血のクリスマス事件~殺戮のサンタクロース

作者:神無月シュン

 ケルベロス達が集まる中、リヴァーレ・トレッツァー(通りすがりのおにいさん・e22026)らの調査で、VRゲーム型ダモクレスの事件が、大侵略期の地球で『血のクリスマス』と呼ばれる大虐殺を引き起こした侵略型超巨大ダモクレス、『ゴッドサンタ』復活の予兆であったことが判明したと、笹島・ねむ(ウェアライダーのヘリオライダー・en0003)が、説明し始める。
「VRゲーム機型ダモクレスは、『ゴッドサンタ』の配下によって、少し早いクリスマスプレゼントとして子供たちに届けられたものみたいです」
 更に『ゴッドサンタ』は、クリスマスを楽しみにする人々を血祭りに上げる事で、自らが復活するグラビティ・チェインを得ようと動き出した。
「襲撃が発生するのは、12月24日の午前中です」
 この襲撃が成功し、グラビティ・チェインが『ゴッドサンタ』の元に集まれば、クリスマスの夜に『ゴッドサンタ』が完全復活し、世界に大破壊を招く事になってしまうだろう。
「これを阻止するため、みんなの力を貸してほしいのです」

 『ゴッドサンタ』の配下として実際に襲撃を行うのは、『ヴィクトリーサンタ』と『ヴァンガードレイン』というサンタ型とトナカイ型の2体ひと組の量産型ダモクレス。
「彼らは12月24日の早朝に、日本各地に一斉に現れて、クリスマスを楽しみにしている人々を襲ってグラビティ・チェインを奪い取ろうとしているのです」
 敵の戦闘力は、『ヴィクトリーサンタ』と『ヴァンガードレイン』の2体でケルベロス8人と互角程度だという。
「『ヴィクトリーサンタ』は主にチェーンソー剣を使って、『ヴァンガードレイン』は角から放つ電撃攻撃が得意みたいなのです」
 一通りの説明を終え、ねむはケルベロス達を見つめる。

「偽物サンタさんには、さっさと退場してもらうのです!」


参加者
ユーノ・イラ(森と生きる少女・e00003)
ルヴィル・コールディ(黒翼の祓刀・e00824)
天矢・恵(武装花屋・e01330)
天矢・和(幸福蒐集家・e01780)
アリス・ワンダー(音楽の国の迷い姫・e01945)
文丸・宗樹(シリウスの瞳・e03473)
イリヤ・ファエル(欠翼独理のエクシア・e03858)
ミリム・ウィアテスト(ブラストトルーパー・e07815)

■リプレイ

●クリスマスに死のプレゼントを
 早朝。クリスマスの飾り付けが施され、クリスマス一色に染まった商店街。飾り付けを眺めながら歩く小学生の集団。
 子供たちは学校で行われる、クリスマスパーティーが楽しみだと、はしゃいでいた。
 その後ろから2つの影が、子供たちへと徐々に近づいていく。その見た目はサンタクロースにトナカイと、クリスマス近くには店の前に居たりと珍しいものではないが、この2人――いや2体はどう見てもメカメカしい。
 2体の手が、子供たちにのびようとしたその瞬間、間に割り込むように、ミリム・ウィアテスト(ブラストトルーパー・e07815)と天矢・恵(武装花屋・e01330)が立ち塞がる。
「ケルベロスだ。ダモクレスの討伐を行うから離れてくれ」
 恵に声をかけられた子供たちが、事態を把握出来ずにポカンとしている。
「危ないから離れてな~」
「ボクたちが来たからもう大丈夫。さあ、君たちは学校へ行っておいで」
 ルヴィル・コールディ(黒翼の祓刀・e00824)とミリムが続けて声をかけると、やっと理解したのか子供たちは駆け出して行った。
 周囲の避難が終わったのを確認して、ユーノ・イラ(森と生きる少女・e00003)が殺界を形成する。その間に、周辺にするするとキープアウトテープを貼っていくアリス・ワンダー(音楽の国の迷い姫・e01945)。
 安全の確保を終え、ケルベロス達は2体のダモクレスへと向かい合う。
「みんな、クリスマスをとってもとっても楽しみにしているのに、なんてひどい……年に一度のとっても素敵な日、わたし達が絶対に守りますっ」
 ユーノが気合を入れる。
「子供の夢を奪うし、大人のわくわくも奪うやつ~今やっつけてやるよ~!」
 ルヴィルがマイペース気味に話す。
「さて、ひと働きするか」
「クリスマスのサンタもトナカイも、みんなに夢や希望を与えるものだよ。血のクリスマスになんて、させない……!」
 恵と天矢・和(幸福蒐集家・e01780)が構える。
「偽物サンタ……許すまじ!! 殺戮なんてさせない! 聖夜を、血で汚させたりなんてしないわ!!」
 アリスがダモクレスを睨みつける。
「クリスマスに騒ぐのは構わないが、被害が出るのはアウトだ。さっさと退場願おう」
 戦うのは面倒だが、守るためならばと、文丸・宗樹(シリウスの瞳・e03473)が武器を構える。
「女の子と楽しく遊ぶイベントを、血で汚すわけにはいかないからね」
 イリヤ・ファエル(欠翼独理のエクシア・e03858)が気障ったらしく髪をかき上げている。
「幸せなクリスマスをぶち壊す不届き者には、死をプレゼントしてやるのだ!」
 サンタ服に身を包んだミリムが、悪のサンタは滅びるがいいと武器を構える。
 ケルベロス達が武器を構える中、面倒そうにサンタ――『ヴィクトリーサンタ』が袋の中からチェーンソー剣を取り出し構える。その横に控えていた、トナカイ――『ヴァンガードレイン』がヴィクトリーサンタを守るように半歩前へ出る。
 クリスマスを守る戦いが始まる。

●雷撃放つトナカイ
 ミリムがヴァンガードレインへ目掛けて、破鎧衝を放つ。
 和のリボルバー銃による早撃ちに、合わせるように恵が飛び蹴りを食らわせる。息の合った連続攻撃にヴァンガードレインがよろめく。
「運べ」
 ルヴィルの放つ『囀り』により現れた光り輝く鳥が、前衛の仲間へと砕き破る力を与えていく。
「来い」
 宗樹が詠唱を終え、吹雪の形をした『氷河期の精霊』を召喚する。氷河期の精霊の力を借りてヴィクトリーサンタ達を凍らせていく。
 ヴィクトリーサンタがチェーンソー剣を構え、ミリムに斬りかかった。その間に角へと電気を溜めていたヴァンガードレインが、電気を一気に放出する。放たれた電撃は後衛の元へと降り注ぎ、地面へと当たっては爆ぜる。
 電撃により痺れる体で、ユーノが掌を突き出す。そこから放たれる、ドラゴンの幻影がヴァンガードレインを焼いていく。
 イリヤが霊力を帯びた紙兵を大量散布し前衛を守護させる。
 ブラックスライムを捕食モードへと変形させたアリスがヴァンガードレインへと襲い掛かるが、ヴァンガードレインは横へのステップで攻撃をかわした。
「なかなかやるね」
 敵の動きを観察していた和がタイミングをみて、音速を超える拳を放つ。攻撃を受け吹き飛ぶヴァンガードレインに向け、恵のドラゴニックミラージュが襲う。
 続くように距離を詰めたミリムが、電光石火の蹴りをお見舞いした。
「よ~っし、いくぞ!」
 ルヴィルが手にしたドラゴニックハンマーを砲撃形態へと変形させる。ヴァンガードレインへと狙いをつけて竜砲弾を放つ。
 宗樹の翼から放たれた、聖なる光がヴィクトリーサンタ達に襲い掛かる。
 ヴィクトリーサンタがイリヤに向かってチェーンソー剣で斬りつける。怯んだ瞬間にヴァンガードレインの雷撃が更にイリヤを襲う。
 攻撃を立て続けに食らい、苦悶の表情を浮かべながら反撃にとシャイニングレイを放った。
「フォンス、力を貸して……!」
 ユーノの呼びかけに水を象った精霊が召喚される。精霊は癒しの水の力を放ち、ユーノ達の傷と痺れを癒していく。
 アリスがルーンの力でイリヤを治療する。
 ミリムが破鎧衝を放ち、怯んだヴァンガードレインに和と恵が流星の煌めきと重力を宿した飛び蹴りを続けて放つ。
 そこへ、手の爪を超硬化させたルヴィルが超高速でヴァンガードレインを貫く。更に宗樹がハウリングフィストで追撃する。
 ヴィクトリーサンタが宗樹へ斬りかかり、ヴァンガードレインが大量の電気を放出する。放たれた電気は障壁となって、ヴィクトリーサンタ達を包み込む。
 ユーノがドラゴニックミラージュを放ちヴァンガードレインを焼き、イリヤが縛霊手の掌から巨大光弾を発射した。発射された巨大光弾はヴィクトリーサンタ達を呑み込む。
 アリスの歌う歌が、前衛を癒していく。
 ケルベロス達は攻撃の手を休めずに、1体ずつ確実に倒そうとヴァンガードレインを集中的に狙っていた。そのおかげか、ヴァンガードレインの動きも大分鈍くなっていた。
 ミリムがヴァンガードレインに向かって、旋刃脚を繰り出す。
 和の放つ音速を超える拳が、ヴァンガードレインを包んでいた障壁を砕く。続けて放つ恵のドラゴンの幻影が、ヴァンガードレインを焼いていく。
 ルヴィルが轟竜砲を放ち、ルヴィルのテレビウム、櫛々が応援動画を流し、宗樹を治療する。回復した宗樹はドラゴニックミラージュを放ち、ヴァンガードレインを焼く。
 ヴィクトリーサンタが恵へと斬りかかり、ヴァンガードレインがアリスに向かって雷撃を放つ。アリスのウイングキャット、チェシャがアリスの前へと飛び出し、雷撃を受け止めた。
 ユーノが稲妻を帯びた超高速の突きを放ち、ヴァンガードレインを貫く。
 イリヤが翼を広げ、聖なる光を放つ。放たれた光がヴィクトリーサンタ達を襲う。そこへアリスがブラックスライムを捕食モードへと変形させ、ヴァンガードレインへと食らいつかせる。
 ケルベロス達の攻撃にヴァンガードレインは力尽き、動かなくなった。

●斬り裂きサンタ
 残ったヴィクトリーサンタに向かって、ミリムが電光石火の蹴りを繰り出す。
 和がヴィクトリーサンタへとクイックドロウを放つ。そこへ恵と宗樹の放った2体のドラゴンの幻影が、次々とヴィクトリーサンタに襲い掛かる。
 ヴィクトリーサンタがチェーンソー剣を振りかぶり、恵へと襲い掛かる。それをルヴィルが割り込んで受け止める。
「まだまだいける!」
 攻撃をしっかりと受け止めたルヴィルは、自らの爪を超硬化させ竜爪撃を放ち反撃する。
 ユーノが放ったドラゴニックミラージュが直撃。イリヤが地獄の炎を武器に纏わせ叩きつける。しかしギリギリのところで、ヴィクトリーサンタは攻撃をかわした。
 アリスは歌を歌い、仲間を癒す。
 ミリムの一撃が、ヴィクトリーサンタの装甲に亀裂を生じさせる。
 和が音速を超える拳でヴィクトリーサンタを吹き飛ばし、体勢を立て直す前に恵がスターゲイザーで追撃する。
 ルヴィルが砲撃形態へと変形させたドラゴニックハンマーを構え、発射される竜砲弾。攻撃を受けたヴィクトリーサンタの動きが鈍る。そこへ宗樹が距離を詰め、ハウリングフィストを放つ。更に宗樹のボクスドラゴン、バジルが体当たりする。
 うっとうしそうにヴィクトリーサンタはバジルに斬りかかった。
 ユーノがゲシュタルトグレイブへ稲妻を帯びさせ、超高速の突きを放つ。
 イリヤが放つ『獄翼は天に届かず』がヴィクトリーサンタを炎で包んでいく。仲間を癒すため、アリスは歌を歌い続けている。
 ミリムは手足を獣化させ、重力を集中させる。ヴィクトリーサンタへと踏み込み、高速で重量のある一撃を浴びせた。
 和が流星の煌めきと重力を宿した飛び蹴りを直撃させた刹那、ヴィクトリーサンタの背後に和のビハインド、愛し君が姿を現し攻撃を加えた。
 恵がドラゴンの幻影を放ちヴィクトリーサンタを焼き、ルヴィルの竜爪撃がヴィクトリーサンタを貫く。
「メリー、クリ、ス、マース」
 ヴィクトリーサンタが掛け声と共に、袋から箱を取り出すと放り投げた。放り投げられた箱は放物線を描き、ルヴィルの元へと落ちてくる。ルヴィルは咄嗟に箱をキャッチする。その瞬間、箱は急激に熱を持ち爆発した。
「この輝きは、希望の光」
 宗樹が青白くも暖かな光を、手の上に灯しルヴィルを癒す。
「も、燃えてくださいっ」
 ユーノがドラゴニックミラージュを放ち、ヴィクトリーサンタを炎で包む。そこにイリヤが地獄の炎を武器に纏わせ叩きつけ、更に炎で包み込む。
 アリスはブレイクルーンによってルヴィルの傷を癒していく。
 度重なる攻防で、ボロボロのヴィクトリーサンタを見て、ケルベロス達は倒すべくラッシュをかける。
「覚悟はいいですか」
 ミリムが光輝のエネルギーを集中させた拳で殴り貫く。
「さぁ悪いサンタにお仕置きだ」
 和が追尾する魔法の弾丸『恋の弾丸』を放つ。ヴィクトリーサンタは避けられずに、弾丸は直撃した。
「これで終わりだ」
 恵がいずこからか召喚した刀を握り、神速の一太刀を浴びせる。
 ルヴィルが轟竜砲を放ち、怯んだ所へ宗樹のハウリングフィストが直撃する。
 ヴィクトリーサンタが反撃しようとするが、麻痺して動けないでいた。そこへ、ユーノが稲妻突きを放つ。
「ボクの炎はしつこいよ?」
 イリヤが『獄翼は天に届かず』を放ち、炎がヴィクトリーサンタを焼いていく。
「聖なる十字の光よ、邪なる力に星の裁きを」
 アリスから放たれた逆十字の薔薇色のオーラが、ヴィクトリーサンタへと命中し体力を奪った。
 ケルベロス達の攻撃を受け、ヴィクトリーサンタの手から、チェーンソー剣が落ちる。そのまま膝をつき、前のめりに倒れこむと、ヴィクトリーサンタは動かなくなった。

●クリスマス色に染まる街
「お疲れ様でした」
 アリスが戦闘で受けた怪我の治療を始める。
「壊れたままじゃクリスマスも締まらないからね」
 戦闘で壊れたクリスマス飾りや建物をヒールしていくイリヤ。
「もうすぐ楽しいクリスマス。みんな、幸せに過ごせたら、とってもとっても嬉しいです」
 ユーノは辺りをヒールしながら、これから色々な人の笑顔があふれると思うと、幸せそうに微笑む。
「ヒールしてさっさと帰る……寒い」
 宗樹は体温が高めのバジルを抱いて、温まりながらヒールしていく。
 ミリムがクリスマスを楽しみにしながら修理していく。
「やれやれ、ハロウィンといいクリスマスといい、デウスエクスは空気を読まないねぇ」
 和が珈琲を飲んで一息つき、クリスマスの飾り付けを直していた恵へと話しかける。
「恵くん。クリスマスケーキはなーに?」
「今年のクリスマスケーキは苺のアイスケーキだ」
「そりゃあいいや。帰ったら乾杯といこうか。たまにはノンアルコールカクテル作っちゃうよ」
「ああ、帰って乾杯するか。親父へのプレゼントも用意してあるぜ」
 この後の予定を話し合う和と恵。
「クリスマスの街並みは~うん、なんだか楽しいな~ゆっくり見て帰ろう?」
 修復が終わり、商店街を見渡すルヴィル。
 各々、この後どう過ごすか話し合いながら、商店街を見て回るケルベロス達だった。

作者:神無月シュン 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年12月24日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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