正月ムードもどこへやら、忙しなく行きかう日常はもはや年明けなどというイベントは記憶の彼方に普段どおりの日常が街にはすっかりと戻っている。
夜の歓楽街はそこかしこにネオンの光が明滅し、この寒空の下はっぴ姿の客引きの姿はどうにも寒々しい。
しかしその頑張りもあまり成果は上がっていないらしい、というのも、どうにも街行く人の数が少ないように映るからだ。
「寒さのせいだけってわけじゃねぇよなぁ」
ぶらぶらと夜の街を彷徨っていたサイガ・クロガネ(唯我裁断・e04394) はその不自然な人通りの少なさに、ふと、最近偶然耳にした噂の事を思い出し、その足を暗い路地裏の方へと向けた。
「まさかとは思うが、ま、一応だな」
ぼそりと呟きながら手元の携帯端末を操作し彼は最近まことしやかに囁かれる一つの噂について調べ始める。
その検索に掛かったページの一番上に踊る見出しは、『包帯快楽殺人鬼』。
「皆さん、お正月はいかがお過ごしでしたでしょうか? ゆっくりと休まれましたか?」
ニア・シャッテン(サキュバスのヘリオライダー・en0089)はケルベロス達と顔を合わせると、そんな軽い世間話を交わした後、軽く頷いて本題を切り出した。
「さてさてそんなわけで、皆さんに集っていただいたわけですが、今回サイガさんの調査によって、新たにとある噂への興味から生まれたドリームイーターの出現が確認されました」
まだ調査報告が上がって間もないのか、ニアはしきりに端末を確認し情報を頭に入れつつケルベロス達にも今回の事件について、話し始める。
「今回元となった噂は、アルゴラグニア……疼痛性愛の快楽殺人鬼が街を夜な夜な徘徊し、気に入った得物をじわじわと追い詰めていき、殺すというものらしいですね」
それだけならよくある話ですが、と彼女はいいながら詳しく噂について説明する。
疼痛性愛とは加虐に限らず被虐においても快感を得られるということで、件の噂の殺人鬼は強い反抗の意思を示し、自らを傷つけたものを更に執拗に狙い、逆に単純に驚き逃げようとする等の反応を返すものはあまり狙わないらしい。
「その特徴から、体中を斑に血に染めた包帯で覆っているという外見をしているらしいです。なかなか見た目のインパクトはありそうですね?」
噂だけじゃなく、その辺り、返り討ちにあわせて見せる、なんて豪語してるとあっちの方からふらふら引き寄せられてくるかもしれませんね? とニアは笑いつつ、敵の戦闘方法について説明する。
「手にした凶器による攻撃、包帯を使った締め付け、あとはこれは、戦闘技能といっていいのか謎ですが、痛みを受けるほど更に果敢に攻め立ててくるようですね……変態さんって怖いですね?」
フフっっとニアは妖艶な笑みを浮かべ、もう一度端末に視線を落とし伝え忘れたことがないことを確認すると、ケルベロス達に向き直る。
「新年早々こんな不気味な噂話で盛り上がるよりも、もっと楽しい話題で盛り上がりたいですよね? 皆さんが安心して外出できるように、パパッと手早く片付けてしまいましょう」
参加者 | |
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ティアン・バ(灯の煙・e00040) |
シェイ・ルゥ(虚空を彷徨う拳・e01447) |
サイガ・クロガネ(唯我裁断・e04394) |
メアリベル・マリス(グースハンプス・e05959) |
香・褐也(盲目ディストピア・e09085) |
紗神・炯介(白き獣・e09948) |
ヴィルベル・ルイーネ(綴りて候・e21840) |
アウレリア・ドレヴァンツ(白夜・e26848) |
●
キラキラと怪しげな夜の光が明滅する小さな都市部の歓楽街。
ここ数日の寒波、加えて街に飛び交うとある噂のせいか人通りは少なく、客引きに出ている人々は皆一様に空を覆う厚い雲を恨めしげに眺めては体を小さく震わせている。
そんな閑散とした歓楽街で空を見上げる人々は視線がふと道行く二人組みへと吸い込まれていく。
夜のどこか怪しげな光を放つ街並には似つかわしくない幼い少女と、それよりも少し大人びた少女の二人組。
人々はそんな二人組の少女達に声をかけるでもなく、ただぽかんと見つめている。
それに気づいているのか、いないのか、メアリベル・マリス(グースハンプス・e05959)は特に気にした様子もなく、隣を歩くどこか茫洋とした少女ティアン・バ(灯の煙・e00040)へと話しかける。
「なんだか今日はとても人が少ないのね?」
明るく周りにも聞こえるような声で喋るメアリベルの言葉に、ティアンは手にしていた携帯端末に二度三度触れた後、それをコートのポケットに落とすとゆったりとした声で最近この街を賑わす荒唐無稽な噂について語り始める。
「なんでも最近、快楽殺人鬼がでるらしいぞ」
ティアンは興味深そうにこちらを見上げ、その瞳を輝かせるメアリベルに軽く視線を向けた後、歩いてきた通行人から彼女をさりげなく庇いつつ、その続きを口にする。
「アルゴラグニアの快楽殺人鬼、とかいう謳い文句で噂になっているらしい」
「疼痛性愛の快楽殺人鬼?」
「血まみれの包帯をまいているらしいから、みればすぐにわかる」
「すてき、とってもすてき! まるでグランギニョルの登場人物ね」
その容貌に似合わぬ内容で喜ぶメアリベルの様子を、いささか不思議な目で周囲の疎らな人々は眺めながらも、すぐにそのことを忘れ、寒さに足を速めて過ぎ去っていく。
彼女達の歩く通りは徐々に道幅が狭くなり、一つ角を曲がるたびに、明かりが少なくなり、気づけば人通りの殆どない、裏路地のような暗がりへと二人は歩いていく。
「みつけたらおしおきだな。
とびきりいたいの……あれ、いたいの好きなら、これではおしおきにならないか?」
腰に提げた電燈のスイッチをいれながらティアンは自分自身の言葉に首を傾げ、周囲へと視線を走らせる。
建物と建物の間にできたぽっかりと空いた道ともいえぬその場所に、わざわざ踏み込むものなど普通であればいないはずであった。
「ねぇその殺人鬼は、どんな姿だったかしら?」
ティアンと同じ様に視線を彷徨わせ、正面へとそれを戻したメアリベルは、そんなことを呟く。
「……今、目の前にいるような、血だらけの包帯を巻いた姿だ」
その返答と共に、それが笑ったのが二人にはわかった。
表情すらも包帯に隠し、この遠目からそれを確認することなど出きる筈もないのに、確かにそれが包帯の下、ニタリと口を歪めその瞳を輝かせ笑ったのだと怖気と共に、確信する。
「ママ!」
メアリベルの呼びかけに応え、彼女の影からそのビハインドは素早く這い出る。周囲に散乱する瓶や缶といったゴミがふわりと浮き上がり、それらは一斉に殺人鬼を目掛け殺到する。
数多の破砕音、続くのは、殺人鬼のくぐもった奇妙な笑い声。形容しがたいそれは、ただはっきりと、喜悦の色だけを示し、包帯に新たな赤い染みを増やしながら、それは二人を目掛け走り始める。
「くるといい、殺人鬼」
ゆっくりと響くティアンの声。
「いきている輪郭を、なぞったりなぞられたりしよう」
その誘うような言葉に、一時足を止めた殺人鬼は、先程よりも大きな笑い声を上げ、積み上げられたゴミや、ガラス片を踏みつけ、我武者羅に二人を目掛け、突撃を始めた。
●
歓楽街から幾つか通りを離れただけの暗い路地裏にはひっきりなしに破砕音が響き、メアリベルとティアンの二人は、鬼ごっこを続けていた。
時折手を出しては猛然と襲い掛かる殺人鬼をいなし、狭い道をひた走る。
しかしそれは長くは続かない、数分と立たぬうちに二人の前に古く痛んだビルの壁が立ちはだかった。右も左も、背の大小はあれど、同じ様にのっぺりとした壁面が行く手を阻む、路地裏の袋小路。
二人が振り返る先には、唯一の道を塞ぐように立つ殺人鬼の姿。
酷く曲がった猫背の姿勢で更に顔を突き出すようにして、それは二人を眺め、手元の凶器――大振りな包丁と裁ちばさみを弄びつつ、やがて、どちらを先にいたぶり、その悲鳴を聞くのかを決めると笑い声を上げながら滑るように走り出す。
狂人は一足飛びに間合いを詰めると、握りこんだはさみを振り上げ、ティアンの眼窩を目掛け、それを力一杯振り下ろす。
それよりも早く、周囲に七色の爆発が吹き荒れた。
それはティアンの発した開戦の狼煙。
明かるい爆風に照らし出され、浮かび上がる地に這う黒鎖の描く守護の陣。
「――さぁ、いくわよ」
アウレリア・ドレヴァンツ(白夜・e26848)の声と共に陣からは淡い光が立ち昇り、迫りくるはさみの一撃を澄んだ音と共に弾き返す。
「知恵比べの時間だ」
それと同時、狭く薄暗いその空間を、数多の術式が埋め尽くす。それらを生み出すのは、ヴィルベル・ルイーネ(綴りて候・e21840)の手にする、一冊の魔導書。一つ一つの術式は相対する者の受ける加護を打ち破るのに最も適した解を仲間達へと瞬時に与え、また敵のその加護を写し取って行く。
瞬く間もなく形成されたその戦場は、殺人鬼を呼び寄せ打ち倒すために彼等が事前に用意し、組み上げた、即席の処刑場。
ティアンのポケットに落とされた携帯端末は通話状態のまま彼女たちの居場所、状況、全てを仲間へと伝え、この状況作り出すのに一役買っていた。
突然の出来事に、ようやく新たな得物達を見つけた殺人鬼が、はさみで包丁をはさみ、滑らせ、耳に障る金属音を鳴らし喜びを露わにしたその矢先、その横っ面を闇に解ける青く暗い炎を纏う一撃が襲う。
吹き飛ぶ殺人鬼の体、その勢いも止まらぬ内に、畳み掛けるようにその体に、無骨な剣の一撃が叩きこまれ、包帯に新たな染みが浮かび上がる。
人の身であれば耐えることの出来ないその攻撃を受けながらも、デウスエクスであるそれは、歓喜の笑い声を上げ、地をのたうち回る。
「ほぇーマジモンの変態じゃん」
初撃を叩き込んだサイガ・クロガネ(唯我裁断・e04394)はまるで人事のように、痛みに喜び、歓喜に震える殺人鬼を眺めながら、どこか気の抜けたような言葉を零しつつも、その鋭い視線を敵から外すことはない。
「変態ねー……変態だよねー……」
対して今しがたサイガに息を合わせ連撃を叩き込んだ紗神・炯介(白き獣・e09948)はそのコンビネーションとは裏腹に、どこか遠くを見つめるような瞳で虚空を見つめている。
「ドSでドMって、色々と厄介な性癖しているね……。そういうちょっと危ない人は私的には避けたいところなんだけどなぁ」
炯介の呟きに頷きながらシェイ・ルゥ(虚空を彷徨う拳・e01447)もまた、敵のほうへと視線を向けながらも炯介の隣で軽く肩を落とし、小さく溜息を吐いた。
「そうも言うてられんみたいやで」
香・褐也(盲目ディストピア・e09085)に後ろからそう声をかけられ、シェイと炯介の二人が前を見据えれば、深く、長い、甘い息を吐きながら殺人鬼は立ち上がり、首元を掻き毟りながら、天を仰いでいる。
「……変態さんだわ、変態さん」
その怖気の走る様子に、アウレリアは寒さ以外の何かに身を震わせながら、思わずそんな風に口から言葉を漏らしてしまう。
そうしてなじられる事すらも快感なのか、或いは怯えるアウレリアに対し、嗜虐心をそそられたのか、吐息を叫びへと変え、殺人鬼はケルベロス達へと飛び掛る。
シェイが拳を引くように構え、褐也もまたその後方で敵の動きを伺い、迎撃の態勢をとる。
「喜べよ、サイコーにハッピーな夜のはじまりだ」
サイガの敵を焚きつけるような言葉と共に、ケルベロス達もまた、踏み出す。
歓楽街の光も届かぬ街の片隅で、ケルベロスと都市伝説の具現の殺し合いがひっそりと幕を開けた。
●
夜の片隅に響く不気味な笑い声と、くぐもった喘ぎ。
どちらを発するのもただ一人の殺人鬼。
ケルベロス達が度重なる攻撃を重ねようとも、敵の動きは一切の陰りを見せることはなく、むしろ攻撃を受けるたび、繰り出すたびに、早くなっているようにさえ感じられる。
「今、楽しいかい?」
炎弾を打ち出しつつ問いかける炯介、対し殺人鬼はその行動をもって答えを返す。炎弾を正面から受け、その包帯が燃え上がる。怯むことなく振り降ろしたた包丁の切っ先がメアリベルの肩口を捉え、鮮血が吹き上がり、もっとそれを見たい、そういうかの様に我武者羅にそれは刃を振るう。
「殴っても殴られても喜ぶんだっけ? いいね、人生楽しそうだ」
その様を呆れたように見つめながら、ヴィルベルは敵の治癒を阻害するウイルスカプセルを投げつけるものの、それすらも殺人鬼は甘んじて受け、噴出し続け、白い面の方が少なくなった包帯に、喜び震える。
「癒すね。みなに、力を」
その隙をついて、アウレリアの零れる白い炎の光が雪のように舞い、メアリベルの傷を癒して行く。ビハインドと共に再び前に躍り出る彼女の斧の一撃を受け、殺人鬼は喘ぐ。
「ほうら、鬼さん。女の子ばかり苛めるなんて外道やな。ちゃんと頭使って喧嘩せえへんと楽しないやん?」
最初に囮を務めた二人ばかりを偏執的に狙う殺人鬼に対し、多少なりとも注意を引こうと、褐也の操る黒鎖が闇を這い、影を伸ばし、その体を縛り上げ、影を縫い止める。
「寂しいよなあ、俺にも楽しませてくんねえと」
息も触れそうな程近く、音もなく踏み込んだサイガの体は一瞬で敵の背後へと抜ける。振るう姿すら目に映らぬ無数の斬撃が包帯を肌を切り裂き、その下の幾重にも傷つけられては治癒し、膨れ上がった醜い無数の傷跡が露わになる。
「しかしタフな敵さんだ」
拘束を逃れ、暴れようとするその体を蹴りつけ、反動で大きく飛びすさりつつ、シェイは呟く。
「治癒の阻害は効いてる筈なんやけど、鬼言うだけあって、化け物の類やなぁ」
「都市伝説であり、鬼であり、夢喰いであり受けであり攻めでもある、まったく欲張りにも程がある」
二人が軽口を叩きながら、再び散開し、次なる攻撃のチャンスを伺う間に敵は次の手を打ってきていた。
体中に巻き付けられた包帯はいたる所で断ち切られ、解けたそれを操り、狙いを定めたティアンに向かいけしかける。
虚を突かれ、回避の間に合わない彼女の四肢にそれらは絡み付き、その細い喉元まで締め上げる。息がつまり、体に思うように力が入らなくなっていく。それを眺め殺人鬼は包帯の下恍惚とした表情を浮かべ、更にいたぶろうと、凶刃を手に彼女へと迫る。
「悪いね、生憎とそれは君の専売特許ではないんだ」
敵の両の手に光る刃が仲間に突き立つのを、炯介の手にするナイフと剣がそれぞれしっかりと受け止め、殺人鬼の体を弾き返す。
傷を負わせることも、負う事もなく退かされたそれは、初めて喜び以外の感情を露わにし、怒りのままに、炯介へと向かい出鱈目に刃を振るう。
人では到底真似できないその連撃に炯介の体に無数の傷が浮かぶものの、彼は声一つあげることなくそれをきっちりと凌ぎきって見せる。
「平気?」
炯介の短く問う言葉に対しティアンは軽く締め付けられていた喉元をさすりつつ頷き返す。
「痛みも、あんなのも、怖くない」
その言葉に嘘偽りはなく、彼女はただ、前へ。
「ベル」
短く呼ぶのは見知った顔の名前。名を呼ばれたヴィルベルは、先陣を切り手にした武器を振るう。包帯を肉を裂いて更に深く、露出したのは、骨でも脂肪でもなく、モザイクの塊。
その傷だらけの体をティアンの腕から伸びる攻性植物が締め上げ、攻守が逆転する形となる。すると先ほどまでの怒りもどこへやら、殺人鬼は捕らえられたことを悦び、身をくねらせる。
「そういうお店探せば幾らでもありそうなのにね。リアルな反応じゃなきゃ満足出来ないとか」
「色々と極まってるねぇ」
敵の救いがたいその性癖に、ヴィルベルとシェイの二人がもはや呆れを通り越し同情すらし始める中、メアリベルはただ、自らの思いを口にする。
「メアリは殺人鬼さんの気持ちわかる気がするわ。
苦痛と愛情は紙一重。
虐げられる事で相手の関心が自分に向いてると確信できる」
舌足らずなその声からはかけ離れたその心情は一体どれほどの壮絶な地獄を見てきたのか、想像することは容易ではない。
「貪欲な殺人鬼さん、アナタが救われるのなら、アナタの四肢を切り刻んで 骨を拾い集めてあげる」
しかし、それを理解できずとも、殺人鬼は相対し、刃を交わすその相手が、自らを理解してくれることに気づくと、もはや止まらなかった。
メアリベルが斧を振り上げ、殺人鬼は包丁とはさみを振るう。互いに足を止め、互いの肉に刃を突き立て、殺しあう。目を背けたくなるような凄惨な光景。
「――花よ、風よ。力を、貸して」
血飛沫が花びらへと転じるかの様に花弁が舞い、アウレリアがその傷を癒して行くものの、とてもではないが追いつかない。
斧が殺人鬼の首の半ばまでめり込み止まる、はさみの切っ先が、メアリベルの胸元を突き破る。
先に折れたのはメアリベルの方だった。ケルベロスと言えど、大人びたその知性といえど、相手は変態とはいえ、デウスエクス。まともに根競べをした所で一対一では勝ち目があるはずもない。
微かであれ、通じ合い、そして、自らに痛みを与え、自らが痛みを与えた対象を、殺人鬼は愛し、そしてその愛す者を自らの手にかけることを至上の喜びとする彼は、嬉々として凶器を振り上げる。
しかし、メアリベルは一人ではない。
「続きはあの世でごゆっくり」
幕切れは、あっさりと訪れる。
先の攻防で激しく消耗したのはメアリベルだけでなく、敵もまた同じ。
ビハインドの力により、その動きを止められた殺人鬼は動くことも許されず、サイガの振るった降魔の力を宿した鎌の一撃により、頭を脳を、強くシェイクされた後、その首をスッパリと落とされた。
モザイクの覗くその断面から、歓喜の喘ぎをもらしながら、その体はサラサラとモザイクへと溶け、そして跡形もなく霧散した。
●
戦闘の傷跡は思いのほか少なく、むしろ、周囲へと飛び散った大量の血の後始末に忙しなくケルベロス達は動き回り、程なくして、撤収作業は終わりを迎える。
奇怪な噂により生まれたその存在に対し、何かを思う者もあれば、既に次の任へと思考を切り替える者もおり、はたまた、未だ恐怖する者もあれば、笑みを浮かべる者もいる。
それぞれの考えと思いを持ちながらも、ケルベロス達は、皆ただ同じ方向を向き日々迫る脅威を駆逐し進んで行く。
作者:雨乃香 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2017年1月19日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
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