悪足

作者:紫村雪乃


「今度は飛ぶ足、か」
 田島京子という名の少女が呟いた。度の強い眼鏡をかけているので良くわからないが、とれば美人であるのは間違いなさそうだ。
 その京子は以前にある噂を耳にしたことがあった。飛ぶ腕の噂で、所謂都市伝説というやつだ。
 しかし、いつの間にかその都市伝説は消え去った。代わって現れたのが足が飛ぶというものである。
「きっと見つけてやるわ」
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『興味』にはとても興味があります」
 突如響いた声に、はじかれたように京子は振り向いた。そして、見た。黒いフードを被った白い肌の女を。
 女の名はアウゲイアス。第五の魔女・アウゲイアスといった。
「な、何なの、あなた――」
 京子の声が途切れた。彼女の胸に、魔女が手の鍵を突き刺したからだ。
 悲鳴を発する余裕もなく、京子はその場に崩折れた。横たわったその身体の上、異様なモノが浮かんでいる。
 それは足であった。まるで女のものであるようなしなやかで細い足だ。が、足の付け根から上には何もなかった。


「不思議な物事に強い『興味』をもっている人がドリームイーターに襲われ、その『興味』を奪われてしまう事件が起こってしまったようです」
 セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)がケルベロスたちを見回した。それからドリームイーターは足の形をしており、空を飛ぶのだと告げた。
「今度は足が飛ぶの?」
 それまでうかべていた微笑を消し、紫髪紫瞳の少女がごちた。名を黎泉寺・紫織(ウェアライダーの鹵獲術士・e27269)というのであるが、彼女は先日飛ぶ腕の姿をしたドリームイーターと戦ったばかりである。うんざりした声を発したのも無理はなかった。
「はい」
 セリカはうなずいた。彼女は腕のドリームイーターを知っている。殲滅を頼んだのはほかならぬセリカ自身であった。
「前回と同じように「『興味』を奪ったドリームイーターは既に姿を消しているようですが、奪われた『興味』を元にして現実化したドリームイーターにより事件は起こります。被害が出る前に、そのドリームイーターを撃破して下さい。ドリームイーターを倒す事ができれば、『興味』を奪われてしまった被害者も目を覚ましてくれます」
 セリカはある都市の名を口にした。前回と同じ大都市だ。
「ドリームイーターはその都市に現れます。正確な出現場所はわかりません。しかし、ドリームイーターは自分の事を信じていたり噂している人がいると引き寄せられる性質があります。その性質を利用すれば誘い出すことができるかと」
「今度のドリームイーターの戦闘手段は何なの?」
 紫織が問うた。腕は爪を武器としていたのだが――。
「蹴りです。ただし、その一撃は鉄すら断ち切り、岩をも砕く。さらに衝撃波を放ちます。まともに浴びればケルベロスである皆さんもただではすみません。気をつけてください」
 けれど、といいながらセリカは小さく微笑んだ。
「強力な敵です。けれどケルベロスは腕を斃しました。足もきっと斃すことができると信じています」


参加者
ミケ・ドール(深灰を照らす月の華・e00283)
ユスティーナ・ローゼ(ノーブルダンサー・e01000)
ラズ・ルビス(祈り夢見た・e02565)
尽影・ユズリハ(ロストブレイズ・e22895)
エルシュ・アリストクラッツ(すーぱーさぽーたー・e23377)
黎泉寺・紫織(ウェアライダーの鹵獲術士・e27269)
レオン・シシドウ(紅髪の戦神・e33172)

■リプレイ


「たしか、前は手が飛んでいたんだったか」
 闇を切り裂いて飛ぶ輸送ヘリの中、ぼそりと呟くような声が流れた。
 声の主は女である。二十歳ほどだろうか。華奢な娘であった。キャビン内の光に浮かび上がる白髪が妖しく美しい。名を尽影・ユズリハ(ロストブレイズ・e22895)といった。
「その前は頭よ」
 くすりと笑ったのは幻想的な紫髪紫瞳の少女であった。この少女もまた華奢ではあるのだが、とこかしなやかであった。まねるで猫族のような――。
 それもそのはず、黎泉寺・紫織(ウェアライダーの鹵獲術士・e27269)という名をもつその少女は猫のウェアライダーであった。
「そして今度は足。次に現れるのは何かしらね?」
 可笑しそうに紫織は笑った。が、誰ぞ知らん。その瞳の奥にちろと憎悪の炎が燃え上がったことを。
「胴体でも飛びそうね」
 傲然と娘が笑った。豊満な肉体の持ち主で、桃色の髪が魅惑的に鮮やかである。立ち居振る舞いに隙がなく、目に刃のごとき鋭さを秘めたその娘の名はユスティーナ・ローゼ(ノーブルダンサー・e01000)といった。
「頭、そして手。今度は足が飛ぶという……。むう、色々なものが飛ぶ時代になってきたものだな……」
 ユズリハが慨嘆した。
 その事実に思い至ったのはラズ・ルビス(祈り夢見た・e02565)という名の娘も同じであった。無表情だが、可愛いといって良い造作の顔を暗鬱に伏せる。
 人の噂話が尽きることはないだろう。ならば魔女を止めない限り、ドリームイーターは永遠に現れ続けるに違いなかった。
「しかし足が飛ぶという姿も中々にシュールですねー」
 微かな驚きを滲ませて、その少女はいった。
 十六歳ほど。が、若年に似合わぬ落ち着きがあった。
 髪も肌も透けるほど白い。所謂アルビノという奴だ。彼女の場合、幾重にも自己強化魔術式を自身にかけることによって高度な戦闘力を発揮する。
 名はサラキア・カークランド(白鯨・e30019)。 簒奪の魔女と恐れられた少女であった。
「でも、どうやって飛んでるのかな……気になる……」
 ミケ・ドール(深灰を照らす月の華・e00283)という名の少女が首を傾げた。
 十六歳ほど。どこかのほほんとした少女であった。そして、美しい。いや、美しすぎるといってよかった。
 磁器のように滑らかな頬といい、長い睫毛が翳をおとす神秘的な金色の瞳といい、まるで人形のように美麗であった。
 少女――ミケ・ドール(深灰を照らす月の華・e00283)はぼんやりとした声で続けた。
「足癖悪いの、お行儀はよくない……ミケさんもうっかり出てしまうから……あんまり言えないけどね」
「いえないの?!」
 三十歳ほどの女が苦く笑った。むっちりとした肉体の持ち主で、その落ち着いた物腰故か、頼り甲斐がありそうだ。刃のような光を目にため、唇は濡れたように紅い。――レオン・シシドウ(紅髪の戦神・e33172)であった。
「アタシも他人のことはいえないのだけれど。まあ、アタシの場合は手癖だけれどね」
 レオンはちらと視線を下ろした。腰に落とした二振りの刀。戦神刀『夢幻』と『紅獅子』だ。
 その時だ。八人めのケルベロスがため息をもらした。エルシュ・アリストクラッツ(すーぱーさぽーたー・e23377)。紅瞳をもつシャドウエルフの少女であった。
「どうやら厄介な敵のようっすね」
 エルシュは身震いした。武者震いというやつだ。今回の依頼が彼女には初めてのものであった。
「怖いの?」
 優しくレオンが尋ねた。すると素直にエルシュはうなずいた。
「怖いっす。けど、被害に遭う方を放ってはおけないっすからね。やるっすよ」
「それがわかってりゃあ十分よ」
 レオンはニヤリとした。


 月光に蒼く染まる裏路地。
 そこでミケは足をとめた。辺りをゆるりと見回す。
「ここでいいよね」
 ミケはキープアウトテープを張り巡らせ始めた。サラキアもまた。これで人が戦闘域に立ち入ることはないはずだ。
「次はおいらっすね」
 エルシュが身裡で殺気をたわめた。
 刹那だ。凄絶の殺気がエルシュから放たれた。
「そろそろ始めましょうか」
 サラキアが促すと、レオンがうなずいた。
「この辺で飛ぶ足の目撃があるらしいけど」
「宙を舞い、万物を砕く蹴りを有する脚の幽霊さん、っすか」
 わざとらしくエルシュが目を丸くした。
「足が、足だけで、飛ぶ……想像すれば大変シュールな光景が浮かんできます」
 想像の足を追うようにラズが目を上げた。
「足だけでどうやって物を見たりしてるのかしら?」
「魚の目というのがありますが」
 サラキアがいった。真面目なのかふざけているか、この少女の場合は良くわからない。
 そのサラキアを無視し、さらにユスティーナは疑問は口をした。
「それって男の足なのかしら、女の足なのかしら?」
「どちらかはわかりませんが」
 ラズは首を傾げた。
「そういう奇妙なものの方が、得てして人の記憶には残りやすいもの……案外、たかが都市伝説と笑い飛ばせないものではあるのかも……しれませんね」
「都市伝説か」
 紫織が猫めいた魅惑的な顔をゆがめた。
「一部の人は足で踏まれると喜ぶとか……そんな感じで生まれたあれかしら?」
「ふうむ」
 レオンは唸った。確かに世の中に様々な趣味嗜好を有する者がいる。その調子でいくと、次は何が出てくるかしれたものではなかった。
「空飛ぶ足なんて、お行儀悪いね……」
 ミケがほわりといった。
「お説教も、聞く耳を本当に持ってないと思うけど……。本当にいるなら殴る……じゃないや……一発蹴ってあげなきゃ……」
「蹴るなら、準備しておいた方がいい」
 ユズリハが告げた。五感すべてを地獄化した彼女にはわかる。ふっと不気味な気配がわいたことが。
「さて、噂をすれば影、いつものことだがご本人……? の登場だ」
 ユズリハは振り返った。


 ラズの腰につけられたライトの光に浮かび上がったのは異様なものであった。
 脚だ。付け根から切断されたようなそれは、人形のもののように見えた。
 が、違う。それは白くしなやかで、女性のものと思われた。おぞましい、悪夢の中の存在だ。
 が、内心の怯えを隠し、ユスティーナは不敵に笑ってみせた。
「実際に姿を見せてもらって興味は満たせたわ。……それじゃあ、後始末と行きましょうか!」
「誰も傷付かずに終えられるように。行きましょう、エイド」
 ラズが目を上げると、足元のミミック――宝箱型の擬似生命体が口を開くように蓋を持ち上げた。
 すると紫織の身を覆う装甲から光の粒子が噴出し、月光のように仲間に降り注いだ。ケルベロスたちの超感覚がさらに研ぎ澄まされてく。
 刹那である。脚が空を裂くように動いた。
 瞬間、唸りをあげて二条の白光が疾った。視覚化された衝撃波だ。
 咄嗟に二人が動いた。飛び出したのはミケとユズリハだ。
 かろやかに舞ったミケは『Luna lo squartatore』を眼前でかまえた。月光をうったかのような刀身をもつ斬霊刀を。
 そして、ユズリハもまた。こちちは鉄塊ともいうべきあまりにも無骨かつ巨大な剣であった。剣銘を幽冥という。
 直後、衝撃がきた。ビル破壊用の鉄球を叩きつけられたような衝撃が。
 逃しきれぬ爆発的な衝撃が周囲の空間を震わせた。ミケとユズリハが吹き飛ぶ。アスファルトを削りながら後退。十数メートル離れた位置でようやく二人は停止した。
「うっ」
「くっ」
 二人は同時に呻いた。凄まじい衝撃波の破壊力に。ケルベロスたるミケとユズリハの両腕が痺れてしまっていた。
「今度はこっちの番っすよ」
 エルシュの手から銀光が迸りでた。螺旋の軌道をえがいて翔ぶそれは手裏剣である。
 飛鳥のように脚は動いた。手裏剣が空しく流れすぎていく。
「は、迅いっす!」
「あはっ、絡め取ってあげますねー?」
 サラキアが詩を口ずさんだ。すると無数の半透明の鎖が現出し、獲物を狙う巨蛇のように脚を襲った。
 Snare。詩篇魔法の一つである。
 が、驚くべきことにまたもや飛燕の動きと迅さで脚は水の鎖を躱した。のみならず怪鳥のようにレオンを襲った。
「来い、足の化物!」
 レオンが夢幻と紅獅子を抜刀した。二振りの刃をかまえるその姿は両翼を広げた猛禽のごとし。
 と、傍らのレヴェリー――ビハインドが足元の石を飛ばせた。ただの石ではない。強大な念が込められていた。
「何っ」
 レオンの目が驚愕に見開かれた。足がするりと石を躱したからである。のみならず脚はレヴェリーに肉薄。その身に蹴りをぶち込んだ。
 そして、もう一つの脚はレオンへ。たばしるレオンの刃をくぐりぬけ、砲弾のような魔脚の蹴りは彼女の腹に叩き込まれた。
 爆発。
 そうとしか思えぬほどの破壊力の開放に、レオンの身がはじき飛ばされた。およそ三十メートルの距離を吹き飛ぶ。ビルの壁にめり込んでとまった時、レオンの内蔵はミンチと化していた。


「レオン様!」
 ラズが叫んだ。その身裡にオーラがたわむ。
 それはただのオーラではなかった。術式により武装状態と化したオーラである。超自然的治癒力の作用により、レオンが目を覚ました。
「助かったわ」
「礼には及びません」
 淡々とラズはこたえた。冷淡なのではない。当たり前のことだと思っているだけだ。むしろ優しすぎる娘がラズなのであった。
 その間、ユスティーナはじっと魔脚を観察していた。敵の隙を掴むために。
「くっ」
 激しい苦痛にユスティーナは唇を噛んだ。投薬している薬の副作用である。
 本来、彼女はケルベロスとしては不完全な存在であった。それを薬により無理やりケルベロスたらしめているのである。その反作用はユスティーナの身体を無視できぬレベルで蝕んでいた。
 身体をはしりぬける苦痛を無視し、ユスティーナはバスターライフルのトリガーをしぼった。銃口の前に展開する魔法陣。放出されたのは高密度の魔力光だ。
 が、魔力光は空しく流れすぎた。やはり盲目的にドリームイーターを捉えることは困難であるようだ。
 ケルベロスを嘲笑うように、またもや魔脚たちは蹴りを放つように空をつま先で薙いだ。唸り飛ぶ三日月に似た衝撃波。その軌道上にあるのは、ゆらりと立ち上がったレオン!
 次の瞬間、光がはじけた。雷鳴にも似た轟音が響き、飛び散る衝撃波の残滓により、辺りの建物に亀裂がはしる。
 爆煙にも似た粉塵の中、二つの美影身が浮かび上がった。再び衝撃波を刃ではじいたミケとユズリハである。
 ミケが冷たく魔脚を見据えた。
「なめられたものだよね、ケルベロスも」
「お前の衝撃波はすでに見切っている。同じ攻撃はケルベロスには効かない」
 ユズリハは口の端をわずかに吊り上げた。
 ならば、とばかり。目にもとまらぬ速さで脚が二人に迫った。颶風と化して襲う。
 鉄槌を打ち込むようにドリームイーターが蹴りを放った。咄嗟に得物をかまえたミケとユズリハであるが、間に合わない。武器もつ手の骨が粉砕された。
 その時だ。砂塵を貫いて疾ったものがある。流星雨のようなそれはメスであった。
「……逃がしてあげません」
 ラズが告げた時、ひらりと魔脚たちは回避行動をとった。が――。
 一体の魔脚の動きがとまった。その魔性の肉を一本のメスが切り裂いて疾りぬけたことをケルベロスのみは見とめている。メスには機械的組織すら昏倒させる麻酔成分を付着されていた。
「今度こそ外さないわよ」
 苦痛に耐えつつ、ユスティーナは再びバスターライフルのトリガーをひいた。銃口から迸りでた虚数熱量が動けぬ魔脚を飲み込み、その魔術的構造を分解していく。が、まだ滅びたわけではなかった。
 半壊した魔脚が再び動きを取り戻した時だ。ナハト――ボクスドラゴンが魔脚に体当りした。のみならず、その身に蔦がからみついた。砂によって構成された蔦が。
 アースヴァイン。精霊魔法の一つであった。
「足は地に着けるものでしょう? 囚われなさいな」
 紫織が魔脚を見据えた。ぞっするほど冷たく綺麗な紫瞳で。
 さしものドリームイーターもふと怯えた。故に、足掻く。わずかに身動ぎし、衝撃波を放った。が――。
 紫織の眼前で衝撃波ははじかれた。エイドによって。
 さしもの魔脚も凍りついた。その眼前、躍り上がったのはレオンである。
 瞬間、他の魔脚が動いた。動けぬ魔脚を助けようとするかのようにレオンめがけて飛翔する。
「ちょいと邪魔するっすよ、夢喰いさん!」
 エルシュの手から銀光が噴いた。それは空で無数に分裂した。雨のように魔脚に降り注いだのは手裏剣である。威力より、むしろ数に阻まれて魔脚は動きをとめた。エルシュが叫ぶ。
「レオンさん!」


「終わりにする」
 稲妻が疾った。そうとしか思えぬ神速の刺突をレオンは放った。
 閃く紫光。
 それは魔脚を滅した刃から発した余剰の雷光であった。
 ぎいぃぃぃぃぃ。
 無音の絶叫。それは動けぬ魔脚から発せられた。壊れたマネキンめいたそれを拘束しているのは七色に煌く水鎖である。サラキアの魔法だ。
「もう少し大人しくしていてくださいねー。そうすれば」
 ふふ、と可笑しそうにサラキアは笑った。
「半身のところに送ってあげますからー」
 刹那、一つの影が蝶のように空に舞った。白銀の月に照らされて鮮やかに。ミケだ。
「お行儀の悪い足は、躾しなくちゃ……。Va' all' inferno.」
 光をまとわせた蹴りをミケは放った。不死の月のごとく繰り返し。つま先は別の月輪を描いた。
 なんでたまろう。数度の蹴撃をくらったドリームイーターは地に叩き落とされた。待っていたのはユズリハである。
「男性か女性か分からないが、脚グセが悪いな。まあ、それは私も同じだがな。さて……では、これでおしまいにしようか」
 刮目し、ユズリハは幽冥を薙ぎ上げた。驚くべきことに左手のみで。その技量より、数百キロにも及ぶ重さの巨剣を片手のみで操る彼女の膂力をなんと評してよいか。
 瞬間、ドリームイーターは無明の闇にいた。地獄である。
 その闇が切り裂かれた時、魔脚のすべては消滅した。

 地に静寂がもどった。その中に、白い息が滲む。エルシュの吐息であった。
「喰われる程の心の機微のカタチ。初めて見たっすけど、彼処まで強いものなんすねえ……」
 心底からの慨嘆。エルシュはケルベロスの戦いの厳しさを思い知られていた。が、退くことはない。たった一人でみがいた殲滅術を使う場所がわかったから。
「……田島京子とかいったか」
 レオンが辺りを見回した。
「彼女に、どこで噂を聞いたのか聞いてみよう。変な噂を流されちゃ、また起きかねないからね」
「そうですね」
 ユスティーナは暗鬱な表情でうなずいた。
「これを生み出した大本にも、いつか報いを与えてやりたいものだけど……今は、被害者が元に戻れたことを喜びましょうか」
 焼け付くような苦痛に耐えつつ、ユスティーナは歩みだした。

作者:紫村雪乃 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年1月28日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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