ミッション破壊作戦~一撃、その思い

作者:雨音瑛

「ゴッドサンタの撃破ができて、本当によかった。まずはお疲れさま、だな」
 ヘリポートに集まったケルベロスたちを、ウィズ・ホライズン(レプリカントのヘリオライダー・en0158)がねぎらう。
「実は、ゴッドサンタを撃破したことで入手した『グラディウス』の使い方が判明した」
 『グラディウス』は、長さ70cmほどの『光る小剣型の兵器』。通常の武器としては使用できないという。
「その代わり、魔空回廊を攻撃して破壊することができるんだ。通常の魔空回廊であれば時間が経てば消失するが、グラディウスで破壊するまでもない。だが、固定型の魔空回廊なら、グラディウスでの破壊が有効だ」
 つまり、現在の日本各地で『ミッション』の拠点となっている『強襲型魔空回廊』の破壊が可能になる。結果、デウスエクスの地上侵攻に大きな楔を打ち込むことができるだろう。
「では、グラディウスについての説明だ。グラディウスは、一度使用するとグラビティ・チェインを吸収して再び使用できるようになるまでかなりの時間がかかる」
 しかし今回入手したグラディウスには『すぐに使用可能なもの』が多数あるため、それらを使用して一気にミッション地域を開放する『ミッション破壊作戦』を行うことができる。
「君たちにお願いしたいのは、グラディウスの力を利用してミッション地域をデウスエクスの手から取り戻すことだ」
 ケルベロスたちを見渡した後、ウィズは強襲型魔空回廊の説明へと移った。
「強襲型魔空回廊があるのは、ミッション地域の中枢だ。そのため、通常の方法でたどり着くのは難しい。場合によっては、貴重なグラディウスを敵に奪われる危険もある。そういうわけで、今回は『ヘリオンを利用した高空からの降下作戦』を行う」
 強襲型魔空回廊の周囲は半径30mほどのドーム型バリアで囲われている。このバリアにグラディウスを触れさせれば良いので、高空からの効果であっても充分に攻撃が可能だ。
「8人のケルベロスがグラビティを極限まで高めた状態でグラディウスを使用し、強襲型魔空回廊に攻撃を集中——場合によっては、一撃で強襲型魔空回廊を破壊することもできる」
 一回の降下作戦で破壊できない場合でも、ダメージは蓄積される。そのため、最大でも10回程度の効果作戦を行えば、強襲型魔空回廊を確実に破壊することができるだろう。
「強襲型魔空回廊の周囲には強力な護衛戦力が存在しているが、高高度からの降下攻撃は流石に防げないようだ」
 また、グラディウスは攻撃時に雷光と爆炎を発生させる。これらはグラディウスを所持している者以外にも無差別に襲いかかるため、強襲型魔空回廊の護衛戦力であっても防ぐ手段はないという。
「この雷光と爆炎によって、スモークが発生する。これを利用して、君たちはその場から撤退をしてくれ。グラディウスは貴重な武器だ、これを持ち帰ることも今回の作戦において重要な目的だからな」
 そうして、作戦と出現する敵についてウィズが説明を始めた。
「強襲型魔空回廊の護衛部隊は、グラディウスの攻撃の余波で、ある程度無力化できる」
 だが、完全に無力化することは不可能。戦闘は免れないということだ。
「幸い、強襲で混乱した敵が連携して攻撃することはない。素早く目の前の強敵を倒して撤退にこぎつけてくれ」
 ただ、時間がかかりすぎて脱出前に敵が態勢を整えてしまうこともある。その場合は、降伏するか暴走しての撤退くらいしか手だてがなくなるかもしれない、とウィズは表情を曇らせた。
「そうそう、攻撃するミッション地域ごとに、現れる敵の特色がある。攻撃をする場所を選ぶときの参考にするのも良いだろう」
 説明を終え、ウィズは帽子のつばを上げる。
「ミッション地域を開放する今回の作戦は、とても重要だ。背負うものは大きいが——どうか無事に帰還してくれ」
 頼んだぞ、と、ウィズが頭を下げた。


参加者
寺本・蓮(眼鏡が本体疑惑・e00154)
エルス・キャナリー(月啼鳥・e00859)
ノル・キサラギ(銀架・e01639)
エリース・シナピロス(少女の嚆矢は尽きること無く・e02649)
揚・藍月(青龍・e04638)
月詠・宝(サキュバスのウィッチドクター・e16953)
白刀神・ユスト(白刃鏖牙・e22236)
マーシャ・メルクロフ(月落ち烏啼いて霜天に満つ・e26659)

■リプレイ

●剣を手に
 ヘリオンが高知県蟠蛇森の上空に到達する。
 月詠・宝(サキュバスのウィッチドクター・e16953)は、ケルベロスに覚醒する前の無力な自身を嘆いた過去を思い返す。そのかたわらに、彼のサーヴァントであるナノナノの「白いの」が心配そうに寄り添った。
「お前の力も貸してくれ」
 宝の表情が、思わず緩む。乱雑に白いのの頭を撫で、顔を上げて踏み出した。
「全てを終わらせる為の第一歩だ、この任務必ず成し遂げる!」
 降下した先に待つのは、強襲型魔空回廊だけではない。『略奪者』、すなわち護衛部隊であるドラグナー『グラビーチェリ』も、だ。とはいえ、と、ノル・キサラギ(銀架・e01639)が呟く。何もグラビーチェリだけが略奪者というわけではない。
「それは、全てのデウスエクスそのものだろう」
 かつてダモクレスであったノル自身がそうだったように。しかし、地球人たちは彼らを受け入れてくれたのだ。認められ、護られ、愛されてきた想い。それを、今こそ返そうと。難敵だからこそ、先陣だからこそ挑もうと。
「俺の、この身体は、戦う力は、全てこの地を、愛する世界を、守る為にある。――聞け、我ら全軍、全ての地球を愛する者達よ! これより我らは、解放の嚆矢となる!」
 そうして、ノルじゃヘリオンから飛び降りた。
「ドラゴンと直接やりあえないことは残念だけど」
 そう言いつつ、エルス・キャナリー(月啼鳥・e00859)は笑顔だ。
 どんな方法でも、ドラゴン勢力にダメージを与えられるなら……喜んでやってあげるわ。ああ……滅べ……全部全部滅べよ!! ドラゴンなんてさっさと死ぬといい!!」
 心の底からの笑顔を浮かべるエルスに続き、寺本・蓮(眼鏡が本体疑惑・e00154)が、怒りの形相でグラディウスを握りしめる。
「テメエ等はここで潰す! これ以上無辜の人々が害されることのないように、俺の、俺達の怒りで叩き潰す!」
 人々を守るのも、ケルベロスの仕事だ。
「あなたに恨みはないけれど……人の幸せを奪う存在を、看過するわけには、いかないッ!」
 エリース・シナピロス(少女の嚆矢は尽きること無く・e02649)は、無表情のまま叫ぶ。エリースの思い、その底に潜む願いは「自分と同じような子供を増やさない」こと。
 一方、マーシャ・メルクロフ(月落ち烏啼いて霜天に満つ・e26659)は身体に回転を加えながら降下してゆく。
「拙者の故郷であるロシアでの悪逆非道な振る舞い……聞き及んでおりまするぞ!」
 グラビーチェリの悪行は許せない。マーシャが日本を愛する留学生であることを差し引いても、だ。
「なんとしても魔空回廊の破壊、為し遂げてみせましょうぞ! 悪・滅・斬――!!!」
 身体の回転はそのままに、マーシャはバリアへと近づいてゆく。
 それぞれの思いを叫ぶ仲間と距離を開けないように、白刀神・ユスト(白刃鏖牙・e22236)は翼で姿勢を制御しつつ降りるのだった。
「ドラゴニアンを狙って殺して、屍から鱗を奪うだあ!? ふざけんな馬鹿野郎! 先にこの星を食い物にしたのはどっちだよ!」
 湧き上がる怒りを全て叩きつけるように、口早に言葉を続ける。
「ドラゴンってのは死体漁りの別名ってか! 逆恨みも甚だしいぜ! 祖先の無念、同朋の遺志はここで晴らさせてもらうぞ! 勇者の末裔、白刀神・ユスト――いざ参るッ!」
 同じくドラゴニアンである揚・藍月(青龍・e04638)も、怒りを抱いていた。
「之は俺だけの叫びではない。狩られ命の尊厳を奪われたドラゴニアン達の怒りの叫びだ。篤と聞け、この叫びこそ貴殿らの咎である」
 大きく息を吸い、吐き出すのは言葉。ではなく。
「――っ――!!!!」
 竜の咆吼の如き、声なき声だった。
 決意。怒り。願い。それぞれの思いを込めたグラディウスが、バリアに触れる。雷光と爆炎がケルベロスたちを襲い、続いてスモークが発生した。
 バリアを破壊することこそできなかったが、ダメージは与えられている。
 宝は白いのを片手で掴み、着地そた。そして白いのを戦列に配置すべく、ぞんざいに放り投げた。

●略奪する者
 スモークごしに、ゆらりと立ち上がるシルエットが見える。人型、頭部から生える二本の大きな角、無骨な剣。それれが、スモークを突き破って動いた。
「我が主の敵、ドラゴニアン……断罪する!」
 グラビーチェリの骨剣が、藍月の腕を切り落とさんばかりの気迫で迫る。
「どうした? その程度か?」
 重い斬撃を受けてなお、藍月は余裕を見せる。しかし、傷は深い。宝が傷の具合を確認し、緊急手術ですぐさま藍月を癒やす。敵の攻撃に合わせた的確な処置に、藍月のボクスドラゴン「紅龍」が、まるで礼を述べるようにきゅあきゅあと鳴いた。
 もちろん、黙って攻撃を受けるケルベロスではない。マーシャが斬霊刀「苺大福-和-【改】」を抜き、呼吸を整える。将棋の戦術・駒の戦法を型とした棋聖活刃流、その一太刀がグラビーチェリへと浴びせられる。
「道なくば道を知り、欲すれば我が歩を道とする」
 進撃の一太刀が作った、一筋の道。すかさずノルがエアシューズ「ルピナスの礎」を呻らせ、グラビーチェリの胴体へと流星の一撃を加えた。ノルが無言で視線を送るが早いか、ユストが大きくうなずいた。ノルにとって、ユストは気の置けない同僚だ。ユストの金色の瞳がグラビーチェリを捉え、目にも止まらぬ速度で蹴りを繰り出した。
 忌々しげに舌打ちをするグラビーチェリに、エリースのミミック「ミミちゃん」ががぶりと噛みつく。グラビーチェリが振りほどこうとするその隙に、エルスが時間を凍結する弾丸を精製した。視線の先には、エルスが最も殲滅したいデウスエクス「ドラゴン」を崇める狂信者の姿が。
「さぁて、お返しを差し上げますわ、喜べ!!」
 言葉とは裏腹に、エルスは至極冷静だ。一年前からの怒りを込め、エルスは弾丸を射出した。着弾後は、蓮が素早く達人の一撃を撃ち込む。
「かなり余裕がありそうだな……」
 蓮は、距離を取ってグラビーチェリの様子を観察する。白いのがハート光線を照射したところで、エリースが後衛で極彩色の爆発を起こした。
「外さなければ、仕留められる……」
「だな。俺も援護するとしよう」
 さらに藍月も前衛の背後で爆発を起こすと、紅龍が鳴き声を上げながら、グラビーチェリへと向かって行った。
「きゅあー! きゅあきゅあきゅあ!」
 ドラゴニアン狩りをする外道など、とうてい許せないと言わんばかりに。全力の体当たりで、グラビーチェリへと挑む。
「むきゃ――!」
 攻撃を終えて藍月の元へ戻ってもまだ言い足りないようで。紅龍はさらに鳴き声を上げるのだった。
 一連の攻撃を受けたグラビーチェリは、ドラゴニアンである藍月とユストを見遣った。
 ケルベロスたちは、戦況が厳しい場合には撤退も視野に入れていた。もちろんそれを黙って見逃す、目の前の敵ではないだろう。特にドラゴニアンへの執心たるや、相当のものだ。
(「万が一の時は、拙者が暴走してみんなを逃すでござる」)
 斬霊刀の柄を握りしめ、マーシャは仲間を見遣った。

●怒れる者
 お互いに油断なく、隙なく、攻撃が重ねられてゆく。
 ノルはドラゴニックハンマー「壊星のガーベラ」を砲撃形態へと変形させ、呟く。
「俺自身も、ダモクレスだった」
 それは「地球でグラビティを略奪する側」であったということ。グラビーチェリを含む、地球の敵デウスエクスと同じであったということ。
「たくさんの命を、幸せを略奪してきた……だからこそ。その罪を、許された者であるからこそ。俺は、この星の守護者となろう」
 放たれる竜砲弾の軌跡を、ノルは見守る。
「守るための刃として、この身を尽くそう! 俺の愛する人、愛する世界に誓う。俺達は、地球を取り戻す!」
 ノルの言葉に同意を示すのは、マーシャだ。
「大好きな日本を守るため、拙者も尽力いたすでござるよ!」
 叫び、放つは【氷結の槍騎兵】。グラビーチェリの角を、氷が覆う。
「好機ですね」
 普段のふんわりと大人しい雰囲気はどこへやら。エルスは、惨殺ナイフの刃を変形させた。無言でグラビーチェリの懐へと飛び込んでナイフを閃かせれば、角を覆う氷は一段と分厚くなる。それをちらりと見て敵の背後へ抜け、周囲へと目を配る。今のところ、敵の増援はない。
「このまま攻撃を続けても大丈夫そうですね」
「それじゃ、遠慮無く、いくわ。――これより先は我らが故郷。旅人よ、去ね。去ねや、去ね。お前にまだ帰る場所があると云うのなら」
 エリースの言葉に呼応して、結界が、エリースの原風景が現れる。いつか『在った』故郷を巡る清き森。鮮やかな緑に潜む無数の罠がグラビーチェリを捕らえ、傷を負わせる。ミミちゃんが愚者の黄金をばらまいたところで、ユストが大きく跳躍した。ユストの左腕から、純白の剛刃が生じる。
「突き穿てッ! 黄道十二星剣――『サダルメルクの戮星槍』!! 戦艦竜……ドラゴン種族の魂を喰らって得た、無敵の矛だ! 今度はテメエらが、自分の身で喰らってみやがれ!」
 蒼銀の氷槍が、グラビーチェリの胸を撃ち貫く。怒りの一撃は、まだ止まない。蓮の拳に、ケルベロスとして戦うことを決めた日の怒り、そして目の前の不条理に対する怒りが宿される。それは外装となり、信念とともに解き放たれた。
「この一撃は俺たちの怒りと知れ! 打ち砕け、ディエス・イレ! 悲劇の未来とその元凶を!」
 超加速が、自身の拳を、いっそ自身を弾丸として叩き込む。ため込んだ怒りをすべて吐露するかのような、全身全霊の突撃。
 グラビーチェリが体勢を崩した、ように見えた。
「もう終わりか? ドラゴニアンは――俺は、まだ生きてるぞ」
 藍月が、挑発的な笑みを浮かべる。歯噛みし、顔を上げるグラビーチェリに向かって、藍月は八つの板型の符を展開した。
「八卦炉招来! 急急如律令! 行くぞ紅龍! 今こそ俺達の力を見せる時だ!」
 結界に閉じ込められたグラビーチェリの上空から、紅龍が炎弾を撃ち込む。結界の中は既に超高温だが、まだ終わりではない。結界ごと爆砕され、グラビーチェリの全身から黒い煙が立ち上る。
「むきゃきゃっ!」
 追い打ちをかけるように紅龍がブレスを見舞うが、グラビーチェリはにやりと笑って回避する。
「ブレスというのは」
 グラビーチェリが息を吸い込む。吐き出された息が、炎を伴って前衛を襲う。
「こうやるんだ」
 満身創痍の状態でケルベロスたちを見下すグラビーチェリ。敵に目もくれず、宝は薬液の雨を降らせた。加えて、白いのが蓮を癒やす。
「その調子で頼むぞ」
「ナノ!」
 宝の声がけに、白いのはきりっとした顔で応えるのだった。

●沈む者
「ある程度無力化されて、これだけの力とは……」
 骨剣による傷に視線を落としつつ、蓮が轟竜砲を放つ。
 グラビーチェリは肩で息をしながらも、脈動する勇者の鱗で自身を癒やした。起こした上体には、ケルベロスたちによって与えられた傷がまだまだ残っている。
「そんな一時しのぎは無駄だ」
 ノルが、行動予測プログラムを起動する。
「コードXF-10、術式演算(カリキュレーション)。ターゲットロック。演算完了、行動解析完了ーー時剋連撃(スクルド・バレット)!」
 予測解析が完了すると、ノルはグラビーチェリの背後に回りこんだ。そこからの連撃攻撃を叩き込むと、藍月がグラビーチェリの顎を蹴り上げる。火花が散り、グラビーチェリに炎が灯る。先ほど馬鹿にされたお返しと言わんばかりに、紅龍がグラビーチェリのみぞおちに体当たりをした。畳みかけるのはマーシャ。「苺大福-和-【改】」を非物質化し、グラビーチェリの霊体のみを斬る。
 一撃一撃が、グラビーチェリの体力を削ってゆく。癒やし手を担っていた宝が回復すべき対象は、現時点ではいない。双方の消耗は大きいが、現在はケルベロス側が有利だ。
「正念場、だな。――しっかり見てろよ……」
 グラビーチェリの視界が、歪む。気付いた時には、宝の攻撃が叩き込まれていた。さらに白いのがハート光線を放つが、グラビーチェリは直前で回避する。
 だが、回避直後、エルスの詠唱する言葉が終わろうとしていた。
「紅蓮の天魔よ、我に逆らう愚者に滅びを与えたまえ!」
 グラビーチェリの眼前に、悪魔のような黒い炎が広がる。世界の隙間に渦巻く虚無の力から成ったそれは、猛烈な爆発を起こした。
 爆風に紛れて、エリースがオーラの弾丸を放つ。オーラの弾丸に続き、ミミちゃんもグラビーチェリへと噛みついた。
 勢いは止まらない。今まさに膝を突こうとするグラビーチェリに、ユストが真正面から立ち向かう。
「俺達ドラゴニアンから散々奪ってきたんだ。そのツケ、テメエの魂で払ってもらおうか!」
 魂を喰らう降魔の一撃が、グラビーチェリを抉った。単純明解な技は、グラビーチェリの呼吸を止めるに至る。グラビーチェリは崩れ、消えてゆく。
 ケルベロスたちは、グラビーチェリ相手に勝利した。しかし、感慨に浸っている暇は無い。強襲型魔空回廊がある限り、デウスエクスは現れ続ける。
 そして、次に成すべきことは決まっている。宝は白いのの頭に手を置き、息をつく仲間を見渡した。
「撤退だな」
「そうだな、速やかに離脱するとしよう。……紅龍もよく頑張ったな」
 藍月が紅龍を撫で、うなずく。
「最後まで油断は禁物です。グラディウスを落とさないよう、気をつけて撤退しましょう」
 自身の手元にあるグラディウスを確認し、エルスが声をかける。
 強襲型魔空回廊の破壊こそできなかったが、グラディウスは全て、それぞれが所持している。
「俺たちに出来るのはここまでか……。撤退するぞ!」
 後続のケルベロスを信じ、蓮たちは蟠蛇森を後にした。

作者:雨音瑛 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年1月11日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 6/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 0
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