きらきらとんぼ玉職人

作者:狐路ユッカ

●彩のガラス玉
 シルクハットを被り、螺旋忍軍たる仮面で顔を隠した女は静かに告げた。
「あなた達に使命を与えます」
 彼女に傅く双子の娘が顔を上げる。
「はい、ミス・バタフライ様」
「この町に、とんぼ玉を作ることを生業としている人がいます。その人間と接触し、その仕事内容を確認、可能ならば習得した後、殺害しなさい」
 娘のうちの一人、ショートヘアの方がニタリと笑う。
「グラビティ・チェインはいかが致しましょう?」
「略奪してもしなくても構わないわ」
「かしこまりました」
「行くわよ、エイラ」
 ロングヘアの娘、ラエルが立ち上がる。
「でもラエル、なんで技術を盗むのかしら」
「決まってるじゃないのエイラ、一見、意味がなく見えるかもしれないけど、これが巡り巡って地球の支配権を大きく揺るがす引き金になるのよ」
 ミス・バタフライ様に間違いはないわ、と告げると、納得したようにエイラが頷く。二人は仮面をつけて地を蹴るのだった。

●彩を、守るべく
「ラズリア・クレイン(蒼晶のラケシス・e19050)さんに頼まれて調査していたら、ミス・バタフライの配下がとんぼ玉職人を狙うということがわかったんだ」
 秦・祈里(豊饒祈るヘリオライダー・en0082)はころんとしたとんぼ玉を軽く掲げる。
「綺麗でしょ? 僕もとんぼ玉って大好きなんだけど、作り方までは知らなくて調べたんだ。バーナーでガラスを炙って玉にしていくんだって! まーるく作るにはコツがいるみたいだね。今回狙われる作家さんはコウサクさん。北海道の小樽市のはずれのほうで小さな工房をやっているおじさんなんだけど、この人を螺旋忍軍から守ってほしいんだ」
 この事件を阻止しないと、そこからバタフライエフェクトよろしく螺旋忍軍に有利な状況が発生してしまう可能性が高まってしまうのだそうだ。もちろん、それがなくとも罪のない一般人の命を奪われてはたまらない。一般人の保護、そして螺旋忍軍の撃破は譲れないだろう。
「えーと、コウサクさんには事件の四日前から接触することが可能だよ! 四日目の朝を狙って螺旋忍軍がやってくるはずだから、そこを迎え撃つ方向で良いんじゃないかな。事前にコウサクさんを非難させたら別の職人さんが狙われる可能性も出てくるから、皆には危険を承知でコウサクさんの護衛についてほしいんだ」
 あっ、と祈里は声を上げる。
「コウサクさんにとんぼ玉作りの技術を教えてもらえたら、螺旋忍軍の狙いをケルベロスに向けることもできるかもしれないし!」
 囮として『とんぼ玉職人』を名乗るには、しっかりと技術を習得する必要がある。三日間という限られた作業時間の中でどれほどできるかはわからないが、是非頑張ってみてほしいと祈里は頭を下げた。
「現れる螺旋忍軍は2体。双子の軽業師だね。一人はエアシューズを履いていて、もう一人は螺旋手裏剣を持っているよ。軽業師だけあってなかなか素早いけど、みんなが職人さんのふりをして接触したら上手く隙を作ることができると思うんだ」
 手ごわい敵だけど、気を付けてね、と祈里は真剣なまなざしで告げてケルベロスたちをヘリオンへと促す。
「コウサクさんと、綺麗なとんぼ玉と……任せたよ。必ず、全員無事に帰ってきてね……!」


参加者
綾小路・鼓太郎(見習い神官・e03749)
ルリカ・ラディウス(破嬢・e11150)
ラズリア・クレイン(蒼晶のラケシス・e19050)
レイラ・クリスティ(蒼氷の魔導士・e21318)
篠崎・千里(救済天使・e25290)
フィアルリィン・ウィーデーウダート(死盟の戦闘医術士・e25594)
リビィ・アークウィンド(緑光の空翼騎士・e27563)

■リプレイ


 螺旋忍軍が一体何故このような事を。考えて、綾小路・鼓太郎(見習い神官・e03749)は呟いた。
「一般人の技術習得……成程、螺旋忍軍が一般人に化けるには最適な教育手段です」
「なるほど、一般人に化ける。その可能性もありますね。でも、そんなことをさせません。徹底的に妨害して差し上げましょう」
 レイラ・クリスティ(蒼氷の魔導士・e21318)は仲間たちと顔を見合わせて頷く。螺旋忍軍が何を目論んでいようとも、守るべきは。
(「絶対に、1人たりとも死者は出さない……!」)
 目の前で消えて行く命をいくつも見てきた篠崎・千里(救済天使・e25290)は、静かに己の胸に誓うのだった。工房の扉を叩くと、コウサクが顔を出す。
「おや……君たちは」
 もしかして、と笑顔になるコウサクに、カジミェシュ・タルノフスキー(機巧之翼・e17834)はふと表情を和らげる。
「ああ、話が行っていたのだったな」
「うん、聞いているよ。わざわざありがとうねえ」
 ルリカ・ラディウス(破嬢・e11150)はぺこりと頭を下げると、飛び切りの笑顔で挨拶をする。
「ルリカです。どうぞよろしくね」
「螺旋忍軍の目論見、全力で阻止させて頂きます」
 ですからご安心くださいませね、とラズリア・クレイン(蒼晶のラケシス・e19050)が微笑むと、コウサクも胸を叩いて答えた。
「じゃあ、俺も君らに精いっぱい教えるからね!」
 よろしくお願いします、という揃った声と共に、修行が始まる。


「とんぼ玉は本当に綺麗です。この技術に目を付けるとはなかなか見る目があるですね」
 螺旋忍軍も侮れない、とフィアルリィン・ウィーデーウダート(死盟の戦闘医術士・e25594)は手近にあったトンボ玉を手に取ってじっくり観察する。
「はは、ホントねえ、嬉しいやら迷惑やら複雑な気持ちだよ」
 コウサクはバーナーの火をつけると、まずはお手本、と一つトンボ玉を作ってみせる。ほうっとレイラが感嘆のため息をついた。
「完成した蜻蛉玉もさることながら、それを作り出す手つきたるや……」
 鼓太郎はじっとコウサクの手元を見つめている。
「言葉で説明するのはなかなか難しいんだけど……まずはやってみてごらん」
 そう言われてハッとし、レイラはガラス棒を手に取る。リビィ・アークウィンド(緑光の空翼騎士・e27563)は、そっとバーナーの青い火にガラス棒を入れて、コウサクに尋ねる。
「まずは火で炙るのですよね」
「そうだよ、作りたいトンボ玉のサイズになるように、ゆっくり回して肉溜を作るんだ。もう一方の手で芯棒も炙ってね」
 ゆっくり……。リビィは指示を反芻しながらゆっくりと手を返す。
「あっ」
「ごめん、ゆっくりって言ったから……えーと、肉溜を大きくし過ぎると落ちちゃうことも結構あるんだよ」
 なるほど、と頷くと、リビィはもう一本使っても良いですか? とガラス棒を手に取った。試行錯誤を繰り返し、コツを体得していく事。それが一番の近道だからだ。フィアルリィンは、コウサクがついていないときでも復習できるようにと、丁寧にメモを取っている。
「にしても、職人技、という物は素晴らしいですね。ガラスがこうも変化して綺麗になるなんて」
 レイラは、深い海を思わせる青いガラス棒を手に取るとコウサクの指示通り火に入れてまわしはじめた。コウサクの真似をして、離型剤がついた芯棒にガラスを巻きつけていく。丁寧に、均等になるようにと頑張っては見たが……。
「むむ、やはり難しいですね、なかなか丸くならないです」
 一つ目のトンボ玉は楕円型になってしまった。
「初めてにしては筋が良いよ、頑張って!」
 コウサクの励ましに頷く。
「ラズリアさんはどうですか?」
「私もしっかりした『球』にはなっていませんね」
 苦笑いをするラズリア。どのケルベロスも、まだ『球』を作るには至らない。
「綺麗な蜻蛉玉、作れるようになりたいですね」
 その日の晩、眠る前にルリカはフィアルリィンと共に日中メモしたノートを見せ合う。
「直径が1㎝以上になるときは、わら灰でゆっくり冷ます……っと」
「玉はゆっくり回すことで球に近づけやすい……でしたよね」
「うん、巻きつけるときもだけど、巻きつけた後の成形がポイントっぽいよね」
 とにかく無地の玉を綺麗に作れるようにならなきゃ、とルリカは意気込む。
 ――それから、ケルベロス達は少しずつではあるが、確実に技を会得していった。
「!」
 フィアルリィンが芯棒からトンボ玉を外そうとしたとき、芯棒がまがってしまったのだ。
「ちょっと力みすぎかもしれないよ。鉛筆を持つようにして……うん、そうそう」
「上手くガラスを切れないのですが、どうすれば……?」
 レイラに問われ、コウサクはちょっと貸してみて、と実演してみせる。
「回転させながら……ガラス棒を下へ。引っ張るんじゃなくて、切りたいところに炎を当てるイメージでやってみて」
「はい」
 みるみるうちに上達していくケルベロス達。呑み込みが早くて助かると、コウサクは笑った。千里はコウサクから聞いたとおり、火から離してもゆっくりと芯棒を回すことでだいぶ上手に球を作れるようになってきた。そうこうしてるうちに、修行の三日間はあっという間に過ぎ去っていったのだった。
「みんな、お疲れ様!」
 コウサクは四日目の朝、ケルベロス達を労い茶菓子を出してくれた。
「とんぼ玉を作ることができるなんて思いもよりませんでしたね。でも、ほんとうに綺麗ですよね……」
 リビィは自分で作ったトンボ玉を陽に透かして、満足げに頷く。
「うん、それなら職人作って言っても、素人なら誤魔化せるかな!」
 ははは、と豪快に笑うコウサクに、フィアルリィンは苦笑する。
「と言っても3日で肩を並べるのは厳しいかな。やっぱり届かないですね」
「そりゃあそうだよ、3日で全部出来るようになっちゃったら俺が困る」
 鼓太郎は、コウサクにぺこりと頭を下げた。
「では……これからは先に話した通りでお願いします」
「うん。よろしくね」


 工房の扉を叩く音がした。――来たのだ。
「ごめんください、ガラス工房はこちらですか?」
 ロングヘアの娘、ラエルが、エイラと共に顔を覗かせた。
「そうだけどぉ……何か……御用……?」
 職人っぽさを出すため、少しぶっきらぼうに言って千里は二人の方を向かぬまま、トンボ玉を作り続けた。その横で、リビィも手を動かしながら、問う。
「もしかして見学に来たのですか?」
「そうなんです。私たちもトンボ玉を作ってみたくて!」
 ニコッと笑ってエイラが答えると、ラエルが小さく呟いた。
「……工房って、たくさん人がいるのね」
 鼓太郎は、二人を怪しませぬようににこやかに答える。
「俺は修行の身です。こちらの篠崎さん、アークウィンドさん、クレインさんがこの工房の主さんなんですよ! とても優れた技術と指導力をお持ちです。あなた方も体験していかれますか?」
「私も今日体験に来たのだが、なかなか興味深いぞ」
 小樽のガラス工房の技術は素晴らしいな、とカジミェシュは観光客になりきって感嘆のため息をついて見せる。
「じゃあ、よろしくお願いします」
 エイラとラエルがぺこりと頭を下げた。一般人の皮を上手くかぶっている。それじゃあ、とルリカはラエルの方の肩を叩いた。
「道具を運ぶのを手伝ってくれる?」
「え? あ……はい」
「向こうの部屋にあるの。ガラスの棒は壊れやすいから慎重にゆっくりそーっと運んでね」
 行けばすぐにわかるからね、と指さす先は工房奥の部屋。こくりと一つ頷き、ラエルが姿を消した。
「それじゃあ、俺たちはお茶菓子を師匠たちに用意しましょうか」
 その方向とは反対……勝手口の方へ鼓太郎とコウサクが向かう。速やかに外へコウサクを逃がすと、鼓太郎は安堵のため息をつく。
「ラエル1人で大丈夫かしら」
 量は多くないからね、とルリカが笑う。逆に大人数で行ったら邪魔になると言うと、納得したようにエイラが頷いた。
「お手伝いをして頂けるかしら?」
 ラズリアがエイラにガラス棒を手渡す。
「えっ、できるかしら……」
「大丈夫ですよ、まずはこうしてガラス棒をバーナーに……」
 リビィが丁寧に教えてやると、エイラはゆっくりとガラス棒を火へ近づけた。その隙に、千里、リビィは自分の手元のガスバーナーの火を消す。視線で合図を送り合った。――今だ。ラズリアはエイラの背に勢いよく星槍コル・レオニスを突き立てる。
「っぐ……!?」
 他に引火しないようにと、エイラのガスバーナーの火も、消された。ガシャン、とガラス棒が地に落ちる。
「貴……様ッ」
 エイラが何かを言う前にルリカが迫る。
「花よ!力を」
 まるで真っ赤な花びらが舞うかのようなオーラが、エイラを翻弄した。やっとのことでエアシューズを走らせ、エイラは戦闘態勢へ移行する。
「クソッ……お前たち……ってことはあの目立たなかったおじさんが職人なのね!?」
 ならば、と視線を巡らせたエイラの前にカジミェシュが躍り出る。
「邪魔よ!」
「我が剣と誇りに掛けて、お前たちを行かせはせん」
 エイラが放った炎の蹴りが、カジミェシュに叩き込まれる。ガギンッ、と大きな音を立て、火花が散った。
「退け!」
 怒号を上げるエイラに、カジミェシュは名乗りを上げる。
「我が名はカジミェシュ、星月なるレリヴァの裔、タルノフスキーに連なる者なり! さあ、この首獲らんと欲する勇士や誰ぞ!」
「ごちゃごちゃと……!」
 重たい蹴りを放ちながら、エイラが舌を打つ。カジミェシュの後ろから、鼓太郎が姿を現した。
「貴方方の目論見、阻ませて頂きます」
 ……虚蒼の方は初陣ですね……征くぞ、銅も後れを取るなよ、と鼓太郎は己の刀へと語りかけ、ずらりと抜き放った。三日月の軌道を描き、刃がエイラを切り裂く。
「っぎ……」
 戻ってきたラエルが、この事態にやっと気づいた。
「……ッエイラ!!」
「あなた達の所業、許すわけにはいきませんっ」
 レイラが、エイラの足もとに巨大な魔法陣を出現させる。
「なっ……」
 エイラは、ルースレス・コンジェラシオンの水柱から逃れる間もなく、あっという間に凍りつかされ、その氷柱の破壊の衝撃に倒れ込む。
 リビィの展開する守護星座の光が、前衛に立つ仲間たちを包んだ。
「やめて……! エイラを傷つけないでぇ!」
 飛来するラエルの螺旋手裏剣。
「っう」
 リビィは激痛に眉を顰めた。ボハテルはカジミェシュの声を聞くと、即座にリビィへ属性インストールを施す。やっとのことで立ち上がったエイラが、力を振り絞るように回し蹴りを放った。
「はああぁっ!」
 千里とカジミェシュはその蹴りを自ら受けに行く。
「……ウチは……守るって、決めた……から」
 じっとエイラを見据え、千里は体が痛むのを堪えて雷刃突を叩きこむ。
「っうあ……」
 千里の真っ白な薔薇の髪飾りに、返り血がはねた。
「お二人とも、大丈夫ですか……!」
 フィアルリィンが薬液の雨を降らせ、千里とカジミェシュを癒す。
「いやああぁ!」
 ラエルが叫んだ。エイラが血を吐き出しながら立ち上がる。とどめを刺すべくラズリアが詠唱を始めた。
「死を司りし忘却の王よ、我が呼び声に応え給う」
「さ、させない……!」
 悲痛な叫びを上げながら、ラエルがラズリアに向かって2つの螺旋手裏剣を投げ放つ。滑り出るようにしてその手裏剣から生み出された2つの巨大な竜巻に立ち向かったのはカジミェシュだった。
「邪魔されるわけにはいかないからな」
 圧倒的な力にその身を押しつぶされそうになりながらも、彼はしっかり立っている。背中合わせに、ラズリアが詠唱を終えた。
「深淵より生まれし崩壊の槍を持て、汝が敵を貫き葬れ!」
 虚無の槍が、無情にエイラを刺し貫いた。声もなく、潰える。
「エイラぁあ!!」
 

「ゆ、ゆるさない!」
 ラエルは再度、螺旋手裏剣を構える。ルリカが惨殺ナイフの刀身をラエルへと向けた。
「ひっ……」
「私たちにも、守るものがあるんだよ」
 ラエルにめぐるトラウマは、きっと、この光景。立てなくさせるほどにその心を苛む。達人の一撃を叩きこむカジミェシュ、次いで鼓太郎が虚蒼月を振り上げた。重力を乗せ、力任せに叩き付ける。
「兄弟刀が頑張ってますよ、虚蒼! 切れ味見せろ!」
 すさまじい重みを持った一撃に、ラエルが悲鳴をあげる。正気に戻ったのか、その手から毒を孕んだ螺旋手裏剣を放った。
「ッ……ぅ」
 千里が、正面から刃を受けてその場に蹲った。好機とばかりに間を詰めようとしたラエルの前に、跳びあがったリビィが急降下する。
「とんぼ玉の美しさも素敵ですが、此方の光の剣も味わっていってくださいっ」
 光の粒子を纏う剣が、ラエルの右肩に食い込んだ。
「ぁがっ……」
 肩で息を繰り返す千里へ、フィアルリィンが駆け寄る。
「お気を確かに、です……ッ」
 キュアの力を乗せたウィッチオペレーションによって、千里の毒が取り除かれる。
「あり……がと……」
「終わりです」
 レイラの突き出すゲシュタルトグレイブは稲妻が如く。胸を一突きにされ、ラエルはその場に頽れるのだった。

「作業場、少し荒れてしまいましたね」
 ラズリアは手作業で戦闘の跡を片付けていく。リビィはヒールをかけながらほっと溜息をついた。
「ガラス棒何本かダメになってしまいましたけれど……」
 すみません、とコウサクに頭を下げる。コウサクは首を大きく横に振り、笑った。
「命には代えられないよ。それに、皆が無事でよかった」
「これからも綺麗な蜻蛉玉、たくさん作ってくださいませね」
 にっこりとラズリアが笑むと、コウサクは大きく頷いた。
「うん、約束するよ」
「この綺麗な色のトンボ玉が誰かの幸せを作るのでしょうね」
 その幸せを守れたならとても嬉しいな、とレイラが小さく呟く。またトンボ玉作りをゆっくり見てみたいと零す彼女に、コウサクはいつでもおいでと歓迎した。
「せっかくだから、記念にこれ貰っても良い?」
 ルリカが、やっと丸く作れるようになったトンボ玉を一つ手に取って問う。
「もちろんだよ」
「わぁ! ありがとう……! よかったら、また続きをゆっくり教えてほしいんだ」
「歓迎するよ、いつでもおいで」
「もっと綺麗なものを作れるようになったら、師匠にもプレゼントするね」
 フィアルリィンは、惑星のようなマーブル模様のトンボ玉を手に取り、嬉しそうに笑った。
「皆さんの作品も、素晴らしいです」
 交換とかします? と問うと、試作段階のものを皆で眺める。千里が、常証・世写を手に取った。
「……良かったら、皆で……写真、撮ろぉ……?」
 キラキラと光るトンボ玉と、ケルベロス達が1枚の写真に収まる。短い修業期間の思い出も、きっとケルベロス達の胸に焼きついたことであろう。

作者:狐路ユッカ 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年1月18日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 7
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