
とある街中の講堂。
そこでは、着物の着付け教室が行われていた。
「はい、これで完了です」と、講師の宮野沢賢子が本日の講習を終えた、その時。
「全員そのまま!」
醜い鳥の顔をした怪人。それを筆頭とした、十数名ほどの集団が講堂に押しかけたのだ。その嘴を開いた鳥怪人は……顔に似合わぬ力強さと鋭さを有した声を、講堂に響かせた。
「我々は『着物の帯を回し隊』である! 我らは、着物の帯を引っ張って回す事を、こよなく愛する集団である! 故に……我らはそれを実行するものである!」
「……あの、何をおっしゃってるのか、訳が分からないんですが」
一瞬の思考停止後、質問する賢子。しかし、
「黙れぃ! 『着物の着用者の帯を引っ張って脱がす』事は、男のロマン! それを実行して何が悪い!」
鳥怪人の隣に控える男性が、力強く主張した。
「良く言った市蔵! そうとも! 時代劇において『あーれー』と言わせつつ着物を脱がせるシーンには、誰もがハァハァしたはず! それを実行して何が悪い!」
などと、わけのわからん事を抜かす鳥怪人。
「いや、悪いでしょう。っていうか犯罪じゃないですか」
しかし、賢子のそんな指摘なぞ、当然ながら聞く耳持たず。
「全員かかれぃ!」
と、集団は生徒たち、そして賢子に向かって襲い掛かった。
「……と、皆さん。こんな事件が起こりました」
セリカが、君たちへと今回の内容を伝える。
「以前に『女騎士の鎧は脱ぎ捨てるべし』というビルシャナと信者とが事件を起こしました。それはエメラルド・アルカディア(雷鳴の戦士・e24441)さんたちの活躍で無事解決しましたが……」
今度もまた、同じような事件が起こった、というのだ。
それは『着物の帯を回して脱がせたがる者たち』。和服を着た女性の帯を引っ張って、回し、その着物を脱がせる……という、訳の分からん事を行う連中。何のフェチだかわからんが、とにかく女性の服を勝手に脱がす時点で迷惑千万極まりない。なのでこいつを何とかしなければならない。
「というわけで、このビルシャナに対し、『帯を引っ張って回し脱衣させる』事以上の、インパクトのある主張を行い、周囲の配下となった人間たちを防いでください。ビルシャナさえ倒せば、この人たちは元に戻ります」
そう言った彼女は、続いてこのビルシャナの説明に移った。
「この外観は、実に醜い鳥の姿をしていますね。まるで味噌を塗りたくったかのように、顔中に汚らしい色のマダラ模様が浮かび、平べったく歪んだ嘴が、耳まで裂けています。しかし、その声は妙に鋭く、大きく響き……何か猛禽を連想してしまいます」
その用いるグラビティは、経文を唱えて心を乱し、孔雀の形の火炎を放って敵を焼き払い、自身の傷を癒すために光を放つ事の三種。
「で、この講堂ですが。元は柔道場として用いられていたようで、スペースはそれなりにあります。床には畳のマットがひいてあり、窓は閉め切られ、出入口は奥の事務室に続く扉と、正面の出入口だけですね。このビルシャナと信者たちは、出入口から入り込んできたようです」
その信者たちは、六十~七十代くらいのオッサン連中。どうも口走った内容から、時代劇を好んで見ていたらしい。
「これが説得のヒントになればいいんですが。とにかく……」
こんな阿保で迷惑な事を放置するわけにはいかない。が、理屈や正論では、この連中の説得はできないだろう。インパクトある主張を用い、そのための演出を考え、説得し、これ以上被害が大きくならないように撃破する必要がある。
「……皆さん、この訳の分からんフェチたちの迷惑行為を、とっとと止めて下さい。よろしくお願いします」
参加者 | |
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![]() ラハティエル・マッケンゼン(マドンナリリーの花婿・e01199) |
![]() 蒼樹・凛子(無敵のメイド長・e01227) |
![]() クリームヒルデ・ビスマルク(自宅警備ヒーラー天使系・e01397) |
![]() スミコ・メンドーサ(グラビティ兵器技術研究所・e09975) |
![]() 霧城・ちさ(夢見るお嬢様・e18388) |
![]() 盟神探湯・ふわり(悪夢に彷徨う愛色の・e19466) |
![]() エメラルド・アルカディア(雷鳴の戦士・e24441) |
![]() 蒼天道・風太(独太刀・e26453) |
●着物を脱がすにゃ、帯を引け。
「全員かかれぃ!」
と、ビルシャナが叫んだその時。
「待ちなさい!」
と、時代劇の主役のように、声が響き渡った。
「誰だ!」
ビルシャナと信者たちは動きを止め、周囲を見回した。
「こんな、『脱がす』なんて、良くない事を広めるなんて許せませんわね! これには指導が必要ですの」
講堂入り口に、彼女……ウイングキャット『エクレア』を引き連れた、サキュバスの少女の姿が。
小柄ではあるが豊満な肉体と、桃色の瞳を持つ少女……霧城・ちさ(夢見るお嬢様・e18388)は、呆れた口調で言葉を投げつけ続ける。
「皆様、時代劇を見ていらしてるなら、着物を脱がそうとした人の末路は分かりますわね?」
質問と化した言葉に、ビルシャナと信者たちは思わず考え込むように黙り込んだ。
『ええっと……こちらもハダカになる?』『馬鹿、そんなの当たり前だろ』『そのまま逃げられる、じゃったかの?』『ううむ、最近のナウなヤングはようわからん』
などと、互いにぶつぶつ言い合う老人たち。その隙にと、三人のケルベロスがすばやく講堂内に入り込み……宮野沢賢子と着付けの生徒たちの集団の前に、守るかのように立ちはだかった。
『な、なんだ!? お前らは?』
「ふわりはぁ~、盟神探湯・ふわり(悪夢に彷徨う愛色の・e19466)っていうの~」
ビルシャナに問われ、ぼんやりした印象の細身の少女が、緩めの口調で答えた。
「ああ、俺は蒼天道・風太(独太刀・e26453)っす。……さ、皆さん。こちらっすよ」
ふわりに続くは、レッサーパンダのウェアライダーの少年。彼は既に、着付け教室の生徒たちを事務所側の出口から逃がすように誘導していた。
「……私は、エメラルド・アルカディア(雷鳴の戦士・e24441)」
三人目は真面目な口調の、先のふたりより年上な、ヴァルキュリアの少女。高校のクラスで、委員長を務めているような印象を周囲に与えていた。彼女もまた、着物姿。
「お前ら! 我々の崇高な目的の邪魔をする気か!」
平たい嘴を開き、ビルシャナは吠えた。エメラルドはそんなビルシャナに、呆れてかぶりを振る。
「何が崇高だ。しかし……鎧の次は着物とはな。しかしどうして、ビルシャナは人の服を脱がせたがる者が多いのか……」
が、そんな三人の隙を突き、信者の一人が宮野沢へと襲い掛かる。
「え……きゃあっ!」
「逃がさん! この市蔵、命を懸けて帯くるくる脱がしを成功させましょうぞ!」
市蔵を名乗った中年男性は、宮野沢の帯を握りしめ、引っ張ろうとした。
●引いて回せば、肌も出る。
「何をやっとるか貴様ぁっ! 帯の掴み方があまぁい!」
一喝され、市蔵はその場で動きを止める。
「な、何を……」
「がっつくんじゃあないよ! もっとソフトに、徐々に加速していくように帯を引っ張るようにしなければならない! そんな体勢でやれるとでも思っているのか!」
市蔵を一喝したのは、短い黒髪に眼鏡をかけた、身長低めの女性。彼女……スミコ・メンドーサ(グラビティ兵器技術研究所・e09975)は、「どれ、貸してみろ!」と、市蔵の手を離させ、自身が掴み、引っ張った。
「え……ああああっ!?」
スミコに帯を引っ張られ、宮野沢の身体が回転していく。それと共に、彼女の着物も脱げていった。
『おおっ、なかなかやるな!』『うむ、見事な引っ張り方だ!』などと、市蔵とビルシャナから感心されるが……。
「さ、今のうちに……」
スミコに回転させられた宮野沢は、そのままエメラルドに受け止められ、事務所側の出入口から逃走する事に成功した。
「さて、これでお仕置きのお話しが通じると思いますけど?」
ちさがゆっくりと、言葉を逆に投げかける。たじろいだ市蔵はビルシャナの元へと下がり、ケルベロスらと対峙した。
「な、な、何がお仕置きだ! やれるもんなら……」
『やってみろ』と言うつもりが、言えなかった。
「おとっつぁん!」
町娘めいた浴衣の少女に、遮られたのだ。
浴衣を着て出現したのは、クリームヒルデ・ビスマルク(自宅警備ヒーラー天使系・e01397)。銀髪と白い肌を有した、オラトリオの女性。
「おとっつぁん! なんて大それたことを……。若い娘さんの帯を引っ張って回すなんて、悪代官のやることです!」
彼女はこれまた、時代劇に出てくる町娘めいたしぐさで、市蔵を含む信者たちへと訴えかけるかのように手を合わせる。
「今ならまだ間に合います。まじめで優しくて、仕事一筋だったおとっつぁんに戻って!」
彼女に面食らうビルシャナと信者たちだったが、
「ええい! そんな茶番に狼狽えるな!」
と、ビルシャナが一喝。
『そ、そうだ! この程度で帯くるくるを否定されてたまるものか!』
と、信者たちの半分近くは元に戻るも、
『いやあ……娘の幼い頃を思い出すなあ』『うちの孫みたいじゃ。若い頃の婆さんにもにとるのぉ』
などと、顔を緩ませる。
「おとっつあんたち! わかってくれたんだね!」
と、クリームヒルデは顔を輝かせるが、
『こういう娘こそ、帯クルクルにふさわしい!』
などと、中年男性たちは興奮しつつ、じりじり迫ってくる。
「……って、逆効果だったようですわね」
「そのようだ」
その様子を見たちさとスミコは、若干の頭痛がするのを否定しきれなかった。エクレアも呆れたようにかぶりを振る。
「……ええい、何をやってるかこの戯け者ども!」
と、エメラルドがこの場を仕切り直さんと叫ぶと。
「そうですわね。そもそも……せっかく着ている着物を、脱がすなんて……もったいないですわ」
しとやかな口調の女性の声が、男とともにその場に入り込んできた。
●脱がしてゆくんだ、しっかりと。
「……ったく、さっぱりわからん。キモノの帯を引いて回し脱衣させる、だあ? なんだそのわけのわからん嗜好は。そんなもののどこが良いんだ」
精悍な印象のオラトリオが、着物姿の少女と共に講堂内に入ってくる。着崩したトレンチコート姿の彼の名は、ラハティエル・マッケンゼン(マドンナリリーの花婿・e01199)。
「帯を引いて回したいのか、脱衣させたいのか。……いや、考えても本当にわけがわからんな」
「というか、着物を脱がすのに帯を引く必要もありませんわ」
藍色の瞳と髪、そして竜の角を頭に生やした、ドラゴニアンの彼女……蒼樹・凛子(無敵のメイド長・e01227)が、相槌を打った。着ているのは、百合の花模様の振袖。
「ですが、そんなコメディみたいな事をしなくとも、着物を着ているだけで色気も、艶もあるというのに……」
そう言って、凛子は合わせや肩を……、
「そう……こんな風に。いかがかしら?」
……大きくはだけてみせた。
色白な肌、肩口や豊満な胸元、うなじが露わになり、『おおおっ!』と中年男性たちはそれにかぶりつくかのように見入る。
「そうだねー。ねえおじさんたち、皆本当に、『くるくる回して脱がすだけ』が、一番なの……?」
凛子の隣りに、着物を着ているふわりが並び立つ。
恥ずかしそうに、彼女もまた……自分の着ている着物をはだけさせ、肩や胸元を見せる。凛子と異なる魅力の彼女の肌が露わになり、中年男性たちの『おおおおおっ!』という声が更に響いた。
「こうやって……焦らしちゃうシーンも、ふわりは……良いなって思うの」
そう言って、恥じらい微笑むふわりに対し、
『い、いやあ、良いもんですなあ』『まったくですなあ。十年……いや、二十年は若返った気分ですわい』『それにしても、最近の若いのはケシカランですなあ~』
などと、信者たちは全員鼻の下を伸ばし、二人の女性のはだけた着物姿にくぎ付け。
「ふわり、皆ともっとこういうお話ししたいの。ねえ、お風呂のシーンとか、どんなのがいいのか……ふわりに、教えて?」
胸元どころか、上半身がほぼ脱げてしまったふわりに対し……信者たちは躊躇した。二秒ほど。
そして、三秒後。
『ぜひ教えてあげるとも! 風呂のシーンはおじさんが一緒に!』『何言っとるんじゃ! 年長者のワシが先じゃ!』『いいや! お迎えが近いジジイより、自分の方が!』
などと、欲望ダダ漏れでふわりと凛子に迫り、そのまま皆でケンカし始めた。
「なっ! おいお前ら! 帯を引っ張ってクルクル回すのは……」などとビルシャナが叫ぶが、色狂い欲ボケの群れと化した信者たちは、既に聞く耳を有してなかった。
「ん、ぅ……何か見られてるの、変な気分なの……」そんな状況下。ふわりは羞恥と戦い、肌を紅潮させている。
「ふふっ、殿方はいくつになってもしょうがないですね」対照的に、凛子は少しだけ妖艶な笑みを浮かべていた。
そして、
「ええい! 静まらぬか! この…戯け者ども!」
いい加減にしろとばかりに、エメラルドの一喝が響いた。
●自分の欲望、噛みしめて。
「準備と思い時代劇を幾つか見てきたが、帯を引いて回すのは悪人ばかり…そのような邪な気持ちで着物の者を見ているのか!」
エメラルドの言葉の刃が、浮かれた中高年の男性へと切り込まれる。さすがにそれを聞き、全員が静まりしょんぼりと肩を落とした。
「悪人を倒す侍にこそ憧れても、そのようなおまけの場面に憧れるなど本末転倒ではないか? ましてや貴様らは、若人の模範となるべき年長者! 婦女子の着物を脱がす事にうつつを抜かすなど、恥を知るがいい!」
が、信者たちはそれに不満顔。
『しかしなあ、わしらだって男。女子の裸はいくつになっても見たいものじゃ』『そうじゃそうじゃ。それくらいなら別によかろ?』『つーか、他にどうやって脱がせと?』
「ええい、まだそんな事を……」と、いきり立つエメラルドだったが、
「ああっと、ちょいと良いっすか?」風太がそれに割って入った。
「着物を着てるって事は刀があるって事っす。折角あるのに刀を使わないなんて、勿体ないっすよ? それに、こういう時はハプニングが大事って聞いたっす。エメラルドさん、協力お願いするっす。危ないんで、動かないで下さいっすね」
「あ、ああ」
そういえば、事前に協力をお願いされていたな……と、エメラルドは思い出した。が、その詳細までは聞いていない。
風太はそんな彼女に対し、
「帯を引いて回して脱がすんじゃあなくて、刀で着物だけを切って危ない感じにした方が、時代劇っぽいと思うんすよ。こんな風にね」
腰の刀を構えて……居合切りのごとく、素早く刀を抜き、彼女の着物を切り裂いた。
「……へっ?」
エメラルドは、自分の着物を切り裂かれた事を理解するのに、若干の時間を要した。帯はそのままだが、裾は太ももが露わになり、肩はもちろん、胸元も大きく切り取られ……両胸もほぼむき出しにされてしまっていたのだ。
『うおおおおおおっ!』と、男どもの好色な叫びが講堂内に響く。
「……こ、こんなお約束とは聞いてないぞ!」
両胸を覆った布がずり落ちる前に、エメラルドは両胸を押さえてしゃがみこんだ。
「まあ、真っ赤になってるの」ふわりも彼女に注目し、
「あら大胆。それに、形の良い両胸ですわね」凛子もまた、エメラルドの肢体に見入る。
そして、信者たちは満足そう。
『いやあ、良いもん見たのう』『うむ、脱がすのは帯を引っ張るだけではない!』『他にもいろいろなシチュエーションがある、と言う事を忘れておったわい』『眼福眼福』
そんな彼らに、クリームヒルデは促した。
「さ、おとっつぁんたち。わかってくれたんなら早くこっから出よう?」
クリームヒルデが促し、
「そうですわ。それに時代劇がお好きなら、主役の側にいるほうがかっこよくて女性にも受けがいいはずですし、気分がいいはずですの。違いまして?」
ちさも言葉をかける。
彼女たちに促されたオッサン連中は、ぞろぞろと出口へ向かっていった。
「なっ……おい! お前ら! 情熱はどうした! 市蔵! お前まで!」
ビルシャナが必死に引き留めようとするが、市蔵と呼ばれた男はかぶりを振った。
『いいんですよ……帯くるくる以外にも、浪漫というものがあったという事です……』
そう言って、市蔵も去る。残るは、ビルシャナ一人。
「この腑抜けどもがあああっ! ならばこの自分が、この邪魔ものどもを片付けてやる!」
汚い嘴を広げつつ、そいつはケルベロスたちへと突進した。
だが、ケルベロスの方が素早かった。とっさに動いたのは、ラハティエル。
「いいだろう、こちらもキモノを脱がすのがどうこうという話には、いささかうんざりしていたんでな……! さあ、戦いだ!」
ラハティエルが正眼に構える波、滅魔刀『レガリア・サクラメントゥム』。鋭き抜き身の日本刀、ないしはその刀身が、ラハティエルの地獄の炎に包まれる。
ビルシャナもまた、孔雀炎を放った。が、
「はっ!」
それをかわして踏み込んだ、ラハティエルの『ブレイズクラッシュ』、地獄の炎を纏いし刃の一閃が決まった。汚いビルシャナの身体へと食い込み、その体を地獄の炎で包み込む。
苦痛の叫びをあげ、ビルシャナは脇へと転がった。が、すぐにその体勢を立て直し、立ち上がる。
ビルシャナの身体から光が放たれ、それがたった今ラハティエルが負わせた傷を高速で癒やしていく。
「貴様なんぞの攻撃が効くものか!」
だが、得意げなビルシャナへ、新たな攻撃が襲い掛かる。
「『旋刃脚』っ! ごめんあそばせっ!」
ちさが放った、弾丸のような連続キック。その猛襲がビルシャナの身体へ確実にヒットし、確実にその体力を削っていくのをちさは知った。
光を放ち、ビルシャナは回復せんとするが、その背後にいつの間にか……デモニックブレイブを手にしたスミコが立っていた。
「悪いけど……もらったっ!」
『バックスタブ』。
敵の背後に忍び寄り放つ、必殺の一撃。デモニックグレイブの刃が、ビルシャナの命へと切り込まれ、その命ごと切り捨てた。
●ああ着物脱がせに、涙あり。
「……無茶やっちゃってごめんなさいっす」
エメラルドに言葉をかけた風太は、半裸状態の彼女へ自分の上着を着せた。
「いや、もう大丈夫だ。それにしても……」
講堂内の僅かな破損は修復され、着付け教室の宮野沢と生徒たちも無事。そして信者だった男どもは、ケルベロスらからお説教。
「……それにお前ら。一つ、間違っているぞ」
説教していたスミコが、熱く語る。
「……時代劇の一番萌えるシーンとは……入浴シーンに決まってるだろぉ!」
「な、なるほど!」「確かに、それも良かったですわい」「ああ、あんな良い女子と温泉に入りたいですなあ」
などと言っている男たちを見て、エメラルドは若干の不安を禁じ得なかった。
「……まあ、解決したようだから、良いか。にしても……」
くしゅんっ……と、くしゃみするエメラルド。まだ肌寒い季節が続く。
早く春が来てほしいと、そう思う彼女たちであった。
作者:塩田多弾砲 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
![]() 公開:2017年2月22日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 3/キャラが大事にされていた 3
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