ミッション破壊作戦~直降下作戦!

作者:雪見進

「みなさんのおかげでゴッドサンタを無事に撃破できました!」
 満面の笑顔を浮かべるのはチヒロ・スプリンフィールド(ヴァルキュリアのヘリオライダー・en0177)。そんな彼女の手元には、大きな袋を背負ったサンタクロースのぬいぐるみ。それがひっくり返っているところを見ると、もしかしたらクリスマスに倒したゴットサンタなのかもしれない。
「そのおかげで手に入れた『グラディウス』ですけど、さきほど使い方が判明しました!」
 そう言いながら、サンタの大きな袋から、小さな短剣……のぬいぐるみを取り出して、得意げに皆に見せる。どうやら、このクリスマスに向けて、裁縫などの手芸を色々勉強して、出来上がった物を見て欲しいらしい。
 それはともかく……。
 『グラディウス』は、長さ70cm程の『光る小剣型の兵器』で、魔空回廊を破壊する事が可能な兵器なのだ。
「これで、日本各地にある『ミッションの拠点』となる『強襲型魔空回廊を破壊すれば、たくさんの人を守れるようになります!』
 そうチヒロは説明をする。その説明はちょっとだけチヒロの願いが強く出ている。『強襲型魔空回廊』を破壊しても、人を守る力にはならないだろう。ただ、デウスエクスの侵攻を止められるのだ。
「どこのミッションを攻撃するのかは、皆さんに決めていだきますので、説明をよく聞いて考えて下さいね」
 そう言って、『強襲型魔空回廊』の攻撃方法への説明に移るのだった。

「強襲型魔空回廊への攻撃は『ヘリオンを利用した高空からの降下作戦』で行います!」
 これまでにも何度か実行している作戦。ケルベロスの特徴を考慮した、ある意味凄い作戦だ。
 強襲型魔空回廊の周囲は、半径30mドーム型のバリアで囲われている。このバリアをグラディウスで触れれば良いので、高空からの降下作戦であっても、充分に攻撃が可能だ。
「皆さんがグラビティを極限まで高めた状態でグラディウスで攻撃を集中すれば『強襲型魔空回廊』を破壊する事が出来ます!」
 しかし、それは8人1班でも破壊出来る可能性があるものの、危険度を考え複数班での波状攻撃を行う事になった。最大で10回程度、効果作戦を成功させれば、確実に破壊出来る計算だ。
「もちろん『強襲型魔空回廊』の周囲には、強力な相手が守る為に居ると思いますが『グラディウス』には凄い力があるのです」
 むろん、敵の防衛行動は想定されるのだが、そこで『グラディウス』の特徴が有利に働く。『グラディウス』は攻撃と同時に、雷光と爆炎を発生させる。その雷光と爆炎は『グラディウスを所持している者以外』に無差別にダメージを与える。これを防ぐ方法は『グラディウス』を所持する以外無い。
「皆さんは、この雷光と爆炎に紛れて、その場から撤退を行って下さい」
 このまま攻め込みたい気持ちもあるだろうが、この作戦は『グラディウス』があって可能な作戦。貴重な武器である『グラディウス』を持ち帰るのも大切なのだ。
「この『グラディウス』は、一度しか使えないものでなく、ちょっと時間がかかりますけど、再利用出来るのです」
 再利用が可能とは、何とも便利なアイテムである。

「魔空回廊の護衛部隊は、この『グラディウス』の凄い力である程度無力化できます」
 しかし、さすがに完全に無力化する事は不可能。なので、強力な敵との戦いが想定される。だが、『グラディウス』の攻撃で、混乱する敵が連携をとって反撃してくるのは難しいだろう。素早く目の前の強敵を倒す事が出来れば、安全に撤退出来るだろう。
「でも、時間がかかりすぎると、脱出が大変になりますから注意して下さいね」
 この作戦は必ずしも一度で成功させる必要は無い。ケルベロスの命も大切だし、グラディウスも貴重だ。

「今も、ミッション地域は増加しています。この侵攻を防ぐ為にも、皆さんの力を集めて頑張って下さい」
 そう言って、両手にさきほどのサンタぬいぐるみとグラディウスのぬいぐるみを手に応援するようにパタパタと振るチヒロだった。


参加者
大義・秋櫻(スーパージャスティ・e00752)
軍司・雄介(豪腕エンジニア・e01431)
燦射院・亞狼(日輪の魔戒機士・e02184)
山之内・涼子(おにぎり拳士・e02918)
館花・詩月(咲杜の巫女・e03451)
ロディ・マーシャル(ホットロッド・e09476)
フローネ・グラネット(紫水晶の盾・e09983)
神宮・翼(聖翼光震・e15906)

■リプレイ


 これから始まる戦いに向け、静かに準備を整えるケルベロスたち。
「強力な武器もあるし、今度はこっちの仕掛ける版だよね!」
 山之内・涼子(おにぎり拳士・e02918)の声が響く。強力な武器とは、この前手に入れたグラディウス。これは通常の武器とは違い、デウスエクスの魔空回廊を破壊する事が出来る武器なのだ。
「だが、決して楽な戦いじゃないだろう」
 ロディ・マーシャル(ホットロッド・e09476)の言う通りだ。魔空回廊は世界各地にある。その大半は数時間適度で消滅してしまうようなもの。今回狙うのは、その根元となる強襲型魔空回廊。これを破壊出来れば、デウスエクスの侵攻を止める事が出来る。
「けど、大規模作戦が始まる前にここを奪還しないとな」
 そのままロディが続ける。強襲型魔空回廊を破壊出来れば、大規模作戦を有利に運ぶことが出来るかもしれない。
「まあ、それも分かるけどね」
 そんなロディの意気込みに同意するように瞳を輝かせながら神宮・翼(聖翼光震・e15906)がロディの顔を覗き込む。
「相手が可愛いからって、口説いたらダメだよー?」
「するわけねえよ!」
 そんな翼とロディのやりとりに周囲が軽い笑いに包まれる。今回の敵として想定される相手は、バイパーメイデンというデウスエクス。翼の言う通り、外見は可愛い美少女。しかし、彼女はデウスエクスであり付近の工場を狙い攻撃を繰り返している相手なのだ。
 そんな相手を口説くはずはないが、そんな翼の言葉で少し重い空気が軽くなる。
(「おばあちゃんの眠るこの国、必ず守って見せます」)
 そんな中でフローネ・グラネット(紫水晶の盾・e09983)は想いを胸に抱く。彼女自身はダモクレスに対して様々な因縁があるが、今は作戦に集中する。
「それじゃいくか! ケルベロスロールアウト!」
 そして覚悟を決めたケルベロスたちはロディの声で降下作戦を開始する。狙いは四日市コンビナートの強襲型魔空回廊だ!


 作戦開始と共に翼の歌声が響き始める。
「歌は絆。仲間同士をつなぐ絆♪」
 翼はギターを弾きながら歌を響かせる。
「おばあちゃんから託された『ココロ』と共に……」
 その歌声を背にフローネがグラディウスを強襲型魔空回廊へ叩き込む。
「Wooo……!」
 燦射院・亞狼(日輪の魔戒機士・e02184)の気迫は誰よりも真っ直ぐなものだった。『ただ敵を倒す』それ為以外の無駄を一切省く純粋な意思。その意思と共に低い唸り声を上げグラディウスを突き立てる!
「そして標。未来の夢に続く標♪」
「……!」
 大義・秋櫻(スーパージャスティ・e00752)と涼子がほぼ同時にグラティウスを突き立てる。叫ぶ言葉は無くとも強い闘志を燃やしグラディウスに魂を込める。
「戦場に響け、みんなの勇気♪」
 歌声を背にロディもグラディウスにグラビティを込める。
「もう、何も奪わせはしない!」
 自分の明日を取り返す為の一歩として、そして宣戦布告としてグラディウスを突き立てる。
 この身を助けてくれた、心を守り育ててくれた、この足を進めさせてくれた人たちの想いを込め、グラビティを高める館花・詩月(咲杜の巫女・e03451)。
「この身を守り育て進ませた皆のために! 砕けろ、魔空回廊!」
 符を巻き付け棒状にしたグラディウスを矢として放つ詩月。
「おまえらえはとっとと地球から出ていけぇええ!!」
 叫ぶ軍司・雄介(豪腕エンジニア・e01431)。その叫びと共に込めるのは、今まで雄介たちケルベロスたちを支援してくれた地球の人々。本来であれば、ここは人々の暮らしを支えてくれる工業地帯。それがダモクレスに侵略され、ダモクレスの工場となってしまっているのだ。その場所を解放するために、今、グラディウスを突き立てる。
「みんなに届け、明日への希望♪」
 そして最後に翼が歌のフィニッシュと同時にグラディウスを魔空回廊へ突き刺す。
「……っ!」
 連続して攻撃を繰り出したケルベロスたちであったが、グラディウスは手ごたえこそあったもものはじき返されてしまう。
 しかし、はじき返されても、攻撃は成功している。直後、破裂するような音と共に周囲に雷光が弾け爆風が発生する。
「グガガァァ!」
 周囲に展開していた護衛のダモクレスが雷光と爆風に巻き込まれ、吹き飛ぶ。
 しかし、すべてのダモクレスが吹き飛んだ訳ではない。
「重大な脅威となりうる反応を感知……解析完了、敵性ケルベロスと断定」
 グラディウスの攻撃に耐えたのは、少女のような外見をもつダモクレス。少女のような外見はただの整体部品にしか過ぎない。そんなダモクレス少女……バイパーメイデンが片目を閉じ、何か行動を行うも、すぐに目を開く。
「周囲機体、異常事態により活動不能。単機にてケルベロスの排除を実行する」
 グラディウスの攻撃により混乱し、バイパーメイデン以外の防衛戦力は行動不能に陥っていた。しかし、全てではない。別の場所から戦力が集結してくるだろう。
「ぁ? うるせーよ」
 そんな行動をするバイパーメイデンに即座に攻撃を仕掛ける亞狼。しかし、それを遮るように登場するのは、何かの飛行物体。それが周囲を旋回し亞狼を牽制。
「どけや」
 その牽制を無視して力任せに鉄塊剣でバイパーメイデンを殴り付ける。
「……敵性攻撃、防御」
 攻撃を防いだのは、謎の飛行物体。それがバイパーメイデンを守り、同時にバラバラに砕ける……かに見えたが、それは分離と変形。
「……モード、アサルト」
 バイパーメイデンは追加パーツを装備し強化型バイパーメイデンへ換装を完了する。
「排除……開始」
 抑揚の無い声と同時に全身から光を放つ。魔空回廊の破壊に失敗した以上、この場から撤退するのがいいだろうが、強化されたバイパーメイデンをそのままに撤退は難しいだろう。
「いざ、いくよー!」
 涼子の言葉で戦いが開始された!


「ぁ? 文句あんのかよ」
 そんなバイパーメイデンや仲間の言葉の間であっても攻撃の手を緩めない亞狼。そのままバイパーメイデンの瞳を覗き込み、その心の中に強烈な黒い日輪を見せる。
「……優先攻撃対象を設定」
 外から見ると、強烈な熱視線によるバトル。しかし、亞狼とバイパーメイデンの心の中では激しい熱波が吹き荒れる。それに煽られるようにバイパーメイデンは優先攻撃対象を亞狼に設定する。
「対象を凍結させる」
 追加換装された装備から、白い光が溢れる。その光は脚部、腕部、頭部から胸部へ収束。
「液体窒素弾頭連射……」
 そのまま胸部から発射されるのは絶対零度に冷やされた液体窒素の弾頭。それが亞狼に放たれる。
「させねぇよ」
 その弾丸を防いだのは雄介が走らせたケルベロスチェイン。液体窒素を絡め凍結しながらも、亞狼達を守る魔法陣となる。
「可愛い顔してても手加減しないからね♪」
 翼はギターを弾く手をそのままにマインドリングを輝かせる。
 その翼の動きに合わせフローネも銀の指輪を光らせる。二つの輝きが重なりながら光を拡大させていく。輝きの一つはフローネの剣に、そしてもう一つの光は円となり翼の演奏に合わせて踊る。
「行きましょう、翼さん!」
「はい、フローネさん!」
 翼の演奏に合わせて踊る光輪と光の剣を手に舞うフローネが重なり、バイパーメイデンを中心に円舞曲のように舞いながら斬撃を繰り出す。
「スーパージャスティス参上!」
 その円舞曲に合わせながら登場するのは秋櫻。
「正義の為に、貴方を破壊します!」
 闘志を燃やしマントを翻し軽快に名乗りを上げ、同時にアームドフォートを展開させる。
「回避マニューバー、起動……」
 即座に回避しようとするバイパーメイデンに回り込むのは涼子。
「いくよー!」
 バトルガントレットに内蔵されたジェットエンジンで急加速させた拳を叩き込む。
「ファイア!」
 涼子の拳で吹き飛ぶバイパーメイデンに秋櫻の砲弾が叩き込まれる。
「……不要装甲をパージ……追加武装を発射」
 涼子と秋櫻の攻撃で装甲を破損するも、それを切り離し攻撃態勢を整えようとする。
「させないぜ!」
 涼子、秋櫻からの連携を途切らせず攻撃を重ねるロディ。リボルバー銃・ファイアボルトから無数の弾丸を発射し、アイパーメイデンの行動可能領域を制圧していく。
「ここです!」
 行動可能領域を削られ誘い込まれた先は詩月の攻撃範囲。ドラゴニックハンマーを砲撃モードに変形させ、そこから放つ竜砲弾を命中させる。
「……敵目標、脅威度修正……全力で……いく」
 ケルベロスたちの連携攻撃で装甲や追加パーツが砕かれていく。しかし、拠点から幾度も飛来する追加パーツを換装しながら、戦い続けるアイアンメイデンだった。


「モード・タンク」
 戦況の不利を理解したのか、バイパーメイデンは片目を閉じ指揮管制プログラムを起動、同時に飛来した飛行物体とパーツを換装、機動力を下げ耐久力を上昇させたモードへ換装する。
 時間を稼げば援軍が来る事を考えるならば、作戦としては間違っていない。しかし、バイパーメイデンはケルベロスたちの戦闘力をまだ過小評価していた。
「おぅヤローども、殺っちまえ」
 それを敏感に察知したのは戦況をよく見ていた亞狼。
「ターゲットロック!」
 その声に合わせ、ロディがアームドフォート・ファイヤー炎神を展開。ラダー型の砲塔がバイパーメイデンに狙いを定める。
「奔れ、青い流星!」
 ファイヤー炎神から発射された冷凍ビームがバイパーメイデンに突き刺さる。
「モード・フルクロス!」
 冷凍ビームにより凍結したパーツを切り捨て深部までの凍結を避けると同時に別のパーツを追加装備し防御を固める。
「そんな装備を増やしたらかわせないよね?」
 そこへ踏み込む涼子。切り捨てられたパーツによって生まれた死角から素早い蹴撃を放つ。
「地摺り焔鮫!」
 その蹴撃から放たれた炎のグラビティが鮫のごとく襲い掛かる。
「戦闘継続……可能」
 全身を炎に焼かれながらも任務を全うすべく行動するバイパーメイデン。再び換装パーツを呼び出し、自身を増強させる。
「なもん知るかよ」
 こちらの攻撃に応じて形態を変化させていく行動を『なもん』で流し、亞狼はそのまま力任せに鉄塊剣をバイパーメイデンの装甲が固そうな場所へ叩き込む。
「……っ!」
 亞狼の攻撃で砕け散る装甲。
「危機的状況! モードを攻撃態勢へ移行!」
 叫ぶように声を上げるバイパーメイデン。最初の様子から変化しているのだろうか、声にあせりのような感情が感じられる気がする。
 バイパーメイデンの声に呼ばれ登場したのは、追加装甲とか換装武器というレベルではなかった。現れたのは本体よりも大きい戦艦のような飛行物体。
「モードフルウエポン!」
 叫ぶ声と同時に戦艦が真っ二つに割れ、それがバイパーメイデンの背部に装着される。
「マルチロックオン!」
 装着された戦艦パーツが無数の砲塔を構える。
「フルファイア!!」
 たった1分の間に展開された換装、ロックオン、フルファイア。全ての砲塔から発射されるミサイルが、豪雨のごとくケルベロスへ飛来する。
「……敵対象、沈黙を確認……できず」
 一瞬の沈黙と共にバイパーメイデンが呟く。激しい爆炎の中から紫色の光が溢れて来る。
「この紫水晶の光の輝き、無視出来ますか?」」
 無数のミサイルをすべて防ぐ事が出来ないと判断したフローネはアメジストシールドとアメジストドローンを展開させ、複数のバリアを展開及び発行を繰り返し、バイパーメイデンの攻撃を一部相殺させ被害を減少させる。
「どけや」
 しかし、それでも防ぎきれない攻撃から仲間をかばうフローネと亞狼。
「大丈夫か!」
 凄まじい攻撃から仲間を守った二人に思わず声が出る。
「ぁ? 気にすんな。勝ちゃなんでもいいんだよ」
 しかし、一歩も引く様子を見せない二人。だからこそ、攻撃の手を止めず一歩前に出るのは秋櫻。
「ちょっと痛いがガマンしてくれ!」
 そんな秋櫻の背中を押すのは雄介。全力の想いと共に秋櫻の背中に魔力を込める。
「さあ、もうひと踏ん張り!」
「はい! 皆さんの想い、このスーパージャスティスは無駄にしません。近接高速格闘戦闘モード起動」
 そのままバイパーメイデンに拳を叩きつける。同時に砕け散る装甲。全力砲撃を行なったバイパーメイデンには装甲はほとんど残っていない。腕部、脚部に一部残っているだけ。しかし、それでも砕けた装甲の破片を握り、抗う姿を見せる。
「任務……続行可能……脅威を排除する」
 そんなバイパーメイデンに複雑な視線を向けるケルベロスたち。しかし、手を止める訳にはいかない。
「ブースター出力最大値。腕部及び脚部のリミッター解除」
 静かな言葉と共に拳と蹴りの乱撃を繰り出す秋櫻。
「……戦闘続行可能……」
 しかし、バイパーメイデンは秋櫻の攻撃を全て耐えきった。だが、すでに残っているのは生体パーツのみ。しかし、装甲の破片を手に抵抗を続ける。
「……」
 そんな姿に敵ながら悲しさを感じてしまう。しかし、そんな中で響くのは、澄んだ音色。
「月の元にて奏上す。我は鋼、祝いで詩を覚えし一塊なり。なれど我が心はさにあらず」
 澄んだ音は、詩月の鳴弦。さらに、詩を奏じる。
「貴女の胸に響け♪」
 その詩月の詩に合わせギターを爪弾く翼。二人の声と共にバイパーメイデンの動きはゆっくりになっていく。
「許し給え 。我が心のままに敵の魂を鎮めんとする事を」
 翼の音色と共に最後の鳴弦を響かせ、バイパーメイデンの魂を撃ち抜く。
「任務……失敗……」
 鳴弦の音が空に吸い込まれるように消えると、バイパーメイデンはゆっくりと膝を付き、そのまま力尽きた。ケルベロスたちの勝利だ。


 強化型バイパーメイデンを倒したものの、強襲型魔空回廊を破壊する事は出来なかった。破壊出来なかった原因は正直分からない。単純に運が無かったのかもしれない。
 ともかく、グラディウスは力を失い、再使用するには時間が必要だ。今は撤退するしかない。
「撤退しましょう」
「ああ」
 撤退を開始するケルベロスたち。しかし、最後尾で名残惜しげに魔空回廊の方向を見渡す雄介。
「急ぎましょう」
 しかし、それほど余裕がある訳ではない。すでに遠くにはダモクレスの援軍が見える。その中には、さきほど倒したバイパーメイデンと酷似したダモクレスも見られる。
「そうだな」
 フローネに促され、雄介は置き土産代わりに、無数の銃弾を発射する。
「また機会はあるさ」
 この戦いで何かを失った訳ではない。グラディウスも全て無事だ。なら、再び攻撃を仕掛ければいい。今までは現れるデウスエクスに対し、ヘリオライダーの予知で対抗するしか出来なかったが、これからは攻撃の機会も増える。
 今は強襲型魔空回廊への攻撃成功を土産に帰還するケルベロスたちであった。

作者:雪見進 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年1月11日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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