ボンノーおばけが出たぞー

作者:秋津透

 カネがゴーンとなっている。
 しってるよ。ジョヤのカネだよ。
 わるいボンノーをけすんだよ。
「けされて、たまるものかー!」
 うわあ、でたー! ボンノーおばけだー!

「うわー、びっくりしたー!」
 子供がベットから起きあがって呟く。
 するとその背後に、鹿に乗った獣人女性……「パッチワーク」の魔女の一人、第三の魔女・ケリュネイアが現れる。
 ケリュネイアは無言で手にした鍵を躊躇なく振るい、子供の胸を背後から無残に突き通す。
「!」
 子供はベットに倒れ、その傍らに、胸に「108」と描かれた全裸のたくましい男性……目元と股間はモザイクで隠されている……が出現する。
「……これがボンノーお化け? こんなのが出てきたら、そりゃまあ、びっくりするでしょうけど……」
 腐女子じゃあるまいし、どーゆー子供よ、と呆れたようにケリュネイアは呟く。
「……まあ、確かに、新鮮な驚きには違いないわね。私のモザイクは晴れないけれど」
 なんとなく言い訳がましく呟き、ケリュネイアは姿を消す。そして、全裸ボンノー男……新たに生み出されたドリームイーターは、子供の眠るベットの傍らで妙なポージンクをしながら唸る。
「ケサレテ、タマルモノカー!」
 ……遠くで除夜の鐘が鳴っていた。

 
 
「群馬県高崎市の住宅街にドリームイーターが出現します」
 何だか妙に機械的な口調で、ヘリオライダーの高御倉・康(たかみくら・こう)が告げる。
「このドリームイーターは、結城・レオナルド(弱虫ヘラクレス・e00032)さんの宿敵、12人のドリームイーターの魔女集団「パッチワーク」の魔女の一人、第三の魔女・ケリュネイアが、子供の夢に現れた『驚き』の感情を奪って造り上げたものです。どうも、除夜の鐘で祓われる「煩悩」を、子供なりにお化けの一種として捉えたらしく、えー、その、目元と股間をモザイクで隠し、胸に「108」と描かれた全裸男性の姿をしています」
 そこまで一気に言うと、康は深々と溜息をついた。
「いったい何の因果で、大晦日にこんなもの予知で見なくちゃいけないのか……まあ、ぼやいても仕方ありません。僕より、討伐に向かう皆さんの方が、よっぽど大変ですよね」
 そう言って、康はプロジェクターに地図を出す。今回は画像は出さないようだ。
「ドリームイーターが出現する家は、ここです。敵はここから、除夜の鐘を鳴らしている寺院に向かって、ふらふらと移動します。急行すれば、ドリームイーターが通行人や寺院の参拝客に出会う前に、遭遇できるでしょう。……あんまり遭遇したくないかもしれませんが、一般人に被害を出さないためにも、早急に捕捉してください」
 やや口早に、康は説明する。
「ドリームイーターの攻撃方法は、えー、その、ポージングをしてモザイクを飛ばしてくるようです。ダメージを受けると、胸の数字が減っていくようなので、わかりやすいといえばわかりやすいかもしれません。とにかく相手を驚かせたい……まあ、普通驚くと思いますが、そういう性質なので、逃走はしないようです。ただ、驚きを現わさなかった相手には、しつこく攻撃をかけてくるようなので、その点は留意してください」
 ふう、と再び溜息をついて、康は告げる。
「子供に、夢の内容に責任を持てというわけにもいきませんが……こんなもんを跳梁させておくのはあんまりです。事が大きくならないうちに、早急な撃破をお願いします」


参加者
安曇・柊(神の棘・e00166)
二羽・葵(地球人もどきの降魔拳士・e00282)
相馬・泰地(マッスル拳士・e00550)
エンデ・シェーネヴェルト(フェイタルブルー・e02668)
ラリー・グリッター(古霊アルビオンの騎士・e05288)
マルガレーテ・ビーネンベルク(天蓋の守護者・e26485)
葵原・風流(蒼翠の四宝刀・e28315)
エリザベート・アレキサンダー(自称天空の覇者・e34605)

■リプレイ

●探せ、捉えろ、変態ボンノー!
「さすがに、ヘリオンから視認はできねーな」
 夜の地上に目を向けながら、相馬・泰地(マッスル拳士・e00550)が唸る。
「そこそこ、灯りはあるようだが……」
「あのへんがドリームイーターが出現したあたり……で、向こうの山にある寺院で除夜の鐘を鳴らしている、と」
 葵原・風流(蒼翠の四宝刀・e28315)が、地図と地上を見比べて呟く。
「おおむね、まっすぐ動くと考えて空から捜索……それとも、手分けしますか?」
「あ、そ、そうだね。僕と『冬苺』は、いったんお寺のあたりまで飛んで、戻る形で探すよ」
 ちょっとおどおどとした口調で、安曇・柊(神の棘・e00166)が応じる。
 一同の中で飛行可能なのは、ヴァルキュリアの風流と、オラトリオの柊とエリザベート・アレキサンダー(自称天空の覇者・e34605)の三人。
 加えて、柊のサーヴァント『冬苺』と、マルガレーテ・ビーネンベルク(天蓋の守護者・e26485)のサーヴァント『ルドルフ』が、ともにウィングキャットなので飛行できる。 
「ルドルフ、キミは、えーと、彼女についていきたまえ。出しゃばった真似をせず、フォローに徹するように」
 マルガレーテが自分のサーヴァントに指示を出し、苦笑混じりに付け加える。
「まあ……どうも、なんというか、凄いドリームイーターらしいからね」
「わたしは先に出る! ついてきたい者はついてくるがいいわ!」
 さすが「自称」天空の覇者、最年少の八歳にもかかわらず誰よりもでかい態度で言い放ち、エリザベートがヘリオンから飛び出す。
「あ、行っちゃった……」
 最年長の柊が頼りない声を出したが、エリザベートに次いで年少のマルガレーテ十一歳が、落ち着いた口調で応じる。
「大丈夫、モニターはしてある。全員の連絡先、もらっているしね。孤立はさせないよ」
 それを聞いて柊は、ほっとした表情になりつつ翼を広げる。
「じゃあ、僕も出る……ドリームイーター、正直あんまり会いたくないけど、頑張って見つけるよ。でも、驚かないふり、できるかなぁ……」
「余計な心配してるんじゃねーよ。驚かなかったら優先で襲われちまうんだから、お前は素直に驚いていーの!」
 柊と付き合いのあるエンデ・シェーネヴェルト(フェイタルブルー・e02668)が、ぶっきらぼうな調子で告げる。
「つーか、ビビリのお前に驚かねー振りとか無理だから。見つけたら、ヘタに近づかずに、とっとと連絡しろ。いーな!」
「え、エンデったら、やる前から否定するの止めてよ……!」
 でも、驚いてもいいなら、その方がありがたいな、と呟いて、オラトリオの青年はサーヴァントとともに飛び立つ。
「では、私たちも……マルガレーテさん、ルドルフくんをお預かりします」
「ああ、サーヴァントには通信モニター効かないから。彼が先に敵を見つけた時には、代わりに伝えてくれ」
 風流がマルガレーテと言葉を交わし、ウィングキャットとともに飛び立つ。
 そして、飛行できない他のメンバーが降下に入るより先に、最初に捜索に出たエリザベートから、悲鳴じみた通信が飛び込んできた。
「……うわっ! キモッ!! ……ちょっと何よアレ! あんなのが相手なんて聞いてないわよ! ちょっ、待って! こっちくんな! 来るなって言ってるのよ!」
「位置は!? どこだ!?」
 泰地が尋ね、半パニックのエリザベートが答えるより早く、マルガレーテが地図上にGPS情報を出す。
「よし、行くぞ!」
 泰地、マルガレーテ、エンデが、次々とヘリオンから飛び出し、二羽・葵(地球人もどきの降魔拳士・e00282)ラリー・グリッター(古霊アルビオンの騎士・e05288)が続く。
「さすがは天空の覇者殿、よく見つけた! すぐに駆けつけるから、いったん上空に退避してくれたまえ! そのドリームイーターは、飛行できないはずだ!」
 夜闇を切り裂いて地上へと高速で降下しながら、マルガレーテはエリザベートに呼びかける。
「そ、そうね、驚いた……ふりをした方がいいのよね。ここは、驚いてちょっと下がる……ふりをしておくわ。天空に覇者たるこの私が驚くなんて、ありえないことだけど!」
 強がりが戻ったエリザベートの返事に、マルガレーテはくすりと微笑した。

●変態跋扈! ……とっとと死ね
「ボンノー、ケサレテ、タマルモノカァ!」
 除夜の鐘が響く、大みそか深夜の住宅街。街灯の下で叫びながら妙なポージングをとっている、股間と目元をモザイクで隠した全裸男性を発見し、柊は思わず空中でたじたじと下がってしまった。
(「うぅぅ……こ、怖くない怖くないあれはただの変態ただの変態……っ!」)
 いやでも、ただの変態は充分怖いけど、と呟き、柊は『冬苺』を前に立て、充分に間合を取って地上に降りる。
 すると、その背後に、涙目のエリザベートが降りてくる。
「よくきてくれた、助かったわ……で、でも、ちょっとだけおそいわよ! で、で、でも、きてくれなきゃこまるわけじゃないのよ!」
 安堵と強がりがごちゃごちゃになって、自分でも何言ってるかよくわからない状態の少女に、柊は優しく声をかける。
「大丈夫ですよ。皆、すぐ来ます。幸い、敵が逃げる様子もないし、攻撃は皆が来てからにしましょう」
「そ、そうね。それがいいわ」
 こくこくとうなずくと、エリザベートは柊の背後に隠れ、顔だけちょこっと出して変態ドリームイーターの方を睨みつける。
 そこへ駆けつけてきた泰地が、威勢良く言い放つ。
「見つけたぞ、煩悩野郎! どちらの筋肉が上か勝負だ!」
「ム? キサマ、我ヲ見テ驚カヌノカ?」
 目元にモザイクがあるので表情は不明だが、明らかにむっとした声でドリームイーターが唸る。
 すると泰地は豪快に笑って応じる。
「ハハハハハ、笑わせるな! なんで男が男の裸見て、いちいち驚かにゃならんのだ? そんなもん、銭湯にでも行きゃなんぼでも見られるぜ!」
 言うが早いか、泰地はドリームイーターの顔面めがけ、必殺の『顔面蹴り』を放つ。
「おらっ! まずは自慢の足を食らえ!」
「グアッ!」
 顔面にまともに足裏を叩きつけられ、ドリームイーターは見事に吹っ飛ぶ。
「オ、オノレ、許サン! 我ガもざいくヲ食らラエ!」
 怒声とともに、ドリームイーターは股間のモザイクを飛ばす。幸いというか何というか、モザイクは一部が飛んだだけで元の場所にも貼りついており、見苦しいものが見えるようなことはなかったが、飛んでいったモザイクはまともに泰地の顔面を襲い、平静を食らう。
「ガッハッハッハ! キサマノ足裏ト、我ガ股間もざいく、顔面ニ押シアテラレテ、気持チ悪イノハドッチカナ?」
「……てめー、この野郎、生かしちゃおかねぇ!」
 平静を食われた上に挑発され、泰地が激怒する。うん、これは怒って当然、と柊もエリザベートも納得顔でうなずく。
 そして駆けつけてきたマルガレーテが、オリジナルの治癒技『Lay Line(レイライン)』を発動、地脈を通じて治癒の光を放って泰地のダメージを癒やし、前衛の集中力をあげる。
「ただひたすら、自分が正しいと思う道を進むんだ。その為の力は、此処に有る」
(「普通は、怒りを受けると攻撃目標が絞れなくて不利になるけど。今回、相手は一人だから、絞るも何もないんだよね」)
 状況を窺いながら、マルガレーテは冷静に呟く。
 そして続いて飛び込んできたエンデは、ものも言わずに刃のような回し蹴りをドリームイーターの頭に叩き込む。
「グアッ!」
「ったく、驚く驚かない以前にすっげーキモいんだけど、この猥褻物陳列罪野郎」
 生まれてきたのが間違いだ、死ね、さっさと死んでしまえ、と、エンデは思いっきり冷やかに告げる。
 更に、キープアウトテープを素早く張り巡らせ終えた葵が、自分の身長より大きな鉄塊剣に地獄の炎を宿して殺到する。というか、よっぽど見たくないのだろう、微妙に目線を逸らしたり焦点を外したりして相手の姿をまともに見ず、巨大な武器を半ば盾にして、見当だけで猛然と叩きつけていく。
「グヌヌヌ……」
 炎を宿した鉄塊剣をまともに叩きつけられ、ドリームイーターがよろめく。そこへ柊が、重力蹴りを叩き込む。
「さっさと消えろ! というか、お願いですから消えてください! 下品すぎて驚きます! びっくりです!」
 怒ってるのか驚いてるのか哀願してるのか、自分でもよくわからない調子でオラトリオの青年は叫ぶ。彼のサーヴァント、ウイングキャットの『冬苺』は、前衛に癒しの清風を送り、対状態異常耐性を強化する。
 そしてラリーが、こちらは怒りに満ちた声で言い放つ。
「見つけましたよ変質者! 衆目に触れる前に成敗します! ……絶対に!」
 そう言いながら、ラリーは宝剣「God save the Queen」をかざして突進し、あまりに直線的な攻撃を躱されたか、と見えた瞬間、銀靴「Shooting star」に炎を宿して蹴りつける。
「グハッ!」
「変態に、騎士の表道具である剣を使うのは勿体ないのです」
 できることなら触りたくもないけど、それは無理ですね、と、ラリーは嫌悪の色も濃い表情で唸る。
 そして上空から降下してきた風流が、その勢いをそのまま乗せて、敵の顔面に光って唸る鉄拳を叩き込む。
「戦術……超鋼拳!」
「グオオオオッ!」
 顔面を痛打され、ドリームイータはよろめき倒れる。だが、すぐに起き上がってきて身構える。
「さすがに、まだまだ体力は有り余ってやがる感じかな?」
 エンデが唸ると、柊が妙に冷静に指摘する。
「……でも、胸のカウンターは結構減ってるよ?」
「ふうむ……百八から、現状六十三か」
 あれがゼロになったら潰れるのかね、と、エンデは冷淡に呟く。
 一方、エリザベートは柊や『冬苺』の陰に身を隠しながら、ドリームイーターに向けて殺神ウイルスを投じる。
「ええい、死ね死ね死んじゃえ、今死ねすぐ死ね!」
「グガッ!」
 ウィルスカプセルが命中してドリームイータは咳き込み、胸のカウンターが四十七になる。と、そこへ除夜の鐘がゴーンと響き、カウンターが一つ動いて四十六に変わった。
「半分割ったか! いけそうじゃねぇか!」
 根拠はねぇけどな、と、けっこう冷静に自己突っ込みを入れつつ、泰地が降魔の拳で殺到する。
「貴様のパワー、食らってやるぜ! ちょっと気持ち悪いけどな!」
「ヌカセ、食ラウノハ、コチラダ! ユケ、我ガ股間もざいくヨ!」
 すぽぽぽぽーんと腰を突き出し、ちょー下品な仕草で変態煩悩ドリームイーターが股間モザイクを飛ばす。ちなみにモザイクは一部が飛んだだけで(以下略)
「ぐっ!」
 再び顔面にモザイクを直撃されてしまい、泰地の動きが一瞬止まる。いかん、催眠を付与されたか、と、マルガレーテがすかさず薬液の雨を降らせ、治癒とステータス異常解消に努める。
 そしてエンデが、敵の下品な仕草がよっぽど気に障ったのか、珍しく本気の目で呟く。
「……その数値四十六、一気に零にしてやる」
 しゃりん、と、大鎌『導きの灯火』の刃が、凶器には少し不似合いな涼しげな音をたてる。
 そして次の瞬間、ドリームイーターの喉笛が、鮮やかに搔っ捌かれた。攻撃に使われたのは鎌ではなく別の刃物のようだが、エンデの動きが迅く滑らかすぎて、誰の目にも留まらない。
「……さようなら、美しい世界にお別れを」
 決別の呟きとともに、ドリームイーターの首が落ちた……かと思いきや、両腕ががしっと頭を押さえ、落ちないように固定する。
「……力技で防ぐか。なんて野暮な奴だ」
 忌々しいとも呆れたともつかない口調で、エンデが唸る。そして、ドリームーイーターの胸のカウンターは零零三。
「これで決める! いっけぇぇーっ!」
 気合とともに、葵が飛び込む。必殺の連続攻撃技『鬼徹衝(ピアース)』に直撃され、ドリームイーターは身体を半ば潰されて吹っ飛ぶ。
 ところが。
 いったんは零零零になった胸のカウンターが、かたんと戻って零零一になる。妙なポージングとともに、煩悩ドリームイーターは、さすがに掠れて力ない声で呻く。
「ボンノー……ケサレテ……タマルモノカァ……」
「何と往生際の悪い……今年の煩悩は、今年のうちに消えるものと決まっているのです!」 
 ラリーが厳しい声で言い放ち、必殺技『Volcanic Star Saber(ボルカニック・スターセイバー)』 の構えを取る。
「変態退治に使うにはもったいない高貴な大技ですが、確実に仕留めるため、わたしの全部を……この一撃に込めます!! 光栄に思うがいい!」
 言い放つラリーの剣と全身が光り輝き、エネルギーに満ちた一撃をドリームイーターに撃ち込もう……としたが外れた。
「くっ、Volcanic Star Saber(ボルカニック・スターセイバー)を躱すとは、何と不遜な!」
「わたしに任せよ! 貴君の無念を晴らし、天地人これを許さぬ変態デウスエクスを抹殺してみせようぞ!」
 やっとのことで変態と直面してしまった衝撃から立ち直ったのか、エリザベートが天空の覇者もーどになって進み出る。
 そして少女は片手を天に突き上げ、ラリーよりも更に偉そうに、更に仰々しく叫ぶ。
「天空の覇者たるこのわたしに楯突いた事を、後悔させてやろう! 天よ! 我が身を焦がす怒りを顕せ! 必殺! 『天空の怒り(テンクウノイカリ)』!」
 いっけーっ! と溜まった鬱憤を晴らすかのようにエリザベートが絶叫し、空の彼方より降り注ぐ無数の光弾が、周辺を地面ごと衝撃波で抉り飛ばす。
「グワアアアアアアアアッ!」
 さすがにこれは躱しきれず、ドリームイーターの無駄に逞しい全身を光弾が容赦なく撃ち抜く。カウンターが再び零零零になり、次の瞬間、砕けてすべてが微塵に吹っ飛ぶ。
 そして同時に、除夜の鐘がゴーンと鳴り響く。
「ふぅ……しぶとかった……」
 額ににじみ出た冷や汗をぬぐって呟くと、柊は一同を見やって告げる。
「あ、あの、お疲れさまでした……それと、その、明けましておめでとうございます。せ、折角ですし、みんなでこのまま初詣とか、どうですか……?」
「気の早い奴っちゃな。いいか、まだ除夜の鐘が鳴ってるってことは、年明けてねーんだよ」
 エンデがすかさず突っ込み、にやっと笑って続ける。
「だから、年明け挟む二年参りに間に合うってわけだ。一回の参拝で二年分の御利益、こいつぁお得だぜ」
「……ええと、神詣でとは、損得でするものなのでしょうか?」
 小さく呟いたラリーが、すぐぷるぷると首を振って声をあげる。
「いいですね、行きましょう! わたしは、変なビルシャナやドリームイーターの沈静化を願いますよ!」   
「おう、年末最後の依頼無事完了を、日本を守護してくれる神さん仏さんに報告しないとな!」
 こいつぁ、正月から縁起がいいぜ! と、泰地が豪快に笑った。
 

作者:秋津透 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年1月15日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
 あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。