
●某教会
「お前達も知っていると思うが、俺は以前から秋の味覚は胸の谷間に挟むべきだと訴えてきた。だが、俺はそうしていく中で、揺るぎのない事実を知った。胸の谷間に挟む事で、食べ物が美味しくなる事を……! 俺はその真実を知った時、例えようがないほどの感動を覚えた。だからこそ、俺はこの事実を広めたい。みんなのため……世界のために……!」
羽毛の生えた異形の姿のビルシャナが、10名程度の女性信者を前に、自分の教義を力説した。
ビルシャナ大菩薩の影響なのか、まわりにいた女性信者達は、ビルシャナの異形をまったく気にしていない。
それどころか、女性信者達は豊満な胸に食べ物を挟み、妖艶な笑みを浮かべていた。
●都内某所
「夕霧・蛍(円光聖女・e14646)さんが危惧していた通り、ビルシャナ大菩薩から飛び去った光の影響で、悟りを開きビルシャナになってしまう人間が出ているようです。悟りを開いてビルシャナ化した人間とその配下と戦って、ビルシャナ化した人間を撃破する事が今回の目的です。このビルシャナ化した人間が、周囲の人間に自分の考えを布教して、信者を増やそうとしている所に乗り込む事になります。ビルシャナ化している人間の言葉には強い説得力がある為、放っておくと一般人は信者になってしまいます。ここで、ビルシャナ化した人間の主張を覆すようなインパクトのある主張を行えば、周囲の人間が信者になる事を防ぐことができるかもしれません。ビルシャナの信者となった人間は、ビルシャナが撃破されるまでの間、ビルシャナのサーヴァントのような扱いとなり、戦闘に参加します。ビルシャナさえ倒せば、元に戻るので、救出は可能ですが、信者が多くなれば、それだけ戦闘で不利になるでしょう」
セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)が、教室ほどの大きさがある部屋にケルベロス達を集め、今回の依頼を説明し始めた。
「ビルシャナは破壊の光を放ったり、孔雀の形の炎を放ったりして攻撃してくる以外にも、鐘の音を鳴り響かせ、敵のトラウマを具現化させたりするようです。信者達を説得する事さえ出来れば、ビルシャナの戦力を大幅に削る事が出来るでしょう。ただし、女性信者達は何かを胸の谷間に挟んでいないと落ち着かないらしく、場合によっては迫ってきます。そのため、違った意味でピンチに陥るかも知れないので、なるべく注意しておきましょう。なお、信者達の生死は成否判定には影響しません」
そう言ってセリカがケルベロス達に資料を配っていく。
「また、女性信者達はビルシャナの影響を受けているため、理屈だけでは説得することは出来ないでしょう。重要なのは、インパクトになるので、そのための演出を考えてみるのが良いかもしれない。また、ビルシャナとなってしまった人間は救うことは出来ませんが、これ以上被害が大きくならないように、撃破してください。それでは、よろしくお願いします」
そして、セリカはケルベロス達に対して、深々と頭を下げるのであった。
参加者 | |
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![]() リスティ・アクアボトル(ファニーロジャー・e00938) |
![]() ミュシカ・サタナキア(もふもふうさぎ・e11439) |
![]() 夕霧・蛍(円光聖女・e14646) |
![]() エメラルド・アルカディア(雷鳴の戦士・e24441) |
![]() リシュティア・アーキュリア(サキュバスの巫術士・e28786) |
![]() シンシア・ミオゾティス(空の弓・e29708) |
![]() 九尾・桐子(蒼炎の巫女・e33951) |
![]() 龍造寺・隆也(邪神転生・e34017) |
●教会前
「……どうして、ビルシャナ達はこうも教会で事件を起こすのでしょうか……? 教徒として許せません……」
夕霧・蛍(円光聖女・e14646)がグッタリとした様子で、仲間達と共に教会の前にやって来た。
ビルシャナは胸の谷間に挟む事で、食べ物が美味しくなると訴えており、信者達を集めて己の妄想を延々と語っているようだ。
そのためか、教会の敷地内には意味深な彫像が置かれており、胸の谷間には何かしらのモノが挟まれていた。
「確かに、おっぱいおっきい人がこう……挟むのって、セクシーな感じがしますけど……」
ミュシカ・サタナキア(もふもふうさぎ・e11439)が、気まずい様子で汗を流す。
しかも、挟んでいる時間が長ければ長いほど、美味しくなるらしく、信者達もそれを実践しているようだ。
「……まったく、どこをどうやったら、こんな教義を思いついたのか。あまりにもアホ過ぎて、かえって興味沸きますね。あ、もちろんその興味とは、発想のきっかけに対する興味であって、内容には、これっぽっちも興味ありませんが……」
九尾・桐子(蒼炎の巫女・e33951)が、げんなりとした表情を浮かべた。
何処からどう突っ込んでいいのか分からないが、マトモに考えても時間の無駄だろう。
「谷間盛りねぇ……要は女体盛りだろ? ぬるくなるしべたつくし、そんなに良いもんでもないんだけどねぇ。美味くなるか不味くなるかっつったら、そりゃ不味くなるだろ、大抵」
リスティ・アクアボトル(ファニーロジャー・e00938)も、実感がこもった様子で呆れ顔。
だが、ビルシャナにとっては、それこそが至高の御馳走らしく、一度食べたら忘れる事が出来ないほど美味いようである。
「それにしても、胸の間に挟んで美味しくなるとは……一体どういう食べ方を想定しているのだろうか? 挟んで自分で食べるのか、それとも食べて貰うのか……」
エメラルド・アルカディア(雷鳴の戦士・e24441)がビキニアーマー姿で、事前に配られた資料に目を通す。
事前に配られた資料には、ビルシャナの教義について事細かに書かれており、読み進むにつれて頭が痛くなってくるような内容だった。
「まあ、わりといつもの事よね。それにしても、胸に挟むとかいう、この教義……喧嘩でも売ってるのかな?」
リシュティア・アーキュリア(サキュバスの巫術士・e28786)が、こめかみを激しくピクつかせる。
こんな教義を広めたところで、何の意味があるのか分からないが、どちらにしても怒りしか込み上げてこなかった。
「よーし、ビルシャナをやっつけるぞー!」
そう言ってシンシア・ミオゾティス(空の弓・e29708)が、仲間達を連れて教会の中に入っていく。
教会の中にはビルシャナ達がおり、胸の谷間に挟む事で、食べ物が美味しくなる事を、握り拳で訴えていた。
「ところで、秋の味覚といえば秋刀魚だが……焼き立てを挟むのか? 火傷するぞ?」
そんな中、龍造寺・隆也(邪神転生・e34017)が、ビルシャナに対して問いかけた。
●教会内
「……んっ? 秋刀魚か? 秋刀魚か、秋刀魚……。えーっと、それはだなァ……。何というか、ほら……アレだ。火傷したら意味がない。だから焼く前に挟む! これで秋刀魚が美味しくなる。……えん、間違いない!」
ビルシャナが頭の中でイメージをしながら、適当な理由を考えた。
それは単なる思いつきであったが、信者達はそれだけで納得。
目をキラキラさせながら、『ビルシャナ様は、何でもよく御存知で!』と言わんばかりに尊敬しているようだった。
「でも、これって要するに女体盛りの一種ですね?」
桐子が心底呆れた様子で、ビルシャナにツッコミを入れる。
「し、し、失礼な! 女体盛りとは違う。断じて違う。大違いだ!」
ビルシャナが顔を真っ赤にして怒り出す。
「いえ、一緒ですよ。決定的に食べ物をダメにして不味くしているところは、特に……。「まず、身体の表面は雑菌の宝庫です。そこに直接食べ物を挟む?しかも雑菌が最も繁殖しやすい人肌体温の中で? それでは、食中毒になりますと宣言しているも同然ですね。なにより、人肌の温度、それは食料としては、温いというのです。それのどこが美味しいんですか?」
それでも、桐子は怯む事なく、ビルシャナに現実を突きつけた。
「美味いに決まっているだろうが! それとも、何か? お前は好きな人が握ってくれたおにぎりも食えないって事か!? それと同じだ! いや、それ以上だ!」
だが、ビルシャナは現実を全否定し、夢と浪漫が広がる世界に、どっぷり浸かり始めた。
「……とは言え、絶対に挟めないものだってあるではないか。例えば、この西瓜。こんなに大きな物を挟む事なんて出来ないだろ? だったら、こうしてお皿に乗せて食べた方が、見た目も生えるし食べやすい。そうではないか?」
エメラルドが目の前で西瓜を切り、皿に盛りつけていく。
「ふん! それでは駄目だ! 西瓜の味が完全に引き出されていないッ! だが、これを胸に挟む事で、西瓜は飛躍的に美味くなる!」
ビルシャナがくわっと表情を険しくさせ、切った西瓜を女性信者の胸に挟ませた。
女性信者はそれに上手く挟み込むと、そのままビルシャナに食べさせた。
「うむ、美味い! 美味過ぎる!」
ビルシャナが満足した様子でニコリと笑う。
「あの……秋の味覚って、栗とかお芋とか、葡萄や柿、梨とか色々ありますし……。食べ物によっては、お肌に直接触れるとかぶれたりとか、お肌に良くなかったりしますけど……。それが分かっていながら、挟んでいる女性の気持ちを考えず、自分が楽しみたいから性癖を押し付けるなんて気持ち悪いし最低ですぅ」
ミュシカがビルシャナに対して嫌悪感を示す。
「本当はみんな気づいているんだろ? そいつは美味さなんて関係ない。ただ、胸に挟んだ姿が見たいだけの変態なんだよ」
隆也もゴミを見るような目で、ビルシャナ達を睨む。
「べ、別に性癖を押し付けている訳ではない! みんな自らの意志で、やっている事だ! だから俺は何も悪くないッ!」
ビルシャナが激しく動揺した様子で、自らの正当性を訴えた。
まわりにいた信者達も『ビルシャナ様は悪くないッ!』と叫ぶ。
「でも、ほら……バナナならいいけど、ナットウとか、とろろとか、ネバネバしたヤツとか、アイスみたいに溶けちゃうヤツは、胸で挟めないでしょ? そういう場合はどうするの?」
シンシアが信者達を見つめて問いかけた。
「い、いや、それは……」
ボーイッシュな感じの女性信者が、答えに困って汗を流す。
「うるさい、黙れ! さっきから聞いていれば、屁理屈ばかり並べやがって! おい、お前らっ! こいつらの身体に教えてやれ!」
その途端、ビルシャナが怒り狂った様子で、まわりにいた信者達を嗾けた。
「うおおおおおおおおおおお!」
すぐさま、信者達がハチミツをぶっかけ、ケルベロス達に迫っていく。
「ば、ばかものっ! 何処を触っているのだ……あっ、やぁ! そんな所……んぅっ、舐めるなぁ……!」
それと同時にエメラルドが信者達に胸を揉まれ、困った様子で悲鳴をあげる。
「ひゃああん! ま、まだ、説得もしていないのに~」
蛍もウニを持ったまま、信者達に襲われた。
信者達はやりたい放題。自らの欲望を最優先して、好き勝手にやっていた。
「うぐぐ……さっきから無駄に見せつけやがって……! ないやつにはどうしろってんだっ! そもそも、挟めるほどないってゆうか、ぺったんこなんだが……。胸がないのを馬鹿にしてるのか!ぺたんこで悪いかー!!」
そんな中、リシュティアがビハインドのネイロと一緒に、気が強そうな女性信者の胸を掴む。
リシュティアは右を……。ネイロは左を……。
確かに胸があれば色々なモノが挟めるかもしれない。
しかし、ないものには……、ぺたんにはそれが不可能。
それ故に、かなり力が入っているようである。
「な、な、何をするのよ!」
そのため、気が強そうな女性信者がブチ切れた。
「大体さぁ、それで美味くなるってなら――食う方に回った方が良くない? ビルシャナ、要らなくね? そいつが鳩胸に挟んでも羽根だらけだし」
リスティが深い溜息をもらして、ビルシャナに視線を送る。
「し、し、失敬な! ま、まあ……俺が挟むのはアレだがな」
ビルシャナが気まずい様子で咳をした。
「た、確かに、ビルシャナ様はいらないかも……」
地味目の女性信者が、納得した様子で答えを返す。
まわりにいた信者達も、『そう言えば、確かに……』と言わんばかりの表情を浮かべていた。
●ビルシャナ
「お、おい……ちょ、ちょっと待て! おかしいだろうが! 絶対に変だよ、変! 俺がいらないって……。そりゃあ、ねえだろ! 俺達、仲間だよな? ここまで一緒に頑張って来たじゃねーか!」
ビルシャナが見捨てられた者にありがちな対応をしながら、ダラダラと滝のような汗を流す。
まさか、この期に及んで見捨てられるとは思っていなかったため、嫌な汗が止まらないようである。
「とりあえず、私達の邪魔さえしなければ、怪我をする事はありませんので、下がっていてくださいねぇ~」
そう言ってミュシカが信者達に対して警告。
信者達はボクスドラゴンのわたあめに誘導されて安全な場所へ。
「全部……、そこの変態嗜好の鳥が悪いんだ……」
リシュティアが恨めしそうにしながら、ビルシャナの顔面にトラウマボールを叩きつける。
「……って、何をしやがるんだああああああああああああ」
これにはビルシャナもブチ切れ、鐘の音を鳴り響かせ、ケルベロス達のトラウマを具現化させた。
「――ひっ!? い、いやぁぁああああああ~~~~!?」
それと同時に蛍が青ざめた様子で、悲鳴を上げる。
具現化したのは『胸の谷間に挟めない食材』を見付けるため、事前に自らのGカップで試してブリやタコ。
しかも、ビルシャナの力によって何となくパワーアップしているのか、ヌルヌルでネトネトだった。
「これ以上、好き勝手にさせないよ!」
すぐさま、シンシアがウイングキャットのネコと連携を取りつつ、ビルシャナに攻撃を仕掛けていく。
「俺は何も悪くない! 悪い事などしていない!」
ビルシャナがイラついた様子で、再び金を鳴らそうとした。
「こういう趣味は恋人にだけ頼んでおけ、フラれても知らないがな」
それよりも早く、隆也がビルシャナに降魔真拳を叩き込む。
「うぐぐ……!」
そのため、ビルシャナは完全に反撃する機会を失い、目をパチクリさせた。
「羽根をもいでも皿にゃあなりそうにないねぇ、アンタは。さすがに食材の方にするわけにもいかないし――うん。悪いけど、お残しだ」
リスティがビルシャナに冷たい視線を送り、グラビティはアンティークじみた銃からトドメの一撃を放つ。
それと同時にビルシャナの頭が吹っ飛び、大量の血が後ろに壁を真っ赤に染めた。
「な、何故こんな事に……」
そんな中、エメラルドがあられもない姿で、恥ずかしそうに胸元を隠す。
何やらドサクサに紛れて、信者達に色々されたらしく、半ば放心状態のようである。
「ハァ……」
リシュティアが自分の胸を触り、寂しそうに溜息をもらす。
何かが挟めるような胸があれば、もっと違った対応が出来たかも知れない。
「ま、まあ、胸なんてあっても邪魔ですから……」
そう言って桐子が乾いた笑いを響かせるのであった。
作者:ゆうきつかさ |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
![]() 公開:2016年12月12日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 1
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