血のクリスマス事件~ハイテンション・ハイランダー

作者:長針

「あ、皆さん、少しお待ち下さい。すぐに準備しますっ!」
 珍しく慌ただしい様子でで一同を出迎えたのはセリカだった。
「それでは、改めまして本日はお越しいただきありがとうございます。
 実は先日起きたVRゲーム型ダモクレスの事件についてなのですが、リヴァーレ・トレッツァー(通りすがりのおにいさん・e22026)さんらの調査によって、大侵略期の地球で『血のクリスマス』と呼ばれる大虐殺を引き起こした侵略型超巨大ダモクレス、『ゴッドサンタ』復活の予兆であったことが判明したのです」
 急いで机に広がっていた書類をかき集めたセリカが切迫した表情でそう切り出した。
「『ゴッドサンタ』は、自らが復活するグラビティ・チェインを得るため、配下であるヴィクトリーサンタとヴァンガードレインの二体一組の量産型ダモクレスを日本各地に送り込み、クリスマスを楽しみにする人々を血祭りに上げることを画策しているようなのです。皆さんに相手していただきたいのは、この二体のダモクレスです」
 いったん言葉を切り、セリカが皆の顔を見回す。
「皆さんには12月24日の早朝、名古屋駅前にて現れる二体一組のダモクレス・ヴィクトリーサンタとヴァンガードレインの迎撃を行ってもらいます。
 ヴィクトリーの方は二本のチェーンソー剣で武装しており、こちらの防具を切り裂く斬撃、モーターを激しく唸らせる刃の一撃、二本の剣を用いた摩擦炎を伴う薙ぎ払いといった攻撃を行い、ヴァンガードの方は角型の二本のバスターライフルから電撃を放ち、プレッシャーを付与する砲撃、グラビティを中和する光弾、二本の角を駆使した巨大な電撃の奔流といった攻撃を行い、加えて双方シャウトを使ってきます」
 セリカが書類をめくる音が響く。 
「敵のタイプとしては、ヴィクトリーの方は素早い動きと高い攻撃力が特徴の強力なアタッカー、ヴァンガードの方は敏捷と頑健を兼ね備えた粘り強いサポーターとなっており、互いを補完するような能力と息のあった連携はかなりの脅威となることが予想されます。
 更にこの二体はどちらか一方が倒されると残った一方と合体し、弱点のない強化ダモクレス一体に変形します。また、合体後に回復はなく、攻撃方法は残った方がベースとなるとのことです。ですので、各個撃破を狙いつつも撃破の順番やタイミングを調整する繊細な戦術が必要となるでしょう」
 そこまで言うとセリカは書類を両腕で抱え直し、
「一筋縄ではいかない相手ですが、人々の楽しいクリスマスを守るため、どうか皆さんのお力をお貸し下さい。それでは、ご武運を」
 皆に向かって恭しく頭を下げた。


参加者
メラン・ナツバヤシ(ハニカムシンドローム・e00271)
平・和(平和を愛する脳筋哲学徒・e00547)
朝倉・ほのか(ホーリィグレイル・e01107)
ヤクト・ヴィント(戦風闇顎・e02449)
峰谷・恵(暴力的発育淫魔少女・e04366)
天照・葵依(蒼天の剣・e15383)
ガルフ・ウォールド(欠け耳の大犬・e16297)
リリー・デザイア(耽美なりし幻像・e27385)

■リプレイ

●ごきげんな降臨
 名古屋・早朝
「イーッヤッホウッー!」
「な、なんだ!?」
 突然、空から奇妙な電子音声が響きわたり、人々は困惑気味に上空を仰ぎ見た。
「楽シムノは結構デスがヴィクトリー、我々の目的を見失ワヌヨウに」
 クリスマス用に飾り付けられた大きなモミの木よりもなお高い場所で、二つの影が浮かんでいた。
 一方は赤と白の派手な装甲に、三角帽子のような頭部パーツを持った人型の機械。
 一方は茶褐色の地味な装甲に古木の枝のような角を備えたトナカイ型の機械。
「判っテルさ、ヴァンガード。我らがGodなSanta Clausに相応しい、トビッキリsanguineなChristmasにすればいいんだろ? ジャア早速ーー」
 ヴィクトリーが武器を構え、モミの木を滑るように急降下する。人々はついに緊張の糸が切れ、阿鼻叫喚の巷となった。
 そこへ小柄な優美な影が躍り出る。
「せっかく楽しいクリスマス、邪魔はさせないわよ?」
 リリー・デザイア(耽美なりし幻像・e27385)が照準を定めるように銀光を宿した指先をヴィクトリーへと向けていた。銀色の輝きはつがえた矢を引き絞るよう徐々に右腕を駆け上がり、肩先へと達する。瞬間、
「我が一矢は必中……堕ちなさい」
 銀に煌めく光が流星のように尾を引き、放たれる。光の軌道から逃れるためヴィクトリーはソリを急旋回させた。しかし、
「ヌワッ!?」
 追尾する銀の光に撃ち抜かれたヴィクトリーが態勢を崩し、結果地面へと激しく激突した。
「今のは挨拶代わりよ。だってーー」
 粉塵が舞い上がる中、優雅な足取りでリリーが前へと出る。そして、
「クリスマスは、これからなんですもの」
 咲き誇るようにクスリと微笑んだ。
 静寂。いつの間にか恐慌は収まっていた。
「はーい、それじゃあ、皆さん。デウスエクスが出たんで避難してくださーい! なに? 俺はお嬢ちゃんじゃねえ!」
 隙をついて平・和(平和を愛する脳筋哲学徒・e00547)が避難勧告を出して回るが、幼女と見紛うような容姿のせいか、そちらで時間をとられてしまっていた。
「あ、あの、避難を……。え? 貴女と逃避行したい? そ、そんな困ります……」
 一方、朝倉・ほのか(ホーリィグレイル・e01107)は避難を促すため声をかけた男性に逆に誘われ泣きそうな顔になっていた。そのか細く甘い声と、男心をくすぐる表情が男性をますます本気にさせる。
「そ、そんなこと言わずにーー」
「命が惜しいのならいますぐ避難を。どうか迅速に」
 食い下がる男性にそう告げたのは天照・葵依(蒼天の剣・e15383)だ。彼女の真剣な雰囲気に我を取り戻した男性は慌てて避難を開始する。 
「あ、ありがとう、天照さん……」
「いや、礼には及ばない。ほのか、君は女性への声かけをしてくれ。それと、メラン、ヤクトーー」
 ほのかを労いつつ、葵依が振り返る。だが、言葉は不要だった。
「判ってるわ。もうとっくに『形成』してる」
「うむ。後はガルフ殿が封鎖すれば避難完了だ」
 メラン・ナツバヤシ(ハニカムシンドローム・e00271)とヤクト・ヴィント(戦風闇顎・e02449)が形成した殺界の効果により、人波が急速に遠ざかる。更に、
「よし。これで、だいじょうぶ」
 欠けた犬の耳をピクピク動かしながらガルフ・ウォールド(欠け耳の大犬・e16297)がキープアウトテープを張り終えた。
「さあ、悪いサンタとトナカイへお仕置きだよっ!」
 大きな胸を揺らし、不機嫌さも露わに峰谷・恵(暴力的発育淫魔少女・e04366)が力強く地面を踏みしめた。

●サンタを清めろ
「チクショウ! ダガ、面白エッ! テンション上ガッテキタゼ!」
「あんな物騒なのがサンタさん名乗ってるなんてホントイヤになるよ、ねっ!」
 恵の怒りの神速の早撃ちがチェーンソー剣の根本を直撃する。
「ヌオッ!? イイゼ、嬢チャン!」
 ソリの軌道を恵の方へと変え、ヴァンガードがチェーンソー剣を振りかざす。そこへ鎌を携えたヤクトが飛び込んできた。
「おっと、そこは通さないぞ……っと」
 一瞬鎌を振る素振りを見せたヤクトは、しかし、最短距離で届く肘打ちを繰り出し、文字通りヴィクトリーの動きを掣肘する。
「似非サンタを倒せば、俺達は子供達の夢と希望を守ったヒーローだ! 行くぜ、みんな!」
「だれも倒させない。俺、がんばる!」
 和が上げた鼓舞の爆煙とガルフがばらまいた紙の人形が同時に空へと舞い上がる。
「戦いを始めますーー竜の吐息を」
 それまでの自信なさげな表情をすっと切り替え、ほのかは幻影の竜から生み出した炎でヴィクトリーをへ追撃する。
「ヒュウッ! イキナリ熱烈ナ歓迎、ヤッテクレルジャネエカ!」
 巻き起こる猛火に一歩も退かず、逆に真正面から突っ込むことによりヴィクトリーは被害を最小限に抑え、そのまま突破する。しかし、
「月詠!」
「キュキュッ!」
 待ちかまえていた葵依が月詠に呼びかけ、ヴィクトリーに更なるブレスをお見舞いする。
「グアっ!? ヤッテクレルジャネエカ! ダガ、マダマダッ!」
 ヴィクトリーが押しとどめられたのは僅かに一瞬。だが、一瞬で良かった。
「人々が望まぬプレゼントを押し付けてくるサンタにはご退場願おうーー我が慈母よ、今こそ天駆ける希望の橋を架け奉らん!」
 太陽の女神への誓願を奉じた葵依の確固たる決意は加護の力を増幅させ、彼女の身体に陽光のごとき輝きを宿した。 
「この星に住む者たちは誰もゴッドサンタの復活など望んでいない!! ここで止めさせてもらう!」
「グ、グアア!? 熱チチチッ!」
 光を纏い駆けた葵依が、高速で迫るヴィクトリーを更に上回る速度で接近。そのまま激突し再び炎の中へと叩き込んだ。
「まだ、終わりじゃないわよ。子供の夢を壊すアンタに相応しいご同類を呼んであげる。来なさい、『ハーメルンの笛吹き男』」
 そう言ってメランが分厚い装丁の童話集を突き出し、命じる。同時に童話集がひとりでにめくれ、そして止まった。
「さあーーこの笛の音に抗えるかしら?」 
 傲然と告げるメランの言葉とともに、童話集の挿し絵から道化師のような影がぬらりと現れ、手にした笛を吹き始める。
「オワッ、足ガ勝手ニ!? ソッチハ、ノーだ! ノーッ!?」
 魔笛の調べに誘われ、今度は自らの足で炎にさらされに行ったヴィクトリーが悲鳴を上げる。
「ヤレヤレ、私ノ大事なサブパーツガ台無しニナッタラドウシテクレルノデスカ」
 ひらりと舞い降りたヴァンガードがヴィクトリーを角で乱暴に拾い上げ、ようやく炎の中から抜け出すことに成功する。
「オイ……ナンカ、妙ナ台詞が聞こエタゾ?」
「何のコトヤラ? ソンナコトヨリ、敵ハ待ってクレマセンヨ。サッサと連携ノ準備ヲ」
「チッ、シャーネエ、遅レヲ取るナヨ、ヴァンガード!」
「ソレハコッチノ台詞デス、ヴィクトリー」
 二体は互いにそっぽを向き、しかし同時に踏み出した。 

●得意げな再臨
「ヒャッホウ!」
「ソコデス」
 鋭く切り込んでくるヴィクトリーに、的確に支援を行うヴァンガードの組み合わせは凸凹であるがゆえに隙が少ない。故に、一同が出した結論はひどくシンプルだった。
「こじ開けます。皆さん、追撃をお願いします」
 ほのかが駆け出し、空をも絶つ刃を一閃する。
「同じコトデス!」
 再び攻撃を食い止めたヴァンガードが勝ち誇ったように叫びをあげる。
「ならば、貴方を止めればいい。そうじゃなくて?」
 自らの身体に備え付けられた砲身をつっと指でなぞり、リリーがヴァンガードへ照準を合わせた。
「シマっーー」
 ほのかが切り裂いた装甲に、リリーの砲弾が突き刺さる。中枢へと達した弾丸は一時的に身体を麻痺させ、動きを縫い止めた。
「悪いサンタさんはおしおきだよっ!」
 後方から一気呵成に飛び込んできた恵が精神の剣でヴィクトリーへと切りつける。
「クウッ! ヤッパ、ソウ来るカ! ダガ、高地冬山仕様はタダでヤラレルホド甘くハネーゼ!」
 相棒と分断され、自らも動きを制限されたヴィクトリーが両手のチェーンソー剣を交差させるように構える。
「おいおい、あれはちとまじーぜ! 備えろ!」
「判ってるわよ! ロキ、行くわよ!」
「キュー!」
「月詠、我らも遅れをとるな!」
「キュキュ!」
 攻撃の気配を察知した和に応じ、ディフェンダー陣が揃って前に出る。それと時を同じくしてヴィクトリーが両手のチェーンソー剣を鋭く振り抜いた。
「クリスマスヨ、赤く染マリヤガレ!」
 猛烈な刃の擦過によって生じた熱と赤の波動が辺り一帯を飲み込む。
「………ムリはきんもつ、だ」
 攻撃が止むや否や、ガルフは即座に極光のような揺らめく光で味方を包んだ。赤を打ち消すような青が多く入り交じったオーロラは味方の傷を癒し、立ち上がる力を与える。
「皆、よくやってくれた。後は任せろ」
 そう言って駆け出したヤクトの両足の空間が陽炎により歪んだかと思うと、強烈な炸裂音とともに爆発的に加速、瞬く間にヴィクトリーへと接近した。
「今度ハ韋駄天野郎カ! イイゼ、冬にソリに挑ム恐ソロシサを味アワセテヤル!」 
 地を縮めたかのごとき速度で迫るヤクトにヴィクトリーがソリを走らせ真正面から迎撃する。
「その意気や良し。だが、子供たちの夢のためにここで消えてもらおうかーー風よ闇を払いて光を示せ! 奥義! 東雲嵐締!」
「グアアアア!?」
 圧縮された空気とともに放たれた蹴りはヴィクトリーを捉え、更に解放された風がすさまじい摩擦を引き起こす。瞬間、凄まじい暴風雷電が周囲の空間を裂き歪め、鋼鉄の身体を完膚なきまでに打ち砕いた。
「クッ、ヤラれてシマイましたカ、ヴィクトリー……イイデしょう、私タチの真価をお見せシマしょう! チェンジ! クリスマス・W!」
 ヴァンガードが叫ぶや否や、バラバラになったヴィクトリーのパーツが集まり、瞬時に変形を開始する。
「フフ……コレが私の完全体デス!」
 全てのパーツを組み込んだヴァンガードが不敵な笑みを浮かべる。 
 いまや、彼はただのトナカイではなかった。
 サンタ服を着たトナカイだった。

●これからホーリーナイト
 見た目こそあまり変わってなかったが、実際クリスマス・Wは強敵だった。 
「しっかりやれですって!? 分かってるわよ! そっちこそしっかり治しなさいよ!」
 叱咤するようにぺちぺち尻尾で叩いてくる相棒へ反論しつつ、メランが雨霰と飛んでくる攻撃を受け止める。
「フハハハハ、ドウしたのデスカ! 大シテ変わってナイのデハないのデスカ?」
 猛然と角から光線をやたらめったら撃ちまくり、高笑いを上げるクリスマス・W。まるで相方のテンションまでも引き継いでるようだった。
 味方も反撃を試みるのだが、攻撃が激しい上に回避も防御も高いとなってはなかなか有効打とならない。だが、光明がないわけではなかった。
「後少し、だと思うんです」
「ああ、同感だ。合体したところで修復はできないようだからな」
 ほのかと葵依が目配せをしたあと、クリスマス・Wへと視線を向ける。
「なら、さっさと倒しちゃおう! 慈悲なく、容赦なく、完璧に!」
 そう主張したのは恵だ。奪うだけの関係を嫌う彼女は、本来与える者であるサンタとトナカイに扮する略奪者に対して純粋な怒りを覚えていた。
「俺も、さんせい。……空飛ぶソリにプレゼント積んで、いい子の所に夜中にこっそり来て、欲しいもの置いてってくれるのがサンタだ。でも、アレは違う」
 暴れ回るトナカイを見つつ、ガルフが恵に同意を示す。彼もサンタクロースの存在を信じているせいか、いつになく憤っているようだ。
「なら、まずは俺が行こう。最年長だしな」
 ヤクトが風のように疾駆し、トナカイの角から光線が放たれると同時、鎌を投げつける。
「グ!?」
「ふっ……今だ!」
「言われなくても。一肌脱いであげるわよ。マフラーは外したくないけど」
 ふわりとマフラーをはためかせながら優雅な挙措でリリーが地面へと触れた。瞬間、地面に亀裂が走る。
「小癪ナ……!」
 割れる地面に足を取られながら飛び上がり、クリスマス・Wは空へと逃れようとする。
「逃がさないよ、絶対に!」
 怒りに任せて恵が魔力弾をばらまき、逃げ道を封じる。
「イイデショウ……ナラ、コチラから攻メルまでデス!」
 強引に地を蹴り、低く疾走したクリスマス・Wが角を振りかざす。
「ほのか、行けるか?」
「大丈夫です、天照さん。確かに早いです。でも、捉えられない程ではないようです。ではーー滅びという名の救済を」
 精神の剣で角の動きを制し、現代では意味すら忘れ去られた古き言葉を次々に紡いだ。
「血に狂える哀れな魂へ捧ぐーー失われた楽園(パラダイス・ロスト) 」
 そして、ほのかの言葉が終わると同時、終末を思わせる無数の光芒が降り注ぎ、尽くクリスマス・Wの身体を貫いた。
「グアアアアアアッ、ア、ア……!?」
 がくりとクリスマス・Wがくずおれる。そのまま機能停止するように見えたが、その両角はこれまでにないほど光を放っていた。
「まだだ! ガルフ、防御を頼む! 止めを刺す!」
「が、ガウ!」
 和がガルフに呼びかけ、大きく息を吸い込む。そして、 
「知恵を崇めよ。知識を崇めよ。知恵なきは敗れ、知識なきは排される。知を鍛えよ。知に勝るものなど何もない。我が知の全てをここに示す」
 一息に詠唱し、己の全知識を収めた一冊の本をクリスマス・Wの頭上に出現させた。
「デカいの脳天にぶちかましてやる! 分厚い事典とは―――もはや凶器である!」
 和が叫ぶと同時、どう見ても鈍器でしかない本が角から落下する。
『ソレハ、コッチの台詞ダゼ! ナア……ヴァンガード!』
「ええ、ヴィクトリー……我ラが、ゴッドサンタのために……!」
 両角から空ごと飲み込むような極太の光線が発射されると同時、事典の角がクリスマス・Wの頭蓋を打ち砕く。
「ガウ! みんな、守る……!」
 不完全ながらも強大な威力の光線に、ガルフは全力で光の盾を展開し、歯を食いしばった。
 そして、光線の残滓が消え去り、空には晴れた渡る冬空が広がっていた。
「停止したようだな……念のため調べとくか」
 残骸を検分したヤクトの言葉に皆がほっと一息つき、肩の力を抜く。
「……ホワイトクリスマスってわけにはいかなかったけれど、これも悪くないわね。これから始まるって感じがして」
 マフラーをぎゅっと締め直し、リリーが大きく伸びをする。
「あ、でもその前に壊れたところを直さないと。みんなクリスマスを楽しめないもんねっ」 
「そうね。さしずめ今日はアタシ達が皆に楽しいクリスマスをプレゼントするサンタさんってところかしら」
「だな。しっかりクリスマスを楽しめるようにするのが大人の役割だしなっ!」
「わう、がんばって、なおす」  
 そうして皆はそれぞれクリスマスを届けるためのサンタとなった。 

作者:長針 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年12月24日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
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