●鍋奉行のいるお店
外観も内装も、和風にこだわって作られた店。薄暗い店内では、時代劇で見かけそうな格好をした店長がひとりため息をついた。
「まだ鍋の季節は続いているというのに……どうして誰も来ぬのだ……」
そう言いながらも、理由は理解している。この店は「鍋料理」の店でありながら「鍋奉行」が鍋を取り仕切る店だからである。しかも、メニューは月替わりで選べない。『今月はきりたんぽ鍋!』というポスターが、薄暗い店内に数枚貼られている。
「やはり鍋は自由に楽しみたいものなのか……大人しく、普通に鍋を出す店にしておけばよかった、か……」
がっくりと頭を垂れる店長の後ろに、女性が忍び寄る。店長は気付かず、視線を床に落としたまま。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『後悔』を奪わせてもらいましょう」
女性の囁くような言葉の後、店長の心臓に鍵が突き刺さる。そして、意識を失って倒れる店長の横にはドリームイーターが現れたのだった。
●ヘリポートにて
「寒い日が続くね! こういう日は、鍋をしてあったまるのもいいよね!」
ココ・プラム(春告草・e03748)が、元気に声を張り上げる。でも、と表情を少しばかり曇らせ、話を続ける。
「どうやらココが心配してたことが現実になっちゃったみたいで……『鍋奉行』のドリームイーターが現れるみたいなの!」
名前からして強そうだよね、と、ココが何度もうなずく。そこで、ウィズ・ホライズン(レプリカントのヘリオライダー・en0158)が進み出た。
「——と、いうわけだ。自分の店を持つという夢を叶えたものの、店が潰れて後悔している人が、ドリームイーターに襲われたようなんだ」
襲われた人は『後悔』を奪われ、『後悔』を元にしたドリームイーターが現実化しているという。
「『後悔』を奪ったドリームイーターは既に姿を消しているが、現れたドリームイーターによる被害が心配だ。そこで、君たちには出現したドリームイーターを撃破してもらいたい」
そうすれば被害者も目を覚ますだろう、と、ウィズはケルベロスたちを見渡した。
「戦闘となるのは、ドリームイーターの力で営業を再開している店。ケルベロス以外の客はいないため、人払いは不要だ。敵は1体、奉行のような格好をしている。攻撃方法は3つで、どれも強力だ」
いわく、箸を捌いて鋭い風を起こす攻撃、お玉で殴りつけて防御力を下げる攻撃、鍋の蓋を取った時のような湯気を浴びせて武器の威力を下げる攻撃だという。
「店に乗り込んですぐに戦闘を仕掛けることも可能だが、もっと良い方法もある。まずは客として店に入り、店のサービスを心から楽しんであげてから戦闘に持ち込めば、満足した敵の戦闘力が減少する。この店の場合は、鍋料理を店長に仕切らせ、その動作を褒め称えつつ美味しくいただけば良いだろう」
また、満足させてから倒した場合、意識を取り戻した被害者の後悔の気持ちが薄れ、前向きに頑張ろうとする気持ちになれるという効果もあるそうだ。被害者はバックルームで寝かせられているため、ドリームイーター撃破後に声をかけてやってもいいかもしれない、とウィズは付け足した。
「店長さんのためにも、がんばらないとね! あっ、でもせっかくだし……おいしいきりたんぽ鍋も楽しみたいよね!」
と、ココはミミックの「松乃進」に、同意を求めるのだった
参加者 | |
---|---|
倉田・柚子(サキュバスアーマリー・e00552) |
ココ・プラム(春告草・e03748) |
リィンハルト・アデナウアー(燦雨の一雫・e04723) |
秋空・彼方(英勇戦記ブレイブスター・e16735) |
クアトロリッツァ・チュチュヴィエンナ(モノトンエトワール・e20413) |
皆月・アルト(サキュバスの鹵獲術士・e27832) |
プルトーネ・アルマース(夢見る金魚・e27908) |
佐藤・大(ドゥームオブフールズ・e32850) |
●ようこそ鍋奉行のいる店へ
鍋専門店「城下町」の前は、静まりかえっていた。
「アイデアとしては斬新……過ぎたんですね」
皆月・アルト(サキュバスの鹵獲術士・e27832)が、首をかしげて呟く。
「『鍋奉行』って、こわーいおじさんなのかな……」
困り顔になるのは、ココ・プラム(春告草・e03748)。筆文字が踊る看板は力強く、かつ恐ろしさも感じられる。
「でもでも! 負けないよ……!」
意気込んで引き戸を開けると、出汁の匂いがふわりと鼻をくすぐった。
すかさずアルトが店の奥に向かって呼びかける。
「今日はお店、やってますか?」
「無論、営業中だ。ささ、ここの席に」
厨房ののれんをくぐって現れた鍋奉行ドリームイーターが、厨房にほど近い位置の小上がりを示した。案内されるまま、ケルベロスたちは着席する。
「本日はきりたんぽ鍋である。しばし待たれよ」
鍋奉行が頭を下げ、厨房に入って行った。それを見送りながら、クアトロリッツァ・チュチュヴィエンナ(モノトンエトワール・e20413)が自身の冷えた指先に視線を落とす。
「此処までの移動ですっかり冷えていたから、暖かいお鍋が待ち遠しいの」
「寒い日はお鍋だよねっ」
リィンハルト・アデナウアー(燦雨の一雫・e04723)が笑顔を浮かべる。大きくうなずき、同意するのはココだ。
「みんなでお鍋、なんだかたのしくてそわそわしちゃうな……」
「うんうん。お鍋はぽかぽかあったかくなるしおいしいし、最高なんだよ♪」
やがて、カセットコンロと土鍋、食材を手にした鍋奉行が現れた。テーブルの中央にカセットコンロが、その上に土鍋が置かれる。鍋の中には、黄金色の出汁たっぷり。もうもうと上がる湯気からは、鶏だしの香りがする。
「それじゃあ、お任せするね。おいしーいお鍋、お願いします!」
ココがぺこりと頭を下げると、鍋奉行がカセットコンロを着火した。
出汁がふつふつと煮立ったところで醤油と酒が足され、いっそう食欲をそそる香りが広がった。そこへ鶏肉とごぼうを足しながら、奉行が説明をする。
「出汁は鶏ガラ、家庭で作る場合は鶏もも肉でも構わぬ。いま火を通している鶏肉は比内地鶏、ごぼうは秋田県産である」
「肉……比内地鶏とか最高だろうよ」
ためいきをつくように、佐藤・大(ドゥームオブフールズ・e32850)が漏らす。
「郷土料理はその郷土の食材で食べるのが一番、というわけですね」
興味深そうに鍋を見る倉田・柚子(サキュバスアーマリー・e00552)の反応に、鍋奉行は得意気だ。
そういえば、と、リィンハルトがココに耳打ちする。
「きりたんぽ鍋は初めてだけど……そういえばきりたんぽってなんだろ?」
「きりたんぽは……まだテーブルには出てないね。出てきてからのお楽しみ!」
そう言われ、リィンハルトは期待する。きっと美味しいものに違いない、と。
目立たないようにと控えめにしていたアルトは、鍋奉行の言葉をメモしていた。手順はもちろん、今回使用した食材の産地。順番も忘れずに。
(「きりたんぽ……何処かの郷土料理でしたよね」)
ぴたりと手を止めて鍋を見れば、鶏肉に火が通っているのがわかる。
「……写真を撮ってもいいでしょうか?」
「許可しよう」
アルトが問うと、鍋奉行は肯定を示した。
(「少しお鍋料理に興味が湧いたかも……」)
レンズ越しの鍋を見ながら、アルトは写真を撮影する。
「わー、見てるだけでも温かくなりそう。いちまる、楽しみだね!」
プルトーネ・アルマース(夢見る金魚・e27908)はテレビウムの「いちまる」とうなずきあい、鍋の完成を待つのだった。
●どうぞ召し上がれ
少々待たれよ、と席を立った鍋奉行は、再び厨房に消えて行った。数分後に出てきた鍋奉行の手には、きりたんぽとねぎ、セリが。
「リィンハルトちゃん、あれが『きりたんぽ』だよ! あの白いの!」
「あれが『きりたんぽ』!」
ココが指差した先にあるのは、筒状になった米。リィンハルトは身を乗り出し、ほんのり焦げ目がついたきりたんぽを凝視する。
「秋田の米を使ったきりたんぽである……が、これを入れる前にねぎとまいたけを入れる。きりたんぽは崩れやすいゆえ」
鍋奉行がねぎを加えようと、蓋を開ける。鶏とごぼう香りが、ふんわりと広がる。煮立つ鍋の中にそぎ切りにしたねぎとまいたけを加え、待つこと数分。鍋奉行がきりたんぽをとり、慎重に鍋へと加えた。
「最後にせりを加え……これで完成、と」
「早く食べようよ! 鍋奉行さん、どれ食べたらいいかな?」
取り分け用の皿「とんすい」を手に、プルトーネがはしゃぐ。が、鍋奉行は静かに首を振った。
「拙者が取り分けるゆえ、しばし待たれよ」
神妙な顔つきで、鍋奉行が具をよそってゆく。煮込んだ具材は均等に。かつ、おかわりもできるように。
「ところでフォークは……いいえ、なんでもないの」
とんすいが目の前に置かれると、香りと湯気が立ち上る。クアトロリッツァは、テーブルの上と鍋奉行を見ながら小声で言いかけた言葉を引っ込めた。
全員に行き渡ったのを確認し、鍋奉行はカセットコンロを弱火にする。
「おのおの方、召し上がられい!」
鍋奉行はぱしんと両の手を打ち鳴らし、よく通る声を張り上げた。
「ありがとうございます。では、いただきますね……うわあ、美味しい!」
秋空・彼方(英勇戦記ブレイブスター・e16735)が、顔をほころばせる。まだ熱い具材を頬張りながら、鍋奉行に賞賛の言葉をかける。
取り分けてなお湯気のあがるねぎを前に、プルトーネが息を吹きかける。少し温度を下げて、ぱくりといただく。
「んー、美味しいね。熱い時は『ふーっふーっ』ってさますんだよね。ママが言ってた」
「一人暮らしだと鍋が遠い存在で助かるよ。——奉行様、おかわり頼むよ。流石に肉が美味しいね。いい肉なのは勿論だけれど、奉行様の手際がいいから美味しいのかな?」
涼しい顔でおかわりを鍋奉行に要請する、大。鍋奉行の戦力ダウンを狙うのはもちろん、肉を大毛に頂くための褒め言葉でもある。
慣れない箸づかいで食べつつも、クアトロリッツァは満足そうに目を細めた。
「よく味が染みていてとても美味しいの」
それは、鍋奉行監修のもとに行われた煮込み加減だけによるものではないだろう。
「皆でお鍋を囲んで好きなように食べるのも良いけれど、こうして一番美味しく頂ける順に食べさせてもらえるのも、素敵だと思うわ。一種のコース料理のようなものね」
「うんうん。お鍋は仕切ってもらうの大歓迎! 鍋奉行さんのおかげでおいしいお鍋だよ」
リィンハルトがクアトロリッツァに笑顔を向け、ぱくりとお肉を頬張った。
「さすが店長さん、今まで食べたお鍋で一番だよぉ!」
賞賛と感謝の念を込めて、リィンハルトは鍋奉行を褒めちぎる。その様子を見て、クアトロリッツァは本来の目的を思い出し——もとい、再確認した。
●おいしくいただいた、その後は
「きりたんぽってもちもちしてておいしいね! お口の中に、優しい味がじわーって。体の奥もこころもとってもぽかぽかだよ。こんなお鍋、ココ初めて食べた!」
おかわりをもらい、ココが感想を述べる。お世辞で言ってるわけではなく、実際にとても美味しく感じられるのだ。
(「これで鍋奉行さん優しくなってくれたらいいなぁ……」)
上目遣いで様子を見れば、鍋奉行は得意気な笑みを浮かべていた。
「流石に品質も量も素晴らしいです、こう言う趣向も好きですよ」
この様子ならば、いきなり攻撃してくることもないだろうと、アルトは褒めそやす。
一方、大はといえば。奉行はもちろん、仲間の様子も観察していた。
(「残っているのがあれば食べてしまいたかったが……」)
その様子に気付かぬ奉行ではない。大を見遣り、腕組みをして問う。
「何か言いたいことがあると見える。申してみよ」
「他の方が残しているのがあったら頂こうかと……」
「馬鹿者! 手元にまだあるではないか! 鍋の中にも十分ある、そのような無礼をはたらくようであれば即退店、当店流に言うならば江戸十里四方所払いに処すぞ!」
「ははぁー御見それしやした」
大が突っ伏すように頭を下げる。逆らえばお白州に引き出されて獄門を言い渡されるのだろうと思い、身震いしながら。
「しかし、健康的に食えて助かるね。奉行様、おかわり頼むよ」
気を取り直してのおかわりに、鍋奉行は態度を軟化させてよそう。
気付けば、鍋はほぼ空に。誰もが満足そうに、とんすいをテーブルに置いた。
「とても美味しかったですし、楽しかったです。ごちそうさまでした」
柚子が箸を置いて頭を下げると、鍋奉行は満足そうに何度もうなずく。
「サービスも至れり尽くせりで大変良かったです。御馳走様でした……けれど、貴方は本当の店主じゃ無い」
「このお店で本当に腕を振るうべき店主はあなたではないはずよ」
クアトロリッツァも、仲間を見習って箸を置く。
「恩を仇で返す様な形で申し訳ないですが——」
と、アルトが立ち上がろうとすると。
「あっ、まだ食べてるから戦闘ちと待って」
と、大がストップをかける。かきこむように汁も飲み干し、ごちそうさまと手を合わせ、大は立ち上がり。
「今日は美味かったよ。じゃあ食後の運動に付き合ってくれよな」
すらりと抜いた斬霊刀「大和守 鉄機爆神丸」を鍋奉行へと向けた。
「む」
尋常ならざる様子のケルベロスたちに囲まれ、鍋奉行は湯気を発生させる。しかし、その威力は本来の半分だ。
「恐るるに足らず、ですね」
柚子が爆破スイッチ「Cynical bomb」を押す。湯気を晴らすように、こだわりの色彩が前衛の背後を彩った。続いてアルトの放ったオウガ粒子が前衛に降り注げば、柚子のウイングキャット「カイロ」が翼で風を起こす。銀色の毛並みが揺れ、前衛が加護に包まれた。
「たくさんの援護、ありがとう! それじゃ、僕はがんがん行かせてもらうよ」
リィンハルトが降らせるのは「追の蹤雨」。ずぶ濡れになった鍋奉行に攻撃を仕掛けようと、彼方が慌ててエアシューズで駆け出す。急ぎ攻撃を繰り出すが、エアシューズの先は鍋奉行を掠めるだけだった。
「しまっ……」
「大丈夫、フォローするよ!」
ココが詠唱し、狙いを定める。放たれた魔法光線が鍋奉行へと直撃し、続けて大の御業が鍋奉行を鷲掴みにする。彼方のライドキャリバー「ヤタガラス」がガトリング砲で掃射すれば、ココのミミック「松乃進」が具現化した武器で、いちまるが手にした凶器で殴りつける。畳みかけるようにプルトーネが時空凍結弾を撃ち込み、クアトロリッツァが呟いた。
「楽しい夜にしましょう」
夢へと誘う回転木馬が、鍋奉行に不思議な色の世界を見せる。ふらつきながら何とか体勢を立て直す鍋奉行を見て、柚子は柔和な笑みを浮かべた。
「私たちの敵でありませんね」
●鍋奉行のあした
味方を庇って傷ついたヤタガラスが、炎を纏って突撃する。プルトーネの拳が、凄まじい衝撃を与える。いちまるの応援動画が彼方を癒やせば、アルトが掌からドラゴンの幻影を放つ。
もはや、勝利は確実。仲間の攻撃に翻弄される鍋奉行を横目に、大はグラビティ・チェインを石へと注ぎ込んだ。
「石より生まれし鋼の刃よ。目覚めろ。穿て。弾けろ」
大の投げた石が、刃に変化する。そのまま真っ直ぐに鍋奉行へと飛行すれば、幾筋もの創傷を与えた。
「ま……まだまだッ!」
鍋奉行がプルトーネの眼前で箸をさばいて、風を起こそうとする。が、風がよりもクアトロリッツァが割り込む方が早かった。
「させないの」
鋭利な風で受けた傷は、柚子のサキュバスミストですぐにふさがれる。
「そろそろ決着を……! ブレイブスター! モードクズリュウ、ブートオン!」
彼方が声を張り上げると、無骨な両手剣が現れた。勢いのまま大きく振り切ると、9つの斬撃が発生する。鍋奉行も今度は回避しきれず、全ての斬撃を正面から受けてしまう。
体勢を立て直そうとする鍋奉行に、簒奪者の鎌「rosee」を手にしたリィンハルトが迫る。斬撃とともに自身の体力を回復し。
「ココちゃん!」
「うん!」
ココが応え、簒奪者の鎌を鍋奉行へと投げつける。鎌が鍋奉行を切り刻み、ココの手元に戻って来るが早いか——鍋奉行は、蒸発するように消滅した。
アルトは店内にヒールを施し、戦闘で破損した箇所を修復してゆく。
「店長さんを起こしてあげよう。風邪引いたら大変だしね」
プルトーネが厨房へ向かうと、倒れている店長が目に入った。助け起こし、残っていたきりんたんぽを店長に差し出す。
「これとっても美味しいよ。どうもありがとう」
「君たちは……これはきりたんぽ……? 一体何が……」
「お鍋は自由に楽しくだよ。でもね、分からない事があったら教えてね。店長さん」
にっこりと微笑むプルトーネの後ろで、柚子が事のあらましを説明した。事件のきっかけや、ケルベロスたちが倒したドリームイーターのこと。店長は目を閉じて静かに聞き入る。
「——というわけです。今回は失敗だったかもしれませんが、これを糧に再起してみませんか?」
「例えばですけど……鍋奉行システム、月1の事前予約限定にしてみては?」
提案するアルトに、店長は目を見開いて「その手があったか」と感心する。リィンハルトは店長の目の前にしゃがみこみ、笑顔を向けた。
「きっと出来る事まだまだあるよ。きりたんぽ鍋とってもおいしかったし、僕みんなに宣伝しておくね」
「ココ、お鍋がすごーく好きになったよ! きりたんぽも美味しかった!」
シーチキン載せて食べたらおいしいかな、とちょっぴり考えつつ、ココは言葉を重ねる。
「あったかくてみんなで一緒に食べられるの。とってもうれしい食べ物……素敵だよね」
「偶には奉行様にきちっとしてもらうのも良いですね。でもやはりちょっと窮屈な気もするかな? 気兼ねなく食べるも鍋の醍醐味だからね」
「むい、あいすまなかった」
大の言葉に、店長は頭を垂れる。
「とても美味しかったの。これだけ良いものなら、しっかり評価されて欲しいとわたしは思うの」
サービス業の需要と供給がシビアであることを理解しつつ、クアトロリッツァは店長を励ます。かたじけない、と何度も頭を下げる店長に、彼方はおずおずと声をかけた。
「最初に食べたのは美味しかったけど……どうせなら、店長さんが直に作ったものが食べたいですね」
「賛成。……材料できりたんぽ残ってたら食べていいかい?」
便乗する大を見て、店長は顔を上げて破顔する。
「無論、お礼に好きなだけ食べていくといい。しばし待たれよ、支度するゆえ!」
店長は張り切って立ち上がり、嬉しそうに厨房へと駆けていった。
作者:雨音瑛 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2017年1月24日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 4
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