ふっかふっかのペンギンさん!

作者:波多蜜花

「うわぁー! おっきなペンギンさんの滑り台だよー!」
 楽しげな声を上げるのは、ピンク色のふわもこパジャマを着た少女。少女の周りにいるのは小さなペンギン達、ペンギンが大好きな彼女にとっては堪らないシチュエーションだろう。
「可愛いな、楽しいなっ! ペンギンさん、だーーい好き!」
 ご機嫌な少女がもう1度巨大なペンギンの滑り台を滑ろうと、頭の部分に座って手を離す。さっきと同じ様にペンギンのお腹に向かって――。
「ふえ?」
 突然の浮遊感に少女が下を見れば、ペンギンのお腹は巨大な口に変わっていて、そこには大きな舌が少女を丸呑みにするべく伸ばされている。
「きゃ、きゃああああああ!!」
 落下した身体に巻きついた舌に捕らえられ、抵抗も出来ないまま少女の身体はガブリと食べられた。

「わ、わああ!」
 叫び声と共に跳ね起きる。辺りを見回せばそこは自分の部屋で、暖かい布団の中だった。
「なんだ~夢か~! えへへ、夢でよかったぁ!」
 ほっとしてもう1度寝ようとしたその時。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『驚き』はとても新鮮で楽しかったわ」
 誰、と声を発する暇はなかった。聞き慣れない声が響いた瞬間に、少女の胸には第三の魔女・ケリュネイアが手にする鍵が突き刺されていたから。
 どさりと鈍い音がして少女がその場に倒れると、ケリュネイアは窓の外へ視線をやった。そこには巨大なペンギン――イワトビペンギンが雄々しく立っていた。

「また第三の魔女・ケリュネイアが現れたようなんよ」
 信濃・撫子(撫子繚乱のヘリオライダー・en0223)がヘリポートに訪れたケルベロス達に向かって口を開いた。
「皆もビックリするような夢って見たことあるやろ? それで思わず起きてしまうような、そんな夢の『驚き』を奪うんがケリュネイアなんやけど」
 既にケリュネイアは姿を消した後なのだが、その奪った『驚き』を元にして現実化したドリームイーターが事件を起こそうとしているのだと撫子は言う。
「今回現れるんはペンギンの姿をしたドリームイーターなんやけど」
 ペンギン……一瞬ざわっとなったケルベロス達に、撫子が笑う。
「これが4メートルくらいあるやつでな、まぁ見た目はめちゃくちゃ可愛いみたいやわ。被害者の家の近くに現れるんやけど、このドリームイーターの性質からして、とにかく誰かを驚かせたくてしゃーないみたいなんよ」
 つまり近所を歩いているだけでも向こうからやってきて驚かせようとしてくるらしい。
「被害者の女の子の家の近くには空き地があるよって、そこまで誘導するんが一番被害が少なくて済むんちゃうかな」
 ちなみに、このドリームイーターは自分に驚かなかった相手を優先的に狙ってくるので、これを利用すれば有利に戦う事ができるかもしれないと撫子は手帳を閉じた。
「被害者の女の子はドリームイーターを倒したら目を覚ますよってな、皆頼んだで!」
 ふかふかしてくるんは程々にな~と撫子の声がヘリポートに響いた。


参加者
ベルンハルト・オクト(鋼の金獅子・e00806)
浅川・恭介(ジザニオン・e01367)
ルル・サルティーナ(ドワーフのミュージックファイター・e03571)
マリアローザ・ストラボニウス(サキュバスのミュージックファイター・e11193)
チロ・リンデンバウム(ウェアライダーの降魔拳士・e12915)
エルム・ユークリッド(夜に融ける炎・e14095)
マイヤ・マルヴァレフ(オラトリオのブレイズキャリバー・e18289)
百鬼・ざくろ(隠れ鬼・e18477)

■リプレイ

●ペンギンさんと追いかけっこ
「愛らしいもふもふで俺たちを誘わ……油断させるとはなんと策士な」
 ベルンハルト・オクト(鋼の金獅子・e00806)が戦闘予定地である空き地で待機しながらボソリと呟けば、用意していた照明を配置しながらマリアローザ・ストラボニウス(サキュバスのミュージックファイター・e11193)がふふっと笑う。
「ペンギンの滑り台というのは可愛くて良いシチュエーションなのですけどね」
「侮りがたいな……」
 油断すればこちらが危ないと2人は頷きあう。けれど、まだ見ぬもふもふにこの身を埋めてみたいと言う気持ちも確かなのだった。
「ここだな」
 ペンギンさんを誘い出す囮となるべく、ウイングキャットのロウジーを連れたエルム・ユークリッド(夜に融ける炎・e14095)が被害者の家の表札を見て確認すると、マイヤ・マルヴァレフ(オラトリオのブレイズキャリバー・e18289)がうんうん、と頷いて辺りを見回す。
「どこかな、ふかふかのペンギン。ね、ラーシュ」
 ボクスドラゴンのラーシュを見れば、同じ様にきょろきょろと見回している。
「ハムス犬、見つけたらすぐ教えるんだよ」
 初めてのお仕事だ、とチロ・リンデンバウム(ウェアライダーの降魔拳士・e12915)がオルトロスのハムス犬の頭を袖に手を入れたまま撫でると、ハムス犬が小さな声で鳴いて答えた。
「ここに立ってても仕方ない、空き地に向かって歩くか」
 そうすればペンギンも出てくるだろうとエルムがロウジーを小脇に抱えて歩き出すと、マイヤとチロもそれに続いた。
 囮役の3人から少し離れた場所でサポートするべく控えているのは、浅川・恭介(ジザニオン・e01367)と相棒のテレビウムである安田さんと、万が一の為に人払いをするべく殺気を放っている百鬼・ざくろ(隠れ鬼・e18477)、そしてなんだかもの凄くご機嫌なルル・サルティーナ(ドワーフのミュージックファイター・e03571)だ。
「囮役の皆さんが歩き出したわ」
「僕達も行きましょう」
「ふんふふ~ん♪ 可愛い可愛いペンギンちゃん!」
 可愛いペンギンが見れる、という期待を隠しもせずルルが鼻歌交じりで2人に付いて行くのを、先行して歩いているチロがちらりと見ては気にしている。
「可愛いペンギンさんと聞いていきなり飛び出してったけど、ルルたん、撫子ちゃんの話を最後まで聞いていたんじゃろうか……」
 そう、今回の敵は見た目こそ滅茶苦茶可愛いのだがドリームイーターなのだ。しかもお腹のお口で驚かしてくるという部分をルルは恐らく聞いていない。そんなチロの心配を他所に、可愛い巨大ペンギンさんは容赦なくケルベロス達の前に姿を現した。
「わあ、予想通り大きくて可愛い!」
 眼前のペンギンさんを見上げつつ、マイヤが漏らした言葉にラーシュがじーっとマイヤを見つめている。大丈夫だよ、ちょっとだけだよ? なんて言うマイヤに向かってペンギンさんが可愛らしい仕草をして見せた。
 3人の後ろからざくろとルルの可愛いという声が聞こえたのも束の間、ペンギンさんがお腹を可愛らしく膨らませたかと思うと、カパッとお腹が開きちょっとグロテスクな姿を見せた。それは可愛らしく表現するならばハエトリグサのような感じと言えば伝わるだろうか。それをちょっとホラーな感じに……子どもであれば、ちょっとトラウマになるような。
 まず真っ先に叫んだのはルルだった。
「ヒギャアアアアアア!! ペンギンちゃんと言えば腹毛でにゅぽーん! って滑って海に飛び込むのも可愛いけど、陸地の端で大渋滞して『押すなよ!? お前ら絶対押すなよ!? 押すな……あー』って感じで海にぽちゃんするのも超COOL! 全てが可愛い奇跡の存在! それがペンギンちゃん! なのに! そのグロテスクなそれはハンギャアアアアア!?」
 ワンブレスだ。ペンギンさんはそんなルルの様子に満足したのか、無反応なエルムやマイヤ、それにルルの様子に遠い目をしているチロに向かってお腹のお口を大きく広げて見せる。
「別に、ふかふかのぬいぐるみのお腹が異次元なのは多分よくある事だし……」
 エルムが無表情なままペンギンさんに言ってのける。
「予想通り大きくて可愛いけど、リアルな作りのお口はイマイチかな?」
 実はちょっぴり驚いていたのだけれど、驚かないと心に決めていたマイヤは咄嗟に口元を手で覆ってペンギンさんを挑発するようにふふっと笑う。チロに至ってはペンギンさんの存在よりもルルのぎゃん泣きっぷりにそれどころではない。ハムス犬も若干おろおろしている程だ。
「さぁ、ペンギンさん。鬼さんこちらといこうか?」
「ほら、こっち、こっちだよ! 追い掛けてきて!」
 エルムの言葉を合図に、マイヤが挑発するように手を振ってチロと共に走り出す。自分に驚かなかった人間と認識したペンギンさんは3人を追い掛けるように走り出した。それを追い掛けるように殺気を放ちながらざくろが走れば、
「ルルさん、行きましょう」
「うう、もっふもふがこっちに向かってよちよち歩いてくるのは可愛かったのに……!」
 と、恭介に促されてルルも走り出す。目指す空き地までは、もう少し。

●ペンギンさんの誘惑
「来たようだな」
 数名の走る足音を聞き付け、ベルンハルトが呟きながら視線をやれば、巨大で可愛いペンギンさんがこちらへ向かってくるのが見えた。
「めっちゃくちゃ可愛いな!?」
「敵なのが残念なくらい可愛いですね」
 マリアローザが相槌を打ちながら、仲間達とペンギンさんを迎え入れるに丁度いい立ち位置に移動する。ベルンハルトもそれに倣う様に前へ出た。決してあの巨大なペンギンをもふもふする為ではないと自分に言い聞かせている内に、仲間の足音と何故か恨み節の混じった泣き声が近付き、ペンギンさんの姿がどんどん近付いてきていた。
 1番に空き地に走りこんできたのはエルムで、そのままくるりと反転するとペンギンさんを迎え撃つ。
「鬼ごっこはお終いだ」
 首を傾げたペンギンさんに向けてエルムが物質の時間を凍結する弾丸を放てば、ロウジーがエルムの腕から飛び出して邪気を祓う羽ばたきをエルムとマイヤに向けた。ペンギンさんの後ろから追い付いた恭介が改めて巨大な敵を見上げて掌をかざす。
「可愛いペンギンさん、しかもとってもふかふか……たまらないですね!」
 それでも敵は敵だし、安田さんだってとっても可愛いのだと恭介がドラゴンの幻影を放つと、テレビウムの安田さんが血がこびりついて取れない鉄パイプを振りかざし、笑顔を浮かべてペンギンさんへと突っ込み無慈悲なまでに殴打を繰り返した。
「笑顔を忘れない心の優しさ、安田さんは最高ですね」
 それは優しさなのだろうか……心に過ぎった声を口にする事なくベルンハルトが動く。
「もふもふを傷付けるのは度し難いが……!」
 苦しんでいる子がいるのだ、少しだけだ! と心の中で断りを入れつつ、ベルンハルトが手にしたドラゴニックハンマーからドラゴニック・パワーを噴射して加速したハンマーを振り回して叩き付ける。その際にペンギンさんのお腹のふかふかっぷりを堪能していたのは、もう致し方ない事なのだ。だってもふもふなのだから!
 ベルンハルトが名残惜しそうに離れた瞬間、マリアローザが狙いを定めていたかのように古代語の詠唱と共に魔法の力を放った。
「ライトアップされたペンギンさんというのも、中々可愛らしいですね」
 確かにあまり見る機会もない光景ではある。そんな中、ペンギンさんがひと声鳴いたかと思うとお腹が大きく膨らんで、くわっとその可愛らしいお腹におよそ似つかわしくない口がガバッと開いた。
「……ライトアップされたお腹のお口は可愛くないですね」
 幻滅、とばかりにマリアローザが呟けば、ルルの叫びが再び響く。それをBGMにしてペンギンさんがその口からモザイクをマイヤに向かって放った。
「折角のもふもふなのに、本当にそのお口だけは可愛くないよね!」
 足を踏ん張りながらペンギンさんの攻撃を耐え抜くと、マイヤがファミリアロッドをペットの姿に戻し、魔力を籠めて撃ち放つ。それに続いてボクスドラゴンのラーシュがマイヤの傷を癒すように属性を注入していく。
「おっきなペンギンさん、会えたのは嬉しいしとっても可愛いけど、そのお口は悪夢だと思うの」
 ざくろがその可愛らしい眉根を寄せ、紫色の髪を揺らしてアームドフォートに巻き付いた攻性植物に黄金の果実を宿らせると、その眩い光をマイヤとチロに向けて放った。
「ちびっこの……ちびっこの夢を返せぇえええええ!」
 可愛らしいペンギンちゃんの夢を壊されたルルは泣きながらその辺に落ちていた石とかゴミとか、懐から出した凄まじい点数のテストを丸めてペンギンさんへと投げ付ける『カタストロフィ・スコア』を繰り出していた。
「ルルたん、ちょっとこの点数酷すぎなのでは!? あと空き缶チロさんに当たってるから……」
 空き缶を後頭部に喰らいながら、チロがバトルガントレットを装着した腕を至近距離からペンギンさんのお腹へ魂を喰らう一撃を叩き込む。
「ふっかふかウェェェ~~~~イ!」
 ペンギンさんのお腹に頭から突っ込んで笑顔のチロの横をハムス犬の地獄の瘴気が走り抜ける。
 そのもっふもふのお腹を触らせろVSペンギンさんの攻防はまだ始まったばかりだった。

●ペンギンさんとの決着
 数度の交戦によりもふもふを堪能する者達、ペンギンさんの攻撃によって心と身体に傷を負う者、そしてふかふかのお腹がだいぶ毛羽立ちダメージが蓄積されているペンギンさんが見えた。
「そろそろお帰り願おうか」
 とても名残惜しいけれど、とエルムの唇が動いた気がする。
「闇夜の家路は気をつけろ」
 エルムの掲げたカンテラの灯りに誘われ、ペンギンがふらりと動く。『お帰りはあちら(ホロウイグジット)』を発動したエルムの横をペンギンさんが歩いている。そのお腹にダイブしたい気持ちをぐっと堪え、ちょっとだけと手を伸ばしてその腹を撫でた。
「うん、この手触りもいいけれどロウジーの方がいい手触りだ」
 そう言われた白手袋の黒いウイングキャットはちょっと嬉しそうに尻尾を揺らしてペンギンさんに向かって爪を立て、勢いよく引っ掻いた。
「僕は安田さんを愛でるのに忙しいんですけれど、ペンギンさんに触るのもやぶさかではないです」
 恭介が鬼ごっこでバリアーを張った者へのダメージが2倍になると言われている痛そうな金棒『バリアー絶対殺す棒』を振り被ると、一息に距離を詰めて超重の一撃を放ち、ヒットアンドアウェイの要領で距離を取る。その際に腹毛を触るのも忘れない。
「あら~、あのペンギンさん思ってたよりも触り心地いいわ~」
 ふんわりとした触り心地に思わず手を見つめる恭介の横を、笑顔で凶器を振り被る安田さんが走っていく。
「もちろん安田さんが一番ですよ?」
 恭介の声を背に、安田さんの凶器がペンギンさんへと唸った。
「本当に心底傷付けたくはないが……これもケルベロスとしての使命だからな」
 ベルンハルトからすれば苦渋の決断だったのかもしれない。けれど倒さなくては目覚めない少女がいる、そして見た目は可愛くてもふもふだけれど、いずれ街へ被害を及ぼすのならば……。
「叩っ斬る」
 ベルンハルトが放つは相手の防御よりも強く攻撃をする事を突き詰めた技、『示現刀術・燕飛(ジゲントウジュツ・エンピ)』。ゆらりとペンギンさんの巨体が揺れた。
「そろそろ倒れそうですか? 消える前に……行きます」
 膝を落としたマリアローザがエアシューズへ力を籠める。そしてしなやかな躍動を見せて飛び上がると、ペンギンさんのお腹目掛けて流れる星の煌きと重力の力を宿した蹴りを叩き込んだ。
「これはとてもいい感触……!」
 確かにペンギンさんへダメージを与えつつ、そのお腹の弾力性でポーンと跳ね返ってマリアローザが元の場所へと着地する。トランポリンよりもしなやかな感触に感動していると、ペンギンさんがその頭を震わせた。狙いはざくろのようで、目の上の黄色い羽毛をざくろへと射出する。
「……っ!」
 耐える様にざくろがアームドフォートを眼前に構え、その攻撃をやり過ごす。
「ラーシュ、ざくろにヒールをお願いだよ!」
 マイヤが縛霊手を装着した手でペンギンさんを殴り付け、霊力を放射する。
「うう、やっぱりもふもふだし毛並みもツヤツヤだね……ずっとこうしていられなくて、残念だけど!」
 ダメージを与えて離れれば、ラーシュがざくろへと属性インストールを施しているのが見えた。
「可愛くても、もふもふでも、悪い子にはお仕置きよ」
 走り出したざくろのスカートがひらりと揺れた。アームドフォートに巻き付いた攻性植物が、ざくろの意思を反映するかのように蔓触手形態へと変形し、ペンギンさんへ絡み付く。
「動けないかしら? 今ならお腹触りたい放題だね……」
 もふるなら今だ、とざくろは思う。大人のレディになるのだから我慢だと思う気持ちともふもふしたい気持ちがせめぎ合った結果、ざくろはちょっとだけもふっとしてから距離を取った。
「ビェェエエエエエ! 可愛くてもあのお腹ァァ! ルルは! 騙されないんだよ!!」
 ルルが泣いているのか怒っているのかどっちかにしろと言いたくなる様な顔で、ざくろへ祝福と癒しの力を宿した矢を放つ。
「コンビネーションどころじゃねぇ!!」
 ルルとコンビネーション攻撃をと考えていたチロが完全に諦めた顔で手足を獣化させてペンギンさんへ高速の一撃を叩き込むと、ハムス犬がチロの心を慮るかのようにパイロキネシスを決めて見せた。その炎はペンギンさんを包み込むと全てを燃やし尽くしたのだった。

●皆で一緒に帰りましょ
「手強い敵だったな……」
「あのふかふかもふもふっぷりは放っておいたら危険でした」
 ベルンハルトの言葉にヒールを終わらせた恭介が頷けば、同じくヒールを行っていたざくろとマリアローザもうんうん、と頷いた。
「でも無事に終わってよかったね! ちょっと冷えちゃった、帰りに何か温かいものでも飲んでいかない?」
 戦闘中は感じなかった底冷えのする寒さに、マイヤがラーシュを抱いて提案する。
「今の時間ではコンビニくらいしか開いていないだろうが、無いよりはマシだな」
 ロウジーを荷物のように小脇に抱えたエルムがそう言って歩き出す。
「ほら~、皆コンビニ寄ってくって。帰ろう~」
「うぐっうっうっ」
 チロがまだショックが抜けきらないルルを慰めながら手を引いていく。
「あんまん買ってあげるから、泣き止んでよ~」
「ずびっあんまん」
 あんまんにはやっぱり牛乳だよね! と言い出したルルに、それはあんぱんだろと突っ込みたかったけれどチロは我慢して、そうだね~と仲間の後ろに付いてコンビニに向かって歩き出したのだった。

作者:波多蜜花 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年12月27日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 6/キャラが大事にされていた 3
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