ミッション破壊作戦~怒りの境

作者:幾夜緋琉

●ミッション破壊作戦~怒りの境
「皆さん、集まって頂けましたね? それでは、早速にはなりますが、説明を始めさせて頂きます」
 と、セリカ・リュミエールは、集まったケルベロスらに一礼すると、早速説明を始める。
「まずはクリスマスに、皆様のおかげでゴッドサンタを撃破出来ました。ありがとうございます」
「このゴッドサンタを撃破した事で手に入れた『グラディウス』。この使い方が判明したのです」
「この『グラディウス』は、長さ70cm程の、『光る小剣型の兵器』です。しかしこれは、通常の武器としては使用出来ないのです」
「では、どうやって使用するか……と思うかと思います。これは、魔空回廊を攻撃為、破壊する事が出来る物なのです」
「通常の魔空回廊は、時間が経てば消失しますので、グラディウスで破壊するまでもありません。ですが、固定形の魔空回廊は、グラディウスでの破壊作戦がとても有効になる事でしょう」
「特に、現在日本各地に現れている『ミッション』の拠点となっている、『強襲型魔空回廊』を破壊する事が可能となりますので、デウスエクスの地上侵攻へ大きな楔を打ち込むことが出来る筈です」
「ただ、このグラディウスは無限に使えるという訳ではありません。一度使用すると、グラビティ・チェインを吸収し、再び使用出来るようになるまではかなりの時間が掛かります」
「ですが、今回手に入れたグラディウスには『すぐに使用可能な物』が多数有り、それを使用し、一気にミッション地域を開放する『ミッション破壊作戦』を行う事が可能なのです」
「皆さんには、グラディウスの力を利用し、ミッション地域を、デウスエクスの手から取り戻して頂きたいと思います。どの場所のミッションを攻撃するかは、皆さんに決めて頂きたいと思います」
 そして、更にセリカは説明を続ける。
「この強襲型魔空回廊があるのは、ミッション地域の中枢です。通常の方法で辿り着くのは難しいと思います」
「場合によっては、敵に貴重なグラディウスを奪われる危険もあります……ですので、今回は『ヘリオンを利用した、高空からの降下作戦』を実施しようと思います」
「この強襲型魔空回廊の周囲は、半径30m程のドーム型バリアで囲われており、このバリアにグラディウスを触れさせれば良いのです。ですから、高空からの降下であっても、充分に攻撃が可能です」
「皆さんがグラビティを極限まで高めた状態でグラディウスを使用し、強襲型魔空回廊に攻撃を集中すれば、場合によっては一撃で破壊する事も可能でしょう」
「一回の降下作戦で破壊出来なくとも、ダメージは蓄積します。最大10回程の降下作戦を行えば、強襲型魔空回廊を確実に破壊する事が出来ると思います」
「この強襲型魔空回廊の周囲には、強力な護衛戦力が存在します。ですが高高度からの降下攻撃を防げません。グラディウスの攻撃時に発生する雷光と爆炎は、グラディウスを所持している者以外に無差別に襲いかかる為、強襲型魔空回廊の防衛を担っている精鋭部隊であっても防ぐ手段はありません」
「皆さんは、この雷光と爆炎によって発生するスモークを利用し、其の場から撤退を行って下さい。貴重な武器であるグラディウスを持帰るも、今回の作戦の重要な目的になります」
 更に。
「魔空回廊の護衛部隊は、グラディウスの攻撃の余波により、ある程度無力化する事は可能です。ですが、完全に無力化する事は不可能ですので、強敵との戦闘は免れないでしょう」
「幸い、混乱する敵が連携を取り攻撃を行ってくる事は無いので、素早く目の前の敵を強襲し、倒し、撤退して頂ければと思います」
「逆に時間が掛かりすぎて、脱出する前に敵が体制を整えてしまった場合……幸福するか、暴走し、撤退するしか手が無くなるかもしれません」
「攻撃するミッション地域毎に、現れる敵の特色があると思いますので、攻撃する場所を選ぶ際の参考にする様お願いします」
 そして、最後にセリカは。
「デウスエクスの前線基地となる、ミッション地域を開放するこの作戦はとても重要です。皆さんの力を合わせて、確実に破壊してきて頂けるよう、お願いします」
 と、深く頭を下げた。


参加者
流星・清和(汎用箱型決戦兵器・e00984)
霧島・カイト(凍護機人と甘味な仔竜・e01725)
ガナッシュ・ランカース(マスター番長・e02563)
羽柴・廣常(魔装砲兵・e13648)
トライリゥト・リヴィンズ(炎武帝の末裔・e20989)
月影・環(神霊纏いし月の巫女・e20994)
関・白竜(やる気のないおせっかい・e23008)
グレイシア・ヴァーミリオン(夜闇の音色・e24932)

■リプレイ

●触手の蠢く
 京都市右京区は、名所旧跡の集まる、京都市の一大観光スポット。
 その一角に突如として現れたミッション地域……京都触手寺。
 粘つく触手で内部が構成され、その寺に眠るオークは……修学旅行生が入れ食いだ、などと宣っている。
 そこへと向かうヘリオンの中、ケルベロス達は。
「……全く、そんな事で女子中高生達が入れ食いだなんてなぁ。オークはは考える事も卑しいもんやなぁ」
 と肩を竦める流星・清和(汎用箱型決戦兵器・e00984)に、霧島・カイト(凍護機人と甘味な仔竜・e01725)と、羽柴・廣常(魔装砲兵・e13648)も。
「全くだよな。というか……そんな考えをしているオークがごまんと居るっていうのも頭が痛い所だぜ」
「そうですね。とは言えそんなオークが支配している触手寺……早急に潰さなければこの先も不味い事になりそうですし……ね」
 そして月影・環(神霊纏いし月の巫女・e20994)、グレイシア・ヴァーミリオン(夜闇の音色・e24932)、関・白竜(やる気のないおせっかい・e23008)とトライリゥト・リヴィンズ(炎武帝の末裔・e20989)らも。
「とりあえず、これでオークの巣が一つ破壊できるとなれば、いい、ですね。がんばります、ですよ」
「そうだねぇ。敵に貴重なグラディウスを奪われないようにがんばらないとねぇ……使ったことの無い武器を使うのってウキウキするよねぇ……」
「そうですね。まぁ、武器とはちょっと違う取り扱いになりますし、どうすればいいのかは伝聞でしかありませんが……先ずは、やってみるしか無いでしょう。このグラディウスをバリアに突き立てれば良いのでしょうしね」
 と、その言葉にガナッシュ・ランカース(マスター番長・e02563)が。
「うーむ……やはり相手がバリアなんじゃから、『貫け』よりは『砕け』かのう……? うーむ。『我が一撃はドリルのごとく!』『砕け……』より、『砕け……」だけの方が良いかのう……?」
 と小首を傾げるガナッシュに、他の仲間達からも。
「ああ……確かにバリアですしね。私達の思いの言葉も、その力になると言いますし……全力を籠めて行くしかないでしょう」
「そやねー。まぁ、頑張るとしようかねぇ」
 と廣常、清和が頷く頃……ヘリオンは、京都触手寺上空に到達。
「良し……皆さん、準備はいいでしょうか? 私に続いて下さい!」
 と、白竜の号令一下、ケルベロス達はグラディウスを手にし、上空から次々と降下開始するのであった。

●その手のグラディウスを
 そして上空からの降下作戦、開始。
 遥か高高度から飛び降りたケルベロス達は、みるみる内にミッション地域、京都触手寺上空へと近づいていく。
 近づいていくドーム型バリア……そして、ケルベロス達に気がついたオーク達が、触手寺の中から次々と姿を表し行く。
 ……勿論、高高度に居るケルベロス達には、攻撃はまだ届かない。そして……グラディウスを構えるケルベロス達。
「未だ彼の技には及ばないが、貫け!!」
 と、白竜が叫びながら、先陣を切ってバリアへと打突。
 それに続けて、次々とケルベロス達は、京都触手寺を覆い隠すバリアへグラディウスを突き立てていく。
「突然ポップした寺なんぞ妖しくて入るかいなっ! その浅知恵ごと回廊を吹っ飛ばしてやるでっ!! グラディウスエネルギー全解放!! ハイパーグラビティスラーッシュ!!」
「そうじゃ。そもそも、こんな気持ち悪い寺など誰が入るかー! そんなもので罠にかけようなどというその浅知恵、強襲型魔空回廊ごとぶっ壊してやるわい! 砕け、必殺! ドリルクラァァッシュゥゥゥ!!」
「下衆た考えで信心深き寺が成り立つものか。冬の日本の厳しさを教えてやる、物理的にな! 凍気よ、邪心にて歪みし寺を打ち砕く為、我等が下へ! 我が一心にて打ち砕かん。今こそ放たれよ雷霆が如く!!」
「オークの様なこういう輩がいると、うちの姉の身も危険になるからねぇ……出会う前にオレがバッチリ始末してあげる……明瞭たる光よ、闇夜を照らせ。光を遮る見えなき闇よ、光なくして闇は在らず。聖なる光で闇夜を薙ぎ払え!」
 と清和、ガナッシュ、カイトにグレイシアらが声高らかに叫び、一撃、二撃、三撃、四撃。
 気合いを籠めた一撃は、次々と雷光と爆炎が辺りを包む。
 更に、トライリゥト、廣常も。
「京都市の観光スポット、ありゃあ心が洗われるたいしたもんだ。そこを汚い豚で埋め尽くしてたまるか! 平和な観光地を取り戻し、楽しい気持ちで訪れる事ができるよう……この地は必ず解放するぜ! 砕けやがれぇええ!!」
「いにしえの都。そこにこのような景観を損なうおぞましい建物など不要。あなた方の存在事……消えて貰う。煩悩を取り払う修羅の場である寺において、自らの欲望を満たそうとするなど言語道断。貴方達にはこの地から……退いて頂こう」
 と……そして。
「そう、ですっ。オークに乗っ取られた土地なんて、冗談じゃない、です! この巣を破壊して、二度とここにでてこれなくしてやる、ですよ! あまり女をなめるんじゃない! ですっ!!」
 環はいつもの大人しげな印象とは真逆の、辛辣な言葉を力強く言い放ち、グラディウスを真っ直ぐに突き立てる。
 その一撃に、京都触手寺を覆っていたバリアが……ピキ、パキッ、と音を立てて、一気に崩れていく。
 一層、強烈な雷光と爆炎が、辺りに吹きすさぶ……防衛のために出て来始めていた、護衛戦力陣は次々とその爆炎に包まれ、霧散していく。
 ……そして、グラディウスと共に地上へと降り立つケルベロス達。すぐさまグラディウスを、アイテムポケット持ちのカイト、グレイシアに渡し、紛失を防止する。
 ……目の前には、バリアから解放された京都触手寺の姿。
「……あそこか……ほら、出て来たぜ」
 とカイトが言う通り、触手寺の中から、顔を真っ赤に染めた強化型「オークスポーン」が姿を現わす。
『ブヒ、お前ら、絶対絶対許さないブヒ!!!』
 と、血気盛ん、鼻息荒くやってきたオークスポーンだが、そんなオークに対し。
「許さない……? それは、こっちの、セリフ、ですっ! ただでさえ、京都に寺を建てれば入れ食い、とか、女子中高生が入れ食い、だとか、気色悪い、こんなお寺、誰も訪れない、ですっ!!」
 と、更に辛辣な一言。
 オークは怒り最高潮であるが、対し環も怒りはかなりの最高潮に達している、と言えるだろう。
 そして、すぐさま廣常が。
「彼岸花の先に有る魔の領域。観たくありませんか?御代は貴方の命で結構……」
 と『Del Piero-zone』で、オークに炎の彼岸花を放つと共に、トライリゥトも。
「さぁ、撃っていこうぜ!」
 と、『-必中-』で仲間達の命中率を上昇させる。
 そして、カイトのボクスドラゴンのたいやきと、トライリゥトのボクスドラゴン、セイが、もちもちの身体から鯛焼きの様な何かを飛ばしたり、叫び声を上げたりして、前衛陣から順にBS耐性を付与していく。
 ……そして、清和と環のクラッシャー陣が、怒りしオークスポーンへと近接すると共に。
「さあいくぞ、超合金合体ッ!!」
 と叫びながら飛び上がり、ロボへと変形する清和、そしてその勢いのまま一直線にローラーダッシュ、装備している大剣を構え。
「必殺っ、フォートレススラッシュ!!」
 と、渾身の『超合金DX要塞斬』を叩き込むと、環もストラグルヴァインで斬りかかっていく。
 連携され、かなりのダメージを喰らう……が、それよりも怒りに勝ったオークスポーンは、触手を射出、緊縛する。
 ……喰らった環、でも。
「……そう何度もやられたりしない、ですよ?」
 と特に気持ち悪そうに顔をしかめて、振りほどく。
 更にガナッシュ、白竜のディフェンダーが、サイコフォースと、ドレインスラッシュで左から、右からと攻撃を叩きつけていく。
 又、グレイシア、カイトの二人も。
「本当、オークって卑しいよねぇ……ほんと、さっさと死んでくれるかなぁ?」
「全くだ。このままのさばらせておく訳にもいかんだろう」
 と、言いつつ。
「さあ、大気に満ちる空気よ、凍れ、氷の刃となりて、切り刻め……」
「戒めるは凍気、滅するは破軍の加護、斬り裂くは蒼き氷刃!『氷獄刃:破軍』、我が下に現れよ!」
 と『氷裂風塵』、『氷獄刃:破軍』で、更に次々と体力を奪い去っていく。
 ……行動一巡し、オークはかなりのダメージを受けて居るが……怒りに身を震わせ、半ば狂気と共に、敢然とケルベロス達に立ち塞がっていく。
 しかし……そんなオークよりも。
「セイ、やろうぜ……俺達がミッションを砕いていく!」
 トライリゥトが声を掛けると、それに吠えて頷くセイ。
 いや……彼らだけでなく、今此処に居るケルベロス全員、このミッション破壊作戦に対する思いは強く持っている。
 その強い心で以て、魔空回廊を破壊したのだから……ここで、退くなんて真似はしたくない。
「ほら行くぞ! こいつで、ぶっ飛べ、触手豚っ!!」
 と強い口調で叫び、達人の一撃を叩き込むトライリゥトに、廣常のバスターライフル。
 カイトの轟竜砲と、グレイシアの稲妻突きは、雪結晶の跡を散らしながらその巨躯へ左から右から、と叩きつけていく。
 ……そして、一番のダメージディーラーである清和と環は、一切の防御、回復を仲間に任せて、ただただ攻撃へと傾注し、加速度的にダメージをたたき上げていく。
 しっかりとした連携を取れた、強い覚悟の力が瞬く間に、オークの体力を削り去っていき……そして、十数分の後。
「私の庭で、眠りなさい、です!!」
 と、環の渾身の月の茨の一撃がオークへ深々と突き刺さり……オークは絶叫の様な悲鳴を上げて、其の場に崩れ墜ちて行く。
 ……そして。
「……よし。長居は無用じゃい」
 とガナッシュの言葉に環も。
「ええ……そうですね……」
 と頷き、そしてケルベロス達は、早急に其の場から撤退する。
 ある程度、距離が離れたところで。
「さて、これで一つ……だな。竜十字島が少しは見えてきたか?」
 とトライリゥトが微笑むと、廣常も。
「そうですね……反撃の狼煙……ですね。人類は多くのものを失ってきた。今度は……奴らが失う番です」
 と。
 ……他にも現存するミッション地域。
 多くのミッション地域があるものの、それを一つ一つ潰して行く事が肝要である……と、改めて認識するのであった。

作者:幾夜緋琉 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年1月11日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 5/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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