとか似合いそうですね。特に表情が」
 敢えて敵の感情を乱そうとした麻代は、聞こえよがしに告げた。
「ギャラリーもいるんで、派手にやっちゃいましょうか!」
 怯える後ろの一般人を視野に入れつつ、敵へと飛び込むケルベロス達。 対するクラリッサは一撃を受けてなお、全く表情を変えない。
 太ももに備え付けられたアームを自在に操る敵は戦闘態勢に入り、こちらへと刃を振るってきたのだった。

●できるだけ早い討伐を……!
 クラリッサは真っ直ぐ、ケルベロスへと向かってくる。その動きは速いが、ケルベロス達の方が先んじて仕掛けていく。
「小細工なしの正面から全力で殴り倒すのみ、短期決戦な感じでいくよ」
 不敵な笑みを浮かべるカッツェがまず、氷結の螺旋を飛ばす。それを、クラリッサは防御態勢を取って受け止める。
 目の前の相手に何かを感じるテレサもまた、正々堂々と勝負を挑む。
 敵の睨みつける殺意の視線は、テレサにも向けられていて。それに、意味を感じた彼女は激しく動揺しながらも、腕に巻きついた攻性植物を伸ばしていく。蔓触手のような形態に変化したそれは敵の体に絡みつくも、クラリッサはさらりとそれから逃れてみせた。
「鬼機之操戦術、その身に受けよ、だよ」
 ともあれ、敵の動きを止めねばならない。千文がドローンに札を貼ると、それは巨大な手に変形して敵の体をきつく握る。
「スライムちゃん、飲みこんじゃえ!」
 自分達のデータなど与えない。和もその心意気で捕食モードとなしたブラックスライムを放出し、敵の体を丸呑みにさせる。
 だが、クラリッサは表情を変えずにケルベロスを見回す。
「しっかし、ケルベロスはショタ、ロリばっかかよ」
 ケルベロスは、フィーユのみ170センチを越える高身長、和が150センチを僅かに超えるものの、それ以外のメンバーの身長は、皆、150センチ以下だ。
「……っ! てっ、テメエ、今、俺をロリって言いやがったな?」
 その言葉は、幼女に見られる和の逆鱗に触れてしまったらしい。
「だから、何よ!」
 だが、クラリッサは構うことなく、4枚の刃を伸ばしてくる。
「そのブレードの切れ味を見せてもらいますよ! どこからでもカモン!」
 刃に狙われ、囲まれた麻代は刃に切り刻まれる。その身から赤いものが飛び散る。
「あまり時間はかけられませんが、楽しむとしましょうか」
 データを与えるわけには行かないし、下手に手加減すると、一般人に被害が及びかねない。麻代は斬霊刀に空の霊力を纏わせてから、自らのつけた傷に重ねるように斬り込んで行く。
 前に飛び出すケーシィも、仲間を、一般人を護るべく攻め込む。
「……阻止しきれなかった分、きっちり始末するよ」
 ケーシィが携えたのは、漆黒のバスターライフル「ディスドラグーン」。ぼっくんが大きく口を開いて喰らいつくのに合わせて、エネルギー光線を発射する。間違っても一般人に流れ弾を当てるわけには行かぬと方向を調整し、クラリッサへと命中させた。
 戦場内を優雅に立ち振る舞うフィーユもまた、敵の最短撃破を目指す。メンバーの回復役として買って出ていた彼女はゾディアックソードを握り、地面に描いた守護星座を光り輝かせて仲間の守護を行う。
 その間も、クラリッサは刃を自在に操る。鋭い刃はケーシィの体を切り裂いてしまう。
「ふん、その程度……!?」
 挑発するように敵もまた、ケルベロス達へと吠えた。
 すると、オウガ粒子によって前線の仲間を強化したミルフィが迫る。
「このケルベロスのメイドのデータ、とれるものならとって御覧なさいな!」
 敵に最も当たりやすい技を。ミルフィは戦乙女の銘を冠した槍、「セスルームニル・メイデン」に空の霊力を纏わせて斬りかかる。その一太刀は、仲間の与えた傷を大きく斬り広げていく。
「わざわざそんな人質をとらずとも、全力でお相手致しますわ……!」
 少しだけ希望を感じたのか、捕まる一般人達が笑みを浮かべる。
 しかし、全身に闘気のようなものを発するクラリッサがなおも、怒りの形相をケルベロス達へと向けるのに、彼らは戦慄してしまうのだった。

●怒りを上回る力を
 不機嫌な表情で刃を振るう、クラリッサ・ザ・マンティス。
 その視線に怯えてしまうテレサだが、戦いの手を止めるわけにはいかない。
「当たれっ!!」
 テレサは自身専用のアームドフォート「ジャイロフラフープ」から弾丸を撃ち出す。狙いすましたその弾丸はクラリッサの体に命中する。
 敵はそれを睨みながら観察していた。ケルベロスとして活動している姉妹機の姿が、クラリッサの怒りの一因となっているのかもしれない。
「鬼操、槍です! だよ」
 自らの髪からドローンを現した千文がそれに御札を貼り付けると、ドローンは槍となって飛んでいく。
 千文の狙いは、敵の操る刃。飛ばした槍は刃に煌く「C」の字を貫いた。
「……フフフ、殺す。俺は女児じゃねえええぇぇぇぇ!」
 やや涙目で、和はレーザービームを撃ち放つ。
 クラリッサはそれに腰を射抜かれながらも、4本の刃を巧みに操って前線のメンバーを切り裂いていく。
 とりわけ、麻代の傷は深くなってきている。彼女は裂帛の叫びで自らの傷を塞ぎ、再度地獄の炎を集めた掌で敵を殴りつけた。
「ケルベロスのデータを取るにしても、少々、脆い機体なんじゃないですかね?」
 クラリッサのブレードを羨んで見つめていた麻代だが、その刃の切れ味は落ちているのではと敵を挑発する。
「小癪なガキどもね……」
 さらに神経を逆撫でされたクラリッサに狙われる彼女を、ケーシィやぼっくんが受け止めてダメージを肩代わりする。その上で、ケーシィは真に自由なる者のオーラを発し、麻代の傷を癒していく。
 グラビティ・チェイン回収をメインに動いているのかと思いきや、敵の狙いは本当にケルベロスの能力を探ることらしい。
 それでも、ケーシィは敵が一般人に襲わないようにと注意を怠らない。
「私の薔薇よ、咲き誇りなさい!」
 フィーユは自らの腕に傷をつけ、魔力を込めた血を振りまいていく。そうして周囲に大量の薔薇を生成し、その美しさと香りで仲間を癒していった。
「ここからですわよ!」
 援護を行うフィーユは前線メンバーが押されていることに気づき、プリンセスモードへの変身で仲間を励まそうとする。
 支援回復で動く彼女だが、この戦い……仕合ならぬ、死合を楽しむ。前線に飛び込んでいれば、自らの血が飛び、快感を得ることができただろうか。
 空機靴で地を滑るミルフィが、その靴をファイア形態へと変えて敵を蹴りつける。
「やっぱり、似てるなぁ」
 敵を攻める間、クラリッサが振るう刃の動きもまた、カッツェには自らに似ているような気がしてやや面白くなさそうな表情を魅せた。
「カッツェの黒猫と番犬とお前の得物、どっちが強いかな?」
 カッツェは愛用の2本の大鎌、「番犬」と「黒猫」を操ってクラリッサの体を切りつけ、飛び散るグラビティ・チェインをその身で浴びる。
「やっぱり、力を吸う瞬間は最高! やめられない」
 舌なめずりをするカッツェ。傷が増えていくのを感じながら、クラリッサは鋭くケルベロス達に敵意の視線を向けていた。

 狙われる麻代を庇うケーシィの傷が深まる。ぼっくんもなんとかもってはいたが、傷は深い。
「みんな、がんばるにゃーっ!」
 敵の刃に切り裂かれ、服を破かれた自身や仲間の為にと、ケーシィはブラックスライムで自身の分身を描き出して精一杯応援する。
 生死の瀬戸際に立つ戦いの中、フィーユも麻代へと木の葉を纏わせて癒していく。
 そうして、支援を受けるカッツェは、広範囲を斬り付けて来る敵の刃を浴びながら、ニヤリと笑ってクラリッサに呼びかけた。
「今日のデータを取ったところで、そんなに意味ないと思わない?」
 カッツェは降魔の力を纏わせた大鎌の一撃を浴びせる。
「だって、それ使う時には過去のデータになってるんだよ?」
「それは、私が判断することじゃないわ!」
 体力を奪われた上に煽られたことで怒鳴るクラリッサへ、和がバスターライフルを携えて仕掛けた。
「俺の攻撃を受けてみろー!」
 発射されたエネルギー光線。それを浴びたクラリッサの武器にヒビが入っていく。
 舌打ちするクラリッサは、さらに麻代目掛けて4枚の刃を伸ばす。攻撃自体は幾度も繰り返される攻撃。だが、麻代にはもはや、耐える力は残されていなかった。
「すいません、ちょっとアレ痛すぎる……」
 崩れ落ちた彼女。それに、メンバー達の闘志が高まる。
「これ以上、君たちの思い通りにはさせない! だよ」
 クラリッサの背後に回った千文は敵に叫びかけ、詠唱を始めた。それと共に、赤い文字の書かれた呪符とドローンが集まっていく。
「我命ず、鬼機集いて敵を貫く槍と成せ」
 起動させた槍のブースターを、千文は敵へと投げ飛ばす。
 体を貫かれたクラリッサ。どこかの回路が切れたのか、彼女の体に火花が飛び出した。
「目を閉じて――。わたくしからの愛、お受け取り下さいまし……」
 ミルフィも攻撃を重ね、ミルフィはクラリッサへと肉薄し、そっと口付けをする。しかし、それは幻惑の術。残り少ない敵の体力をミルフィは限界近くまで吸い取っていく。
「後は、テレサ様……」
 終始、敵に戸惑いを続けていたテレサ。彼女はそれでも、再びジャイロフラフープの弾丸を発射する。敵意に満ちた視線をテレサに向けたまま、クラリッサは果てていった。
 仲間が倒れたことで暴走も考えていた和だったが、その前に敵が倒れたこともあり、彼は安堵の息を漏らしたのだった。

●一難去ったが……
 ダモクレスを撃破したケルベロス達は人質となっていた人々を気遣う。
「もう大丈夫ですわ、皆様……。怪我人はいらっしゃいますか……?」
 ミルフィは仲間を含め、この場の人々の状態を確認する。一般人は皆、精神的な消耗はあったが、外傷はほとんどないようだ。
 対して、ケルベロス。戦いが終わって、『私』に戻った千文も一息ついている。フィーユは戦闘によって乱れた髪や衣服を気にする程度だったが、麻代は重傷の為に未だ目覚めない。
「…………」
 そして、テレサは今もなお、倒したダモクレスに向けられた憎悪によって動揺を隠すことができない。その怒りに、何が込められていたのか……。
 そんな状態の仲間達に、ミルフィはヒールでの手当てを施す。
「しかし……、踏破王クビアラとは一体……」
 何か手がかりがあればと思い、周囲の探索を始めるミルフィ。しかしながら、思ったような成果が得られず、嘆息してしまうのだった。

作者:なちゅい 重傷:嶋田・麻代(レッサーデーモン・e28437) 
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年1月27日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
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