竜骨兵の踊る夜

作者:陸野蛍

●死神に呼び起こされた牙
 昼間の喧騒が嘘のように静まり返った、繁華街の駅前。
 その裏通りの路地にあたる場所で、青白く発光し怪しく浮かぶモノ……怪魚の姿をした死神は、ゆっくりと浮遊しながら、規則的に空を泳ぎ、ある種の軌跡を描いていた。
 三体の怪魚が同じ軌跡を幾度か描いた時、その軌跡は光となり魔法陣が発動した。
 音はない……しかし空気がびりびりと震えると、その魔法陣に白い砂……いや、白骨の残骸が集まり、やがて一体の骨で出来た竜が生み出される。
 骨で出来た竜の瞳は空洞で意思は感じない。
 ただ、口元から、うめき声のような音を発しているだけだった。
 悲鳴のようにも聞こえるし、憎悪の声にも聞こえる。
 やがて、骨の竜は配下の様に付き従う怪魚と共に夜の闇へと消えて行った。
「厄介なことになっているようだな。急ぎ始末しなければならないな」
 物陰に潜み一部始終を見ていた、フェイリン・リー(破竜拳士・e04639)は、呟くと急ぎこのことを伝える為、暗闇を駆けるのだった。

●竜骨兵に永遠の眠りを
「皆さん、面倒なことが起こったっす」
 黒瀬・ダンテ(オラトリオのヘリオライダー・en0004)がケルベロス達にそう切り出す。
「以前、竜牙兵を倒してもらった街で、また大変なことが起ころうとしているっす。幸いと言ってはなんすが、フェイリンさんが事前に情報を入手してきてくれたお陰で、先手を打つことが可能なんっすけど」
 フェイリンが入手した情報とダンテの予知を統合すると、なんでも先日倒した三体の竜牙兵の残骸を死神がサルベージし、一体の骨の竜として蘇らせたという。
「竜骨兵とでも言えばいいっすかね? この竜骨兵は元々はドラゴンの牙から生まれた竜牙兵っすから、ドラゴンそのものではないっす。あくまで、ドラゴンの形をした竜牙兵と考えてもらっていいっす」
 純粋種のドラゴンであったならば、いくらケルベロスと言えども勝てるかどうか分からない。
「ですがっす、この竜骨兵は元々三体だった竜牙兵の骨をサルベージすることで一体の兵士を作っているっす。かなり手ごわい相手になると思うっすから気をつけて下さいっす」
 油断できる相手ではないということをダンテは、はっきりと言う。
「この竜骨兵の被害はまだ出ていないっすが、今夜には動き出してグラビティ・チェインの略奪を始めるようっす。その前に竜骨兵を倒してほしいっす」
 そう言って、ダンテは地図を広げると、地図上にいくつかのマーカーを置いた。
「竜骨兵が現れるのは、繁華街とは逆にあたる裏路地になるっす。と言っても、道幅はそれなりにあるっすから、戦闘できる広さは十分あるっす」
 夜間で裏通りと言うこともあり、人通りもなく戦闘にだけ集中することが出来るだろうとダンテが付け加える。
「敵は竜骨兵を呼び出した怪魚型の下級死神が三体。三体とも攻撃手段はその牙でかみついてくるだけっすから、ケルベロスの皆さんにとっては、たいして脅威にはならないと思うっす。問題は、竜骨兵の方っすね……」
 ダンテが渋い顔で、説明を続ける。
「攻撃手段は、爪での切り裂き、牙での噛みつきといったシンプルなものがメインっすが、時折冷気のブレスを広範囲に吐いてくるみたいっす。これがかなりのダメージにになるっぽくて、纏めてくらってしまうとかなり厳しくなると思うっす」
 このブレスを受けただけで戦線が崩壊する恐れも十分にあると言うのがダンテの考えだ。
「それと竜骨兵は、死神によって復活されたものなので知性は残っていないっす。襲えるものを襲う。襲ってくるものを襲うって感じっすね。ですがっす、失った知性の代わりと言ってはなんすが、痛覚もないようっすから、倒しきるまで全力で攻撃してくるはずっす」
 倒せはするが、倒しきるまで攻撃力は一切落ちないということだ。
「厄介な敵っすが、この竜骨兵が本格的に動き出してしまったらどれだけの被害が出るか分からないっす。何としても、竜骨兵をまた骨の残骸に戻してほしいっす!」
 ダンテがそう言って頭を下げると、横で聞いていたフェイリンも。
「本当に死神と言うのは厄介だな。だが、私達ケルベロスの拳ならどんな敵でも打ち砕くことが出来よう」
 そう言って眼前で己が拳を握るのだった。


参加者
シレン・ジルヴィルト(猛る銀閃・e02408)
フェイリン・リー(破竜拳士・e04639)
黒斑・物九郎(ナインライヴス・e04856)
シエナ・ライティス(紅瞳のネメシス・e07925)
グラム・バーリフェルト(餓える牙竜・e08426)
黒宮・透(狂火・e09004)
リオネル・ウィンターソン(ウェアライダーのブレイズキャリバー・e09573)
エイト・エンデ(奮う雷霆・e10075)

■リプレイ

●死神に踊らされるモノ
 駅前、繁華街とは逆の裏通り。
 深夜のこの時間ともなれば、昼とはうって変わり人通りもなく静まり返っている。
 路上の街灯の光に吸い寄せられた、虫達以外の生き物の気配はない。
 昼とは違う、夜と言う死が最も傍らに迫ってくる時間。
 そこへ、集まったのは八人のケルベロス達。
「……この辺りのはずだ」
 死神達を発見し情報を最初に持ち込んだ、フェイリン・リー(破竜拳士・e04639)が声を落として、仲間のケルベロス達に伝える。
 後ろから、いくつかの照明に照らされてケルベロス達の姿が確認できる。
「もとは敵つっても、死んだ後に弄くりまわされるってのは、流石に同情するな……」
 シレン・ジルヴィルト(猛る銀閃・e02408)が、復活させられた竜牙兵に同情するかのように呟く。
 デウスエクスが人間の敵であることは分かっている、それでも同情せずにはいられない。
 竜骨兵として蘇ったのは竜牙兵の意思ではなく、死神達の意思なのだから。
 死神を嫌悪するシレンにはどうしてもその死神の所業が許せない。
「ま、俺らに出来るのはもう一度死なせてやる程度か……」
 デウスエクスである竜牙兵は、倒さなければならない敵、それでも死と言う終わりを与えてやらなければと、シレンは思う。
 そして、デウスエクスに死を与えられるのは、自分達ケルベロスだけなのだ。
「そうだな、デウスエクスとはいえ、死者を自分達の尖兵として蘇らせ、愚弄するとはな……」
 普段の笑顔を消し、死神への怒りににも似た感情を言葉に乗せ、エイト・エンデ(奮う雷霆・e10075)も同意する。
 それまでの生を踏みにじるという行為は、デウスエクスであろうと許されているはずはないのだから。
「あいつらの海とやらに、極大の電流でも流してやりたいところだ」
 エイトはそう言うと、ライトニングロッドを握る手に力を込める。
「エンデ、なかなか物騒なことを言うな。その気持ち、分からなくもないが」
 隣を歩いていた、グラム・バーリフェルト(餓える牙竜・e08426)が普段は穏やかな友の発言に口をはさむ。
「まあ、何よりも一般人に被害が出る前に、奴らを食い止めねばな」
 金の瞳に決意の色が灯る。
「……静かにするのじゃ」
 ゴスロリファッションの少女、シエナ・ライティス(紅瞳のネメシス・e07925)が、前方を睨みつけ小声でケルベロス達を制する。
「うむ……おるの、あちらじゃ」
 静かにシエナが指差す先にほんのりと光る怪魚の姿が見える。
 彼女の夜目がなければ距離的にもまだ気付けなかっただろう。
「あちらが気付いていないのであれば、好都合じゃ。手筈通りに行くのじゃ!」
 シエナは得物であるルーンアックスを構えると、仲間達に合図を送る。
 それと同時にケルベロス達は一斉に駆け出した。

●死神を許せぬモノ
 竜骨兵は、怪魚達に囲まれながら歩みを進めていた。
 竜の口から寒々とするようなうめき声をあげながら。
 ……怒りの様に……悲鳴のように。
 そんな、竜骨兵の頭蓋がズガンと言う音と共に揺れる。
「ウラーーーーーー!!」
 黒斑・物九郎(ナインライヴス・e04856)の流星を描く蹴りが不意打ちとして竜骨兵を襲ったのだ。
「死神さんが不意打ちが卑怯とか言わねえっすよね?  悪いんすけど、あんたらには消えてもらいまさァ!」
「そう言うことです。まずは、お掃除からですね。あまり面白くないですから、手早く終わらさせて頂きますね」
 軽やかに走り寄り、死神の一体に無骨な鉄塊剣を嬉々として振り下ろすのは、黒宮・透(狂火・e09004)だ。
 彼女の走った軌跡は夜と言うこともあり、彼女の地獄化した瞳の炎が線となって映っていた。
 その軌跡を追うように、闇を切り裂く音と共に大きな鎌が死神を襲うと真っ二つに切り裂いた。
 鎌は、死神を切り裂くと旋回して、持主である、リオネル・ウィンターソン(ウェアライダーのブレイズキャリバー・e09573)の手元に戻った。
「俺達にかかれば死神だろうと敵じゃないんだ」
 死神の鎌を構えなおし、リオネルは不敵に口端を歪める。
(「よし。俺も十分戦える! 仲間との戦闘が初めてだろうが言い訳にはならないんだ。足手まといにはならない。みんなの力になるんだ!」)
「一体撃破だな。この調子で死神からだ!」
 掛け声と共に、フェイリンが気功弾を次の死神に放つ。
 死神がゆらりとそれをかわすが、そこに待ちかまえていた、透と物九郎が現れ俊敏な動きで現れコンビネーションでダメージを与えて行く。
「グラム! すぐに片付けるから、竜骨兵は四人で抑えておいてくれ!」
 リオネルが攻性植物でトラバサミを生成しながら、叫ぶ!
 ケルベロス達があらかじめ用意してきた作戦は、四人が死神三体を先に葬り、その後竜骨兵を全員で討伐すると言うものだ。
 すなわち、死神を倒し終わるまでは、強力な竜骨兵を四人で抑えなければならないと言うことだ。
「俺達は俺達の役割を全うする! 心配するな」
 グラムは吠えると、力の限り鉄塊剣を竜骨兵に振り下ろす。
 グラムの一撃は、竜骨兵の肩を捉えるが、深手には至らない。
 反撃とばかりに、竜骨兵がグラムに向かってその爪を振り下ろすが、グラムの身体を裂く筈の爪は金属音と共に防がれる。
「おぬしの相手は、一人ではない。我らじゃ。よそ見をするでないぞ!」
 シエナがルーンアックスに力を込めて竜骨兵を押し返す。
 次の瞬間、辺りに魔力のこもった咆哮が響く。
 シレンのハウリングが竜骨兵の動きを制限する。
 そして、ケルベロス達の周りにはエイトが既に小型治療無人機の群れを作り出していた。
「竜骨兵、すぐに楽にしてやる。だが先に、お前をそんな姿にした死神共を葬るのが先でな。俺達と遊んでいてもらうぞ」
 そう、うそぶくエイトの瞳は悲しみを帯びていた。

●死神が生んだモノの果て
「毒電波ビリビリっスよ!」
 漆黒の二台のスマートフォンを駆使し、物九郎が死神にダメージを与えれば、次の瞬間、艶やかな着物をひるがえし透がいかつい斧で死神を粉砕する。
「やはり魚程度では、私の心を満たしては、くれませんね」
 透は色っぽくため息をつき、斧を鉄塊剣に持ち替える。
「この一体を仕留めれば、次は竜骨兵だ!」
 電光石火の蹴りを死神にあびせフェイリンが叫ぶ。
 それに応えるように、リオネルはジャンプして死神の鎌を投げつける。
 鎌は流線の軌跡を描き死神に死を与えると空中を舞い、着地したリオネルの手に戻る。
「これが、死を弄んだ報いだ」
 リオネルは地上に落ちた死神の死体に言い放つ。
(「これが、協力して戦うと言うことか。仲間と戦えることが楽しい、そして心強い」)
 不謹慎かもしれないと思いつつもリオネルは込み上げてくる初めての感情に興奮していた。
「さて、やっと楽しめそうなお相手ですね」
 透が、竜骨兵へと歩みを進めようと振り返った瞬間。
「みんな! 避けるのじゃー!!」
 シエナの叫びが聞こえる。
「なんっすか? なんっすか!?」
 物九郎もあわてて、シエナの声の方を振り返る。
 見ると、シエナ、グラム、シレンの三人が倒れこんでいる。
 後ろに下がっていたはずのエイトすら膝をついているのが見える。
「ブレスか!? 何にしてもこちらに竜骨兵を引きつける!」
 フェイリンが気功弾を放ち竜骨兵の気を引く。
「俺めも行くっす!」
 物九郎がウェアライダーの俊敏さを活かし、一気に竜骨兵との距離を詰める。
「ブチのめしてやりまさァ! ブチネコだけに!」
 物九郎が瞳孔を開いた瞬間、物九郎の時間の概念が捻じ曲げられ一瞬の間に竜骨兵にいくつもの打撃を与えて行く。
 その隙に、リオネルがエイトにヒールをかける。
「すまない。油断していた訳じゃないが、ブレスへの予備動作が殆ど無いようだ。おそらく、死している為ブレスと言っても、吸って吐くと言う予備動作を必要としないのだろう」
 エイトが、立ちあがりながら分析を述べる。
「エイトさん、時間を稼ぎます。三人にヒールをお願いしますね」
 透がそう言って、竜骨兵に走り寄る。
「……メディックとしての役目は果たして見せる」
 エイトは自分のグラビティ・チェインを集中させるとヒールの雨を降らす。
 ダメージを受けていたケルベロス達に力が戻っていく。
「……ブレスってのは厄介だな。とにかく動きを止める!」
 シレンは立ち上がると、芸術的ともいえる早撃ちで竜骨兵の牙を破壊する。
 しかし、痛みを感じない竜骨兵は動きを止めることなく、大きく口を開く。
「そうは、いきません。……燃えなさい」
 透は、優雅に飛び上がり竜骨兵の眼前まで迫ると、地獄化したその瞳で流し眼をおくるように微笑んだ。
 次の瞬間透の左眼から全てを燃えつくさんばかりの炎をが現れ竜骨兵に襲いかかる。
 その炎は竜骨兵の東部に纏わりつき消える気配なく燃え続ける。
「無味乾燥した骨には、私の炎は勿体ないかもしれ……キャーーー!」
 余裕の笑みで透が言い放とうとしたところに、燃えている頭部から冷気のブレスが吐きだされる。
「透!」
 グラムが叫ぶが、透は地に伏してしまう。
「なるほど、全く衰えん。こいつは手ごわいのう」
 シエナが警戒を強めながら、距離を詰める。
「エンデ! 私達が押さえている間に透の回復を!」
 グラムがシエナと肩を並べ透と竜骨兵の間に割って入りながら、エイトに声をかける。
 その間にも、フェイリン、物九郎、シレンの三人が攻撃を仕掛け、竜骨兵の動きを阻害する。
「大丈夫か?」
 エイトが透に声をかけると透はかすかに微笑みながら、一言つぶやく。
「……私もまだまだですのね」
「……じっとしていろ」
 そんな透に静かな声でエイトは囁く。
 エイトは、五指に神経を集中させ、透の身体にゆっくりと電流を走らせ透の細胞を活性化させていく。
 透の滑らかな体に走っていた斬撃の跡が少しずつ消えて行く。
「透は大丈夫なようだな。ただ黙って、何かを失うつもりはない……」
 グラムが静かに言うと、次の瞬間吠えた。
「我が正当なる怒り! その身に刻め!」
 グラムが一度踏み込み、竜骨兵に斬撃を加えるとその反動を活かし何度も連続攻撃を繋げていく。
 斬撃が十数回に及んだのち、グラムが着地する頃には、竜骨兵の身体のあちこちがボロボロになっていた。
「……流石にこの回数が限界か」
 グラムが口惜しそうに言う。
「心配するな、よくやった。わしにあとは任せるのじゃ」
 シエナがゆっくりとルーンアックスを構える。
「そろそろおぬしも眠るべきころじゃろ、わしの一撃くらうがよい」
 シエナのアックスの文字が蒼い光を放ち地獄の炎を纏う。
「焼滅せい……!」
 青い炎がシエナすらも包み 爆炎と化した一撃が竜骨兵に恐ろしい爆音と共に襲いかかる。
 シエナの纏った蒼い炎が消えても、竜骨兵を襲った炎は消えること無く燃え続ける。
 竜骨兵は既に右腕が消失しボロボロの状態だが立っていた。
「お前に同情しないこともない。再び砕かれて永久に放逐されるがよい」
 フェイリンがゆっくりと竜骨兵の前に歩み出ると、両のバトルガントレットを激しく打ち合わせた。
「砕け散れ!!」
 フェイリンの気合と共に放った一撃は、竜骨兵の腹に大穴を空けた。
 そして、そこを中心に竜骨兵はガラガラと崩れて行った。
 ドラゴンの牙、竜牙兵、竜骨兵と姿を変えて行ったモノの最後だった……。

●死神から守ったモノ
「何とかなったか。知性の無い分、厄介な敵じゃったな……」
 シエナが、素直な感想を漏らす。
「知性も感覚もなく、ただ戦う為だけの存在……。それは、楽しいのかしらね?」
 透にとって戦いとは快楽であり、感情あってこそのものだ。
 ただ、戦うだけで何も感じないのなら、透にとってきっとそれは意味のない行為……戦うことに意味があるとしてだ。
「けれど、戦う相手としては楽しかったですわ……私も精進しなければならないことが分かりましたもの」
「しかし、死神の奴ら。コギトエルゴズムから復活させたわけじゃなく、ケルベロスに殺されたのを復活させたんだよな?」
 シレンがふと疑問を口にする。
 デウスエクスは、本来なら死なない存在なのだからサルベージ出来るデウスエクスはケルベロス誕生以前は存在しなかったことになる。
 死神のサルベージについての疑問も浮かんでくる。
「二度目の死を与えてやっても、またいつか復活させられたりすることもあるのかね?」
 出来ればもう眠りが妨げられることが無いようにと祈ってしまう。
 フェイリンは竜骨兵が消えた跡を眺めながら一つの疑問を抱いた。
(「無理やりにでも尖兵をサルベージされたドラゴンの主は、果して何を思うのだろうか? 私達はデウスエクス同士の関係性をあまりにも知らなすぎるのではないだろうか?」)
 だが答えは、今は無い。
「やはり、街に被害は出てしまうな。……デウスエクスとの戦いが続く以上仕方ないのだが」
 街にヒールをかけながらエイトは一人ごちる。
「あ、朝日だ……。夜が明けたんだ」
 リオネルは、朝日を見て清々しい気持ちになった。
 デウスエクスと戦う日々はまだまだ続くだろう。
 けれど、自分は一人じゃない。
 自分が戦う時、ケルベロスの仲間達は一緒にいてくれるのだから。
 自分は戦い続けられる。
 ケルベロスの力が要らなくなる日まで……一人じゃないから。

作者:陸野蛍 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2015年10月14日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 4/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
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