ミッション破壊作戦~ライク・ア・サンダーボルテクス

作者:鹿崎シーカー

「みんな、クリスマスは楽しめた? ゴッドサンタ討伐はしっかり見てたよ! ……なんだったんだろうね、あれ」
 一方的に袋叩きにされた挙句、棒読みめいたセリフで倒された巨大サンタダモクレスを思い出しながら、跳鹿・穫は余ったシャンメリーを飲んだ。
 ケルベロスのクリスマスにおいて、午前中に登場したにも関わらず昼前に見事討伐されたゴッドサンタ。小物臭あふれる彼を撃破したことで、ケルベロス達の手に渡った武器『グラディウス』の使い方が判明したのだ。
 グラディウスは、ただの武器ではない。普通に使うことができない代わり、『魔空回廊を破壊する』というすさまじい能力を持っているのだ。
 通常の魔空回廊は時間が経てば自然に消えるので、あまり意味はないように思える。だが、そうではない固定型の魔空回廊を破壊できるとするならば、それは凄まじい威力を発揮するだろう。
 現在、日本各地では『ミッション』の開始点として『強襲型魔空回廊』が設置されている。これをグラディウスで破壊すれば、敵の侵略を大きく足止めすることができるだろう。
 グラディウスは一度使うと再使用までかなりの時間を必要とする。しかし、今回手に入れたグラディウスの内いくつかはすぐに使えるのが判明している。皆には今回、このグラディウスの力を使ってミッション地域に突入し、強襲型魔空回廊を破壊してきてほしいのだ。
 どこへ向かうかは各自に任せる。よく相談して決めてほしい。
 強襲型魔空回廊があるのはミッション地域の中枢、すなわち最奥だ。普通の方法で辿り着くのは難しく、場合によっては敵にグラディウスを奪われる危険すらある。よって今回は、ヘリオンで中枢まで入り、上空から降下してもらうことになる。
 肝心の攻撃方法だが、強襲型魔空回廊をおおう半径三十メートルをドーム型バリアにグラディウスを触れさせるだけでいい。八人がグラビティを極限まで高めて使えば、一撃での破壊も可能だ。たとえ一回で破壊できずとも、最大十回の降下作戦を行えば、強襲型魔空回廊は確実に壊せる。
 周囲には護衛戦力がいるが、グラディウスは攻撃に雷光と爆炎を発生させ、使用者以外に無差別攻撃を振りまくため、彼らもうかつには近づけない。これを目くらましとして、その場から撤退するのが望ましい。くれぐれも、グラディウスは失くさないように注意。
 今回の護衛戦力はグラディウス攻撃の余波である程度無効化できる。しかしそれとて完全ではなく、強力な敵との交戦は避けられない。敵はスモークにより混乱するはずなので、強敵だけを倒して撤退するのが望ましいだろう。時間をかけすぎれば敵は復帰し、降伏か暴走しての撤退以外に道はなくなってしまう。
 現れる敵については、ミッション地域ごとに特色があるので、攻撃する場所を選ぶ際に考慮してはどうだろうか。
「みんなもちらほらやってくれてると思うけど、強襲型魔空回廊は言わば相手の前線基地。壊せれば敵の攻撃も少しはマシになると思うんだ。がんばってきてね!」


参加者
篁・メノウ(わたの原八十島かけて漕ぎ出ぬ・e00903)
アシュレイ・クラウディ(白翼の騎士・e12781)
霧崎・天音(我が食欲に敵うもの無し・e18738)
影渡・リナ(シャドウランナー・e22244)
響命・司(霞蒼火・e23363)
卜部・泰孝(ジャンクチップ・e27412)
フローラ・スプリングス(小さな花の女神様・e29169)
天変・地異(ぷえぷえ侵食率超過・e30226)

■リプレイ

 大阪市・天王寺区螺旋番外地。
 羽ばたくコウモリ達が寄り集まって混ざり合う。超常の蝙蝠の群れは、紫の螺旋仮面の忍者に変じた。螺旋忍軍一派のひとつ、蝙蝠衆。その一人が、袋小路で腕を組んだ。宇宙色に渦巻く異次元回廊。この強襲型魔空回廊の護衛こそが彼らに課せられた使命。
 言葉無きまま回廊を囲む忍び達。止まったかのような時が過ぎる中、うち一人がふと空を仰いだ。
「ムッ!」
 全員同時に警戒体勢。その上空にヘリが浮き、開かれたドアから星めいた輝きが放たれた。小剣グラディウスを担ぎ、影渡・リナ(シャドウランナー・e22244)は眼下を見下ろす。
「ようやく見つけた。侵略ゲート攻略への道!」
「こんな市街地で復活されたら、周りの人が安心して暮らせないわね! みんなために、フローラが絶対に壊しちゃうわ!」
 フローラ・スプリングス(小さな花の女神様・e29169)の手中で輝きが増した。剣は光を脈動させる。魂の刃を手に、床を蹴りつけた。
「それに、フローラたちがここを壊せば他のみんなも勇気づけられるわ! 行きましょっ!」
「敵襲だッ!」
 叫ぶと同時、蝙蝠衆が一斉に弾けた。無数の蝙蝠が飛び立ち、光に急襲! 昇ってくる嵐をサングラス越しに捉えた篁・メノウ(わたの原八十島かけて漕ぎ出ぬ・e00903)は、小剣を大上段に振り上げた。
「長いこと好き勝手しやがって……ぶっ壊してやる。必ず、全部ぶっ壊してやるッ!」
「次なんて待たない。今ここで破壊してみせる!」
 そして光は解き放たれた。三条の軌跡は見えない壁に激突し、爆炎と雷光を爆発させる! 焼き撃たれた蝙蝠は忍びに戻りながら落下。辛くも逃れた一団は再収束し、一人の蝙蝠衆となる。
「あの光……まさかグラディウス! 何故奴らがあれを……ぐおッ!」
 見上げる仮面が、爆炎に引き寄せられる。黒のガントレットを突き出した天変・地異(ぷえぷえ侵食率超過・e30226)はゴーグルに覆われた目を凶暴に釣り上げた。
「なぁに、もらったんだよ。サンタさんからなぁッ!」
「ぐおッ……!」
 印を結んだ忍者を蝙蝠の群れが包み込む。地異は片腕を振り抜き、蝙蝠に覆われた横面を殴打。衝撃によじれる影をアシュレイ・クラウディ(白翼の騎士・e12781)の鎖が締め上げた。
「一度下がってくださいッ!」
「どぅおらァッ!」
 脇腹に拳を打って飛び退る地異! 蝙蝠の群れは鎖を抜けて集合し、光に紛れた地異を追うべく飛翔。直後、破壊音をまき散らし、ドーム状の壁がひび割れた! 炎と稲光が吹き飛び視界が開ける! 蝙蝠衆は巻物を引き伸ばした。
「忍法・火焔蝙蝠ッ!」
 文言が浮き、紫炎の蝙蝠に変じて射出。姿を現したアシュレイをめがける。その間に落ちたフローラは甲冑の腕に桃色花弁のオーラを咲かせ、蝙蝠たちを受け止めた!
「好き勝手できると思ったら大間違いよっ! はいこれ!」
「預かります!」
 アシュレイへ受け渡される小剣。回りながら放たれる花のオーラの通った道に、メノウが着地しスミレ色の足場を広げる。すり足で疾走、花を追って忍者に肉迫! 剣を抜く!
「篁流剣術……『繊月』ッ!」
 胸当てを一閃する居合い! 薄い血霧を散らす蝙蝠衆の背後に、リナが回り込んだ。光を消した小剣が影に包まれて消え、せり出した別の影が刀に変わる。稲妻をまとう白刃を持ち、スミレ色の地を踏みしめる!
「放つは雷槍、全てを貫けッ!」
 半身になって回避し両手を伸ばす蝙蝠衆! 手の平に灯る紫の炎が飛び立ち、リナとメノウに衝突して爆発! 紫紺の花火を真下に卜部・泰孝(ジャンクチップ・e27412)は落ちながら笑った。
「ハハハハハッ! 派手にやってやがる!」
「忍軍が必死になるか……これがグラディウス。だが、もう奴らだけの武器じゃねぇ。どんだけ凄いか、これからも使えるかを全力で試す。漸く得た機会だ、期待に応えてくれよ?」
 響命・司(霞蒼火・e23363)が輝く刃に手を添える。暴風にあおられるマントを横目に、霧崎・天音(我が食欲に敵うもの無し・e18738)はあせた写真ごと柄を握った。ゴーグル奥の金の瞳に激情が燃える!
「ハハッ! もうどんな結果だろうが関係ねぇッ! 潰すと決めたんなら潰す! 占いなんざ頼らず、テメーの腕でもぎ取ってやんぜぇ!」
 廃材の巨腕が小剣を突き出し、投げたコインの真芯を貫く! ひび割れた空に噛みつく三つの流星!
「応えやがれグラディウスッ! これ以上犠牲を増やさない為に! 俺達が、奴らに牙を突き立てる時だ!」
「これ以上……人を利用させて……たまるかああああああッ!」
 再び炎と雷が膨れ、スミレ咲く舞台で討ちあう者たちを飲み込む。断末魔めいた奔流が蝙蝠を吹き消した!
「ぐッ……ぬおおおおおおおおッ!」
「篁流回復術・『青嵐』! からのッ!」
 メノウの剣が風を出し、仲間を包んで閃光を削ぐ。フローラの気と混ざり、花畑と化した足場に踏み込む!
「フローラは、あたしが守るッ! 篁流剣術!」
「忍法ッ!」
 焦がされながらも蝙蝠衆が腕を突き出す。傘をかたどって立ちふさがる蝙蝠めがけ、刺突を放つ!
「蝙蝠傘!」
「『月光通し』ッ!」
 円盾を貫通! 細い傷を負った忍者は回転し裏拳でリナの突きを斜めに逸らす。漆黒のトゲを伸ばす手の甲がリナの頬をかすめた。舌打つ彼の足首を巻く銀鎖!
「せぇぇぇやっ!」
 傘ごとメノウを飛び越し、フローラが拳を振り上げる! 頭の子竜に黄色いブレスを紫仮面に打ち込まれ怯んだところを、花びらをまとった拳が打ち据えた。鎖に縛られた足は動かない!
「ヌゥッ!」
 蝙蝠傘を引き裂き地異が飛び出す。二本角の間から黒い光が、至近距離で放たれる! 爆発する紫の煙! その時、後方で鎖を引くアシュレイが声を張った!
「リナ、後ろですッ!」
「っ!」
 身をひるがえすリナの脇腹に、忍者の手甲が食い込んだ! 拳に顕現した蝙蝠は深く牙を突き立てる!
「忍法、血吸い牙ッ!」
「ぐっ、あぁッ!」
 苦悶するリナが斬撃を繰り出す。腕を引く忍者の肩に付く雷の幻影。青白いそれを頼りに、地異は尾で足場をたたき跳躍する!
「逃がすかァッ!」
 一息に殴りかかったその瞬間、戦域に再び激震が走った! バリアに大きく細かいヒビが広がり爆炎が消失。晴れた視界の中、忍者もまた疾駆した!
「血吸い牙ッ!」
 喉笛に迫る四ツ牙の拳! 激震で止まった地異に伸びる魔手は、しかし子猫の体当たりで逸らされた。着地した司と泰孝はアシュレイに小剣を押しつけスタート! 廃材の左腕から飛び出した柄をつかみ、泰孝は野太刀を引きずり出した!
「ハッハッハッハッ! 面白そうじゃねえか! オレも混ぜてもらうぜッ!」
「ムッ……」
 蝙蝠衆は猫を殴って回し蹴りを繰り出す。鎌を生やした爪先が屈んだ地異の髪を断つ。空回る蝙蝠衆を、天音は飛び蹴りで吹き飛ばした!
「天音ちゃん、グラディウスッ!」
 リナの下に跳んだ天音は小剣を手渡す。一方バク転する忍者に密着し斬りかかる司! 敵と自分の血飛沫を相棒に流してもらい、ナイフを逆手に持ち替えチョップを防御。司は至近距離から仮面をにらむ。
「もうすぐだ。お前らが大事に守るあの通路、俺達でも壊せるって事を証明してやる!」
「ちょこざいな、犬がッ!」
 司を弾いた蝙蝠衆が膝を突き出す! 空を切る膝蹴りに集った蝙蝠が融合、剣となって司を貫く。メノウは居合いを繰り出し神風を起こした。
「『祓風』!」
「うおおおおおおおッ!」
 司が咆哮し凶刃をへし折る。さらに印を結ぶ蝙蝠衆に泰孝とフローラが特攻! 大振りの斬撃をぬって打たれる打撃を、軽傷と引き換えに回避する蝙蝠衆。アシュレイは指ほどになったグラディウスを握り羽ばたいた。
「地異! 行きましょう!」
 しのぎを削る仲間の下へ駆け込みながら、天音はすれ違いざま地異に問う。
「……大丈夫?」
「おう!」
 飛翔する二人を見送る蝙蝠衆。子竜のタックルを腕で受け止め、仮面の奥で目を細めた。
「とんだ誤算だ。地球の犬めが」
「篁流剣術……『三日月』ッ!」
 弧を描く剣閃を小型の蝙蝠傘で受け流す。反対から来る司のナイフを回転跳躍して回避! 刀を捨て掲げた泰孝の腕を蹴りつける。
「だが、ここまでだッ!」
「ぐぉッ……!」
 足裏から伸びた刃が腕を貫き胸に達する。その腕を蹴って跳躍! 仰け反った泰孝は巨腕の肘で足場を殴った。鋭い色眼鏡が笑う目を透かす!
「そうかよッ! だが分の悪い賭けってのも嫌いじゃねえ! ハハハハハハッ!」
 スイングするジャンクハンド! 仮面を引っかく指先に紫炎をたたきつけ、稲妻刀で突き刺しにかかるリナをマントで幻惑。迷いなく裂かれた黒い布の奥で巻物が舞う。
「博打に付き合うつもりは無い! 忍法ッ!」
 手甲の両手が燃え上がる! 翼の形を取った炎を握り回転。紫炎と煙を爆発させた!
「蝙蝠の舞ッ!」
 熱風と闇が視界を奪う。同時にアシュレイと地異の背後でも爆発! 振り返った二人を紫炎の蝙蝠が包囲! 忍者は血を流しながら蝙蝠を召喚し続ける。アシュレイは澄んだ刀身の剣で斬り払うが、焼け石に水!
「これまでだ。どこで手にしたかは知らぬがその剣! 我らがもらい受けよう! 忍法!」
「地異、グラディウスを! ここは私が……!」
 アシュレイが白銀の鎖をほどいて割り込む。赤黒く染まる羽と閉まる蝙蝠の包囲網に、爆風が吹きつけた! 蝙蝠衆の後ろに跳んだ天音は地獄の右足を振り上げ、激情をくべる!
「地異さんに……さわるなぁぁぁっ!」
「何ッ、ぐはァァァッ!」
 振り向いた頬に燃える蹴り足が直撃! 制御を失った蝙蝠を蒼い竜巻が吹き散らす! 振り抜かれた泰孝の左手から跳躍した司は、蒼炎まとう右拳を撃ち出した!
「蝙蝠隠れの術!」
 新たに生成した蝙蝠で防御態勢を取る忍者! 小剣を持つ二人は彼に背を向け、柄を強くつかんだ。刃が輝く!
「この勝負は大事な一戦です。ここで敗れてしまっては、人々が安心して暮らせません……次の一歩に繋げるためにも、私は全力で戦いますッ!」
「特等席で見せてやる! 今、この瞬間がッ! 正義たるケルベロスの……俺達の歴史的大逆転だッ! 悪は滅ぶ定め! お前達の終わりは近いぞおおおおッ!」
「やめろッ!」
 叫ぶ忍者の前で、ひび割れた虚空にグラディウスが突き立った! 三度爆発する極光は空に広がる傷跡をなぞり、不可視の壁を駆け抜ける。光が全て覆い尽くした瞬間、白光は内部を満たし……回廊に収束し、破砕音を響かせた。宇宙の色が溶け消え侵略の扉は消滅。直後、空中で蒼い大爆轟! 翼を広げる鳳凰に、天音は赤い大剣を振り下ろす!
「う、ぁぁああああッ!」
「がはッ!」
 鳳凰を貫いて天音が落ちる! 焼かれながら、忍者は怒鳴った!
「おのれ! 貴様ら、本当にッ! 許されると思うなァッ!」
「私も……許さない。沢山の人……踏みにじって来た……絶対に、許さないっ!」
「抜かせッ!」
 蝙蝠衆の手の中で蝙蝠が踊り手裏剣となる! 投げ放たれたそれに顔と肩を切り裂かれても天音の勢いは緩まない。より熱く、より激しく燃え盛る炎の中をかき分けて地異が飛翔! かぎ爪のガントレットを握りしめ、面に隠れた顔面を狙う!
「正義は勝つッ! これが勝利の第一歩だッ! 食らええええッ!」
 仮面を強打する拳がニンジャを剣の切っ先から引きはがした。燃えながら落ちる蝙蝠衆をつかむのはロケットパンチめいて飛来した廃材の巨腕! 古びたロープで繋がったそれを、子猫と子竜が歯車を回して必死で巻き取る。もうろうとする意識を無理矢理引き戻し、蝙蝠衆は手裏剣で高速で縮むロープを切断! 勢い余ってよろめきながらも泰孝は笑う!
「行け影渡の嬢ちゃんッ! 腕ごとぶち抜けェッ!」
「わかったっ!」
 電光ほとばしる刀を構え、疾駆するリナ。風を斬り裂く剣に宿る雷は膨らみ、刀を持つ手を、全身を包む! リナは地を蹴り稲妻を描いて突進、忍びを縛る手に足をかけて
「過去を乗り越え、現在と、そして未来の為に……託されたこの刃、必ず届ける! 放つは雷槍、全てを貫けッ!」
 雷となった刀が廃材を突き抜け肉をうがち骨を断つ! 幻影の稲光は確かな力を持って戒める。血がにじみ痛む脇腹に眉を寄せ、残る力を込めて柄を離す! 舞い上がる花びらを注ぎ、フローラはメノウの背に手を当てた。
「メノウ、大丈夫? みんな頑張ってるんだもん、まだまだ頑張りましょ!」
「そりゃあね、まだまだやるよ。……こんなとこで、へばってられるかぁッ! 篁流剣術ッ!」
 力強く押される背中! 弾かれたように走り出し、蝙蝠衆とすれ違う。静かに減速しながらメノウは抜いた刃を再び収めた。
「『新月・死ノ華』ッ!」
 薄紫の華開く! 咲き誇る斬撃の花弁が廃材と雷を引き裂き、忍者一人の命を散らす。鮮血を噴出しながら死にゆく彼を、神々しい光が照らした。
「これで、任務達成。私達の勝利です!」
 アシュレイの翼から降り注ぐ無数の剣が、蝙蝠衆を幾重にも貫く。無慈悲な聖剣を生やした忍びは、力尽きた蝙蝠めいて落ちていき、中空で爆発四散した。


 空から落ちた面々が、人気のない路地裏に着地する。
「やったぁぁぁっ! フローラ達の大っ勝利よ!」
 子竜と一緒にジャンプするフローラ。歓声と安堵の声が路地裏で上がる中、金属のような金切声がこだました。はっと振り返った天音が空を指さす。
「みんな……あれっ……!」
 一同が見上げた青空に、黒雲が舞い込む。輪郭を激しく波打たせながら肥大化していくそれは、蝙蝠の軍勢。怒りの合唱を響かせながら、超自然の獣達が一直線に突撃してくる。渋い顔で頭をかく司。
「やっぱり、これでお終いという訳にはいかんか。お前ら、グラディウスは」
「大丈夫です。ここに」
「当然。落とすわけないでしょ!」
 アシュレイとリナが返答し、小型化した剣を掲げる。すぐさま消滅したそれらを見て、司はひらひらと手を振った。
「なら行け。あのよくわからんサンタが持ってきてくれた折角の武器だ。絶対に盗られんな」
「こっち! 早く逃げるよ!」
 スマホを片手に、メノウがフローラの手を引いて駆けだす。泰孝が置き土産とばかりに小型ミサイルを発射して続き、アシュレイとリナが後を追う。天音は走っていく仲間と地異を見やり、首を傾げた。
「地異さん……大丈夫?」
「ああ。オレ達は勝ったからな」
 手榴弾をもてあそび、迫る蝙蝠をにらむ。
「なのに、まだあんだけ敵がいる。でもって、天音が前線で戦うんだ。援護しかできないけど……オレ、頑張るよ。螺旋忍軍は倒すべき敵だしな。天音だってそうだろう?」
 放った手榴弾をつかみ、ピンを噛む。その横顔は、晴れ晴れと笑っていた。
「けど、これで変わる。悪が淘汰される! 素晴らしいなッ!」
 地異はピンを抜き、手榴弾を打ちつける。閃光が爆発し消え去った時、そこにケルベロスの姿はなかった。

作者:鹿崎シーカー 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年1月11日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 7/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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